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国内通信機器ベンダーの比較|各社の事業構造とOpen RAN戦略【2026年版】

国内で通信機器を手がけるNEC・富士通・日立・沖電気は、いずれも通信機器を多角化した事業の一部として持っています。NECは防衛なども含む社会インフラ事業の中に、富士通はネットワークプロダクトとして基地局や光通信機器を抱え、事業の切り出し方が異なります。共通する成長軸が、基地局の機器を複数のメーカーで組み合わせられるようにするOpen RANで、各社の海外への賭け方の違いが競争の焦点になっています。

国内通信機器ベンダーの比較 — 事業区分とOpen RAN戦略

各社が通信機器をどの事業区分に置き、Open RANにどう取り組むか

国内ベンダーは、通信機器を多角化した事業の一部として手がけています。下の表のとおり、各社が通信事業をどの区分に置いているかは異なり、NECは防衛などを含む社会インフラ、富士通は基地局・光通信機器のネットワークプロダクトと、切り出し方が違います。集計の範囲が異なるため、セグメント売上を単純に大小で比較することはできません。たとえばNECの9,353億円は防衛なども含む広い区分の数字で、富士通の1,936億円(通信機器に近い区分)と並べて「NECの方が大きい」と読むのは誤りです。日立と沖電気は通信単独の売上を開示しておらず、表ではどの区分に通信を持つかを示すにとどめています。

NEC
通信関連の事業区分
社会インフラ(防衛・海洋なども含む)
直近のセグメント売上
9,353億円(FY2025)
通信事業の位置づけ・Open RAN戦略
ネットワークインフラがOpen RANの海外契約を主導
富士通
通信関連の事業区分
ネットワークプロダクト(基地局・光通信機器)
直近のセグメント売上
1,936億円(FY2025)
通信事業の位置づけ・Open RAN戦略
1FINITY・富士通SymphonyでOpen RANを推進
日立
通信関連の事業区分
デジタルシステム&サービス内
直近のセグメント売上
単独開示なし
通信事業の位置づけ・Open RAN戦略
通信ネットワーク関連を内包、通信は事業の一部
沖電気(OKI)
通信関連の事業区分
情報通信
直近のセグメント売上
単独開示なし
通信事業の位置づけ・Open RAN戦略
通信機器の一部を手がける

NEC — 社会インフラの中の通信、Open RAN海外契約を主導

NECは、ITサービスと社会インフラの2つを軸とする総合電機メーカーです。通信機器は社会インフラ事業に含まれ、この事業はFY2025に9,353億円でした。ただし社会インフラは航空宇宙・防衛や海洋システムなども含む広い区分で、通信(ネットワークインフラ)はその内数にあたります。連結売上は35,827億円(FY2025)です。

NECの強みは、Open RANの海外展開で先行していることです。基地局の機能を分離するOpen RANで、Vodafone(英)やBT(英)、Deutsche Telekom(独)といった海外の大手キャリアとの契約を主導し、海外大手が独占してきた基地局市場への参入を進めています。日本のベンダーとしては、海外キャリアとの実績で存在感を持つ位置にあります。

なお、NECはFY2026から事業区分を見直し、通信に関わるテレコムサービス領域をITサービスへ移し、社会インフラは航空宇宙・防衛・海洋・ネットワークインフラの構成に整理しています。通信機器を社会インフラの中でどう位置づけ、Open RANの海外実績を収益にどうつなげるかが、今後の論点です。

富士通 — ネットワークプロダクトとして通信機器を切り出し

富士通は、ITサービスを主軸としつつ、基地局や光通信機器をネットワークプロダクトとして手がけています。このセグメントはFY2025に1,936億円で、FY2026には2,100億円へ伸ばす計画です。NECの社会インフラと違い、通信機器に近い区分として切り出されている点が特徴です。連結売上は35,029億円(FY2025)です。

富士通は、光通信向けの製品ブランド1FINITYや、Open RANを担う富士通Symphonyを通じて、基地局・伝送の機器を展開しています。NECと同様にOpen RANを成長の軸に据え、海外キャリアやネットワーク事業者への供給を進めています。光通信の伝送装置に強みを持つ点が、基地局中心のNECとはやや異なる色合いです。

富士通にとっても、通信機器は連結全体の一部です。ITサービスを収益の柱としつつ、ネットワークプロダクトをOpen RANや5G・光通信の需要に合わせてどう伸ばすかが、通信事業の論点となります。

日立・沖電気 — 通信を事業の一部として持つプレイヤー

日立は、デジタルシステム&サービスなどを軸とする総合電機・社会インフラ企業で、通信ネットワーク関連を事業の中に内包しています。ただし通信単独のセグメント売上は開示しておらず、通信は幅広い事業ポートフォリオの一部にあたります。鉄道や電力などの社会インフラと組み合わせたシステムの中で、通信ネットワークを担う位置づけです。

沖電気(OKI)は、情報通信とメカトロニクスを軸とする企業で、通信機器の一部を手がけています。こちらも通信単独の規模は限定的で、ATMや現場機器などのメカトロニクスと並ぶ事業の一つです。日立・沖電気はいずれも、通信機器を主軸とするよりは、社会インフラや情報機器の中の一要素として持っているプレイヤーといえます。

業界の3大論点

NECと富士通で、通信機器事業の位置づけはどう違うか?

NECと富士通は、いずれも通信機器を多角化した事業の一部として手がけていますが、その切り出し方が異なります。NECは航空宇宙・防衛や海洋システムなどを含む社会インフラ(FY2025 9,353億円)の中に通信を位置づけ、通信単独の規模は外からは見えにくくなっています。富士通は基地局・光通信機器をネットワークプロダクト(FY2025 1,936億円)として切り出しており、通信機器の規模が比較的わかりやすい構造です。

この違いは、両社の戦略の重心の違いを映しています。NECは防衛やネットワークインフラといった社会基盤の中で通信を捉え、富士通は光通信の伝送装置など通信機器そのものを一つの事業として育てています。集計の範囲が異なるため、セグメント売上を並べて大小を比べることには意味がありません。

投資家や就活生がこの2社を見るうえで大切なのは、数字の大小ではなく、各社が通信機器をどの事業の中でどう育てようとしているかという戦略の違いを読むことです。

国内ベンダーにとってOpen RANは本当に機会になるか?

Open RANは、基地局の機能を分離し、複数のメーカーの機器を組み合わせられるようにする方式です。海外大手が統合型の機器で独占してきた基地局市場に、特定メーカーに依存せず参入できる入口として、国内ベンダーの機会と位置づけられています。

NECはVodafoneやBT、Deutsche Telekomなど海外の大手キャリアとの契約を主導し、富士通も富士通SymphonyでOpen RANに取り組んでいます。経済安全保障の観点から供給網の多様化が求められる流れも、特定の海外大手への依存を避けたいキャリアにとって、国内ベンダーの追い風になっています。

ただし、Open RANはまだ採用が広がる途上で、性能や運用の面で統合型の機器と競う必要があります。海外での契約が実際の収益にどれだけつながるか、採用がどこまで広がるかは未知数です。機会であることは確かですが、それを収益に変えられるかが各社に問われています。

通信が多角化の一部である国内勢は、専業に近い海外大手とどう戦うか?

国内のNEC・富士通・日立・沖電気は、いずれも通信機器を多角化した事業の一部として持っています。一方、世界の基地局市場を握るEricsson・Nokiaなどの海外大手は、通信機器(ネットワーク)を主軸に据えた専業に近い体制です。経営資源の集中度で、国内勢は不利な面があります。

この構造の中で、国内勢の現実的な戦略は、全方位で海外大手と競うのではなく、Open RANや光通信といった特定の領域に強みを絞ることです。NECはOpen RANの海外契約、富士通は光通信の伝送装置と、それぞれ得意な領域で存在感を出そうとしています。

通信が多角化の一部であることは、需要の波に対して経営の安定をもたらす一方、専業の海外大手ほど通信機器に経営資源を集中しにくいという側面もあります。どの領域に集中し、ITサービスや社会インフラといった他事業とどう組み合わせるかが、国内勢の競争戦略の鍵になります。

中期見通し

近未来1-2年

NEC・富士通のOpen RAN海外契約の進展が、国内ベンダーの通信機器事業の注目点です。NECはFY2026の事業区分見直しで通信の位置づけが変わり、富士通はネットワークプロダクトを2,100億円へ伸ばす計画です。海外での実績を収益にどうつなげるかが問われます。

中期3-5年

5Gの高度化やOpen RANの採用が広がるなかで、国内ベンダーが得意領域でどれだけ存在感を高められるかが論点です。経済安全保障による供給網の多様化が追い風となり、特定の海外大手への依存を避けたいキャリアの需要を取り込めるかが、各社の通信機器事業の成長を左右します。

長期5-10年

6Gの実用化が想定される2030年ごろに向けて、次世代の通信機器への研究開発投資が各社に求められます。通信が多角化の一部である国内勢が、ITサービスや社会インフラといった他事業との組み合わせで、専業の海外大手とは異なる価値をどう打ち出せるかが、長期の競争力を決めていきます。

よくある質問

国内の通信機器メーカーはどこですか?
国内で通信機器を手がける主なベンダーはNECと富士通で、日立や沖電気も関連する事業を持っています。いずれも通信機器は多角化した事業の一部です。NECは社会インフラ事業の中に、富士通はネットワークプロダクトとして基地局や光通信機器を抱えています。
NECと富士通の通信機器事業はどちらが大きいですか?
単純な大小の比較はできません。集計の範囲が異なるためです。NECの社会インフラはFY2025に9,353億円ですが、防衛や海洋システムなども含む広い区分で、通信はその内数です。富士通のネットワークプロダクトはFY2025に1,936億円で、基地局・光通信機器に近い区分です。数字の大小ではなく、各社が通信をどう位置づけているかで見る必要があります。
Open RANとは何ですか?日本勢は取り組んでいますか?
Open RANは、基地局の機能を分離して、複数のメーカーの機器を組み合わせられるようにする方式です。海外大手が独占してきた基地局市場への参入の入口とされています。NECはVodafoneやBTなど海外キャリアとの契約を主導し、富士通も1FINITYや富士通Symphonyで取り組んでいます。日本勢にとって重要な成長の軸です。
日立や沖電気も通信機器を作っていますか?
日立はデジタルシステム&サービスなどの中に通信ネットワーク関連を内包し、沖電気は情報通信事業で通信機器の一部を手がけています。ただし両社とも通信単独のセグメント売上は開示しておらず、通信は社会インフラや情報機器の中の一要素にとどまります。通信機器を主軸とするのはNEC・富士通です。
国内ベンダーは海外大手とどう競争していますか?
世界の基地局市場はEricsson・Nokia・Huawei・Samsungなどの海外大手が握っており、国内勢の世界シェアは限られています。国内ベンダーは全方位で競うのではなく、NECはOpen RANの海外契約、富士通は光通信の伝送装置など、特定の領域に強みを絞って存在感を出そうとしています。海外大手との競争位置は、海外vs国内ベンダーのページで詳しく扱います。

参考資料 / 一次ソース

  1. 1.
    NEC (6701) FY2025決算概要 / 決算短信 (IFRS連結)
  2. 2.
    富士通 (6702) FY2025決算プレゼンテーション
  3. 3.
    日立製作所 (6501) / 沖電気工業 (6703) IR
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