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法人向けの固定通信|IP-VPN・専用線と企業ネットワーク【2026年版】

法人向けの固定通信は、家庭向けのインターネットとは異なり、企業の拠点間を安全につなぐ専用のサービスが中心です。拠点間を閉域網で結ぶIP-VPNや、回線を占有する専用線、それらを柔軟に運用するSD-WANなどがあり、IIJやNTTコミュニケーションズ、アルテリアネットワークスなどが提供しています。企業ネットワークがどう成り立ち、どんな需要に支えられているかを整理します。

法人向け固定通信とはどういうサービスか

IP-VPN・専用線 — 拠点をつなぐ法人回線

法人向け固定通信の中心は、企業の複数の拠点(本社・支社・工場など)を結ぶ回線です。代表的なのがIP-VPNで、通信事業者の閉域網(インターネットから隔離された、その事業者の網内だけで完結するネットワーク)を使って拠点間を結びます。外部から隔離されているため、安全性と通信品質を確保しやすいのが特徴です。

より高い品質が必要な場合に使われるのが専用線です。2つの拠点の間を専用に結び、回線の帯域を占有するため、最も安定した通信ができます。一方でコストは高く、金融機関の基幹システムなど、高い信頼性が求められる用途で使われます。

インターネットVPN・SD-WAN — 柔軟で低コストな選択肢

コストを抑えたい場合には、インターネットVPNが使われます。一般のインターネット回線を使い、通信を暗号化して拠点間を結ぶ方式で、低コストですが、品質はインターネットの混雑状況に左右されます。

近年広がっているのがSD-WANです。これは、複数の回線(IP-VPNやインターネット回線など)をソフトウェアでまとめて制御し、通信の内容に応じて最適な回線を自動で選ぶ仕組みです。クラウドサービスの利用が増えるなかで、回線を柔軟に使い分けられるSD-WANの需要が高まっています。次の表で、主なサービスを整理します。

法人向け固定通信の主なサービス

拠点間接続・専用線・SD-WANなど
IP-VPN
用途
企業の拠点間を結ぶ
特徴
通信事業者の閉域網(外部から隔離された網)を使い、安全性と品質を確保する
専用線
用途
2拠点を専用に結ぶ
特徴
回線を占有するため最も高品質だが、コストは高い
インターネットVPN
用途
インターネット経由で拠点を結ぶ
特徴
通信を暗号化して使う。低コストだが品質は通信状況に左右される
SD-WAN
用途
複数の回線をまとめて最適に使う
特徴
ソフトウェアで回線を制御し、クラウド利用に合わせて柔軟に運用する
読み解き

法人向け固定通信は、品質とコストのバランスでサービスが選ばれます。高い品質と安全性が必要なら専用線やIP-VPN、コストを抑えたいならインターネットVPN、柔軟な運用ならSD-WAN、というように、企業の用途や予算に応じて使い分けられます。多くの企業は、これらを組み合わせて拠点ごとに最適な回線を構築しています。

企業ネットワークを支えるプレイヤー

IIJ — 法人向けを主力とする独立系

IIJは、法人向けのインターネットとネットワークを主力とする独立系の事業者です。FY2026(2026年3月期)のネットワークサービス売上は約1,787億円で、前年から増加を続けています。法人向けインターネット接続の契約数は2026年3月末で約504.7万、その契約総帯域は約16,532Gbpsにのぼり、企業のデータ通信量の増加とともに帯域が拡大しています。IIJはIIJmioのMVNO(携帯回線の借り受け)も手がけますが、事業の柱は法人向けのネットワークです。

NTTコミュニケーションズ・アルテリア・KDDI — 多様なプレイヤー

NTTコミュニケーションズは、NTT持株の連結子会社で、IP-VPN・専用線・データセンター接続などの法人通信を全国規模で提供しています。NTTグループの一員として、大企業の基幹ネットワークを支える存在です。

アルテリアネットワークスは、自前で敷いた光回線を活用し、法人向けの閉域網や専用線を提供しています。マンション向けの回線でも知られますが、法人向けの自設回線も強みです。このほか、KDDIの法人部門もau回線やデータセンターを組み合わせた企業ネットワークを展開しています。なお、IIJは法人向けに特化した代表的な事業者ですが、法人通信の規模では、全国網を持つNTTコミュニケーションズなどの大手キャリアが上回ります。法人向け固定通信には、専業から大手まで多様なプレイヤーが参入しています。

法人通信の需要は何に支えられているか

データセンター接続とクラウドの広がり

法人向け固定通信の需要を押し上げているのが、データセンター接続クラウドサービスの広がりです。企業がシステムをデータセンターやクラウドに置くようになり、拠点とデータセンター、拠点とクラウドを安全に結ぶ回線の需要が増えています。IIJの法人向け契約総帯域が拡大しているのも、こうしたデータ通信量の増加を映しています。

クラウド時代に合わせたネットワークの見直し

クラウドの利用が一般化するなかで、企業はネットワークの構成を見直しています。従来は、すべての通信を本社経由で行う構成が一般的でしたが、クラウドへ直接つなぐ方が効率的な場合が増え、SD-WANによる柔軟な回線の使い分けが広がっています。あわせて、外部とつながる機会が増えることで、通信の安全性を確保する仕組みの重要性も高まっています。法人向け固定通信は、企業のシステムのあり方の変化とともに、提供される形が変わってきています。

主要論点

法人向けの固定通信は家庭向けと何が違うのか?

法人向けの固定通信は、家庭向けのインターネットとは大きく異なります。家庭向けが、決まったプランを多くの利用者に量販するのに対し、法人向けは企業ごとの要件に応じた個別のサービスが中心です。重視されるのは、通信の品質・安全性・可用性で、業務が止まらないことが何より求められます。

サービスの中身も異なります。家庭向けが1本のインターネット回線であるのに対し、法人向けは、複数の拠点を結ぶIP-VPNや専用線、データセンターやクラウドへの接続など、企業のネットワーク全体を設計するものです。閉域網を使って外部から隔離したり、回線を二重化して障害に備えたりと、企業の事業を支える作りになっています。

このため、法人向け固定通信は、回線を売るだけでなく、企業のネットワークをどう設計し運用するかという提案力が問われます。IIJやNTTコミュニケーションズなどが、企業の用途に応じたネットワークを支えているのは、こうした個別対応が必要だからです。

IP-VPNと専用線、インターネットVPNはどう使い分けるのか?

法人向けの拠点間接続には、主にIP-VPN・専用線・インターネットVPNの3つがあり、品質とコストのバランスで使い分けられます。

専用線は、2拠点を専用に結び帯域を占有するため、最も高品質で安定しますが、コストは高くなります。金融機関の基幹システムなど、高い信頼性が必要な用途に向きます。IP-VPNは、通信事業者の閉域網を使って複数拠点を結ぶ方式で、専用線ほどのコストをかけずに安全性と品質を確保できるため、企業の拠点間接続で広く使われます。

インターネットVPNは、一般のインターネット回線を暗号化して使う方式で、最も低コストですが、品質はインターネットの混雑に左右されます。近年は、これらをSD-WANでまとめて制御し、重要な通信はIP-VPN、一般の通信はインターネット回線、というように使い分ける構成も広がっています。

クラウドの普及は法人通信をどう変えているのか?

クラウドサービスの普及は、法人向け固定通信のあり方を大きく変えています。従来、企業のシステムは自社やデータセンターに置かれ、各拠点からそこへ通信する構成が一般的でした。すべての通信をいったん本社経由で行う作りも多く見られました。

クラウドが普及すると、システムはインターネットの先のクラウド上に置かれます。そのため、各拠点から本社を経由せず、クラウドへ直接つなぐ方が効率的な場面が増えました。この変化に対応するのがSD-WANで、通信の内容に応じて、クラウド向けはインターネット回線、拠点間はIP-VPN、というように回線を自動で使い分けます。

あわせて、データセンター接続やクラウド接続の需要が増え、企業の通信量と必要な帯域は拡大しています。法人向け固定通信は、回線を提供するだけでなく、クラウド時代の企業ネットワークをどう設計するかという役割を担うようになっています。

よくある質問

法人向けの固定通信にはどんなサービスがありますか?
企業の拠点間を閉域網で結ぶIP-VPN、2拠点を専用に結ぶ専用線、インターネット回線を暗号化して使うインターネットVPN、複数の回線をソフトウェアで制御するSD-WANなどがあります。データセンター接続やクラウド接続も含め、企業のネットワーク全体を支えるサービスです。
IP-VPNとは何ですか?
IP-VPNは、企業の拠点間を結ぶ法人向けの回線サービスです。通信事業者の閉域網(インターネットから隔離された、その事業者の網内だけで完結するネットワーク)を使うため、外部から隔離され、安全性と通信品質を確保しやすいのが特徴です。企業の拠点間接続で広く使われています。
専用線とIP-VPNはどう違いますか?
専用線は、2拠点の間を専用に結び回線の帯域を占有するため、最も高品質で安定しますが、コストは高くなります。IP-VPNは、通信事業者の閉域網で複数拠点を結ぶ方式で、専用線ほどのコストをかけずに安全性と品質を確保できます。高い信頼性が必要なら専用線、コストと品質のバランスならIP-VPNが選ばれます。
法人向け固定通信の主なプレイヤーはどこですか?
法人向けを主力とするIIJ、NTT持株の連結子会社であるNTTコミュニケーションズ、自前の光回線を活用するアルテリアネットワークス、KDDIの法人部門などが、企業ネットワークを支えています。IIJのネットワークサービス売上はFY2026で約1,787億円で、法人向けインターネット接続の契約総帯域は約16,532Gbpsにのぼります。
SD-WANとは何ですか?
SD-WANは、複数の回線(IP-VPNやインターネット回線など)をソフトウェアでまとめて制御し、通信の内容に応じて最適な回線を自動で選ぶ仕組みです。クラウドサービスの利用が増えるなか、クラウド向けはインターネット回線、拠点間はIP-VPN、というように回線を柔軟に使い分けられるため、需要が高まっています。

参考資料 / 一次ソース

  1. 1.
    IIJ(インターネットイニシアティブ)FY2026決算データブック
  2. 2.
    各社IR(NTTコミュニケーションズ・アルテリアネットワークス・KDDI法人)
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