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風力発電のメーカー別シェア|海外勢が占める構図と日本勢の撤退【2026年版】

日本に新規導入される風車は、実質100%が海外メーカーです。2025年の新規導入はシーメンスガメサ(スペイン)が約41%、GE(米国)が約38%、エネルコン(ドイツ)が約20%で、上位3社が大半を占めました。かつて風車を手がけた三菱重工や日立などの日本メーカーは、いずれも大型風車から撤退しています。一方、世界市場で存在感を増す中国メーカーの国内シェアは、現状わずかです。

2025年の新規導入のメーカー別導入量 (MW)

設置ベース625.0MWの内訳、上位はすべて海外メーカー
単位: MW5 カテゴリ・合計 625
075150225300256シーメンスガメサ234GE127エネルコン7.5ヴェスタス0.9その他
出典: 日本風力発電協会(JWPA)「日本の風力発電 累積導入量」2025年末統計(単年・設置ベース。表のシェアは各社MWから算出、JWPA公表の概数41%/38%/20%/1%とは1ポイント未満の端数差)
カテゴリシーメンスガメサGEエネルコンヴェスタスその他
MW255.60234.40126.607.500.90
シェア40.9%37.5%20.3%1.2%0.1%
読み解き

2025年に新たに設置された風車(設置ベース625.0MW)を、メーカー別に見た内訳です。シーメンスガメサが255.6MW(41%)で最も多く、GEが234.4MW(38%)、エネルコンが126.6MW(20%)と続きました。

世界最大手の一角であるヴェスタスは7.5MW(1%)にとどまり、その他が0.9MWでした。導入されたのはすべて欧米のメーカーで、日本メーカーの新規シェアは実質ゼロです。

特定のメーカーへの集中度は年によって変わります。例えば2024年はヴェスタスが上位でしたが、2025年は1%へ大きく下がりました。年ごとにどの海外メーカーが多いかは、その年に稼働したウインドファーム(多数の風車を並べた発電所)がどのメーカーの風車を採用したかで決まります。

メーカー別シェアの変化 (新規導入、2024年と2025年)

シーメンスガメサ(スペイン)
2024年
46%
2025年
41%
GE(米国)
2024年
34%
2025年
38%
エネルコン(ドイツ)
2024年
上位外
2025年
20%
ヴェスタス(デンマーク)
2024年
17%
2025年
1%
読み解き

新規導入のメーカー別シェアは、年によって大きく動きます。首位のシーメンスガメサは2024年の46%から2025年は41%へ、GEは34%から38%へと入れ替わり、2024年に17%あったヴェスタスは2025年に1%へ下がりました。2025年はドイツのエネルコンが20%と存在感を示しています。

このように順位や比率は毎年変わりますが、上位を欧米メーカーが占める構図は一貫しています。年ごとの振れは、その年に完成したウインドファームがどのメーカーの機種を選んだかによるもので、特定メーカーの恒常的な優位を示すものではありません。(2024年の値は業界紙・報道経由の集計値で、2025年のJWPA統計とは出典が異なります)

主要論点

なぜ日本メーカーは風車から撤退したのか?

かつては三菱重工業・日立製作所・日本製鋼所などが風車を製造していましたが、いずれも大型風車から撤退しました。背景にはいくつかの要因があります。

第1に国内市場の小ささです。固定価格買取制度(FIT、発電した電力を国が定めた価格で買い取る制度)が始まる2012年以前は導入量が伸びず、量産による規模の経済が働きにくい状況が続きました。第2に欧米メーカーの規模とコストの優位です。ヴェスタスやシーメンスガメサ(当時はシーメンスとガメサ)は世界市場での量産を背景に、風車の大型化と低コスト化で先行しました。日本メーカーは価格と性能の両面で追随が難しくなりました。

象徴的なのが三菱重工です。2014年にヴェスタスと洋上風力の合弁「MHIヴェスタス」を設立しましたが、2020年に合弁を解消し、ヴェスタスの本体株式を取得する形へ切り替えました。日立も2019年に風車の自社生産から撤退しています。結果として、日本勢は風車本体での競争から退き、基礎工事や部材、運転保守など周辺の領域に軸足を移しました。

世界と国内でメーカーの顔ぶれが違うのはなぜか?

世界全体の風車メーカーの導入量ランキングでは、ヴェスタスやシーメンスガメサ、GEといった欧米勢に加え、ゴールドウインドやエンビジョンなどの中国メーカーが上位に多数入っています。世界の年間導入量の大半を中国が占めるため、中国市場で圧倒的な中国メーカーが世界ランキングでも上位に来る構図です。

一方、日本国内で導入される風車は、シーメンスガメサ・GE・エネルコン・ヴェスタスなど欧米メーカーが中心で、中国製風車のシェアは現状わずかです。太陽光パネルでは中国メーカーが世界と日本の双方で高いシェアを持つのに対し、風力では日本市場に中国勢がほとんど入っていません。

この違いの背景には、風車が大型で輸送・据付・保守に現地の体制を要すること、洋上風力の公募で採用実績や信頼性が重視されること、経済安全保障(重要な設備を海外に過度に依存しないという考え方)の観点などがあります。世界のメーカーシェア(世界の業界団体GWEC=Global Wind Energy Councilなどが集計)と、日本国内のメーカーシェア(JWPAが集計)は別の指標で、単純に重ね合わせることはできません。

累積と新規で、メーカーの構成は違うのか?

新規導入は実質100%が海外メーカーですが、これまでに設置された累積の設備で見ると、構成はやや異なります。累積には、過去に三菱重工・日立・日本製鋼所などの日本メーカーが設置した風車も一定量残っているためです。

ただし、これらの日本メーカーはいずれも新規の風車供給からは退いており、既存設備の保守や更新の局面で、順次海外メーカーの機種へ置き換わっていくと見られます。累積ベースでも、ヴェスタスやGE、シーメンス系などの海外メーカーが上位を占めています。

つまり、「日本の風力発電の設備には日本メーカー製も残るが、これから増える分はほぼ海外製」という理解が実態に近いといえます。老朽化した風車の建て替え(リプレース)が進むほど、海外メーカーの比率はさらに高まる方向です。

中期見通し

近未来1-2年

新規導入の風車は、引き続きシーメンスガメサ・GE・ヴェスタス・エネルコンなど欧米メーカーが中心となる見通しです。年ごとにどのメーカーが多いかは、稼働するウインドファームの機種選定で変わりますが、日本メーカーが本体供給に復帰する動きは見込みにくい状況です。

中期3-5年

洋上風力の案件が本格化すると、大型の洋上風車の採用が増えます。洋上向けの大型機は欧米メーカーが強く、海外勢への依存はさらに強まる可能性があります。一方で、風車の基礎・部材・据付・保守といった周辺領域では、日本企業の関与を高める政策(国内調達比率の目標)も進められています。

長期5-10年

世界の風車市場では中国メーカーの台頭が続きますが、日本国内での採用が広がるかは、コスト・信頼性・経済安全保障の観点をどうバランスさせるかによります。国産の大型風車メーカーが再び現れる可能性は現時点で低く、風車本体は海外調達、周辺は日本企業という構造が当面続く見通しです。

よくある質問

日本の風力発電の風車はどこのメーカーが多いですか?
日本風力発電協会(JWPA)によると、2025年の新規導入(設置ベース625.0MW)はシーメンスガメサ(スペイン)が41%、GE(米国)が38%、エネルコン(ドイツ)が20%で、上位はすべて海外メーカーです。日本メーカーの新規シェアは実質ゼロです。
なぜ日本の風車メーカーがないのですか?
かつては三菱重工業・日立製作所・日本製鋼所などが風車を製造していましたが、国内市場の小ささや、欧米メーカーの規模・コストの優位により、いずれも大型風車から撤退しました。三菱重工は2020年にヴェスタスとの合弁を解消し、日立も2019年に風車の自社生産をやめています。現在、国産の大型風車メーカーは存在しません。
風力発電で中国メーカーは日本に入っていますか?
世界全体では中国メーカー(ゴールドウインド、エンビジョン等)が導入量で上位を占めていますが、日本国内での中国製風車のシェアは現状わずかです。太陽光パネルと異なり、風力では日本市場に中国勢がほとんど入っていません。
シーメンスガメサやGEはどんな会社ですか?
いずれも世界的な風車メーカーです。シーメンスガメサはスペインを拠点とし、ドイツのシーメンス系とスペインのガメサが統合した企業です。GE(GEベルノバ)は米国の重電メーカーで、第1ラウンドの洋上風力公募でも採用機種となりました。エネルコンはドイツ、ヴェスタスはデンマークの大手メーカーです。
世界の風車メーカーシェアと日本のシェアは同じですか?
別のものです。世界のメーカーシェア(GWECなどが集計)は中国メーカーが上位を占めますが、日本国内のメーカーシェア(JWPAが集計)は欧米メーカーが中心です。世界の年間導入量の大半を中国が占めるため世界ランキングでは中国勢が上位に来ますが、日本市場では採用実績が異なります。両者は集計対象が違うため、単純に比較することはできません。

参考資料 / 一次ソース

  1. 1.
    一般社団法人 日本風力発電協会(JWPA)「日本の風力発電 累積導入量」
  2. 2.
    GWEC(Global Wind Energy Council)Global Wind Report
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