固定通信業界の市場規模・主要企業・動向
固定通信は固定ブロードバンド5,352万契約の成熟市場です。NTT東西の光卸を起点に光コラボがISP競争を生み、固定電話ではIP化が進んでいます。
固定通信業界とは、光ファイバ(FTTH)・CATV・DSLなどの固定回線インターネットと、加入電話やIP電話などの固定電話を提供する産業領域です。固定ブロードバンドは2025年9月末で5,352万契約、うちFTTHが4,131.6万契約と中核を占めます。NTT東日本・西日本の光ファイバ卸(シェア57.8%)を起点に、光コラボレーション制度がドコモ光・ソフトバンク光・楽天ひかりなどのISPによる競争を生んでいます。固定電話では加入電話の減少と0AB-J IP電話への移行が同時に進んでいます。本ページでは、固定通信を、市場規模、業界構造、主要事業者、固定電話、法人通信の5軸で整理します。
業界サマリ
業界概要
固定通信業界とは、光ファイバ(FTTH)・CATV・DSLなどの固定回線インターネットと、加入電話やIP電話などの固定電話を提供する産業領域です。固定ブロードバンドは契約数が5,352万に達する成熟市場で、純増の鈍化と高速化、固定電話のIP化が同時に進んでいます。
- 固定ブロードバンドはFTTHが中核で、契約数の大半を光回線が占めています。CATVインターネットやDSL、無線を使うワイヤレス固定ブロードバンドも併存しますが、DSLは縮小しています。
- 回線設備ではNTT東日本・西日本の光ファイバ卸が中心的な役割を担い、その回線を多くの事業者が借りて提供します。光コラボレーション制度により、ドコモ光やソフトバンク光などのISPが利用者にサービスを届けています。
- 固定電話では加入電話の減少と0AB-J IP電話への移行が進んでいます。市場全体では契約数の純増が鈍化しており、10ギガの高速サービスへの移行が新たな動きとなっています。
市場動向
固定ブロードバンドは2025年9月末で5,352万契約、うちFTTHが4,131.6万契約と中核を占めます。市場は成熟し、2025年度上期のFTTH純増は26.8万契約で前年度同期から減少しました。高速化では10ギガのFTTHが拡大しています。
- 固定ブロードバンドは5,352万契約(2025年9月末)で、FTTHが4,131.6万契約、CATVインターネットが599万契約、DSLが6万契約と続きます。純増は鈍化し、3年間の年平均成長率は1.4%の見通しです。
- 10ギガのFTTHは111.7万契約(2025年3月末)へ拡大し、FTTH全体の2.7%を占めます。2028年3月末には400万契約を超える見通しで、無線を使うワイヤレス固定ブロードバンドも483万契約まで増えています。
- 固定電話は計約4,771万契約で、加入電話1,102万契約と0AB-J IP電話3,569万契約などで構成されます。加入電話は減少を続け、光回線を使うIP電話への移行が進んでいます。
競争環境
固定通信では、光ファイバ網などの設備を持つ事業者と、その回線を借りて利用者に提供する小売の事業者が役割を分けています。NTT東日本・西日本の光卸、光コラボのISP、自前で回線を敷く事業者、CATV、法人向け回線事業者などが活動し、近年は光コラボ経由の契約が伸びています。
- 設備面ではNTT東日本・西日本の光ファイバ卸が57.8%を占め、回線インフラの中心を担っています。自前で光回線を敷くKDDIのauひかりやソニーネットワークコミュニケーションズのNURO光、CATV回線のJCOMなども独自の設備を持っています。
- 小売では光コラボレーション制度により多数のISPが提供主体となり、NTTドコモが16.7%、ソフトバンクが15.9%で利用者を分け合っています。楽天ひかりやビッグローブなども光コラボでサービスを提供しています。
- 法人向けではIP-VPN・専用線・SD-WANを扱う事業者が活動し、IIJやアルテリアネットワークス、NTTコミュニケーションズなどが企業ネットワーク需要を支えています。データセンター接続や閉域網の需要が背景にあります。
市場規模推移
2022-2025 · FTTH契約数FTTH契約数の推移(2022-2025年、各3月末、万件)
| 年度 | 2022 | 2023 | 2024 | 2025 |
|---|---|---|---|---|
| FTTH契約数(万件) | 4,054 | 4,094 | 4,113 | 4,135 |
固定ブロードバンドは2025年9月末で5,352万契約で、うちFTTHが4,131.6万契約と大半を占めます。CATVインターネットが599万契約、DSLが6万契約、無線を使うワイヤレス固定ブロードバンドが483万契約で続きます。
市場は成熟し、純増は鈍化しています。2025年度上期のFTTH純増は26.8万契約で前年度同期から28.9%減り、2025年3月末から2028年3月末までの固定ブロードバンドの年平均成長率は1.4%の見通しです。
高速化では、10ギガのFTTHが2025年3月末に111.7万契約へ拡大し、初めて100万契約を超えました。FTTH全体の2.7%にあたり、2028年3月末には400万契約を超える見通しです。
固定回線を無線で代替するワイヤレス固定ブロードバンドも483万契約まで増え、3年間の年平均成長率は7.7%と固定ブロードバンド全体を上回ります。一方でDSLは6万契約まで縮小し、NTT西日本が2026年1月末にADSLの提供を終了する予定です。
固定電話では契約数の減少とIP化が同時に進んでいます。NTTの加入電話は2025年9月末に1,102万契約となり、2021年3月末の1,235万契約から減り続けています。
固定電話は計約4,771万契約で、このうち加入電話と同じ番号体系を使う0AB-J IP電話が3,569万契約と大半を占めます。メタル回線から光回線を使うIP電話への移行が、固定電話インフラの中心的な変化となっています。
主要トピック
業界構造
主要プレイヤー / サプライヤー / 流通 / 需要固定通信は、光ファイバ網などの設備を持つ事業者と、その回線を借りて利用者に提供する小売の事業者で成り立っています。固定ブロードバンドは2025年9月末で5,352万契約に達し、FTTH(光回線)が中核です。設備面ではNTT東日本・西日本の光ファイバ卸が57.8%を占め、KDDIのauひかりやソニーのNURO光、CATVのJCOMなどが自前の回線を持ちます。
小売では2015年に始まった光コラボレーション制度により、NTT東西の回線を借りたドコモ光・ソフトバンク光・楽天ひかりなどが提供されています。
設備を持つ事業者では、NTT東日本・西日本がFTTH卸の中心で、KDDI(auひかり)やソニーネットワークコミュニケーションズ(NURO光、FTTHシェア4.0%)、アルテリアネットワークス(同2.4%)が自設の光回線を展開します。CATVではKDDIと住友商事が出資するJCOMが加入世帯562万を持ちます。
小売のISPシェアはNTTドコモが16.7%、ソフトバンクが15.9%で、楽天ひかりやビッグローブが続きます。法人向けではIIJやNTTコミュニケーションズが企業ネットワークを担っており、光コラボ・自設FTTH・CATV・法人回線といった領域ごとに主要な事業者が分かれています。
固定通信では、回線設備を握るNTT東日本・西日本の卸料金やNTT法の在り方が政策上の論点です。光コラボ制度は小売の選択肢を広げましたが、設備の集中をどう扱うかが引き続き議論されています。
技術面では、10ギガのFTTHが111.7万契約まで拡大する一方、メタル回線のDSLは2026年1月末にNTT西日本が提供を終了し、固定電話もIP網への移行が進んでいます。
業界の3大論点
光コラボはNTT東西の卸の構造をどう変えているのか?
固定ブロードバンドの光ファイバ網は、NTT東日本・西日本が敷設した設備が中核で、FTTH契約の57.8%(2,389.8万契約)がこの卸を経由しています。2015年に始まった光コラボレーション制度は、この回線を他の事業者が借りて自社ブランドで提供できる仕組みで、ドコモ光・ソフトバンク光・楽天ひかりなどが生まれました。
光コラボ経由の契約(コラボ光)は1,771.1万契約まで増え、FTTH全体の42.9%、NTTの光回線の74.1%を占めるまでになりました。ISP別のシェアではNTTドコモが16.7%で首位、ソフトバンクが15.9%で続き、利用者から見た提供主体が多様化しています。設備はNTT東西が持ち、小売では複数の事業者が競う形が定着しました。
もっとも、回線設備そのものはNTT東西に集中しており、卸料金の水準やNTT法の在り方は引き続き政策上の論点です。光コラボは小売の選択肢を広げた一方、設備を握る事業者と回線を借りる事業者の関係をどう整えるかが、今後の競争環境を左右します。
10ギガと無線の固定ブロードバンドは競争をどう変えるのか?
固定ブロードバンドは契約数の純増が鈍化し、2025年度上期のFTTH純増は26.8万契約で前年度同期から28.9%減りました。市場が成熟するなかで、事業者の競争軸は契約数の獲得から、より高速・高単価のサービスへと移りつつあります。
その中心が10ギガのFTTHで、2025年3月末に111.7万契約へ拡大し、初めて100万契約を超えました。FTTH全体ではまだ2.7%ですが、2028年3月末には400万契約を超える見通しです。フレッツ光クロスやNURO光10Gなどの提供が広がり、高速サービスでの差別化が進んでいます。一方、固定回線を無線で代替するワイヤレス固定ブロードバンドも483万契約まで増え、3年間の年平均成長率は7.7%と全体を上回ります。
メタル回線のDSLは6万契約まで縮小し、NTT西日本が2026年1月末にADSLの提供を終了します。固定ブロードバンドは、光回線の高速化と無線による代替が同時に進む局面にあり、どの技術で利用者をつなぎとめるかが各社の課題となっています。
固定電話のIP化と加入電話の減少はどこへ向かうのか?
固定電話は契約数の減少が続いています。NTTの加入電話は2025年9月末に1,102万契約となり、2021年3月末の1,235万契約から減り続けています。携帯電話による代替と、固定回線自体の見直しが背景にあります。
同時に進んでいるのがIP化です。固定電話は計約4,771万契約で、加入電話と同じ番号体系を使い緊急通報も利用できる0AB-J IP電話が3,569万契約と大半を占めます。光回線を使うひかり電話などが広がり、メタル回線の電話網からIP網への移行が進んできました。発信用に使われる050IP電話も別に存在します。
NTTは固定電話網をIP網へ切り替える取り組みを進めており、メタル回線を前提とした旧来の電話サービスは段階的に縮小しています。固定電話インフラは、契約数を減らしながらIP網へ集約される方向にあり、緊急通報や災害時の通信をどう維持するかが社会的な論点として残ります。
よくある質問 (FAQ)
日本の固定通信市場の規模はどのくらいですか?
主要な固定通信事業者はどこですか?
FTTHと光コラボの違いは何ですか?
固定電話の契約数はなぜ減っているのですか?
10ギガのFTTHはどこまで普及していますか?
ADSLはいつ終わりますか?
J:COM(CATV)はどう位置づけられますか?
0AB-J IP電話とは何ですか?
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