最終更新
STAT DETAIL · CONSTRUCTION

基地局施工・通信工事の動向|通信建設会社の事業構造【2026年版】

通信工事は、通信キャリアの設備投資を実際の基地局や通信網に変える下流の工程です。国内ではコムシスHD・EXEO・ミライト・ワンなどの通信建設会社が担い、NTTグループ向けの設備工事が大きな比重を占めます。コムシスHDの連結売上は6,307億円(FY2025)で、近年はデータセンターの構築や5Gの基地局整備、再生可能エネルギー関連の工事が新たな需要となっています。

通信建設会社の比較 — コムシスHDとEXEO

通信工事2強の連結売上・営業利益と事業構成

通信工事の国内2強が、コムシスHDとEXEOです。連結売上はEXEOが7,877億円、コムシスHDが6,307億円(いずれもFY2025)で、ともに数千億円規模、営業利益も約509億〜520億円と近い水準です。両社とも通信キャリア向け工事に加えて、ITや都市インフラ、社会システムといった3事業を持つ点も共通します。ただし、コムシスHDは事業別の売上を非開示としているため、3事業の内訳は分かりません。EXEOは3事業それぞれを開示しており、通信キャリア事業は売上2,557億円です。両社の受注は発注主体が異なるため、合算はしません。

コムシスHD
連結売上(FY2025)
6,307億円(FY2025)
連結営業利益
509億円
主な事業構成
通信キャリア・ITソリューション・社会システムの3事業(事業別売上は非開示)。NTTグループ向け設備工事が主軸
EXEO
連結売上(FY2025)
7,877億円(FY2025)
連結営業利益
520億円
主な事業構成
通信キャリア2,557億円・都市インフラ2,485億円・システムソリューション2,836億円の3事業

コムシスHD — NTTグループ向け設備工事の最大手級

コムシスHD(コムシスホールディングス)は、通信建設で国内最大手級の企業です。連結売上は6,307億円、受注高は6,856億円、営業利益は509億円(いずれもFY2025)です。九州地盤の通信工事会社SYSKENを子会社に持つなど、グループで全国をカバーしています。

事業は通信キャリア・ITソリューション・社会システムの3つで構成されますが、セグメント別の売上は開示していません。中心はNTTの設備事業で、モバイル通信の品質改善工事や、家庭向けの10ギガビット級の光回線の開通工事などを担っています。NTT以外の競争事業者向けの設備工事も手がけますが、こちらは設備投資の減少の影響を受けやすい面があります。

近年は、通信工事以外の領域も伸ばしています。社会システムの事業では、データセンター案件や再生可能エネルギー案件、空港関連、高速道路のローカル5G通信の整備などを手がけ、ITソリューションでは情報端末の調達・保守や生成AI関連の投資を取り込んでいます。NTT向け工事への依存を保ちつつ、新しい需要へ事業を広げる構図です。

EXEO — 通信キャリアと都市インフラの3事業

EXEO Group(旧・協和エクシオ)は、コムシスHDと並ぶ通信建設大手です。連結売上は7,877億円、営業利益は520億円(いずれもFY2025)です。事業は通信キャリア・都市インフラ・システムソリューションの3つで、それぞれの売上を開示しています。通信キャリア事業はFY2025に売上2,557億円・受注2,697億円で、NTTやそのほかのキャリア向けの設備施工を担っています。

都市インフラ事業は売上2,485億円で、大規模なデータセンターの構築や、新築のビル・工場などの電気工事が好調です。システムソリューション事業は売上2,836億円で、DX支援や生成AI関連のデータセンター設置などを手がけています。通信キャリア事業とほぼ同じ規模の事業を、都市インフラとシステムソリューションでも持っている点が特徴です。

EXEOは、通信キャリア向け工事を軸としつつ、データセンター構築や電気工事、DX支援といった通信以外の領域へ事業を広げているプレイヤーです。キャリアの設備投資の波に左右されにくい事業構成を目指す動きといえます。このほか、ミライト・ワンも通信建設大手として、基地局や光ファイバー網の施工を担っています。

業界の3大論点

NTTグループ向け工事への依存は、通信建設会社にとって強みか弱みか?

コムシスHDもEXEOも、NTTグループ向けの設備工事が事業の大きな比重を占めています。NTTは国内最大の設備投資主体で、その安定した発注は、通信建設会社にとって安定した受注基盤となります。技術や現場体制の蓄積も、長年のNTTとの関係の中で築かれてきました。

一方で、特定の発注主体への依存は、その投資動向に業績が左右されるという弱みでもあります。5Gの基地局整備が一巡に向かい、NTTの通信設備投資のペースが変われば、通信キャリア向け工事の受注にも影響します。NTT以外の競争事業者向けの工事は、設備投資の減少の影響を受けやすい面もあります。

各社は、安定したNTT向け工事を基盤としつつ、データセンターや再生可能エネルギー、DX関連へと事業を広げることで、特定の発注主体への依存を和らげようとしています。

データセンター・再エネ需要で、通信工事の事業はどこまで多様化するか?

通信建設会社の事業は、従来の通信キャリア向け工事から、データセンターや再生可能エネルギー、DX関連へと広がっています。コムシスHDは社会システムの事業でデータセンター案件や再エネ案件、空港・高速道路のローカル5G整備を手がけ、EXEOは都市インフラ事業で大規模なデータセンターの構築や電気工事を伸ばしています。

背景には、生成AIを背景としたデータセンター建設の加速と、再生可能エネルギーの普及があります。通信工事で培った現場の施工能力は、データセンターの電源・空調・通信設備の構築や、再エネ設備の工事にも活かせます。5Gの基地局整備が一巡に向かうなかで、これらは新たな成長の柱になりえます。

ただし、データセンターや電気工事の領域では、ゼネコンや電気工事専業の企業との競争もあります。通信工事の強みをどこまで隣接領域に広げられるか、専業他社とどう差別化するかが、事業多様化の論点です。

コムシスHDとEXEOの2強は、どこで競争しているのか?

通信工事の国内2強であるコムシスHDとEXEOは、いずれもNTTグループ向けの設備工事を主軸とし、事業構成にも共通点が多くあります。両社とも、通信キャリア向け工事に加えて、データセンターやDX、社会インフラといった隣接領域へ事業を広げています。

両社の連結売上は、FY2025にEXEOが7,877億円、コムシスHDが6,307億円で近い規模、営業利益もともに約509億〜520億円です。ただし、コムシスHDは事業別の売上を非開示としているため、3事業の内訳までを比較することはできません。いずれも数千億円規模の大手で、NTTをはじめとするキャリアの発注をめぐって競合しています。

競争の焦点は、安定したキャリア向け工事の受注の確保と、データセンターや再エネといった新領域での事業の伸ばし方にあります。施工能力と現場体制をどの領域に振り向けるかという経営判断が、2強の業績の違いにつながっていきます。

中期見通し

近未来1-2年

NTTグループの設備投資を基盤に、通信キャリア向け工事の受注が続きます。同時に、データセンターの構築や再生可能エネルギー関連の工事が、各社の新たな需要として伸びる局面です。5Gの基地局整備のペースと、データセンター需要の強さが、受注環境を左右します。

中期3-5年

5Gの基地局整備が一巡に向かうなかで、通信工事への依存をどう変えるかが論点になります。コムシスHD・EXEOともに、データセンター・DX・社会インフラといった隣接領域への事業の広がりを進めており、キャリアの設備投資の波に左右されにくい事業構成を目指す動きが続きます。

長期5-10年

6Gの実用化に向けた次世代の基地局整備が、長期の通信工事需要を生む可能性があります。一方で、データセンターや再エネといった非通信の領域が事業に占める比重も高まる見通しで、通信建設会社が「通信工事の会社」から「社会インフラの施工を担う会社」へと位置づけを広げられるかが、長期の競争力を決めていきます。

よくある質問

通信工事はどの会社が担っているのですか?
国内の通信工事は、コムシスHD・EXEO・ミライト・ワンなどの通信建設会社が担っています。コムシスHDの連結売上は6,307億円(FY2025)で、NTTグループ向けの設備工事が主軸です。基地局の建設や光ファイバー網の敷設など、通信キャリアの設備投資を現場で実際の設備に変える役割を持っています。
コムシスHDとEXEOはどちらが大きいですか?
連結売上で見ると、FY2025はEXEOが7,877億円、コムシスHDが6,307億円で、EXEOがやや上回ります。営業利益は両社とも約509億〜520億円と近い水準です。ともに数千億円規模の通信建設大手で、通信キャリア向け工事に加えて3つの事業を持っています。ただし、コムシスHDは事業別の売上を非開示としているため、3事業の内訳までは比較できません。
通信工事会社はNTTにどれくらい依存していますか?
コムシスHD・EXEOともに、NTTグループ向けの設備工事が事業の大きな比重を占めています。NTTは国内最大の設備投資主体で、その発注は通信建設会社の安定した受注基盤です。一方で、特定の発注主体への依存は投資動向に業績が左右される面もあり、各社はデータセンターや再生可能エネルギー、DX関連へ事業を広げて依存を和らげようとしています。
なぜ通信工事会社がデータセンターを手がけるのですか?
通信工事で培った現場の施工能力が、データセンターの電源・空調・通信設備の構築にも活かせるためです。生成AIを背景としたデータセンター建設の加速で需要が伸びており、コムシスHDは社会システムの事業で、EXEOは都市インフラ事業で、データセンターの構築を成長領域に位置づけています。5Gの基地局整備が一巡に向かうなかで、新たな成長の柱となっています。
ミライト・ワンはどんな会社ですか?
ミライト・ワンは、コムシスHD・EXEOと並ぶ通信建設大手です。基地局や光ファイバー網の施工など、通信キャリアの設備工事を担っています。通信工事の業界は、これら大手を中心に、全国の通信網の整備を支える構造になっています。

参考資料 / 一次ソース

  1. 1.
    コムシスホールディングス (1721) FY2025決算短信
  2. 2.
    EXEO Group (1951) FY2025決算短信
📄 資料DL💬 無料相談