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百貨店の主要企業|上位5社の売上と利益を比較【2026年版】

日本の百貨店業界は、三越伊勢丹ホールディングス・髙島屋・J.フロント リテイリング・エイチ・ツー・オー リテイリング・近鉄百貨店の主要5グループを中心に構成されています。百貨店事業の売上高(会計上の純額)で見ると三越伊勢丹が約4,468億円で最大ですが、各社は不動産・金融・食品スーパーなどを併営しており、連結の売上高をそのまま比べると規模を取り違えやすい点に注意が必要です。百貨店事業の売上、連結の売上・利益、店頭取扱高(総額)の違いまで、5グループを比較します。

主要百貨店グループの財務比較(FY2026)

各社 通期決算短信(連結 + 百貨店セグメント)。百貨店事業の売上高(純額)の大きい順。連結売上は全事業(不動産・金融・食品等を含む)、店頭取扱高(総額)は消化仕入を含む店頭での販売額に近い金額で、髙島屋・J.フロントの2社のみが開示

5グループの財務には、比べる基準によって3つの見方があります。百貨店事業の売上高(純額)は決算のセグメント情報に表れる百貨店部門の外部売上で、百貨店としての規模を比べるのに適しています。連結売上高(純額)は不動産・金融・食品スーパーなどを含む全事業の売上で、会社全体の規模を表します。店頭取扱高(総額)は、在庫を持たず売れた分だけ仕入を計上する「消化仕入」を含む店頭での販売額に近い金額で、会計上の売上より大きくなります。

このため、連結売上高で並べるとエイチ・ツー・オー(約6,802億円)が最大に見えますが、その主力は食品事業(外部売上約4,159億円)で、百貨店事業は約1,853億円と5社で最も小さくなります。百貨店としての規模は百貨店事業の売上高で見るのが実態に合っています。なお、各社の利益率や売上の倍率を単純に比べる際は、会計基準(IFRS・日本基準)や決算期、事業構成の違いに注意が必要です。

三越伊勢丹ホールディングス(百貨店事業で最大)

三越伊勢丹ホールディングスは、三越と伊勢丹を擁する百貨店業中心のグループで、百貨店業が連結売上高の約8割を占めます。百貨店事業の売上高(純額)は約4,468億円と5グループで最大で、連結売上高は約5,456億円です。クレジット・金融・友の会業や不動産業なども併営しています。

収益面では、連結営業利益が約800億円と3年連続で過去最高を更新し、連結当期純利益は約760億円です。自己資本比率は50.8%、ROE(自己資本利益率)は12.5%(いずれも会社公表値)と財務体質も安定しています。

強みは、三越日本橋本店・伊勢丹新宿本店といった都心の旗艦店と、富裕層・高額品・外商(得意客への訪問や優待による個別販売)です。化粧品・宝飾などの高額品消費とインバウンドを取り込み、利益を伸ばしています。

髙島屋(多角化を進める、特別損失で連結純損失)

髙島屋は、国内百貨店業を中心としながら多角化を進めるグループです。国内百貨店事業の売上高(純額)は約3,039億円で、連結営業収益(純額)は約4,924億円です。これとは別に、消化仕入を含む店頭取扱高に近い総額営業収益は約1兆323億円と、連結営業収益(純額)の約2倍の規模になります。

連結営業利益は約535億円の黒字ですが、転換社債型新株予約権付社債の買入消却(過去に発行した社債の買い戻し)に伴う特別損失などの影響で、連結の当期純利益は約81.9億円の純損失となりました。本業の収益力を示す営業利益は黒字である点に注意が必要です。

髙島屋は国内百貨店に加え、海外百貨店(ベトナムなど)、商業開発(東神開発によるショッピングセンター)、金融、建装業を併営しており、連結の利益はこれらに分散しています。連結の売上・利益が百貨店事業と一致しないのはこのためです。

J.フロント リテイリング(大丸松坂屋+パルコ)

J.フロント リテイリングは、大丸・松坂屋の百貨店事業に加え、SC事業(パルコ)、デベロッパー(不動産)、決済・金融を併営する持株会社です(国際会計基準IFRSを採用)。百貨店事業の売上高(純額)は約2,682億円、連結の売上収益(純額)は約4,451億円です。

消化仕入やパルコのテナント取扱高を含む総額売上高は約1兆2,905億円と、5グループで最大の店頭取扱高規模です。連結営業利益は約490億円、連結当期純利益は約283億円です。

強みは、大丸松坂屋の富裕層ビジネスの強化と、パルコによる都市型のショッピングセンター運営です。百貨店とSC、不動産を組み合わせた都市開発型のビジネスモデルが特徴です。

エイチ・ツー・オー リテイリング(阪急阪神、連結は食品事業が主力)

エイチ・ツー・オー リテイリングは、阪急百貨店・阪神百貨店を擁する関西地盤のグループです。連結売上高は約6,802億円と5グループで最大ですが、その主力は食品事業(イズミヤ・関西スーパーなどの食品スーパー、外部売上約4,159億円)です。

一方、百貨店事業の売上高(純額)は約1,853億円と5社で最も小さく、連結売上の3割弱にとどまります。連結の売上高で他社と比べると、百貨店としての規模を実態より大きく見てしまう点に注意が必要です。連結営業利益は約324億円、連結当期純利益は約300億円です。

強みは、阪急うめだ本店を核とする関西の集客力と、食品スーパーを含む食品事業との相乗効果です。百貨店と食品の両輪で関西の消費を取り込んでいます。

近鉄百貨店(関西地盤の中堅)

近鉄百貨店は、あべのハルカス近鉄本店を中心とする関西地盤の中堅グループです。百貨店事業の売上高(純額)は約1,032億円、連結売上高は約1,254億円で、百貨店業が連結の約8割を占めます。卸・小売や内装、不動産なども併営しています。

連結営業利益は約67億円、連結当期純利益は約37億円です。外商が堅調なことに加え、2025年の大阪・関西万博のオフィシャルストアの寄与もあり、増収増益となりました。

強みは、あべのハルカスという日本有数の高層複合ビルを核とした集客力と、関西の地域に根ざした顧客基盤です。大手4グループに次ぐ中堅として、関西の百貨店需要を担っています。

主要論点

連結の売上高で比べると、なぜ各社の規模を取り違えるのか?

百貨店各社の連結売上高を並べると、エイチ・ツー・オーが約6,802億円で最大に見えます。しかし、その主力は食品スーパーなどの食品事業(外部売上約4,159億円)で、百貨店事業の売上高は約1,853億円と5社で最も小さいのが実態です。

これは、各社が百貨店以外の事業を併営しているためです。髙島屋は海外百貨店・商業開発・金融を、J.フロントはパルコ(SC)や不動産を、エイチ・ツー・オーは食品スーパーを連結に含みます。そのため、連結売上高には百貨店以外の事業が含まれ、百貨店としての規模を正しく表しません。

百貨店としての規模を比べるときは、決算のセグメント情報に表れる百貨店事業の売上高(純額)で見るのが実態に合っています。この基準では三越伊勢丹(約4,468億円)が最大で、髙島屋・J.フロントが続きます。

髙島屋は営業利益が黒字なのに、なぜ連結は純損失なのか?

髙島屋の連結営業利益は約535億円の黒字ですが、連結の当期純利益は約81.9億円の純損失となりました。一見すると矛盾しているように見えますが、これは利益の段階の違いによるものです。

営業利益は、本業である百貨店や併営事業の収益力を表す利益です。これは黒字を確保しています。一方、当期純利益は、営業利益から特別損失や税金などを差し引いた最終的な利益です。髙島屋では、転換社債の買入消却に伴う特別損失などが計上され、最終的な当期純利益が純損失となりました。

このように、本業の収益力(営業利益)と最終的な損益(当期純利益)は分けて見る必要があります。特別損失は一時的な要因であることが多く、本業が黒字であれば収益力そのものが大きく損なわれているわけではありません。各社を比較するときは、どの段階の利益を見ているかを確認することが大切です。

各社の強みや収益構造には、どんな違いがあるのか?

主要5グループは、それぞれ異なる強みと収益構造を持っています。三越伊勢丹は、三越日本橋・伊勢丹新宿の旗艦店と富裕層・外商を軸に、高額品消費とインバウンドを取り込んで連結営業利益で3年連続の過去最高を達成しました。百貨店事業に集中したモデルが特徴です。

髙島屋とJ.フロントは多角化を進めています。髙島屋は海外(ベトナム)・商業開発・金融を、J.フロントはパルコや不動産を併営し、百貨店以外の事業でも収益を上げています。エイチ・ツー・オーは食品スーパーを含む食品事業が連結の主力で、関西で百貨店と食品の両輪を回しています。

近鉄百貨店は、あべのハルカス近鉄本店を核とする関西地盤の中堅です。各社に共通するのは、都心の旗艦店と富裕層向けの外商を収益の柱とし、採算の取りにくい店舗を整理しながら、不動産や金融、食品などの周辺事業を組み合わせている点です。

中期見通し

近未来1-2年

各社は、都心の旗艦店と富裕層・外商に経営資源を集中させる流れが続く見通しです。三越伊勢丹は百貨店事業の収益力を、髙島屋・J.フロントは多角化事業を、エイチ・ツー・オーは食品事業との相乗を、それぞれ強みとして競います。インバウンドの動向と高額品消費が、各社の業績を左右します。

中期3-5年

中期では、百貨店事業の規模で先行する三越伊勢丹と、多角化で連結収益を分散させる髙島屋・J.フロントとで、収益モデルの違いが鮮明になる見通しです。地方店の整理や不動産活用が進み、各社は採算の取れる都心店と高額品・富裕層への集中を強めます。

長期

長期では、人口減少とEC・専門店との競合のなかで、各社が百貨店事業をどう位置づけるかが分かれ目となります。百貨店に集中するか、不動産・金融・食品などへ多角化するかで、グループとしての姿が変わっていく見通しです。会社を比べる際は、連結・百貨店事業・店頭取扱高のどの数字を見ているかを区別することが前提となります。

よくある質問

日本で一番大きい百貨店グループはどこですか?
百貨店事業の売上高(会計上の純額)で見ると、三越伊勢丹ホールディングスが約4,468億円で最大です。髙島屋(国内百貨店業 約3,039億円)、J.フロント リテイリング(大丸松坂屋 約2,682億円)が続きます。連結売上高ではエイチ・ツー・オー(約6,802億円)が最大に見えますが、主力は食品事業で百貨店事業は約1,853億円です。
なぜ会社によって売上高の数字が大きく違うのですか?
売上高には、百貨店事業の売上(純額)、連結全体の売上(純額)、店頭取扱高(総額)の3つの見方があるためです。連結売上は不動産・金融・食品スーパーなどを含み、店頭取扱高は消化仕入を含むため会計上の売上より大きくなります。たとえばエイチ・ツー・オーの連結約6,802億円は食品事業を含み、百貨店事業は約1,853億円です。
髙島屋はなぜ純損失なのですか?
髙島屋の連結営業利益は約535億円の黒字ですが、特別損失(転換社債の買入消却など)の影響で、連結の当期純利益は約81.9億円の純損失となりました。本業の収益力を示す営業利益は黒字であり、特別損失という一時的な要因が最終損益に影響しています。
各社の特徴を教えてください。
三越伊勢丹は富裕層・高額品・外商を軸に百貨店事業に集中、髙島屋は海外・商業開発・金融へ多角化、J.フロントは大丸松坂屋とパルコ(SC)・不動産を併営、エイチ・ツー・オーは阪急阪神に加え食品スーパーが連結の主力、近鉄百貨店はあべのハルカスを核とする関西地盤の中堅、という違いがあります。
そごう・西武は主要企業に入らないのですか?
そごう・西武はかつて大手の一角でしたが、2023年に投資ファンドへ売却され、現在は上場していません。このため、本ページの上場する主要5グループの財務比較には含めていません。百貨店業界は、上場する主要5グループに加え、地方の百貨店なども含めて構成されています。

参考資料 / 一次ソース

  1. 1.
    三越伊勢丹ホールディングス「2026年3月期 決算短信」
  2. 2.
    髙島屋「2026年2月期 決算短信」
  3. 3.
    J.フロント リテイリング「2026年2月期 決算短信」(IFRS)
  4. 4.
    エイチ・ツー・オー リテイリング「2026年3月期 決算短信」
  5. 5.
    近鉄百貨店「2026年2月期 決算短信」
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