最終更新
TOPIC DETAIL · MERCHANDISING

ドラッグストアの商品戦略とPB|差別化と利益率の確保【2026年版】

ドラッグストアは、医薬品・化粧品・日用品・食品を一つの店舗で扱う業態として、商品の品ぞろえと値づけで競争しています。なかでも、自社で企画するプライベートブランド(PB)の拡大と、食品(フーズ)の強化が、差別化と利益率を高める手段になっています。たとえばマツキヨココカラ(3088)は中期経営計画で、PB商品の売上高構成比を15%以上に高める目標を掲げています。本ページでは、なぜ商品戦略・PBが重要か・PBの取り組み・商品カテゴリ別の戦略を整理します。

なぜドラッグストアは商品戦略・PBに力を入れるのか

利益率の確保

PB(プライベートブランド、小売業が自社で企画する商品)は、メーカーが全国に展開するブランド商品(ナショナルブランド)に比べて、仕入れや広告のコストを抑えやすく、利幅が大きいのが特徴です。価格競争が激しいドラッグストアでは、PBの比率を高めることが、利益率を確保する有力な手段になります。

他社との差別化

PBは、そのチェーンでしか買えない商品であるため、他社との違いづくりにつながります。とくに化粧品や健康関連の分野では、独自のPBが固定客づくりや来店動機の強化に役立ちます。どのチェーンでも同じナショナルブランドを並べるだけでは、価格以外の違いを出しにくいため、PBが差別化の鍵になります。

価格競争力

PBや独自の調達は、価格競争力にも直結します。ドラッグストアは医薬品や化粧品の利益で食品や日用品を低価格に抑えやすく、PBを組み合わせることで、食品スーパーやネット通販に対して価格面で対抗できます。物価高で生活防衛の意識が高まるなか、価格の訴求力は来店を左右します。

PB(プライベートブランド)の取り組み

マツキヨココカラはPB構成比15%以上を目標

PBの拡大を明確に掲げているのが、マツキヨココカラ(3088)です。同社は中期経営計画で、PB商品の売上高構成比を15%以上に高めることを目標とし、あわせて美容・健康(ヘルス&ビューティー)分野の売上高構成比を75.0%に高める目標を示しています。化粧品を中心としたPBを差別化の柱に据え、都市型・ビューティ強という同社の特色を生かす戦略です(いずれも中期経営計画の目標値で、実績ではありません)。

各社が独自のPB・低価格商品を展開

PBへの取り組みは、マツキヨココカラに限りません。ウエルシアやコスモス薬品、サンドラッグなどの主要チェーンも、それぞれ独自のPBや低価格の自社企画商品を展開しています。食品に強いコスモス薬品やクスリのアオキは低価格の食品・日用品で、ディスカウント型のサンドラッグは価格訴求で、というように、各社の特色に沿った形で差別化を図っています。PBの売上構成比は会社ごとに異なり、業界全体で共通の数値があるわけではありませんが、上位チェーンを中心にPBの拡大が共通の流れになっています。

PBの狙いは利益率と固定客づくり

各社がPBを広げる狙いは共通しています。第1に、利幅の大きいPBで利益率を高めること。第2に、そのチェーンでしか買えない商品で固定客をつくること。第3に、環境配慮型の商品など付加価値で選ばれること(マツキヨココカラは、PB商品のうち環境に配慮した商品の比率を60%に高めることを目標に掲げています)。PBは、価格と差別化と付加価値を同時に追える商品戦略の中心です。

商品カテゴリ別の戦略

食品(フーズ)の強化で来店頻度を上げる

近年とくに伸びているのが、食品(フーズ)の強化です。業態全体でみると、フーズ・その他は2024年度に前年比+13.2%と4区分で最も高い伸びを示しています(市場規模のページを参照)。食品は利幅こそ薄いものの、毎日の買い物として来店頻度を高め、ついで買いを促す集客装置になります。コスモス薬品やクスリのアオキのように、食品を前面に出して小商圏で展開するチェーンも増えています。

化粧品(ビューティ)で利幅を確保する

化粧品(ビューティ)は、食品や日用品に比べて利幅が大きいカテゴリで、都市型チェーンの収益を支えています。ビューティケアは業態全体で2024年度に前年比+11.7%と高い伸びを示し、訪日客の需要も都市部の店舗で収益に寄与しています。マツキヨココカラのように、化粧品のPBや専門性を強みに固定客をつくる戦略が広がっています。

調剤・健康関連との組み合わせ

商品戦略は、調剤併設や健康関連商品とも組み合わされます。処方薬を受け取りに来た客が、PBの日用品や健康食品を買う、といったついで買いを生む動線づくりが進んでいます。調剤・ヘルスケアを軸に、PB・食品・化粧品を組み合わせて「健康と生活の入り口」としての役割を強めるのが、商品戦略の方向です。

食品スーパー・コンビニ・ネット通販との競争

これらの商品戦略は、ほかの小売業態との競争のなかで進められています。食品では食品スーパーやコンビニと、日用品や化粧品ではネット通販と競合します。ドラッグストアは、医薬品・化粧品の利益で食品を低価格に抑えやすい強みを持つ一方、生鮮食品の鮮度管理や品ぞろえの幅では食品スーパーに分があり、カテゴリごとに強みと課題が分かれます。

主要論点

なぜドラッグストアはPBを拡大するのか?

PB(プライベートブランド)は、利幅が大きく、他社との差別化にもつながるため、各社が拡大を進めています。マツキヨココカラ(3088)は中期経営計画で、PB商品の売上高構成比を15%以上に高めることを目標に掲げています(目標値であり実績ではありません)。

PB拡大の狙いは3つあります。第1に、メーカーのブランド商品より仕入れ・広告のコストを抑えやすく、利益率を確保できること。第2に、そのチェーンでしか買えない商品で固定客をつくれること。第3に、環境配慮など付加価値で選ばれること。価格競争が激しいドラッグストアにとって、PBは価格・差別化・付加価値を同時に追える手段です。

ただし、PBの拡大には商品開発力と品質管理が求められます。安さだけでなく品質で支持されなければ固定客にはつながらないため、開発体制とブランドづくりが、PB戦略の成否を分けます。

なぜ食品(フーズ)の強化が進んでいるのか?

食品(フーズ)は、業態全体で前年比+13.2%と4区分で最も高い伸びを示し、来店頻度を高める集客装置として強化が進んでいます。食品は毎日の買い物の対象であり、ついで買いを促すため、医薬品や化粧品の販売にもつながります。

コスモス薬品やクスリのアオキのように、食品を前面に出して小商圏で展開するチェーンも増えています。ドラッグストアは医薬品・化粧品の利益で食品を低価格に抑えやすく、価格面で食品スーパーに対抗できる強みがあります。

一方で、食品強化は食品スーパーやコンビニとの競争を意味します。生鮮食品の鮮度管理や品ぞろえの幅では食品スーパーに分があり、どこまで食品を広げるかは、各チェーンの立地と顧客層によって選択が分かれます。

商品戦略でドラッグストアは他業態にどう対抗するのか?

ドラッグストアの商品戦略は、食品スーパー・コンビニ・ネット通販との競争のなかで組み立てられています。それぞれの業態と競合する領域が異なるため、カテゴリごとに強みと課題が分かれます。

ドラッグストアの強みは、医薬品・化粧品という利幅の大きいカテゴリを持ち、その利益で食品や日用品を低価格に抑えやすい点です。PBを組み合わせることで、価格と差別化の両面で対抗できます。化粧品や調剤の専門性は、コンビニやネット通販にはない強みです。

課題は、生鮮食品では食品スーパーに、品ぞろえの幅や配送ではネット通販に及ばない点です。商品戦略は、強みのある医薬・化粧品・調剤を軸に、PBと食品で来店動機を広げる組み合わせが基本となります。

よくある質問

ドラッグストアのPB(プライベートブランド)とは何ですか?
PB(プライベートブランド)とは、小売業が自社で企画する商品です。メーカーのブランド商品(ナショナルブランド)に比べて仕入れ・広告のコストを抑えやすく、利幅が大きいのが特徴です。ドラッグストアは、利益率の確保と他社との差別化のためにPBを拡大しており、マツキヨココカラ(3088)は中期経営計画でPB商品の売上高構成比を15%以上に高めることを目標に掲げています。
ドラッグストアのPB比率はどのくらいですか?
PBの売上構成比は会社ごとに異なり、業界全体で共通の数値があるわけではありません。個別企業では目標を公表している例があり、マツキヨココカラ(3088)は中期経営計画でPB商品の売上高構成比15%以上を目標としています(目標値であり実績ではありません)。各社の実際のPB比率は、各社のIR資料で確認する必要があります。
なぜドラッグストアは食品に力を入れているのですか?
食品(フーズ)は毎日の買い物として来店頻度を高め、ついで買いを促す集客装置になるためです。業態全体でみると、フーズ・その他は前年比+13.2%と4区分で最も高い伸びを示しています。ドラッグストアは医薬品・化粧品の利益で食品を低価格に抑えやすく、価格面で食品スーパーに対抗できる強みがあります。
ドラッグストアと食品スーパーは何が違うのですか?
ドラッグストアは医薬品・化粧品・日用品・食品を扱い、医薬品・化粧品の利益で食品を低価格に抑えやすい強みがあります。一方、食品スーパーは生鮮食品の鮮度管理や品ぞろえの幅で強みを持ちます。ドラッグストアは食品を強化しつつも、医薬品・化粧品・調剤の専門性を軸にする点で、食品スーパーとは商品構成と収益の作り方が異なります。
化粧品(ビューティ)はドラッグストアにとってどう重要ですか?
化粧品(ビューティ)は食品や日用品に比べて利幅が大きく、収益を支える重要なカテゴリです。ビューティケアは業態全体で前年比+11.7%と高い伸びを示し、都市部では訪日客の需要も収益に寄与しています。マツキヨココカラのように、化粧品のPBや専門性を強みに固定客をつくる都市型チェーンもあります。

参考資料 / 一次ソース

  1. 1.
  2. 2.
    日本チェーンドラッグストア協会 第25回(2024年度)実態調査
📄 資料DL💬 無料相談