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焼肉業界の構造|チェーンと個人店・業態の違い【2026年版】

焼肉業界の構造を、事業所の組み立て・業態の類型・資本のつながりという観点から整理します。焼肉店は事業所の約半数を個人経営が占める零細多数の市場で、食べ放題チェーンから一人焼肉、大衆ホルモン、高級専門店まで業態が分かれます。チェーンと個人店の関係、業態ごとのプレイヤー、牛角のコロワイド系のような資本系列まで、焼肉がどう成り立っているかを順に見ていきます。

焼肉店の経営組織別の事業所数(2016年)

個人経営と法人経営の内訳。合算が焼肉店の総事業所数にあたる(経済センサス)
読み解き

焼肉店の事業所を経営組織別に見ると、個人経営が8,141事業所(約54.2%)と過半を占め、法人経営の6,882事業所を上回ります。これは、焼肉店が小規模でも開業しやすく、家族経営の店が数のうえで大きな比重を持つことを示します。

上場・大手チェーンは法人経営のなかのごく一部で、店舗数で首位の牛角でも全国で約500店規模です。約15,023の事業所全体から見れば、チェーンが占める割合は限られており、焼肉は多数の個人店とチェーンが併存する市場です。なお、この数字は2016年時点のもので、焼肉店の事業所数を細分類で示せる直近の調査結果にあたります。

焼肉業界の構造

業態・価格帯の類型、チェーンと個人店、資本系列の観点

焼肉の構造は、業態・価格帯の類型・チェーンと個人店の関係・資本のつながりという観点で捉えられます。業態は、食べ放題チェーン・一人焼肉・大衆ホルモン・高級専門店、そして数のうえで過半を占める個人店に整理できます。これらは厳密に分かれるものではなく、価格帯や利用シーンによって緩やかに重なり合いますが、低価格帯の食べ放題チェーンが市場を牽引しつつ、一人焼肉のような新しい業態が裾野を広げているのが実態です。代表的なプレイヤーは各類型の例で、このほかにも多くのチェーン・個人店が存在します。

チェーンと個人店 — 個人経営が過半の多数競争

焼肉店は、事業所の数のうえでは個人経営が過半を占めます。2016年の経済センサスでは、約15,023事業所のうち個人経営が8,141(約54.2%)と、法人経営を上回ります。小規模でも開業しやすく、参入障壁が比較的低いことが、多数の個人店が併存する背景です。

チェーンは法人経営のなかのごく一部で、店舗数で首位の牛角でも全国で約500店規模にとどまります。約15,023という事業所全体から見れば、上場・大手チェーンが占める割合は限られています。つまり焼肉は、規模で効率を取るチェーンと、立地や個性で価値を出す個人店が、それぞれの強みで併存する多数競争の市場であり、特定企業による寡占ではありません。ただし食べ放題チェーンのように、規模と仕入れ力が効く領域では、上位の企業への集中がみられます。

業態の多様化 — 食べ放題・一人焼肉・大衆・高級

焼肉の業態は、価格帯と利用シーンによって分かれます。食べ放題チェーンは、定額で多種類を楽しめるわかりやすさと、規模を生かした仕入れ・出店のしやすさを強みに、市場を牽引してきました。焼肉きんぐ・牛角・安楽亭などが代表で、家族やグループの需要を取り込んでいます。

一方で、一人焼肉は新しい業態として裾野を広げています。1人1台の無煙ロースターで一人でも入りやすくした焼肉ライクは、焼肉を「ハレの日」の食事から日常的な選択肢へと変え、単身者やランチの需要を開拓しました。このほか、低価格でホルモンを中心とする大衆焼肉、和牛や希少部位を売りにする高級専門店があり、高級店は個人専門店が多いのが特徴です。

これらの業態は厳密に分かれるものではなく、価格帯や提供形態で緩やかに重なります。共通するのは、コロナ禍で換気・無煙ロースター・個室といった焼肉店の特性が相対的な強みとなり、その後の業態の多様化が需要の裾野を広げてきたことです。

資本構造とブランド — 牛角のコロワイド系と多業態化

資本面では、M&Aや資本関係でつながる企業グループがみられます。店舗数で首位の牛角を運営するレインズインターナショナルは、上場するコロワイドの完全子会社です。コロワイドは居酒屋・回転寿司など幅広い業態を抱える総合グループで、牛角はそのなかの焼肉ブランドという位置づけです。

上場する焼肉系の企業も、単一ブランドにとどまりません。物語コーポレーションは焼肉きんぐに加え、丸源ラーメン・ゆず庵(しゃぶしゃぶ・寿司)などを展開する多業態企業です。安楽亭は焼肉に加えステーキのアークミール(ステーキのどん等)を株式交換で取り込み、ワタミは居酒屋から「焼肉の和民」へ業態転換を進めるなど、焼肉を軸にしたブランドと資本の組み合わせは多様です。

原材料高や人件費の上昇、後継者不在などを背景に、業態転換やM&Aによる再編も進んでいます。焼肉は個人店が数で支える一方、チェーンは資本系列や多業態化でスケールを追っており、両者が併存する構造が続いています。各社の財務や業績の比較は、主要チェーンの業績比較のページで扱います。

主要論点

焼肉店はなぜ個人店が多いのか?

焼肉店は、事業所の数のうえで個人経営が過半を占めます。2016年の経済センサスでは、約15,023事業所のうち個人経営が8,141(約54.2%)でした。背景には、焼肉が小規模でも開業しやすい業態であることがあります。

焼肉は、客が自分で肉を焼くため厨房での調理工程が比較的少なく、メニュー構成も肉とタレ、サイドメニューが中心で、小さな店でも回しやすい特性があります。立地や店主の目利き、仕入れの工夫で個性を出しやすく、家族経営の専門店が数多く成り立ってきました。

このため焼肉は、規模で効率を取るチェーンと、個性で価値を出す個人店が併存する多数競争の市場です。ただし、輸入牛肉や人件費の上昇というコスト環境のなかで、資金力の乏しい個人店ほど経営が厳しくなっており、チェーンへの集約が進む側面もあります。

食べ放題と一人焼肉はなぜ広がったのか?

焼肉の業態のなかで、食べ放題チェーン一人焼肉が裾野を広げてきました。食べ放題は、定額で多種類を楽しめるわかりやすさが強みで、客にとっては価格の見通しが立ちやすく、店にとっては客単価を安定させやすいモデルです。焼肉きんぐや牛角など、規模を生かした仕入れ力を持つチェーンが牽引してきました。

一人焼肉は、より新しい動きです。焼肉はかつて家族やグループで出かける「ハレの日」の食事とされてきましたが、焼肉ライクのように1人1台の無煙ロースターと一人でも入りやすい店づくりで、日常的で気軽な選択肢へと変えました。単身者やランチの需要を取り込み、回転の速い低価格業態として定着しています。

これらの広がりの背景には、焼肉店の設備特性もあります。無煙ロースターや換気設備、個室は、コロナ禍で感染対策が重視されるなかで相対的な強みとなり、業態の多様化と需要の裾野の拡大を後押ししました。

焼肉チェーンの資本のつながりはどうなっているのか?

焼肉では、M&Aや資本関係でつながる企業グループがみられます。代表例が牛角で、運営するレインズインターナショナルは上場するコロワイドの完全子会社です。コロワイドは居酒屋・回転寿司など幅広い業態を抱える総合グループで、牛角はそのなかの焼肉ブランドにあたります。

上場する焼肉系の企業も、単一ブランドにとどまりません。物語コーポレーションは焼肉きんぐに加え丸源ラーメン・ゆず庵を、安楽亭は焼肉に加えステーキのアークミールを併営しています。ワタミのように、居酒屋から「焼肉の和民」へ業態転換して焼肉に参入する動きもあります。

こうした資本系列や多業態化は、需要変動のリスクを分散し、調達・物流でスケールを効かせる狙いがあります。原材料高や後継者不在を背景に、業態転換やM&Aによる再編は今後も続くとみられます。各社の財務の比較は、主要チェーンの業績比較のページで扱います。

中期見通し

近未来1-2年

2026-2027年は、輸入牛肉や人件費・光熱費の上昇というコスト環境のなかで、個人店とチェーンの新陳代謝が進むとみられます。資金力の乏しい個人店ほど経営が厳しく、規模と仕入れ力を持つチェーンへの集約が一定程度進む一方、一人焼肉のような新業態が裾野を広げる動きも続く見通しです。

中期3-5年

中期では、業態の多様化と資本系列の再編が構造変化の軸となります。食べ放題・一人焼肉・大衆・高級といった業態ごとに、設備投資や仕入れの巧拙で競争力の差が広がる可能性があります。M&Aや業態転換による企業グループの組み替えも、引き続き業界の一角を動かす要素です。

長期

長期では、人口減少と人手不足が業界構造に影響します。省人化(無煙ロースター・タッチパネル・配膳など)への投資余力がある大手チェーンと、対応が難しい小規模店との間で、店舗の新陳代謝が進む可能性があります。焼肉の多様性を支えてきた個人店の比重がどう変化するかが、長期の構造を左右します。

よくある質問

焼肉店は個人店とチェーンのどちらが多いですか?
事業所の数では個人店が多数を占めます。2016年の経済センサスでは、焼肉店は全国に約15,023事業所あり、うち個人経営が8,141(約54.2%)と法人経営(6,882)を上回ります。上場・大手チェーンは事業所数の上ではごく一部で、焼肉は多数の事業者が競う構造です。
焼肉の業態にはどんな種類がありますか?
価格帯と利用シーンによって、定額で多種類を提供する食べ放題チェーン、1人1台のロースターで楽しむ一人焼肉、低価格でホルモンを中心とする大衆焼肉、和牛や希少部位を売りにする高級専門店などに分かれます。高級店は個人専門店が多く、食べ放題はチェーンが中心です。これらは厳密に分かれるものではなく、価格帯で緩やかに重なります。
牛角はどこの系列ですか?
牛角を運営するレインズインターナショナルは、上場する総合外食グループのコロワイドの完全子会社です。コロワイドは居酒屋・回転寿司など幅広い業態を抱えており、牛角はそのなかの焼肉ブランドにあたります。牛角単独の業績は開示されておらず、店舗数(全国で約500店、民間集計)で捉えるのが実態に近いといえます。
一人焼肉とは何ですか?
一人焼肉は、1人1台の無煙ロースターで一人でも気軽に焼肉を楽しめる業態です。焼肉ライクなどのチェーンが、一人でも入りやすい店づくりで需要を開拓しました。焼肉をかつての「ハレの日」の食事から、単身者やランチでも使える日常的で気軽な選択肢へと変え、回転の速い低価格業態として定着しています。
焼肉に食べ放題のチェーンが多いのはなぜですか?
食べ放題は、定額で多種類を楽しめるわかりやすさが客に支持され、店にとっても客単価を安定させやすいモデルだからです。焼肉きんぐや牛角のように、規模を生かした仕入れ力を持つチェーンほど、食べ放題を成り立たせやすい利点があります。家族やグループの需要を取り込みやすく、出店もしやすいことから、低価格帯の食べ放題チェーンが市場を牽引してきました。

参考資料 / 一次ソース

  1. 1.
    総務省・経済産業省「経済センサス活動調査」(2016年、焼肉店)
  2. 2.
    各社 有価証券報告書・IR / 各社プレスリリース
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