賃貸業界の市場規模・主要企業・動向
日本の賃貸住宅市場は、民営借家1,568万戸のストックを抱えるなかで新規供給が縮小し、管理受託やサブリースへの構造シフトが進んでいます。
賃貸住宅業界とは、賃貸住宅の管理受託・サブリース・入居者募集を担い、オーナーと入居者をつなぐ産業です。民営借家は2023年に1,568万戸 (全住宅の28.2%) を数える一方、貸家の新設着工は2025年度に30.9万戸へと縮小しました。管理戸数は大東建託グループが129万戸で首位を占め、オーナーの自主管理から業者への委託 (2023年度71.2%) への構造シフトが進んでいます。サブリースや管理受託の広がりを背景に、賃貸住宅管理業の登録制度や入居率・賃料の動向が業界共通の論点です。本ページでは、賃貸住宅業界を、市場規模、ストックと需要、管理戸数と主要プレイヤー、サブリースと管理業法、賃貸仲介と集客の5軸で整理します。
業界サマリ
業界概要
賃貸住宅業界とは、賃貸住宅の管理受託・サブリース・入居者募集 (仲介) を担い、オーナーと入居者をつなぐ産業です。民営借家1,568万戸という成熟したストックを抱える一方で、新規供給の縮小と、オーナーの自主管理から業者委託への構造シフトが同時に進む局面にあります。
- 既存ストックは成熟し、新規供給は縮小しています。民営借家は2023年に1,568万戸 (全住宅の28.2%) を数える一方、貸家の新設着工は2025年度に30.9万戸まで減少しました。
- 管理受託・サブリースへの構造シフトが進んでいます。管理を業者へ委託するオーナーは2023年度に71.2%へ高まり、賃貸住宅管理業の登録割合は69.5%に達しています。
- 多数の事業者による分散的な市場で、管理戸数は建築会社系列が上位を占めています。大東建託グループ・積水ハウスグループ・大和リビングなどが管理戸数で上位に並び、仲介ではスターツやAPAMANなどが活動しています。
市場動向
賃貸住宅市場は、ストック・新規供給・管理戸数という異なる角度から捉えます。民営借家のストックは1,568万戸、貸家の新設着工は2025年度に30.9万戸、管理戸数は大東建託グループが129万戸で首位です。これらは測る対象が異なるため、分けて理解する必要があります。
- 民営借家は2023年に1,568万戸で、全住宅の28.2%を占めています。借家全体1,946万戸の中核で、1か月あたり家賃は平均59,656円、民営借家 (非木造) は68,548円です。
- 貸家の新設着工は2025年度に30.9万戸まで縮小しています。暦年では32.5万戸 (前年比-5.0%) で、新設住宅全体も74万戸と1963年以来の低い水準となりました。
- 管理戸数は大東建託グループが129万戸で29年連続の首位です。積水ハウスグループ72万戸、大和リビング68万戸、レオパレス21が55万戸で続き、建築会社系列が上位を占めています。
競争環境
日本の賃貸住宅業界は、多数の事業者による分散的な市場のなかで、建築会社系列の管理大手・サブリース専業・賃貸仲介専業・仲介フランチャイズなど多様なプレイヤーが活動しています。管理戸数では大東建託グループ・積水ハウスグループ・大和リビングなどの建築会社系列が上位を占める一方、市場全体は多数の中小事業者で構成されています。管理戸数の維持、サブリースの収益性、デジタル集客への移行が主要な論点です。
- 管理戸数では建築会社系列が上位を占めています。大東建託グループ129万戸、積水ハウスグループ72万戸、大和リビング68万戸が並びますが、これは管理戸数の順位であって、市場全体が少数の企業に集中していることを示すものではありません。
- サブリースではレオパレス21が単身者向けで規模を持っています。管理戸数約54万戸、入居率は期末で87.57%、契約は法人利用が64.6%を占め、施工不備問題からの再建を進めています。
- 賃貸仲介ではフィービジネス型の事業者が活動しています。スターツコーポレーションがピタットハウスを展開し、ハウスコムは大東建託との株式交換で子会社となる予定、APAMANはアパマンショップのフランチャイズ網を持っています。
市場規模推移
1993-2023 · 民営借家ストック / 貸家新設着工民営借家ストックの推移 (1993-2023年、万戸)
| 年度 | 1993 | 1998 | 2003 | 2008 | 2013 | 2018 | 2023 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 民営借家ストック(万戸) | 1076.20 | 1,205 | 1256.10 | 1336.60 | 1458.30 | 1529.50 | 1568.40 |
| 前年比 | — | +12.0% | +4.2% | +6.4% | +9.1% | +4.9% | +2.5% |
貸家の新設着工戸数の推移 (年度、万戸)
| 年度 | 2006 | 2007 | 2008 | 2009 | 2010 | 2011 | 2012 | 2013 | 2014 | 2015 | 2016 | 2017 | 2018 | 2019 | 2020 | 2021 | 2022 | 2023 | 2024 | 2025 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 貸家新設着工(万戸) | 53.80 | 43.10 | 44.50 | 31.10 | 29.20 | 29 | 32.10 | 37 | 35.80 | 38.40 | 42.70 | 41 | 39 | 33.50 | 30.30 | 33.10 | 34.70 | 34 | 35.70 | 30.90 |
| 前年比 | — | -19.9% | +3.2% | -30.1% | -6.1% | -0.7% | +10.7% | +15.3% | -3.2% | +7.3% | +11.2% | -4.0% | -4.9% | -14.1% | -9.6% | +9.2% | +4.8% | -2.0% | +5.0% | -13.4% |
賃貸住宅市場の規模は、単一の金額では測りにくく、複数の角度から捉えられます。既存の貸家の総量を示す民営借家のストックは2023年に1,568万戸 (全住宅の28.2%) で、年間の新規供給を示す貸家の新設着工は2025年度に30.9万戸です。企業が受託する戸数を示す管理戸数は大東建託グループが129万戸で首位を占めています。
これらは測っている対象が異なるため、合算して一つの市場規模とすることはできません。ストックは戸数の総量、着工は年間の供給フロー、管理戸数は企業ごとの受託規模を表しており、それぞれを分けて捉えることが業界理解の出発点となります。
新設の貸家着工は長期的に縮小しています。2025年度の貸家着工は30.9万戸 (暦年では32.5万戸、前年比-5.0%) で、新設住宅全体も74万戸と1963年以来の低い水準となりました。人口減少と世帯数の頭打ちを背景に、新規供給は縮小局面が続いています。
一方で、既存物件の運営指標は高い水準を保っています。入居率は委託管理で94.2%、サブリースで97.0%に達し、月末時点の滞納率も1.2%にとどまっています。募集賃料は都市部を中心に上昇が続いており、新規供給の縮小と既存ストックの底堅い稼働が併存する局面にあります。
オーナーと管理の関わり方は大きく変化しています。自ら管理するオーナーは1992年度の75.0%から2023年度に28.8%へ低下し、代わりに管理を業者へ委託するオーナーが25.0%から71.2%へ上昇しました。管理の担い手が個人から専門の事業者へ移る流れが定着しています。
委託の形態では、家賃回収や入居者対応を担う受託管理のみが53.3%で主流となり、空室リスクを事業者が引き受けるサブリースと受託管理を組み合わせる事業者が約2割を占めています。こうした構造シフトを背景に、賃貸住宅管理業の登録制度の整備が進んでいます。
主要トピック
業界構造
主要プレイヤー / サプライヤー / 流通 / 需要賃貸住宅業界は、賃貸住宅の管理受託・サブリース・入居者募集 (仲介) という3つの役割で構成され、オーナーと入居者をつなぎます。民営借家1,568万戸という成熟したストックを抱える一方、貸家の新設着工は2025年度に30.9万戸まで縮小し、事業の重心は新築から既存物件の管理・運営へ移りつつあります。
この市場は多数の中小事業者による分散的な構造で、管理戸数では大東建託グループ・積水ハウスグループ・大和リビングなどの建築会社系列が上位を占めています。これは管理戸数の順位であって、市場全体が少数の企業に集中していることを示すものではありません。
管理戸数の上位には、大東建託グループ (129万戸)・積水ハウスグループ (72万戸)・大和リビング (68万戸) といった建築会社系列の管理会社が並びます。サブリースではレオパレス21が単身者向けで規模を持ち、賃貸仲介ではスターツ (ピタットハウス)・ハウスコム・APAMANなどのフィービジネス型が活動しています。
近年の競争を動かしているのは、管理戸数の維持、サブリースの収益性、デジタル集客への移行です。大東建託が賃貸仲介専業のハウスコムを株式交換で子会社化する予定であるなど、人口減少を背景とした再編の動きもみられます。
賃貸住宅業界には、賃貸住宅管理業法という制度基盤があります。2020年に成立し、管理戸数200戸以上の事業者に登録を義務付けるとともに、サブリースの勧誘・契約に規制を設けました。登録割合は2024年度に69.5%に達しています。
集客には入居者募集とオーナー獲得の2つの面があります。入居者募集ではSUUMOやLIFULL HOME'Sなどの賃貸ポータルがデジタル集客の中心となり、オーナー獲得では管理受託・サブリースの法人営業が管理戸数の拡大を左右します。
業界の3大論点
新設の貸家着工は2025年度に30.9万戸まで縮小し、新設住宅全体も1963年以来の低い水準となりました。人口減少と世帯数の頭打ちを背景に、新築を前提とした事業の余地は狭まっています。一方で、民営借家のストックは1,568万戸と大きく、その管理と運営の需要は今後も残ります。事業の重心は、新たに建てることから、既存の物件をいかに埋め、長く使うかへと移りつつあります。
この局面で事業者が向き合う課題は3つに整理できます。第1は空室対策と稼働の維持で、入居率は委託管理94.2%・サブリース97.0%と高い水準にありますが、地域や築年数による差が広がっています。第2は既存物件の付加価値向上で、リフォームや設備更新、用途転換によって競争力を保つ取り組みです。第3は管理の効率化で、オーナーの委託率が71.2%まで高まるなか、複数物件をまとめて受託し、デジタル化で管理コストを抑える動きが進んでいます。
中期的には、新築供給の縮小を前提に、既存ストックの管理・運営・再生へ事業の軸足が移っていく見通しです。管理戸数の規模を持つ事業者ほど、効率化と空室対策の両面で優位に立ちやすい構造となっています。
サブリースは、事業者がオーナーから賃貸住宅を一括で借り上げ、空室の有無にかかわらず一定の賃料をオーナーへ支払う仕組みです。オーナーにとっては安定した収入と管理の手間の軽減が利点ですが、過去には借り上げ賃料の引き下げをめぐるトラブルが社会問題となりました。これを受けて2020年にサブリース新法 (賃貸住宅管理業法) が施行され、勧誘や契約時の規制が導入されています。
制度施行後の状況をみると、サブリースを手がける事業者で「家主とのトラブルは特にない」と答えた割合は約54%に達し、法施行後の影響として「特に影響はなかった」が42%、「家主とのトラブルの減少」が約14%となっています。規制が一定のトラブル防止につながった一方、契約事務の負担増を指摘する声もあります。代表的な事業者であるレオパレス21は、施工不備問題からの再建途上にあり、管理戸数約54万戸、入居率は期末で87.57%、契約は法人利用が64.6%を占めるまで構成を変えています。
サブリースが持続可能かどうかは、空室リスクを引き受ける事業者の収益性と、オーナーへの説明の透明性にかかっています。借り上げ賃料の設定や見直しの条件をめぐる情報の非対称が課題として残り、制度と各社の運用の両面で、オーナーが納得できる仕組みづくりが問われています。
賃貸仲介は、入居者の部屋探しを仲立ちし、仲介手数料を得るフィービジネスです。集客には入居者の募集とオーナーの獲得という2つの面があります。入居者募集ではSUUMOやLIFULL HOME'Sなどの賃貸ポータルがデジタル集客の中心となり、店舗での対面に加えてオンラインでの問い合わせが一般化しています。
仲介の事業者は再編が進んでいます。大東建託は賃貸仲介専業のハウスコムを株式交換で子会社化する予定で、ハウスコムは上場廃止が見込まれています。スターツコーポレーションはピタットハウスの直営とネットワーク店を展開し、APAMANはアパマンショップのフランチャイズ網を持つなど、各社が規模とネットワークの確保を進めています。人口減少で部屋探しの総数が頭打ちとなるなか、店舗網の効率化とデジタル集客の強化が共通の課題です。
もう一方のオーナー獲得は、管理受託やサブリースの営業にあたる法人向けの集客 (BtoB) です。管理戸数を増やすには、賃貸住宅を持つオーナーや、これから建てる土地所有者へ働きかける必要があり、ここではデータに基づく見込み客の開拓や、営業の専門人材が成果を左右します。入居者向けのデジタル集客と、オーナー向けの法人営業の両輪をどう設計するかが、仲介・管理事業の成長を分ける論点となっています。
よくある質問 (FAQ)
日本の賃貸住宅 (民営借家) はどれくらいありますか?
賃貸住宅の管理戸数ランキングはどうなっていますか?
サブリースと管理受託 (受託管理) の違いは何ですか?
賃貸住宅管理業法 (登録制度) とは何ですか?
賃貸住宅の入居率・空室率はどの程度ですか?
賃貸仲介の主要な会社にはどんな企業がありますか?
賃貸住宅の家賃相場はどれくらいですか?
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