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賃貸住宅市場の規模|ストック・新規供給・管理戸数の見方【2026年版】

賃貸住宅の市場規模は、単一の金額では測りにくく、複数の見方で捉えます。既存の貸家の総量を示す民営借家のストックは2023年に1,568万戸 (全住宅の28.2%)、年間の新規供給を示す貸家の新設着工は2025年度に30.9万戸、企業が受託する管理戸数は大東建託グループが129.4万戸で首位です。これらは集計の取り方が異なるため、合算して一つの市場規模とはしません。

民営借家ストック総数(2023年)
1,568万戸
全住宅の28.2%、既存の貸家の総量
出典: 総務省 住宅・土地統計調査 令和5年
年間の貸家新設着工(2025年度)
30.9万戸
年間の新規供給フロー、縮小局面
出典: 国土交通省 建築着工統計調査
管理戸数 首位(大東建託G)
129.4万戸
2025年3月末時点、29年連続首位。管理会社が受託する戸数
出典: 全国賃貸住宅新聞 管理戸数ランキング2025
大東建託の賃貸事業売上
1兆2,031億円
FY2026/3。企業全体の連結売上1兆9,847億円とは別 (建設・開発を含まない)
出典: 大東建託IR

民営借家ストックの推移 (1993-2023年、万戸)

5年ごとの調査で、2023年は1568.4万戸まで増加
単位: 万戸
05001,0001,5002,0001,076931,205981,256031,337081,458131,530181,56823
出典: 総務省 住宅・土地統計調査
年度1993199820032008201320182023
民営借家ストック(万戸)1076.201,2051256.101336.601458.301529.501568.40
読み解き

民営借家のストックは、住宅・土地統計調査でみると長期的に増加してきました。1993年の約1076.2万戸から2023年の1568.4万戸へと、30年間で着実に積み上がっています。住宅・土地統計調査は5年ごとの調査で、2023年が最新の確定値です。

民営借家は全住宅の28.2%を占め、借家全体 (1,946万戸) の中核です。ストックは既存の貸家の総量を示すもので、その年に新しく建てられた戸数を示す新設着工とは別の指標です。新規供給が縮小するなかでも、積み上がったストックの管理需要は残ります。

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貸家の新設着工戸数の推移 (1994-2025年度、万戸)

2025年度は30.9万戸、人口減少を背景に縮小局面
単位: 万戸
02040608057.49456.49541.80051.80529.21038.41530.32030.925
出典: 国土交通省 建築着工統計調査
年度19941995199619971998199920002001200220032004200520062007200820092010201120122013201420152016201720182019202020212022202320242025
貸家新設着工(万戸)57.4056.4061.6051.6044.4042.6041.8044.2045.5045.9046.7051.8053.8043.1044.5031.1029.202932.103735.8038.4042.70413933.5030.3033.1034.703435.7030.90
前年比—-1.7%+9.2%-16.2%-14.0%-4.1%-1.9%+5.7%+2.9%+0.9%+1.7%+10.9%+3.9%-19.9%+3.2%-30.1%-6.1%-0.7%+10.7%+15.3%-3.2%+7.3%+11.2%-4.0%-4.9%-14.1%-9.6%+9.2%+4.8%-2.0%+5.0%-13.4%
読み解き

貸家の新設着工は、年間の新規供給を示すフローの指標です。1994年度の約57.4万戸から、近年は30.9万戸 (2025年度) へと縮小しています。前年度の35.7万戸からも減少し、新設住宅全体も1963年以来の低い水準となりました。

着工はストックとは異なり、その年に供給された戸数だけを数えます。人口減少と世帯数の頭打ちを背景に新築の余地が狭まるなか、事業の重心は新しく建てることから、積み上がった既存ストックをいかに管理し運営するかへと移りつつあります。

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管理戸数 上位企業 (2025年3月末、万戸)

首位は大東建託グループの129.4万戸、建築会社系列が上位を占める
単位: 万戸上位 10 件
037.575113150129大東建託G72.1積水ハウスG67.6大和リビング54.6レオパレス2128.2東建コーポ25.8ハウスメイトG14.4東急住宅リース12.7長谷工ライブネット12.7旭化成不動産レジ12.5スターツアメニティー
出典: 全国賃貸住宅新聞 管理戸数ランキング2025 (不動産流通推進センター 統計集 経由)
カテゴリ大東建託G積水ハウスG大和リビングレオパレス21東建コーポハウスメイトG東急住宅リース長谷工ライブネット旭化成不動産レジスターツアメニティー
管理戸数(万戸)129.4072.1067.6054.6028.2025.8014.4012.7012.7012.50
読み解き

管理戸数は、管理会社がオーナーから受託している戸数を示す企業ベースの指標です。全国賃貸住宅新聞の2025年管理戸数ランキング (2025年3月末、回答1,069社) では、大東建託グループが129.4万戸で29年連続の首位、積水ハウスグループ72万戸、大和リビング68万戸が続きます。

上位には建築会社系列の管理会社が並びますが、これは管理戸数の順位であって、市場全体が少数の企業に集中していることを示すものではありません。賃貸住宅の管理は多数の中小事業者で構成される分散的な市場で、ランキングは回答した1,069社のなかでの順位です。各社の戸数を足し合わせても業界全体の総戸数にはなりません。

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主要各社の賃貸事業売上と企業全体の売上 (上場廃止した企業を含む)

大東建託
賃貸事業セグメント売上
1兆2,031億円
企業全体の連結売上
1兆9,847億円
事業の性格
建設・賃貸・開発の複合
レオパレス21
賃貸事業セグメント売上
4,169億円
企業全体の連結売上
4,318億円
事業の性格
単身向けサブリースが主軸
東建コーポレーション
賃貸事業セグメント売上
—
企業全体の連結売上
3,666億円
事業の性格
建築・管理・仲介の複合
スターツコーポレーション
賃貸事業セグメント売上
—
企業全体の連結売上
2,329億円
事業の性格
仲介・管理などのフィービジネス10事業
APAMAN
賃貸事業セグメント売上
—
企業全体の連結売上
459億円
事業の性格
アパマンショップのフランチャイズ網
ハウスコム
賃貸事業セグメント売上
—
企業全体の連結売上
140億円
事業の性格
賃貸仲介専業、FY2025/3 (2025年1月上場廃止、大東建託の完全子会社)
読み解き

主要各社の売上をみるときは、企業全体の連結売上と、賃貸事業だけの売上を区別する必要があります。最大手の大東建託は、企業全体の連結売上1兆9,847億円のうち、不動産賃貸事業の売上は1兆2,031億円で、残りは建設や開発の事業です。レオパレス21は単身向けサブリースが主軸で、賃貸事業の売上4,169億円が企業全体4,318億円の大半を占めます。

賃貸事業の売上を区分して開示していない企業もあり、表では「—」としています。これらの企業は建築・管理・仲介などを組み合わせた複合的な事業構成で、企業全体の連結売上だけが公表されています。企業全体の売上を「賃貸管理業界の規模」と捉えると、建設や開発を含めて過大に見えるため、事業の性格と合わせて読む必要があります。

主要論点

賃貸住宅の市場規模はどの数字で捉えるべきか?

賃貸住宅の市場規模には、集計の取り方が異なる複数の数字があります。民営借家のストックは1,568万戸 (2023年) で既存の貸家の総量を、貸家の新設着工は30.9万戸 (2025年度) で年間の新規供給を、管理戸数は大東建託グループ129.4万戸で企業が受託する戸数を示します。

これらは対象が異なるため、合算して一つの市場規模とすることはできません。例えばストックと着工を足すことは、積み上がった総量とその年のフローを混ぜることになり、意味を持ちません。読者が知りたい論点に応じて、適切な数字を選ぶ必要があります。

業界全体の事業規模を売上で捉えたい場合も、企業全体の連結売上には建設や開発が含まれるため、賃貸事業だけを取り出すには各社のセグメント開示を確認する必要があります。賃貸住宅の市場は、単一の金額ではなく、こうした複数の指標を分けて理解するのが実態に即しています。

新規供給が縮小するなかで、市場の重心はどこへ向かうか?

貸家の新設着工は2025年度に30.9万戸まで縮小し、新設住宅全体も1963年以来の低い水準となりました。人口減少と世帯数の頭打ちを背景に、新築を前提とした事業の余地は狭まっています。

一方で、民営借家のストックは1568.4万戸と大きく、その管理と運営の需要は今後も残ります。事業の重心は、新たに建てることから、既存の物件をいかに埋め、長く使うかへと移りつつあります。管理戸数を持つ事業者ほど、空室対策や管理の効率化で優位に立ちやすい構造です。

新設着工の縮小は、賃貸住宅を建てて一括借り上げするサブリースや、建築と管理を一体で手がける建築会社系列の事業モデルにも影響します。新規供給に依存する部分と、既存ストックの管理で稼ぐ部分のバランスが、各社の今後を左右します。

企業の規模と賃貸事業の規模はどう違うか?

上場各社の売上を見るとき、企業全体の連結売上と賃貸事業だけの売上は大きく異なります。大東建託は企業全体で1兆9,847億円ですが、不動産賃貸事業は1兆2,031億円で、残りは建設や開発です。レオパレス21のように賃貸事業が主軸の企業もあれば、スターツコーポレーションのように仲介・管理など複数の事業を持つ企業もあります。

企業全体の売上を合計して「賃貸管理業界の規模」とすると、建設や開発を含めて過大になります。賃貸事業の規模を捉えるには、各社が区分して開示するセグメントの売上を見る必要がありますが、区分開示をしていない企業も多くあります。

さらに、管理戸数の上位には大和リビングや積水ハウスグループなど、上場している親会社の非上場子会社も含まれます。企業の規模を、連結売上・賃貸事業セグメント・管理戸数のどの指標で見るかによって、見える序列が変わる点に注意が必要です。

中期見通し

近未来1-2年

貸家の新設着工は縮小が続く見通しです。建築費や金利の動向が新築の採算に影響し、新規供給は低い水準で推移します。既存ストックの管理戸数は引き続き積み上がり、管理・運営を担う事業者の役割が相対的に大きくなります。

中期3-5年

事業の重心が新築から既存ストックの管理・運営へ移る流れが続きます。空室対策やリフォームによる既存物件の付加価値向上、管理戸数の規模を生かした効率化が、各社の競争軸となります。管理戸数の集約 (再編) も進む可能性があります。

長期5-10年

人口減少と世帯数の減少が進むなかで、民営借家ストックの総量がいずれ頭打ちから減少へ向かう可能性があります。空き家の増加と、立地や築年数による物件の二極化が進み、管理する戸数の「質」をどう保つかが長期の論点となります。

よくある質問

賃貸住宅の市場規模はどれくらいですか?
賃貸住宅の市場規模は単一の金額では表されず、複数の見方があります。既存の貸家の総量を示す民営借家のストックは2023年に1,568万戸 (全住宅の28.2%)、年間の新規供給を示す貸家の新設着工は2025年度に30.9万戸です。これらは集計の取り方が異なるため、合算はしません。
民営借家は日本にどれくらいありますか?
総務省の住宅・土地統計調査 (令和5年) によると、民営借家は2023年に1,568万戸で、全住宅の28.2%を占めます。1993年の約1076.2万戸から30年間で増加してきました。住宅・土地統計は5年ごとの調査で、2023年が最新の確定値です。
貸家の新設着工はどれくらいですか?
国土交通省の建築着工統計によると、貸家の新設着工は2025年度に30.9万戸です。1994年度の約57.4万戸から縮小し、新設住宅全体も1963年以来の低い水準となりました。着工はその年の新規供給を示すフローの指標で、積み上がったストックとは別物です。
賃貸住宅の管理戸数ランキングはどうなっていますか?
全国賃貸住宅新聞の2025年管理戸数ランキング (2025年3月末、回答1,069社) では、1位が大東建託グループの129.4万戸 (29年連続首位)、2位が積水ハウスグループ72万戸、3位が大和リビング68万戸です。建築会社系列の管理会社が上位を占めますが、市場全体は多数の中小事業者で構成される分散的な市場です。
上場各社の賃貸事業の売上はどれくらいですか?
企業全体の連結売上と賃貸事業だけの売上は異なります。最大手の大東建託は、企業全体1兆9,847億円のうち不動産賃貸事業が1兆2,031億円 (FY2026/3) です。レオパレス21は賃貸事業4,169億円が主軸です。企業全体の売上には建設や開発が含まれるため、賃貸管理業界の規模と捉えると過大になります。

参考資料 / 一次ソース

  1. 1.
    総務省統計局 住宅・土地統計調査 令和5年
  2. 2.
    国土交通省 建築着工統計調査 住宅着工統計
  3. 3.
    全国賃貸住宅新聞 管理戸数ランキング2025 (不動産流通推進センター 不動産業統計集 経由)
  4. 4.
    上場各社IR (大東建託・レオパレス21ほか)
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