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風力発電の買取制度と経済性|FIT・FIPの価格とコスト目標【2026年版】

風力発電は、固定価格買取制度(FIT)や、市場価格に補助を上乗せするFIP制度のもとで導入が進んできました。陸上風力は規模に応じて固定価格または入札で買取価格が決まり、洋上風力は公募と連動した入札で決まります。産業界は、洋上(着床式)の発電コストを2030〜2035年までに8〜9円/kWhへ下げ、国内調達比率を2040年までに60%へ高める目標を掲げています。第1ラウンドの低い応札価格がその後の資材高騰で重荷になった経緯もあり、コストと制度設計が普及の鍵になっています。

風力発電の区分別の買取方式と価格(2026年度)

FIT/FIP制度における陸上・洋上の買取方式と価格の水準(調達価格等算定委員会・経済産業省)
陸上風力(50kW未満)
買取の方式
固定価格買取(FIT)
価格の水準
12円/kWh(2026年度、前年度は13円で引き下げ)
陸上風力(50kW以上)
買取の方式
入札で価格を決定
価格の水準
入札の上限価格14円/kWh(2026年度、前年度13円から引き上げ)
洋上風力(一般海域)
買取の方式
公募と連動した入札
価格の水準
供給価格の上限を公募ラウンドごとに公表(第1回29円・第2回19円・第3回18円/kWh)
読み解き

風力発電の買取価格は、電源の規模や種類によって決め方が分かれます。小規模な陸上風力は固定価格で買い取られ、2026年度は12円/kWh(前年度は13円)と、年々引き下げられています。大規模な陸上風力(50kW以上)は入札で決まり、2026年度の入札の上限価格は14円/kWhです。

洋上風力(一般海域)は、促進区域の公募と一体で入札が行われ、供給価格には公募のラウンドごとに上限が設けられ公表されます(第1回29円から第3回18円/kWhへと引き下がってきました)。第1ラウンドでは1キロワット時あたり11〜16円台の応札がありましたが、その後の資材高騰でコストの前提が変わりました。買取価格は毎年度見直されるため、最新の値は年度ごとに確認が必要です。

風力の電気はどう買い取られるのか

FITからFIPへ

再生可能エネルギーの電気は、長らく固定価格買取制度(FIT)で、国が定めた価格・期間で買い取られてきました。近年はこれに加えて、FIP制度(市場価格に一定の補助を上乗せする仕組み)が導入され、大規模な電源を中心にFIPへの移行が進んでいます。FIPは、発電事業者が市場の動きを意識して発電・売電するよう促す狙いがあります。

陸上は規模で固定価格と入札に分かれる

陸上風力は、規模によって買取価格の決め方が異なります。小規模(50kW未満)は固定価格で、2026年度は12円/kWhです。大規模(50kW以上)は入札で決まり、応札価格が低い事業者から順に選ばれます。入札には上限価格が設けられ、2026年度は14円/kWhです。価格は毎年度、中立的な調達価格等算定委員会の意見をふまえて経済産業大臣が決めます。

洋上は公募と一体の入札

洋上風力(一般海域)は、再エネ海域利用法の公募と一体で価格が決まります。事業者は促進区域の公募で、事業計画とともに売電価格を提示し、価格や事業の実現性を含めた総合評価で選ばれます。供給価格には公募のラウンドごとに上限が設けられ、公表されます(第3ラウンドは18円/kWh)。公募で選ばれた事業者は、その価格でFIT/FIPの買取を受けながら、最長30年にわたって発電事業を行います。

コスト低減と国内調達の目標

着床式8〜9円/kWhへ

洋上風力を主力の電源に育てるには、発電コストの低減が欠かせません。産業界は、洋上風力産業ビジョン(2020年)で、着床式の発電コストを2030〜2035年までに8〜9円/kWhへ下げる目標を掲げています。大量導入による量産効果や、風車の大型化、建設・運営の効率化でコストを下げる想定です。

国内調達比率60%へ

もう一つの目標が、国内での部材や工事の調達比率を高めることです。風車本体は海外メーカーに依存しますが、基礎・部材・据付・保守などのバリューチェーンで国内企業の関与を増やし、2040年までに国内調達比率を60%へ高める目標が掲げられています。これは、洋上風力を国内の産業・雇用につなげる狙いです。

低価格入札の教訓と制度見直し

第1ラウンドの公募では、1キロワット時あたり11〜16円台の低い価格が提示され、コスト低減への期待が高まりました。しかし、その後の資材高騰や金利上昇で建設コストが膨らみ、低い価格が重荷となって落札事業者の撤退につながりました。この教訓から、価格の安さだけでなく事業を最後までやり遂げられるかを重視する方向へ、制度の見直しが進んでいます。

主要論点

FITからFIPへの移行は、風力に何をもたらすのか?

再生可能エネルギーの買取は、国が価格を固定するFITから、市場価格に補助を上乗せするFIPへと軸足が移りつつあります。FITは事業者にとって収入が安定する一方、電気が余っている時間帯でも発電を続けるなど、市場の状況と噛み合わない面がありました。

FIPは、市場価格が高い時に多く売れば収入が増えるため、発電事業者が市場を意識した運用をするよう促します。大規模な風力はFIPへの移行が進んでおり、蓄電池の併設や、市場価格を見た売電など、事業者側の工夫が求められるようになっています。

ただし、FIPは収入が市場価格に左右されるため、事業の見通しが立てにくくなる面もあります。長期の大型投資である風力発電では、収入の安定と市場連動のバランスをどう取るかが、事業者にとっての論点です。

洋上風力の発電コストは、目標どおり下がるのか?

産業界は着床式の発電コストを2030〜2035年までに8〜9円/kWhへ下げる目標を掲げています。大量導入による量産効果や風車の大型化が、コスト低減の柱です。第1ラウンドでは11〜16円台の低い価格が提示され、一時はコスト低減が進むと期待されました。

しかし、その後の資材価格の高騰や金利の上昇で、洋上風力の建設コストは世界的に膨らみました。低い価格で落札した第1ラウンドの事業者が撤退したことは、コスト低減の道のりが平坦でないことを示しています。目標の8〜9円/kWhの達成は、資材価格の落ち着きと、国内での量産・効率化がどこまで進むかにかかっています。

コストが下がらなければ、買取価格や国民負担(賦課金)を通じて電気料金に跳ね返る可能性もあります。安定した価格で洋上風力を導入できるかは、日本のエネルギー政策全体の論点でもあります。

国内調達60%の目標は、日本の産業にどうつながるのか?

洋上風力産業ビジョンは、2040年までに国内調達比率を60%へ高める目標を掲げています。風車本体は海外メーカーに依存しますが、基礎・部材・据付・保守などのバリューチェーンで国内企業の関与を増やせば、洋上風力の拡大を国内の産業・雇用につなげられるという考え方です。

実際に、ゼネコンによる基礎工事や据付、専用作業船(SEP船)、海底ケーブルなどの分野で、日本企業の参入が進んでいます。国内に部材工場や基地港湾を整備する動きもあり、洋上風力を「輸入する電源」ではなく「国内で作る産業」にできるかが問われています。

ただし、国内調達を進めるにはコストや品質、量産体制の確保が前提になります。海外メーカーへの依存と国内調達の目標をどう両立させるかが、日本の洋上風力の産業政策の中心的な課題です。

中期見通し

近未来1-2年

買取価格は毎年度見直されます。陸上風力(50kW以上)の入札上限価格は、資材高騰を反映して2026年度は13円から14円へ引き上げられました。長期の低減基調のなかでも、資材価格の動向によって上下します。洋上風力では、第1ラウンドの教訓をふまえた公募制度の見直しが進み、価格と事業の実現性のバランスをとる新しいルールが固まります。

中期3-5年

資材価格や金利の動向が、洋上風力の採算を大きく左右します。コスト低減の目標(着床式8〜9円/kWh)に向けて、量産効果や風車の大型化がどこまで進むかが焦点です。国内調達を進めるための部材工場や基地港湾の整備も、この時期に本格化します。

長期5-10年

脱炭素の目標に沿って風力発電の役割は高まる見通しですが、その実現はコストの低減と、国民負担(賦課金)とのバランスにかかっています。安定した価格で導入を続けられる制度設計と、国内調達比率60%の達成が、長期の普及を左右します。

よくある質問

風力発電の電気の買取価格はいくらですか?
陸上風力の小規模(50kW未満)は固定価格で、2026年度は12円/kWh(前年度は13円)です。大規模(50kW以上)は入札で決まり、2026年度の入札の上限価格は14円/kWh(前年度13円から引き上げ)です。洋上風力(一般海域)は公募と連動した入札で決まり、供給価格の上限は公募ラウンドごとに公表されます(第3回は18円/kWh)。買取価格は毎年度見直されます。
FITとFIPは何が違いますか?
FIT(固定価格買取制度)は、発電した電力を国が定めた価格・期間で買い取る仕組みです。FIP制度は、市場価格に一定の補助(プレミアム)を上乗せする仕組みで、発電事業者が市場の動きを意識して売電するよう促します。近年は大規模な電源を中心にFIPへの移行が進んでいます。
洋上風力の発電コストの目標はどうなっていますか?
産業界は、洋上風力産業ビジョン(2020年)で、着床式の発電コストを2030〜2035年までに8〜9円/kWhへ下げる目標を掲げています。大量導入による量産効果や風車の大型化でコストを下げる想定ですが、資材高騰などで道のりは平坦ではありません。
国内調達比率60%とは何ですか?
洋上風力の部材や工事を、どれだけ国内で調達するかの目標です。産業ビジョンは2040年までに国内調達比率を60%へ高める目標を掲げています。風車本体は海外メーカーに依存しますが、基礎・部材・据付・保守などで国内企業の関与を増やし、洋上風力を国内の産業・雇用につなげる狙いです。
風力発電の買取価格は誰が決めるのですか?
買取価格(調達価格)は、中立的な調達価格等算定委員会の意見をふまえて、経済産業大臣が毎年度決めます。事業が効率的に行われた場合に通常必要となるコストを基礎に、価格目標や適正な利潤などを勘案して定められます。

参考資料 / 一次ソース

  1. 1.
    経済産業省・資源エネルギー庁「なっとく!再生可能エネルギー」FIT・FIP制度 買取価格 / 調達価格等算定委員会
  2. 2.
    洋上風力の産業競争力強化に向けた官民協議会「洋上風力産業ビジョン(第1次)」(2020年)
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