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政府ITサービスと自治体システム標準化|ガバメントクラウド採択6社・対象34,592システム・2025年度移行目標【2026年版】

日本の政府ITサービスは、デジタル庁が主導するガバメントクラウドと自治体システム標準化が中核です。ガバメントクラウドは2022年度・2023年度・2026年度の3回採択を経て、AWS / Microsoft Azure / Google Cloud / Oracle Cloud Infrastructure / さくらインターネット / Nutanixの6社が採択されました。自治体システム標準化は対象20業務・全34,592システムを原則2025年度 (令和7年度)までに標準準拠システムへ移行する政策枠組みで、2025年12月末時点で8,956システム (25.9%)が特定移行支援システム該当見込み、1,788団体中935団体 (52.3%)が該当見込みです。移行完了後は運用経費を2018年度比で少なくとも30%削減する目標も設定されています。

標準化対象システム数
34,592システム
対象20業務、地方公共団体全体
出典: デジタル庁 自治体システム標準化ページ (2026-05-25確認)
特定移行支援システム該当見込み
8,956システム (25.9%)
2025年12月末時点、メインフレーム + 個別開発等の移行困難システム
出典: デジタル庁 同上
特定移行支援該当団体
935団体 (1,788中52.3%)
1つでも特定移行支援システムを有する団体、2025年12月末時点
出典: デジタル庁 同上
運用経費削減目標
30%以上 (2018年度比)
移行完了後の標準準拠システム運用経費、デジタル3原則BPRと併行
出典: デジタル庁 同上

ガバメントクラウド採択6社 (2022年度・2023年度・2026年度採択分の合算)

デジタル庁が3回の採択を経て選定、米外資4社 + 国内系2社の組み合わせ
AWS (Amazon Web Services)
採択回 + 国
2022年度採択・米国
クラウドサービス特徴 + SI業界での関与形態
インフラ規模で世界最大、主要SIerとの協業案件多数、自治体向け移行支援が中核
Microsoft Azure
採択回 + 国
2022年度採択・米国
クラウドサービス特徴 + SI業界での関与形態
Microsoft 365 / Copilot SaaS連携、Office連携が強み、SI業界からの導入支援が拡大
Google Cloud
採択回 + 国
2022年度採択・米国
クラウドサービス特徴 + SI業界での関与形態
BigQuery + AI/ML基盤が強み、データ基盤構築案件で関与拡大
Oracle Cloud Infrastructure
採択回 + 国
2022年度採択・米国
クラウドサービス特徴 + SI業界での関与形態
クラウドDB + ERP連携、エンタープライズ基幹システム向け移行案件で関与
さくらインターネット
採択回 + 国
2023年度追加採択・日本
クラウドサービス特徴 + SI業界での関与形態
国内系1社目、データセンター国内立地、政府IT国産基盤確保の文脈
Nutanix Japan
採択回 + 国
2026年度追加採択・日本
クラウドサービス特徴 + SI業界での関与形態
ハイパーコンバージドインフラ (HCI)、国内系2社目、オンプレ移行案件で関与
読み解き

ガバメントクラウド採択は2022・2023・2026年度の3回を経て6社体制に拡大しました。米外資4社 (AWS / Microsoft Azure / Google Cloud / Oracle Cloud Infrastructure)と国内系2社 (さくら / Nutanix Japan)の組み合わせで、外資依存と国内基盤確保のバランスが論点となります。SI業界からは主要採択CSPとの協業による自治体向け移行案件が、現在の主要需要源となっています。

各CSPの特徴と関与形態は事業構成が異なります。AWSはインフラ規模で世界最大、Microsoft AzureはOffice / Microsoft 365との連携が強み、Google CloudはBigQuery + AI/ML基盤、Oracle CloudはクラウドDB + ERP、さくらインターネットは国内立地のデータセンター、Nutanix Japanはハイパーコンバージドインフラ (HCI、サーバー + ストレージ + 仮想化を統合した基盤)が強みです。SI業界の各社は採択CSPごとに専門エンジニアを抱え、自治体側のニーズに応じた移行支援を行っています。

採択CSPの組み合わせは固定でなく、各自治体が個別に採択CSPから選定して移行先を決定します。外資依存の論点としては、データ主権 (sovereignty、データの国内保存と海外法執行の影響を分離する考え方)と長期的なベンダーロックインの議論が継続しますが、政府ITの規模拡大に対応する技術力としての米外資の存在は短中期では不可欠です。

自治体システム標準化の構造 — 対象範囲 / スケジュール / 特定移行支援 / 経費削減

対象20業務・全34,592システム・原則2025年度・特定移行支援8,956 (25.9%)は2030年度・運用経費2018年度比30%削減
区分名称時期ステージ定義
対象範囲標準化対象業務 + システム政策枠組み (継続)デジタル庁主導対象は地方公共団体の基幹業務20業務 (住民記録・税・福祉・国保・介護等)、対象システム全34,592システム。制度所管省庁が標準化対象20業務ごとの機能要件等を定めた標準仕様書を策定済。
移行スケジュール原則2025年度 (令和7年度)まで2025年度 (令和7年度)一次目標地方公共団体は、原則、2025年度 (令和7年度)までに標準準拠システムへの円滑かつ安全な移行を目指す。標準準拠システムは標準仕様書に基づいて開発されたシステムで、ガバメントクラウド上で稼働。
特定移行支援システム5年以内 (2030年度まで)2030年度 (5年以内)二次目標 (例外措置)メインフレームシステムや個別開発システムなど、原則期限内の標準準拠移行が困難なシステムが該当。2025年12月末時点で8,956システム (25.9%)が該当見込み。1つでも特定移行支援システムを有する団体は1,788団体中935団体 (52.3%)。
運用経費削減目標2018年度比 少なくとも30%削減移行完了後中長期目標情報システムの運用経費等について、標準準拠システムへの移行完了後に、2018年度比で少なくとも30%の削減を目指す。国はデジタル3原則 (デジタルファースト / ワンスオンリー / コネクテッド・ワンストップ)に基づくBPRを含めた業務全体の運用費用の適正化のための取組を行う。
読み解き

自治体システム標準化は対象範囲・移行スケジュール・特定移行支援・運用経費削減の4階層で構造化された政策枠組みです。対象は地方公共団体の基幹業務20業務、対象システム全34,592システムで、移行先は採択6社のガバメントクラウドです。標準準拠システムは標準仕様書に基づいて開発されたシステムで、各CSP上で稼働します。

特定移行支援システムの8,956 (25.9%)はメインフレーム・個別開発・複雑系統合などが原因で、原則期限内の標準準拠移行が困難なシステム群です。これらは5年以内 (2030年度 (5年以内))の追加移行を目指す枠組みで、SI業界からは銀行勘定系のレガシーモダナイゼーション案件と類似する性格の長期案件として関与します。

運用経費2018年度比30%削減目標は移行完了後の標準準拠システム稼働後に評価される中長期指標です。SI業界の自治体向け売上は短中期で集中需要、長期で経費削減目標稼働により減少局面に入る可能性があり、需要源としての政府ITは移行期集中・定常時縮小というサイクルが想定されます。

主要論点

ガバメントクラウド採択6社のうち米外資4社の比率は外資依存の論点となるのか?

ガバメントクラウド採択6社は米外資4社 (AWS / Microsoft Azure / Google Cloud / Oracle Cloud Infrastructure)と国内系2社 (さくらインターネット / Nutanix Japan)の組み合わせで、米外資の比率が論点となります。データ主権 (sovereignty、データの国内保存と海外法執行の影響を分離する考え方)と長期的なベンダーロックインの議論が継続しますが、政府ITの規模拡大に対応する技術力としての米外資の存在は短中期では不可欠です。

採択経緯としては、2022年度の1回目で米外資4社のみが採択され、2023年度の2回目でさくらインターネットが国内系として追加、2026年度の3回目でNutanix Japanが国内系2社目として追加されました。国内系比率は1回目0% → 2回目1/5 (20%) → 3回目2/6 (33%)と段階的に拡大しています。国内基盤確保の方向性は明確ですが、米外資の規模効率と技術蓄積に追いつくには中長期の継続投資が必要となります。

業界戦略への示唆: SI業界は採択6社それぞれと協業する体制を整える必要があります。AWS / Azure / GCP / OracleはSI業界からの導入支援が既に成熟、さくら / Nutanixは国内立地の優位性で自治体側のニーズ (データ主権 / 地理的近接性 / 障害時対応)に応える事業機会となります。各社が複数CSP対応の体制を持つことで、自治体側の選定柔軟性も確保できます。

運用経費2018年度比30%削減目標はSI業界の自治体向け売上にどう影響するのか?

運用経費2018年度比30%削減目標は中長期のSI業界自治体向け売上に対する構造的圧縮要因です。デジタル庁は標準準拠システムへの移行完了後の運用経費を2018年度比で少なくとも30%削減する目標を設定しており、移行完了 (2025-2030年度)後の運用経費は段階的に削減される計画です。

短期 (2025-2027年度)は、移行案件の集中需要がSI業界に大規模需要を生みます。主要SIerは採択CSPとの協業で自治体向け移行案件を獲得し、業界特化SIは個別業務領域の標準準拠システム実装で関与します。中期 (2028-2030年度)は、運用最適化案件と特定移行支援システム (8,956件)の5年以内移行案件が需要源となります。長期 (2030年度以降)は、経費削減目標稼働により自治体向け売上総額は中長期で減少局面に入る可能性があります。

業界戦略への示唆: SI業界は政府IT需要を短中期の集中需要として捕捉する一方、長期は民間DX (AI受託 + クラウド移行 + AIエージェント実装等)とコンサル進出にシフトする方向が現実的です。デジタル3原則 (デジタルファースト / ワンスオンリー / コネクテッド・ワンストップ)に基づくBPRも併行するため、運用経費削減はシステムの最適化に加えて業務プロセスの再設計を伴う実装案件としての継続性も担保されますが、量的規模では現状の自治体向け売上を維持する水準にはなりません。

中期見通し

近未来1-2年

2026-2027年は、自治体システム標準化の集中移行期で、SI業界の自治体向け売上が短期ピークを形成する局面です。原則2025年度 (令和7年度)を移行目標年度として、34,592システムのうち特定移行支援システムを除く約25,636システム (約74.1%)が標準準拠システムへの移行を進めます。ガバメントクラウド3回目採択 (2026年度)でNutanix Japanが追加され、採択6社体制 (米外資4 + 国内2)が確定しました。SI業界は採択CSPごとに専門エンジニアを配置し、移行案件を獲得しています。

中期3-5年

2028-2030年は、特定移行支援システムの追加移行が本格化、運用最適化案件が並走する局面です。特定移行支援システム8,956件 (25.9%)は5年以内 (2030年度 (5年以内))の追加移行を目指す枠組みで、メインフレーム・個別開発システム等のレガシーモダナイゼーション案件としてSI業界に長期需要を生みます。1,788団体中935団体 (52.3%)が特定移行支援システムを有する見込みで、団体規模により対応負担が異なる構造のため、業界特化SIや地域密着型SIに需要が分散します。移行完了済システムの運用保守も並行して稼働します。

長期5-10年

2030年代以降は、運用経費2018年度比30%削減目標が稼働、SI業界の自治体向け売上は構造的縮小局面に入ります。標準準拠システムへの移行完了後、デジタル3原則に基づくBPRと併行して運用経費の最適化が進みます。SI業界の自治体向け売上総額は移行期 (2025-2030年度)の集中需要から定常時の縮小傾向へ遷移する可能性があり、需要源としての政府ITは長期では民間DXほどの量的成長は期待できません。SI業界の戦略としては、政府IT短中期ピーク需要の捕捉と並行して、民間DX (AI受託 + クラウド移行)とコンサル進出への事業ポートフォリオシフトが現実的な対応となります。

よくある質問

自治体システム標準化とは何ですか?
自治体システム標準化は、地方公共団体の基幹業務20業務 (住民記録・税・福祉・国保・介護等)、全34,592システムを標準準拠システムへ移行する政策枠組みです。原則2025年度 (令和7年度)までに移行完了を目指し、移行先はガバメントクラウド (採択6社のクラウドサービス)です。標準仕様書に基づいて開発された標準準拠システムが各CSP上で稼働します。2025年12月末時点で8,956システム (25.9%)が特定移行支援システムに該当する見込みで、原則期限内の移行が困難なシステムは5年以内 (2030年度 (5年以内))の追加移行を目指します。
ガバメントクラウドに採択されている事業者は誰ですか?
2022年度・2023年度・2026年度の3回の採択を経て、AWS / Microsoft Azure / Google Cloud / Oracle Cloud Infrastructure / さくらインターネット / Nutanixの6社が採択されています。米外資4社 (AWS / Azure / GCP / Oracle)と国内系2社 (さくら / Nutanix Japan)の組み合わせで、データ主権 (sovereignty)と国内基盤確保のバランスが論点となります。各自治体が個別に採択CSPから選定して移行先を決定します。
特定移行支援システムとは何ですか?
特定移行支援システムは、メインフレームシステムや個別開発システムなど、原則2025年度 (令和7年度)までの標準準拠移行が困難なシステムを指します。これらは5年以内 (2030年度 (5年以内))の追加移行を目指す枠組みで、2025年12月末時点では8,956システム (25.9%)が該当見込みです。1つでも特定移行支援システムを有する団体は1,788団体中935団体 (52.3%)で、団体規模により対応負担が異なる構造です。SI業界からは銀行勘定系のレガシーモダナイゼーションと類似する性格の長期案件として関与します。
運用経費2018年度比30%削減目標はSI業界にどう影響しますか?
運用経費2018年度比30%削減目標は中長期のSI業界自治体向け売上に対する構造的圧縮要因です。標準準拠システムへの移行完了後、デジタル3原則 (デジタルファースト / ワンスオンリー / コネクテッド・ワンストップ)に基づくBPRと併行して運用経費の最適化が進みます。SI業界の自治体向け売上は短中期の集中需要から定常時の縮小傾向へ遷移する可能性があり、需要源としての政府ITは移行期集中・定常時縮小というサイクルが想定されます。
IPA DX推進指標は自治体システム標準化とどう関係しますか?
IPA DX推進指標は経営者と社内関係者がDX推進の現状や課題に対する認識を共有する自己診断フレームで、自治体システム標準化とは別の政策枠組みです。自治体システム標準化はデジタル庁主導の地方公共団体向けの構造的移行プロジェクト、IPA DX推進指標は民間企業向けの自己診断ツールという別の役割を担います。両者はSI業界の需要を異なる角度から形成し、IPA DX推進指標は民間企業のDX推進準備の段階でSI業界のコンサル + 実装案件の入口となり、自治体システム標準化は地方公共団体の集中移行案件として大規模需要を生みます。詳細はL2 DX投資と政策動向で個別整理します。

参考資料 / 一次ソース

  1. 1.
    採択6社 (AWS / Azure / GCP / Oracle Cloud / さくら / Nutanix)・2022年度・2023年度・2026年度採択分の合算
  2. 2.
    対象20業務・全34,592システム・2025年度 (令和7年度)移行目標・2025/12末時点で8,956 (25.9%)特定移行支援見込み・運用経費2018年度比30%削減目標
  3. 3.
    IPA DX推進指標・DX動向調査民間DXの進捗追跡、自治体システム標準化とは別政策枠組み (自治体側のDX推進指標自己診断は併行可能)
  4. 4.
    経済産業省DXレポート (関連政策)経産省DXレポート系列、DX推進と関連政策の枠組み
データ出典
デジタル庁 ガバメントクラウド・地方公共団体の基幹業務システム統一・標準化デジタル庁 自治体システム標準化IPA DX推進指標・DX動向調査経済産業省DXレポート (関連政策)
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