百貨店業界の市場規模・主要企業・動向
日本の百貨店業界は全国売上高5兆6,754億円規模で、化粧品や宝飾などの高額品とインバウンドが牽引する一方、衣料品の縮小と地方店の閉店が進む転換期の市場です
百貨店業界とは、衣料品・化粧品・食料品・宝飾品などを対面接客と豊富な品ぞろえで販売する大型小売業態を指します。2025年の全国百貨店売上高は5兆6,754億円 (日本百貨店協会) で、既存店ベースで前年比1.5%減と5年ぶりのマイナスとなりました。2020年にコロナ禍で4兆2,205億円まで落ち込んだ売上高は2024年に5兆7,722億円まで回復しましたが、2025年はインバウンドの反落で再び減少しています。化粧品や宝飾などの高額品が伸びる一方で衣料品は縮小し、地方店の閉店も続いています。本ページでは、百貨店業界を、市場規模、インバウンド・免税、商品構成、主要企業、店舗網の構造変化の5軸で整理します。
業界サマリ
業界概要
百貨店業界とは、衣料品・化粧品・食料品・宝飾品などを対面接客と豊富な品ぞろえで販売する大型小売業態です。売上高は長期的に縮小してきましたが、インバウンドと国内富裕層の高額品消費が下支えする転換期に入っています。
- 全国売上高は2025年に5兆6,754億円となり、5年ぶりに減少しました。コロナ後の回復が一服し、衣料品の縮小と地方店の閉店が続いています。
- 化粧品・宝飾などの高額品とインバウンドが成長の軸となっています。一方で衣料品は長期的に縮小し、百貨店の商品構成が変化しています。
- 大手4グループを中心に、地方・中堅の百貨店が続きます。店舗は都市部に集中し、地方店の閉店や不動産活用への転換が進んでいます。
市場動向
全国百貨店売上高は2020年のコロナ禍で4兆2,205億円まで落ち込んだ後、2024年に5兆7,722億円まで回復し、2025年は5兆6,754億円 (既存店ベース前年比1.5%減) となりました。免税売上高は2024年の6,487億円をピークに、2025年は5,667億円へ反落しています。
- 全国売上高は2025年に5兆6,754億円 (既存店ベース-1.5%) で、5年ぶりのマイナスです。インバウンドの反落が主因となっています。
- 免税売上高は2025年に5,667億円 (-12.7%) も、購買客数は621.4万人と過去最高です。1人あたりの単価が下がっています。
- 化粧品 (+1.3%)・美術宝飾 (+3.1%) の高額品が伸び、衣料品 (-2.2%)・身のまわり品 (-7.5%) が縮小しています。
競争環境
日本の百貨店業界では、三越伊勢丹・髙島屋・J.フロント リテイリング (大丸松坂屋)・エイチ・ツー・オー (阪急阪神) の大手4グループを中心に、近鉄百貨店などの中堅が続きます。各社は百貨店に加えて不動産・金融・食品スーパーなどを併営しており、収益構造が異なります。富裕層向けの外商 (得意客への訪問や優待による個別販売) と都心の旗艦店が共通の収益の柱となっています。
- 百貨店事業の売上では三越伊勢丹が最大 (約4,468億円、会計上の売上) で、髙島屋・J.フロントが続きます。
- 各社は多角化しています。髙島屋は商業開発・海外、J.フロントはパルコ、エイチ・ツー・オーは食品スーパーを併営しています。
- 富裕層向けの外商と都心の旗艦店が収益の柱です。高額品の品ぞろえと改装、インバウンド対応で集客を競っています。
市場規模推移
2020-2025 · 全国百貨店売上高 / 免税売上高全国百貨店売上高の推移 (2020-2025年、兆円)
免税(インバウンド)売上高の推移 (2020-2025年、億円)
日本百貨店協会によると、全国百貨店売上高は2025年に5兆6,754億円となり、既存店ベースで前年比1.5%減と5年ぶりのマイナスに転じました。2020年にコロナ禍で4兆2,205億円まで落ち込んだ後、2024年には5兆7,722億円まで回復しましたが、2025年は再び減少しています。
百貨店の売上には2つの見方があります。協会が集計する店頭での売上高は5兆6,754億円ですが、各社の決算では衣料品や化粧品の多くを「在庫を持たず売れた分だけ仕入を計上する取引 (消化仕入)」で扱うため、会計上の売上は店頭での売上高より小さくなります。両者は集計の仕方が異なるため、単純に比べることはできません。
インバウンドの免税売上高は2024年に過去最高の6,487億円に達した後、2025年は5,667億円 (前年比12.7%減) へ反落しました。一方で購買客数は621.4万人と過去最高を更新しており、1人あたりの単価が下がっています。高額品の「爆買い」から、より幅広い国の客による消費へと変化しています。
商品別では、化粧品 (5,085億円、前年比+1.3%) や美術・宝飾・貴金属 (5,901億円、+3.1%) などの高額品が伸びています。これに対して、売上が最大の品目である衣料品 (1兆5,058億円、構成比26.5%、-2.2%) や身のまわり品 (-7.5%) は縮小が続いており、百貨店の主役が衣料品から高額品やデパ地下の食料品へと移っています。
業界は三越伊勢丹・髙島屋・J.フロント リテイリング (大丸松坂屋)・エイチ・ツー・オー (阪急阪神) の大手4グループを中心に、近鉄百貨店などの中堅が続きます。各社は百貨店に加えて不動産・金融・食品スーパーなどを併営しており、決算の数字をそのまま比べると規模を取り違えやすいため、百貨店事業の売上で見ると三越伊勢丹が最大です。
売上は都市部に集中しています。東京 (構成比29.6%) と大阪 (17.7%) を含む10都市で78.1% を占め、地方 (10都市以外) は前年比2.3%減と苦戦しています。地方では店舗の閉店が相次ぐ一方、都心の旗艦店は富裕層やインバウンド、外商を取り込み、不動産の活用も進めています。
主要トピック
業界構造
主要プレイヤー / サプライヤー / 流通 / 需要百貨店業界は、三越伊勢丹・髙島屋・J.フロント リテイリング (大丸松坂屋)・エイチ・ツー・オー (阪急阪神) の大手4グループを中心に、近鉄百貨店などの中堅や地方の百貨店が事業を展開しています。各社は都心の旗艦店と地域の店舗を持ち、衣料品・化粧品・食料品・宝飾品などを対面接客で販売しています。
各グループは百貨店だけでなく、不動産・金融 (クレジットカード)・商業施設・食品スーパーなどを併営しています。そのため、決算全体の売上をそのまま比べると規模を取り違えやすく、百貨店事業の売上で見ると三越伊勢丹が最大です。
三越伊勢丹は百貨店事業の売上が最大 (約4,468億円、会計上の売上) で、富裕層の高額品消費を背景に2026年3月期に営業利益が3年連続で過去最高となりました。髙島屋は国内百貨店に加え海外 (ベトナム等)・商業開発・金融を併営し、J.フロントはパルコ (ショッピングセンター) を、エイチ・ツー・オーは食品スーパーを併営しています。
百貨店の売上には、店頭での販売額に近い「店頭取扱高 (総額)」と、決算上の「売上 (純額)」の2つの見方があります。消化仕入の会計処理により総額が純額の2倍前後になるため、各社の規模を比べるときは、どちらの数字かを区別する必要があります。
百貨店の収益は、富裕層向けの外商 (得意客への訪問・優待販売) と都心の旗艦店が柱となっています。インバウンドの免税売上や高額品の品ぞろえ、店舗の改装で集客を競っています。
売上は都市部に集中しており、東京・大阪を含む10都市で78.1%を占めます。地方では人口減や専門店・ECとの競合で店舗の閉店が相次ぎ、跡地の不動産活用も進んでいます。かつてのそごう・西武は2023年に投資ファンドのフォートレスへ売却され、上場していません。
業界の3大論点
百貨店の売上は、なぜ統計と各社の決算で数字が大きく違うのか?
日本百貨店協会が集計する全国百貨店売上高は2025年に5兆6,754億円ですが、各社の決算を見ると、売上高の数字は会社によって大きく異なります。これは、百貨店の売上に2つの見方があるためです。
百貨店は、衣料品や化粧品などの多くを「消化仕入」という方法で扱います。これは、商品を自社の在庫として持たず、店頭で売れた分だけを仕入として計上する取引です。この仕組みのもとでは、会計のルール上、店頭での販売額 (店頭取扱高) ではなく、そこから仕入分などを差し引いた金額が「売上」として計上されます。そのため、店頭での売上に近い「店頭取扱高 (総額)」と、決算上の「売上 (純額)」では、2倍前後の差が生まれます。たとえば髙島屋は店頭取扱高にあたる総額営業収益が1兆323億円であるのに対し、会計上の営業収益は4,924億円です。J.フロント リテイリングも総額売上高1兆2,905億円に対し、売上収益は4,451億円です。
各社の規模を比べるときは、どちらの数字を見ているのかを区別することが大切です。協会の統計は店頭での売上に近く、各社決算の売上はより小さく出る、と理解しておくと混乱を避けられます。
インバウンドが減ったのに、購買客数が過去最高なのはなぜか?
百貨店の免税売上高は、2024年に過去最高の6,487億円に達した後、2025年は5,667億円 (前年比12.7%減) へ反落しました。ところが、免税で買い物をした購買客数は621.4万人と過去最高を更新しています。売上が減って客数が増えたのは、1人あたりの購買単価が下がったためです。
背景には、訪日客の消費の質の変化があります。コロナ禍前後には、高額なブランド品や化粧品をまとめ買いする「爆買い」が売上を押し上げていました。これに対して近年は、より幅広い国からの訪日客が増え、買い物の中身も中価格帯の商品や、体験・食などへ広がっています。中国からの客の動向も売上を左右する要因です。
つまり、来店する人は増えているものの、1人が使う金額は以前より小さくなっています。百貨店各社にとっては、客数の増加を客単価の回復につなげられるかが課題となっています。
地方の百貨店が閉店する一方で、都心の旗艦店が好調なのはなぜか?
百貨店の売上は都市部に集中しています。2025年の売上は、東京 (構成比29.6%) と大阪 (17.7%) を含む10都市で78.1%を占め、地方 (10都市以外) は前年比2.3%減と苦戦しています。地方百貨店の閉店が相次ぐ一方、都心の旗艦店は好調を維持しています。
地方店が苦戦するのは、人口の減少や、専門店・郊外のショッピングセンター・ECとの競合で集客が難しくなっているためです。一方、都心の旗艦店は、国内の富裕層や訪日客、外商 (得意客への訪問・優待販売) を取り込み、高額品の品ぞろえや改装で集客しています。三越伊勢丹は富裕層の高額品消費を背景に、2026年3月期に営業利益が3年連続で過去最高となりました。
閉店した店舗の跡地では、定期賃貸や再開発による不動産としての活用も進んでいます。百貨店各社は、採算の取れない店舗を整理しつつ、都心の旗艦店と外商に経営資源を集中させる方向にあります。
よくある質問 (FAQ)
日本の百貨店業界の市場規模はどれくらいですか?
百貨店の売上高は、なぜ統計と各社の決算で数字が違うのですか?
日本で一番大きい百貨店はどこですか?
百貨店のインバウンド (免税) 売上はどうなっていますか?
百貨店で何がよく売れていますか?
百貨店業界の主要企業 (大手) はどこですか?
地方の百貨店はなぜ閉店が続くのですか?
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