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分譲マンションの大規模修繕と修繕積立金|修繕費の推移と積立不足リスク【2025年版】

分譲マンションの月額維持費(修繕積立金+管理費)は、全体平均で26,432円/月/戸(修繕積立金13,054円、管理費13,378円)です(国土交通省 マンション総合調査 令和5年度)。大規模修繕工事の実施率は78.4%と前回調査(72.5%)から上昇しており、取り組みは着実に広がっています。 一方、修繕積立金が長期修繕計画の積立額を下回るマンションの割合は36.6%に達しており、うち20%以上不足しているケースも11.7%あります。また、長期修繕計画(30年以上)を策定しているマンションは全体の72.7%にとどまり、計画なしでの修繕対応が続くケースも少なくありません。 本ページでは、マンションの種類(単棟型・団地型)別の修繕費・管理費の比較と、平成10年からの推移、積立不足の構造的背景を整理します。

修繕積立金月額(全体)
13,054円/月/戸
単棟型13,041円、団地型12,923円
出典: 国土交通省 マンション総合調査 令和5年度
管理費月額(全体)
13,378円/月/戸
単棟型13,300円、団地型13,535円
出典: 国土交通省 マンション総合調査 令和5年度
大規模修繕工事実施率
78.4%
前回調査(平成30年度)は72.5%
出典: 国土交通省 マンション総合調査 令和5年度
修繕積立金が計画値未満
36.6%
うち20%以上の不足は11.7%
出典: 国土交通省 マンション総合調査 令和5年度

単棟型・団地型の月額費用比較(令和5年度、マンション総合調査)

修繕積立金は単棟型がやや高く、管理費は団地型がやや高い。長期修繕計画策定率は単棟型が上回る
単棟型マンション
修繕積立金
13,041円
管理費
13,300円
月額費用合計
26,341円
長期修繕計画(30年以上)
75.9%
団地型マンション
修繕積立金
12,923円
管理費
13,535円
月額費用合計
26,458円
長期修繕計画(30年以上)
64.9%
読み解き

単棟型マンション(1棟完結型)の修繕積立金は月額13,041円/戸、管理費は13,300円/戸で、合計26,341円となります。長期修繕計画(30年以上)を策定しているマンションは75.9%と、団地型を上回っています。

団地型マンション(複数棟・敷地共有型)は修繕積立金12,923円と単棟型より低い一方、管理費は13,535円と単棟型を上回ります。これは共有敷地・棟間設備の管理コストが管理費に反映されるためです。長期修繕計画(30年以上)の策定率は64.9%と単棟型に比べて低く、計画的な積立に課題が残ります。全体平均では修繕積立金13,054円・管理費13,378円・合計26,432円です。

修繕積立金の推移(1998〜2023年、円/月/戸)

1998年の7,378円から2023年の13,054円へ、約25年で1.77倍に上昇
単位:
03,7507,50011,25015,0007,378989,0660310,8980810,7831311,2431813,05423
出典: 国土交通省 マンション総合調査(H10・H15・H20・H25・H30・R5)
年度199820032008201320182023
修繕積立金7,3789,06610,89810,78311,24313,054
読み解き

修繕積立金の月額平均は、1998年の7,378円から2023年の13,054円へと、約25年で1.77倍に増加しています。平成20年(2008年)から平成25年(2013年)にかけていったん横ばい(10,898円から10,783円)になりましたが、その後は上昇傾向が続き、令和5年(2023年)に大きく増加しました。管理費も同期間で9,184円から13,378円へと上昇しており、マンションの維持費全体が長期的に増加する構造となっています。

大規模修繕の実施状況と長期修繕計画の課題

大規模修繕工事の実施率と内容

令和5年度調査では、大規模修繕工事を実施したことがあると回答したマンションは78.4%(前回平成30年度は72.5%)でした。一般的に、大規模修繕は12〜15年周期で実施されます。工事内容は外壁の補修・塗装、屋上・バルコニーの防水工事、給排水管の更新、エレベーターの改修などが中心です。これらの工事は1回あたり1棟数千万〜数億円規模になることも多く、計画的な積立がなければ修繕時に追加負担が発生します。

長期修繕計画の策定状況

長期修繕計画の策定率は88.4%(前回90.9%)ですが、計画期間の長さには大きな差があります。30年以上の長期計画を持つマンションは全体の72.7%で、単棟型(75.9%)と団地型(64.9%)で差があります。団地型では敷地・設備の共有部分が多く、将来のコストを長期計画に組み込む難易度が高い面があります。計画期間が短いマンションでは、将来の修繕費用の見通しが甘くなりがちで、積立不足の一因となります。

修繕積立金不足の構造的背景

修繕積立金が長期修繕計画の必要額を下回るマンションは36.6%、うち20%以上の不足は11.7%です。積立不足が生じる主な背景は3点あります。第一に、新築時の修繕積立金が販売上の都合から低額に設定されるケースです。第二に、価格改定(値上げ)について管理組合が合意形成に時間を要すること。第三に、修繕積立金の不足認識を管理組合が持たず、計画の更新が滞っているケースです。適切な積立と計画更新のためには、管理組合の運営力と専門知識が求められます。

主要論点

修繕積立金の不足はなぜ広がっているのか?

修繕積立金不足が約3割のマンションで発生している背景には、新築時の価格設定の構造的な問題があります。新築分譲マンションでは、月々の支払い負担を抑えてみせるため、当初の修繕積立金が低く設定されるケースがあります。本来、長期修繕計画に基づいて必要額を積み立てるべきですが、将来の値上げを前提とした「段階増額方式」の設定が多く、その後の値上げ合意が取れないまま積立不足が積み重なるパターンが見られます。

管理組合の運営力も大きな要素です。積立金の改定には総会での合意形成が必要ですが、区分所有者の無関心や値上げへの抵抗感から、必要な改定が先送りされる事例があります。令和5年改正の管理適正化法では、管理計画認定制度が設けられ、適切な修繕積立金の確保が認定要件の一つとなっています。

大規模修繕の費用はどのように決まるのか?

大規模修繕の費用は、建物の規模・築年数・劣化の程度・工事内容によって大きく変わります。国土交通省のガイドラインでは、工事周期(12〜15年ごと)と修繕費の単価を参考に、長期修繕計画を作成することが推奨されています。一般的な目安として、戸数あたり月額で安定的に積み立てるためには、修繕積立金を段階的に引き上げるか、均等積立方式を選ぶかの判断が求められます。

近年は資材価格・人件費の上昇により、修繕工事の費用が増加傾向にあります。令和3〜5年にかけて資材コストが大幅に上昇し、修繕工事の見積価格が引き上げられるマンションが増えています。既存の積立金計画では不足するケースも出ており、計画の定期的な見直しと積立額の調整が一層重要になっています。

団地型マンションで長期計画策定率が低いのはなぜか?

団地型マンションは複数棟が同一敷地内に立地し、棟ごとの専用部分と、敷地や共有施設(駐車場・集会所・外構設備など)の共用部分が混在します。このため、単棟型に比べて修繕の対象範囲が広く、将来の費用見積もりが複雑になります。各棟の管理組合と団地全体の管理組合が別々に存在するケースもあり、意思決定の主体が重層化することで計画策定の合意形成が難しくなります。

令和5年度調査では、団地型の長期修繕計画(30年以上)策定率は64.9%で、単棟型(75.9%)を約11ポイント下回ります。築年数が経過した団地型マンションでは、建替えか修繕継続かの判断も求められるようになり、長期計画の策定がより一層必要とされています。

中期見通し

近未来1-2年

資材費・人件費の上昇により大規模修繕の見積価格が高止まりしており、既存の修繕積立金の計画額と実工事費のギャップが拡大するマンションが増える見通しです。管理組合が積立金の引き上げを検討・実施するケースが増え、居住者への周知・合意形成が管理業務の主要課題となります。また、管理計画認定制度の活用が広がり、認定を受けるための修繕積立金基準の充足が求められる場面が増えます。

中期3-5年

築40年を超えるマンションストックは2040年代にかけて急増する見通しで、大規模修繕だけでなく建替えや解体の判断を迫られるマンションが増加します。区分所有法の改正(議決要件の緩和)とともに、長期的には建替え・除却の円滑化が進む方向にありますが、それまでの間は修繕継続のコストが上昇し続ける見込みです。修繕積立金の不足問題は今後の中古マンション市場の評価にも影響を与え、適切な修繕計画を持つ物件とそうでない物件の資産価値の差が広がる可能性があります。

よくある質問

マンションの修繕積立金の平均はどのくらいですか?
令和5年度マンション総合調査では、修繕積立金の月額平均は全体で13,054円/月/戸です。建物の種類別では単棟型が13,041円、団地型が12,923円となっています。この水準は平成10年(1998年)の7,378円から約25年で1.77倍に増加しており、長期的な上昇傾向にあります。
マンションの管理費の平均はどのくらいですか?
令和5年度調査では、管理費の月額平均は全体で13,378円/月/戸です。単棟型は13,300円、団地型は13,535円で、団地型がやや高くなっています。修繕積立金と管理費の合計は全体平均で月26,432円程度の維持費となります。
マンションの大規模修繕はどのくらいの頻度で行われますか?
一般的に12〜15年を目安として大規模修繕工事が実施されます。令和5年度調査では、大規模修繕工事の実施率は78.4%と前回(72.5%)から上昇しており、多くのマンションが計画的に修繕に取り組んでいます。工事内容は外壁補修・屋上防水・給排水管更新などが中心です。
マンションの修繕積立金が不足しているとはどういうことですか?
修繕積立金の「不足」とは、長期修繕計画で必要とされる積立額に対して実際の積立残高が不足している状態を指します。令和5年度調査では、36.6%のマンションでこの状態にあり、うち11.7%は計画額の20%以上が不足しています。不足が深刻な場合、大規模修繕の際に区分所有者が一時金を徴収されるリスクがあります。
マンション購入時に修繕積立金について確認すべきことは何ですか?
中古マンションを購入する際は、管理組合の修繕積立金残高・月額積立額・長期修繕計画の有無と計画期間を確認することが重要です。積立金が極端に少ない物件では、将来の大規模修繕時に追加の一時金負担が発生する可能性があります。また、長期修繕計画(30年以上)を策定しているマンションは全体の72.7%にとどまるため、計画書の有無自体が管理水準の目安の一つになります。

参考資料 / 一次ソース

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