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百貨店業界の市場規模|全国売上高の推移とコロナ後の反落【2026年版】

日本の百貨店業界の市場規模は、日本百貨店協会の全国百貨店売上高で2025年に5.68兆円(56,754億円)となり、既存店ベースで前年比-1.5%と5年ぶりのマイナスに転じました。2020年に新型コロナ禍で4.22兆円まで落ち込んだ売上高は2024年に5.77兆円まで回復しましたが、2025年はインバウンドの反落で再び減少しています。売上高の長期的な推移、コロナ後の回復と反落、2025年の変化を動かした商品群、統計と各社決算で売上の数字が異なる理由まで順に整理します。

全国百貨店売上高(2025年)
5.68兆円
56,754億円。既存店ベース前年比-1.5%で5年ぶりの減少
出典: 日本百貨店協会「全国百貨店売上高」
売上高の最安値(2020年)
4.22兆円
42,205億円。新型コロナ禍の休業・外出自粛で既存店ベース-25.7%
出典: 日本百貨店協会「全国百貨店売上高」
直近のピーク(2024年)
5.77兆円
57,722億円。インバウンドと高額品で過去最高水準まで回復
出典: 日本百貨店協会「全国百貨店売上高」
前年比(2025年・既存店)
-1.5%
店舗数の増減を調整した既存店ベース。店舗数調整前の全店ベースでは-1.7%
出典: 日本百貨店協会「全国百貨店売上高」

全国百貨店売上高の推移(2020-2025年、兆円)

日本百貨店協会(会員百貨店の店頭ベース)。コロナ禍の4.22兆円から2024年の5.77兆円まで回復後、2025年は5.68兆円へ反落
読み解き

全国百貨店売上高は、2020年に新型コロナ禍の休業や外出自粛で4.22兆円(既存店ベース-25.7%)まで急減しました。その後は段階的に回復し、2024年にはインバウンドと高額品に支えられて5.77兆円まで戻りました。2025年はインバウンドの反落で5.68兆円(既存店ベース-1.5%)へ減少し、5年ぶりのマイナスとなっています。

なお、協会が公表する前年比は店舗の開店・閉店の影響を取り除いた既存店ベース(2025年は-1.5%)です。これに対して、上のデータテーブルの前年比は売上高の実額から計算した全店ベース(同-1.7%)で、店舗数の変化を含むため水準がやや異なります。

このグラフに関連するトピック

主要な商品群の売上高と前年比(2025年)

日本百貨店協会。2025年の全体の減少を動かした主要商品群(衣料品・身のまわり品・雑貨・食料品など)。前年比は既存店ベース。商品別構成の詳細は商品別構成ページで扱う
読み解き

売上高が最も大きい商品群は衣料品の15,058億円(構成比26.5%)ですが、2025年は前年比-2.2%と縮小しました。身のまわり品(バッグ・靴・服飾雑貨など)も-7.5%と落ち込み、衣料・ファッション関連の弱さが全体の減少につながっています。次いで大きい食料品(14,574億円、いわゆるデパ地下)は-0.4%とほぼ横ばいです。ここに挙げた主要な商品群で全国売上高の約97%を占め、残りはその他の商品です。

一方で、雑貨は+2.2%と数少ない伸びを示しました。雑貨には化粧品(5,085億円、+1.3%)と美術・宝飾・貴金属(5,901億円、+3.1%)が含まれ、国内の富裕層需要を背景にこれらの高額品が伸びています。衣料品が縮小し高額品が伸びるという商品群ごとの差が、百貨店の主役の移り変わりを表しています。

主要論点

百貨店の売上高は、なぜ2025年に5年ぶりの減少に転じたのか?

全国百貨店売上高は2021年から2024年まで4年連続で回復してきましたが、2025年は5.68兆円(既存店ベース-1.5%)と5年ぶりのマイナスに転じました。最大の要因は、回復を牽引してきたインバウンド(免税売上高)の反落です。

免税売上高は2024年に過去最高を記録した後、2025年は前年を下回りました。訪日客の数自体は増えているものの、1人あたりの購買単価が下がっており、高額品の「爆買い」が一服したことが売上を押し下げています。国内では化粧品や美術・宝飾などの高額品が底堅く推移しましたが、衣料品や身のまわり品の縮小もあり、インバウンドの反落を補いきれませんでした。

つまり2025年の減少は、国内消費の崩れというより、急拡大していたインバウンドが調整局面に入ったことが主因です。インバウンドの動向が今後の売上高を大きく左右する構図が続いています。

コロナ後の回復は、どこまで戻ったのか?

百貨店の売上高は、2020年に新型コロナ禍で4.22兆円まで急減しました。緊急事態宣言による休業や外出自粛、インバウンドの消失が重なり、既存店ベースで-25.7%という記録的な落ち込みとなりました。

そこからの回復は段階的でした。2021年は4.42兆円、2022年は4.98兆円、2023年は5.42兆円と戻し、2024年には5.77兆円とコロナ前の水準を回復しました。回復を牽引したのは、国内富裕層の高額品消費と、2023年以降に本格化したインバウンドです。

ただし回復の中身は一様ではありません。化粧品・美術・宝飾などの高額品とインバウンドが回復をリードした一方、衣料品は構造的な縮小が続いています。2025年にインバウンドが反落して売上高が再び減少したことは、百貨店の回復が高額品とインバウンドに依存していることを示しています。

統計の売上高と各社決算の売上は、なぜ数字が違うのか?

日本百貨店協会が集計する全国百貨店売上高は2025年に5.68兆円ですが、各社の決算を見ると、売上高の数字は会社によって大きく異なります。これは、百貨店の売上に2つの見方があるためです。

百貨店は、衣料品や化粧品などの多くを「消化仕入」という方法で扱います。これは、商品を自社の在庫として持たず、店頭で売れた分だけを仕入として計上する取引です。この仕組みのもとでは、会計のルール上、店頭での販売額(店頭取扱高)ではなく、そこから仕入分などを差し引いた金額が「売上」として計上されます。そのため、店頭での売上に近い「店頭取扱高(総額)」と、決算上の「売上(純額)」では差が生まれます。たとえば髙島屋は、店頭取扱高にあたる総額営業収益が1兆323億円であるのに対し、会計上の営業収益は4,924億円です。

協会の統計は店頭での売上に近く、各社決算の売上はより小さく出る、と理解しておくと混乱を避けられます。

中期見通し

近未来1-2年

売上高はインバウンドの動向に大きく左右される見通しです。訪日客数は増加傾向にあるものの、1人あたりの単価は下がっており、免税売上高が回復するかどうかが全体の方向を決めます。国内では化粧品・美術・宝飾などの高額品が底堅い一方、衣料品の縮小は続くとみられ、売上高は横ばいから小幅な増減で推移する見方が中心です。

中期3-5年

中期では、都心の旗艦店・富裕層・外商(得意客への訪問や優待による個別販売)に経営資源を集中させる流れが続く見通しです。地方店の閉店が進む一方、都心店は改装やブランド誘致、インバウンド対応で集客力を高めます。売上高の規模は、高額品とインバウンドをどこまで取り込めるかと、衣料品の縮小をどれだけ補えるかで決まります。

長期

長期では、人口減少と、専門店・ショッピングセンター・ECとの競合が国内需要の基調を決めます。百貨店は高付加価値の品ぞろえや不動産の活用、富裕層・インバウンドへの集中で規模を維持する方向にあります。市場規模を読む際は、協会の店頭ベース売上高と各社決算の会計上の売上の違いを踏まえることが前提となります。

よくある質問

日本の百貨店業界の市場規模はどのくらいですか?
日本百貨店協会によると、2025年の全国百貨店売上高は5.68兆円(56,754億円)で、既存店ベースで前年比-1.5%と5年ぶりのマイナスとなりました。2020年に新型コロナ禍で4.22兆円まで落ち込んだ後、2024年には5.77兆円まで回復しましたが、2025年はインバウンドの反落で再び減少しています。
百貨店の売上高は、なぜ2025年に減少したのですか?
2025年の減少の主因は、回復を牽引してきたインバウンド(免税売上高)の反落です。免税売上高は2024年に過去最高となった後、2025年は前年を下回りました。訪日客数は増えているものの1人あたりの単価が下がり、高額品の「爆買い」が一服しています。国内の高額品は底堅かったものの、衣料品の縮小もあり、インバウンドの反落を補いきれませんでした。
百貨店の売上はコロナ禍からどのくらい回復しましたか?
2020年に4.22兆円(既存店ベース-25.7%)まで急減した後、2021年4.42兆円、2022年4.98兆円、2023年5.42兆円と段階的に回復し、2024年には5.77兆円とコロナ前の水準まで戻りました。回復を牽引したのは国内富裕層の高額品消費とインバウンドです。
統計の売上高と各社決算の売上は、なぜ数字が違うのですか?
百貨店は衣料品や化粧品の多くを「消化仕入」(在庫を持たず売れた分だけ仕入を計上する取引)で扱うため、店頭での販売額に近い「店頭取扱高(総額)」と、決算上の「売上(純額)」で数字が異なります。たとえば髙島屋は総額営業収益1兆323億円に対し、会計上の営業収益は4,924億円です。協会の統計は店頭での売上に近く、各社決算の売上はより小さく出ます。
百貨店で売上が大きい商品は何ですか?
2025年に売上高が最も大きい商品群は衣料品(15,058億円、構成比26.5%)ですが、前年比-2.2%と縮小しています。次いで食料品(14,574億円、デパ地下)が大きく、化粧品(5,085億円、+1.3%)や美術・宝飾・貴金属(5,901億円、+3.1%)などの高額品が伸びています。

参考資料 / 一次ソース

  1. 1.
    日本百貨店協会「全国百貨店売上高」
  2. 2.
    髙島屋「2026年2月期 決算短信」
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