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マンションの大規模修繕|修繕積立金と長期修繕計画の実態【2026年版】

分譲マンションは、外壁や防水などを計画的に修繕する大規模修繕を、おおむね12〜15年の周期で行います。その費用の原資となるのが修繕積立金で、国土交通省の調査では月1戸あたりの平均は13,378円です。修繕積立金を当初から定額で集める方式と、段階的に引き上げる方式があり、長期修繕計画に沿って修繕が進められます。一方で、修繕積立金の滞納や高経年マンションの増加といった課題もあります。本ページでは、修繕積立金の水準・積立方式・長期修繕計画・滞納の実態を整理します。

修繕積立金(月/戸、令和5年度)
13,378
駐車場使用料等の充当を含む平均。除く場合は13,054円
出典: 国土交通省「マンション総合調査」令和5年度
管理費(月/戸、令和5年度)
17,103
駐車場使用料等の充当を含む平均。修繕積立金とは別
出典: 国土交通省「マンション総合調査」令和5年度
段階増額積立方式の採用
47.1%
当初は負担が軽いが将来引き上げる方式。均等積立方式は40.5%
出典: 国土交通省「マンション総合調査」令和5年度
修繕積立金等の滞納あり
30.1%
3か月以上滞納している住戸があるマンションの割合
出典: 国土交通省「マンション総合調査」令和5年度

修繕積立金・管理費の平均(月/戸、令和5年度)

駐車場使用料等の充当を含む場合と除く場合。修繕積立金は大規模修繕の原資、管理費は日常の維持管理の費用
修繕積立金
駐車場等を含む
13,378円
駐車場等を除く
13,054円
管理費
駐車場等を含む
17,103円
駐車場等を除く
11,503円
読み解き

修繕積立金は、大規模修繕などの計画的な修繕に備えて積み立てる費用で、月1戸あたりの平均は13,378円(駐車場使用料等の充当を含む)です。これとは別に、日常の維持管理にあてる管理費が月17,103円かかります。両者を合わせると、区分所有者は毎月一定の負担を続けることになります。

修繕積立金の水準が、将来の大規模修繕に必要な額に対して十分かどうかは、マンションごとに異なります。築年数や修繕の周期、積立方式によって必要額は変わり、不足する場合は一時金の徴収や借入れ、積立金の引き上げが必要になることもあります。

積立方式と長期修繕計画の状況(令和5年度)

修繕積立金の集め方と、計画的な修繕の備えの状況
均等積立方式
割合
40.5%
内容
当初から定額で積み立てる方式。負担が一定で計画が立てやすい
段階増額積立方式
割合
47.1%
内容
段階的に引き上げる方式。当初の負担は軽いが将来の引き上げが前提
長期修繕計画(30年以上・大規模修繕2回以上)
割合
42.5%
内容
全体の割合。計画的な修繕の備えがあるマンション
同(過去5年に新築)
割合
77.5%
内容
新しいマンションほど長期の計画を持つ割合が高い
読み解き

修繕積立金の集め方では、段階増額積立方式が47.1%と、均等積立方式(40.5%)を上回っています。段階増額方式は当初の負担が軽いため新築時に採用されやすい一方、計画どおりに引き上げが進まないと、大規模修繕の時期に積立金が不足するおそれがあります。

長期修繕計画の面では、計画期間30年以上で大規模修繕を2回以上含む計画を持つマンションは全体で42.5%ですが、過去5年に新築されたマンションでは77.5%と高くなっています。新しいマンションほど長期の備えが進んでいる一方、高経年のマンションでは計画の見直しや積立金の確保が課題として残ります。国はマンション管理計画認定制度を設け、適切な管理を促しており、認定の取得割合を約3%から20%へ高める目標を掲げています。

主要論点

修繕積立金は大規模修繕に対して十分なのか?

修繕積立金の月1戸あたりの平均は13,378円(令和5年度)ですが、これが将来の大規模修繕に十分かどうかは、マンションごとに異なります。大規模修繕はおおむね12〜15年の周期で行われ、外壁・防水・鉄部などの修繕に多額の費用がかかります。

積立金が不足する背景には、いくつかの要因があります。新築時に分譲しやすくするため当初の積立金を低く設定し、段階増額積立方式(47.1%)で将来引き上げる前提にしているケースが多いことです。引き上げには区分所有者の合意が必要で、合意が得られないと計画どおりに積立金が増えず、修繕の時期に不足が生じます。

不足する場合は、一時金の徴収、借入れ、工事範囲の見直しなどで対応することになります。国は修繕積立金のガイドラインを示し、必要な水準の目安を提供しています。長期修繕計画に基づいて必要額を見積もり、計画的に積立金を確保することが、適切な修繕の前提となります。

段階増額積立方式にはどんな課題があるのか?

段階増額積立方式は、修繕積立金を当初は低く設定し、段階的に引き上げていく方式で、令和5年度の調査では47.1%のマンションが採用しています。均等積立方式(40.5%)を上回り、特に新築マンションで多く採用されています。

この方式は、新築時の購入者の負担を軽くできる利点があります。一方で、将来の引き上げが前提となっているため、引き上げの時期に区分所有者の合意形成が必要です。負担増への抵抗や、区分所有者の入れ替わりによる意識の差から、計画どおりに引き上げが進まないと、大規模修繕の時期に積立金が不足するおそれがあります。

そのため、段階増額方式を採用する場合でも、長期修繕計画に基づいて引き上げの見通しを共有し、計画的に積立金を確保することが重要です。国は均等積立方式を基本とする考え方を示しつつ、各マンションの実情に応じた計画的な積立てを促しています。

高経年マンションの修繕リスクはどこにあるのか?

築年数の経過した高経年マンションでは、修繕の必要性が高まる一方で、修繕を進めるための条件がそろいにくくなる課題があります。

第1に、修繕積立金の滞納です。管理費や修繕積立金を3か月以上滞納している住戸があるマンションは30.1%にのぼり、滞納は修繕の原資不足に直結します。高経年マンションでは、区分所有者の高齢化や賃貸化、所有者不明の住戸の増加などで、滞納や合意形成の難しさが増します。

第2に、長期修繕計画の不備です。計画期間30年以上で大規模修繕を2回以上含む計画を持つマンションは全体で42.5%にとどまり、計画的な備えが十分でないマンションも残ります。国はマンション管理計画認定制度などで適切な管理を促し、認定の取得割合を約3%から20%へ高める目標を掲げています。高経年マンションの増加が進むなかで、修繕積立金の確保と計画的な修繕の実施が、共同住宅の維持にとっての中心的な課題となっています。

中期見通し

近未来1-2年

当面は、高経年マンションの大規模修繕需要が積み上がります。築12〜15年の周期で1回目・2回目の大規模修繕を迎えるマンションが増え、修繕工事の需要は底堅く推移します。修繕積立金の不足や段階増額方式の引き上げをめぐる合意形成が、修繕の実施に影響します。

中期3-5年

中期では、マンション管理の適正化が進む見通しです。国はマンション管理計画認定制度で適切な管理を促し、認定の取得割合を約3%から20%へ高める目標を掲げています。長期修繕計画の見直しや修繕積立金の引き上げが各マンションで進み、計画的な修繕の備えが広がると考えられます。

長期

長期では、築40年・50年を超える老朽化マンションの増加が大きな論点になります。修繕で維持を続けるか、建て替えや敷地売却に進むかの判断を迫られるマンションが増えます。修繕積立金の確保や合意形成が難しいマンションでは、適切な管理や再生の支援が課題となり、共同住宅のストックをどう維持・更新するかが住宅政策の重点になっていきます。

よくある質問

マンションの修繕積立金の相場はどのくらいですか?
国土交通省のマンション総合調査(令和5年度)では、月1戸あたりの修繕積立金の平均は13,378円(駐車場使用料等の充当を含む)です。除く場合は13,054円です。これとは別に、日常の維持管理にあてる管理費が月17,103円かかります。必要な水準はマンションの築年数や修繕周期によって異なります。
マンションの大規模修繕はどのくらいの周期で行いますか?
分譲マンションの大規模修繕は、外壁・防水・鉄部などを計画的に修繕する工事で、おおむね12〜15年の周期で行われます。修繕積立金を原資とし、長期修繕計画に沿って進められます。計画期間30年以上で大規模修繕を2回以上含む計画を持つマンションは、令和5年度の調査で全体の42.5%です。
均等積立方式と段階増額積立方式は何が違いますか?
均等積立方式は、当初から定額で修繕積立金を積み立てる方式で、負担が一定で計画が立てやすいのが特徴です。段階増額積立方式は、当初は低く設定し段階的に引き上げる方式で、新築時の負担が軽い一方、将来の引き上げに区分所有者の合意が必要です。令和5年度の調査では段階増額方式が47.1%、均等方式が40.5%でした。
修繕積立金が足りないとどうなりますか?
大規模修繕の時期に修繕積立金が不足すると、一時金の徴収、借入れ、工事範囲の見直しなどで対応することになります。段階増額積立方式で将来の引き上げが計画どおり進まない場合などに不足が生じやすく、区分所有者の合意形成が課題になります。長期修繕計画に基づいて必要額を見積もり、計画的に積立金を確保することが重要です。
高経年マンションの修繕にはどんな課題がありますか?
築年数の経過したマンションでは、修繕積立金の滞納(3か月以上滞納の住戸があるマンションは30.1%)や、区分所有者の高齢化・賃貸化による合意形成の難しさが課題です。長期修繕計画が不十分なマンションも残ります。国はマンション管理計画認定制度で適切な管理を促し、認定の取得割合を約3%から20%へ高める目標を掲げています。

参考資料 / 一次ソース

  1. 1.
    国土交通省「マンション総合調査」令和5年度
  2. 2.
    国土交通省「住生活基本計画」(マンション管理計画認定の取得割合の目標)
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