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EC物流と宅配便|2024年問題と再配達の課題【2026年版】

EC市場の拡大は、商品を家庭まで届ける宅配便の量を押し上げてきました。宅配便の取扱個数は2024年度に50億3,147万個(前年比+0.5%)に達しています。一方で、トラック運転手の時間外労働の上限規制(物流の2024年問題)により輸送力の確保が課題となり、配送効率を下げる再配達率は2025年10月時点で8.3%です。宅配便の量、再配達と置き配、物流2024年問題への対応まで順に整理します。

宅配便取扱個数(2024年度)
50.3億個
50億3,147万個、前年比+0.5%
出典: 国土交通省「宅配便・メール便取扱実績」
再配達率(2025年10月)
8.3%
前年同月から低下、半年ごと(4月・10月)に調査
出典: 国土交通省「宅配便再配達率調査」
再配達率の目標
6%
令和6年度目標(物流革新に向けた政策パッケージ)
出典: 物流革新に向けた政策パッケージ(2023年6月)
置き配の利用率(2025年9月)
34.9%
玄関前などへの非対面配達。再配達削減の柱
出典: 国土交通省

宅配便の再配達率の推移(全体、%)

国土交通省 宅配便再配達率調査。半年ごと(4月・10月)に実施。令和6年度に6%とする政府目標に対し、2025年10月は8.3%
読み解き

宅配便の再配達率は、2024年10月の9%から2025年10月の8.3%へ緩やかに低下しています。置き配や宅配ボックスの普及、消費者への呼びかけが効果を上げつつあります。ただし国が令和6年度に掲げた6%の目標には届かず、再配達の削減は引き続き物流の効率化の柱となっています。再配達は配達員が同じ荷物を二度運ぶことになり、人手とコストの無駄を生むため、一度で受け取れる仕組みづくりが進められています。

このグラフに関連するトピック

宅配便・メール便の取扱個数(2023・2024年度)

国土交通省 宅配便・メール便取扱実績。宅配便はトラック運送と航空等利用運送の合計。メール便は別系統(参考)
読み解き

宅配便の取扱個数は2024年度に50億3,147万個(前年比+0.5%)と増加しました。大半はトラック運送(49億2,614万個)で、航空等利用運送(1億533万個)が一部を占めます。一方、メール便は33億4,477万個(前年比-7.3%)と減少しています。これは書籍・カタログなど紙の郵送物の電子化などが背景とみられ、宅配便とは別の動きを示しています。EC拡大で家庭向けの小口配送が増える構図が続いています。

主要論点

物流の2024年問題とは何で、EC物流にどう影響するのか?

物流の2024年問題とは、2024年度からトラック運転手の時間外労働に年間960時間の上限が設けられたことで生じる、輸送力不足の懸念を指します。働き方改革の一環で運転手の労働環境を改善する一方、1人あたりの運べる量が減るため、何も対策をしなければ運べない荷物が出るおそれがあります。

EC市場の拡大で宅配便は2024年度に50億3,147万個まで増えており、配送量は増え続けています。そこに輸送力の制約が重なるため、EC事業者と物流事業者にとって配送網の確保は事業の前提条件となっています。対応として、配送の効率化(積載率の向上、共同配送)、再配達の削減、配送拠点の分散による距離の短縮などが進められています。

運転手不足は構造的な課題で、賃金の引き上げや荷待ち時間の削減、自動化(自動運転・配送ロボット)の検討も含めて、業界全体で取り組みが続いています。EC物流の効率化は、市場の拡大を支える基盤として重要性を増しています。

再配達はなぜ問題で、どう減らすのか?

再配達は、配達時に受取人が不在で荷物を持ち帰り、改めて配達することです。再配達率は2025年10月時点で8.3%です。国は令和6年度に6%まで半減させる目標を掲げましたが達成には至らず、引き続き削減が課題となっています。

再配達は、配達員が同じ荷物を二度運ぶことになり、人手・燃料・時間の無駄を生みます。輸送力が制約されるなかで、この無駄を減らすことは物流全体の効率化に直結します。削減の柱が置き配で、玄関前や宅配ボックス、指定の場所へ非対面で届ける方法です。置き配の利用率は2025年9月時点で約34.9%まで広がっています。

このほか、コンビニや駅の宅配ロッカーでの受け取り、配達日時の事前指定、配達状況の通知なども再配達の削減に寄与しています。一度で確実に受け取れる仕組みを広げることが、消費者・事業者・物流業者の三者にとっての利益となります。

EC事業者は物流の課題にどう向き合っているのか?

EC事業者にとって、注文した商品が確実・迅速に届くことは顧客満足の中核です。配送網の制約が強まるなかで、各社は物流への投資と工夫を強めています。

大手モールは、自前の配送拠点(フルフィルメントセンター)の整備や、当日・翌日配送の体制づくりを進めています。注文を受けてから出荷するまでを自動化・効率化し、消費者に近い拠点に在庫を置くことで配送距離を短くしています。中小事業者も、外部の物流サービス(フルフィルメント代行)を使うことで、保管から配送までを委託できるようになっています。

一方で、速さを追求するほど物流のコストと人手の負担は増します。送料の見直しや、配送日のまとめ依頼(ゆっくり配送の選択肢)、置き配の標準化など、効率と利便性のバランスを探る動きも広がっています。物流の持続可能性が、EC全体の成長を左右する条件となっています。

中期見通し

近未来1-2年

置き配・宅配ボックス・コンビニ受け取りの普及で再配達率は緩やかに低下する見通しです。一方、トラック運転手不足は続き、送料の見直しや配送日のまとめ依頼など、消費者の協力を求める動きが広がります。

中期3-5年

中期では、共同配送や積載率の向上、配送拠点の分散による効率化が進みます。EC事業者は自前・外部の物流網への投資を強め、速さとコストのバランスを探る取り組みが続きます。

長期

長期では、自動運転や配送ロボット、ドローンなどの技術が、人手不足を補う手段として実用化に向かう見通しです。物流の持続可能性が、EC市場の拡大ペースを左右する基盤であり続けます。

よくある質問

宅配便の取扱個数はどのくらいですか?
国土交通省によると、宅配便の取扱個数は2024年度に50億3,147万個(前年比+0.5%)です。大半はトラック運送(49億2,614万個)で、航空等利用運送が1億533万個です。EC市場の拡大を背景に、長期的に増加を続けています。
物流の2024年問題とは何ですか?
2024年度からトラック運転手の時間外労働に年間960時間の上限が設けられたことで生じる、輸送力不足の懸念を指します。運転手の労働環境を改善する一方、1人あたりの運べる量が減るため、配送の効率化や再配達の削減が急がれています。EC拡大で配送量が増えるなか、物流の確保が事業の前提条件となっています。
宅配便の再配達率はどのくらいですか?
国土交通省の調査によると、宅配便の再配達率は2025年10月時点で約8.3%です。国は令和6年度に6%とする目標を掲げましたが達成には至らず、置き配や宅配ボックスの普及で緩やかに低下しています。再配達は人手・燃料の無駄を生むため、削減が物流効率化の柱となっています。
置き配はどのくらい使われていますか?
置き配(玄関前などへの非対面配達)の利用率は、2025年9月時点で約34.9%です。再配達を減らす柱として、宅配ボックスやコンビニ受け取りとともに普及が進んでいます。一度で確実に受け取れる仕組みが、消費者・事業者・物流業者の三者の利益となります。
EC拡大は物流にどんな影響を与えていますか?
EC市場の拡大で家庭向けの小口配送が増え、宅配便の取扱個数は2024年度に50億個を超えました。一方でトラック運転手の時間外労働規制(2024年問題)で輸送力の確保が課題となり、再配達の削減、置き配の普及、配送拠点の整備、共同配送など、物流の効率化が業界共通のテーマとなっています。

参考資料 / 一次ソース

  1. 1.
    国土交通省「令和6年度 宅配便・メール便取扱実績について」
  2. 2.
    国土交通省「宅配便再配達率調査」(令和7年10月)
  3. 3.
    物流革新に向けた政策パッケージ(2023年6月)
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