EC業界の市場規模・主要企業・動向
日本のBtoC-EC市場は2024年に26.1兆円へ拡大し、物販分野のEC化率は9.78%とまだ伸長の余地を残しています
EC(電子商取引)業界とは、インターネット上で商品やサービスを売買する産業で、消費者向け(BtoC)・企業間(BtoB)・個人間(CtoC)の取引形態から成ります。2024年の国内BtoC-EC市場は26兆1,225億円(前年比+5.1%)で、物販分野のEC化率は9.78%です。企業間のBtoB-ECは514兆4,069億円と桁違いに大きく、楽天市場・Amazon・Yahoo!ショッピングのモール3強や、メルカリのフリマ、BASEなどのEC支援サービスが市場を形づくっています。本ページでは、日本のEC業界を、市場規模、商品カテゴリ別の浸透、主要プレイヤーとビジネスモデル、企業間EC、EC物流の5軸で整理します。
業界サマリ
業界概要
EC(電子商取引)業界とは、インターネット上で商品やサービスを売買する産業で、消費者向け(BtoC)・企業間(BtoB)・個人間(CtoC)の取引形態から成ります。スマートフォンの普及とコロナ禍を経て市場は拡大を続け、2024年の消費者向けBtoC-ECは26兆円を超えました。
- BtoC-ECは物販系・サービス系・デジタル系の3分野で構成されます。物販系(衣類・食品・家電などモノの購入で、全商取引に占めるEC比率=EC化率を測れる分野)が15兆2,194億円で最大、サービス系(旅行・飲食予約・チケット等の予約購入)が8兆2,256億円、デジタル系(電子書籍・動画配信・ゲーム等の購入)が2兆6,776億円です。
- 物販のEC化率はカテゴリで大きく異なります。書籍や生活家電が4割から5割に達する一方、食品や化粧品・医薬品は1割に届かず、浸透が遅れたカテゴリに成長の余地が残っています。
- モール・自社EC・フリマ・EC支援が併存しています。楽天市場やAmazonのモールが中核となり、メルカリのフリマ(CtoC市場2兆5,269億円)やBASEなどの出店支援サービスが裾野を広げています。
市場動向
国内のBtoC-EC市場は2024年に26兆1,225億円(前年比+5.1%)へ拡大しました。物販分野のEC化率(商取引全体に占めるネット経由の割合)は2021年の8.78%から2024年に9.78%へ上昇しています。企業間のBtoB-ECは514兆4,069億円と消費者向けの約20倍にのぼります。
- 物販系BtoC-ECは2024年に15兆2,194億円(前年比+3.7%)で、EC化率は9.78%です。店舗を含む商取引全体に占めるEC比率はまだ1割未満で、上昇が続いています。
- サービス系は8兆2,256億円・デジタル系は2兆6,776億円です。旅行や飲食などのサービス系がコロナ禍からの回復で前年比+9.43%と伸び、デジタル系はほぼ横ばいで推移しています。
- BtoB-ECは514兆4,069億円でEC化率は43.1%です。卸売(128兆8,684億円)や食料品製造(EC化率81.3%)で電子受発注が進み、消費者向けより電子化が先行しています。
競争環境
日本のEC市場では、総合モール・専業EC・フリマ(CtoC)・EC支援サービスなど多様なプレイヤーが活動しています。楽天市場・Amazon・Yahoo!ショッピングのモール3強が物販の中核を占め、流通総額(GMV)と売上の関係、ビジネスモデルの違い、EC物流の効率化が共通の論点となっています。
- 総合モールが物販ECの中核です。楽天市場・Amazon・Yahoo!ショッピング(LINEヤフー)が大規模な流通総額を持ち、多数の出店事業者を抱えるマーケットプレイスとして機能しています。
- 専業ECとフリマが裾野を形成しています。ファッションのZOZO、個人間取引のメルカリ(CtoC市場2兆5,269億円)が独自の地位を築き、BASEなどは中小事業者のEC開設を支援しています。
- 企業間EC(BtoB)ではMonotaRO・アスクルなどが事業者向け通販を展開しています。Amazonは日本では非上場のため、規模は米国本社の地域別開示などから把握されます。
市場規模推移
2021-2024 · BtoC-EC市場規模BtoC-EC市場規模の推移 (3分野内訳、2021-2024年、兆円)
経済産業省の調査によると、消費者向けのBtoC-EC市場は2024年に26兆1,225億円 (前年比+5.1%) へ拡大しました。内訳は物販系が15兆2,194億円で最も大きく、旅行やチケットなどのサービス系が8兆2,256億円、電子書籍や動画配信などのデジタル系が2兆6,776億円です。
伸びをけん引したのはサービス系で、コロナ禍からの回復を背景に前年比+9.43%と拡大しました。物販系のEC化率は2021年の8.78%から2024年に9.78%へ緩やかに上昇しており、店舗を含む商取引全体に占めるEC比率はまだ1割に届いていません。デジタル系は巣ごもり需要の反動を経てほぼ横ばいです。
物販ECは商品カテゴリによって浸透度が大きく異なります。書籍・映像音楽ソフトのEC化率は56.45%、生活家電は43.03%と高い一方、食品は4.52%、化粧品・医薬品は8.82%にとどまります。市場規模では食品・衣類・生活家電・生活雑貨の上位4カテゴリが各2.5兆円を超え、物販系の約74%を占めています。
国境を越える越境ECも広がり、海外の消費者が日本のサイトから買う動きは国内事業者の販売機会となります。米国の消費者が日本の事業者から購入した額は1兆5,978億円、中国の消費者が日本の事業者から購入した額は2兆6,372億円です。買い手として最も大きいのは中国の消費者で、その越境BtoC-EC市場は5兆7,769億円(うち日本の事業者からの購入が2兆6,372億円)です。低浸透カテゴリの開拓とこうした海外需要の取り込みが、今後の成長余地となっています。
企業間のBtoB-EC市場は2024年に514兆4,069億円 (前年比+10.6%) と、消費者向けの約20倍の規模に達しています。EC化率は「その他」業種を除いて43.1%で、消費者向けより電子化が先行しています。受発注のデータ連携が進んでいることが背景です。
業種別では卸売が128兆8,684億円と最大で、製造業の食料品 (EC化率81.3%) や鉄・非鉄金属 (50.6%) でも電子受発注が広く使われています。電子データ交換 (EDI) の標準化やインボイス制度への対応が、企業間取引の電子化をさらに後押ししています。
主要トピック
業界構造
主要プレイヤー / サプライヤー / 流通 / 需要EC業界は、誰と誰の取引かで消費者向け(BtoC)・企業間(BtoB)・個人間(CtoC)の3つに分かれます。さらに売り方の面では、楽天市場やAmazonのような総合モール(マーケットプレイス)、自社サイトで直接売る自社EC、個人どうしが売買するフリマ、出店を支援するEC支援サービスなどのモデルが併存しています。
市場規模では消費者向けBtoC-ECが2024年に26兆1,225億円、企業間BtoB-ECが514兆4,069億円です。同じEC事業者でも、モールは流通総額(GMV)が売上を大きく上回り、自社ECは販売額と売上がほぼ一致するなど、モデルによって収益の作り方が異なります。
物販ECの中核は、楽天市場・Amazon・Yahoo!ショッピングの3つの総合モールです。多数の出店事業者を抱え、大規模な流通総額を持っています。これに、ファッション専業のZOZOや個人間取引のメルカリ、中小事業者の出店を支えるBASEなどが独自の地位を築いています。
企業間EC(BtoB)では、工具・間接資材のMonotaROやオフィス用品のアスクルが事業者向け通販を展開しています。Amazonは日本では非上場のため、規模は米国本社の地域別の開示などから把握されます。各社は流通総額の拡大、出店事業者の獲得、配送の速さや決済の利便性で競い合っています。
EC市場の拡大は、商品を家庭まで届ける宅配便の量を押し上げてきました。宅配便の取扱個数は2024年度に50億個を超えています。一方でトラック運転手の時間外労働規制(物流の2024年問題)で輸送力の確保が課題となり、再配達の削減や置き配の普及が業界共通のテーマとなっています。
大規模なモールの影響力が増すなかで、取引の公正さも論点です。Amazon・楽天市場・Yahoo!ショッピングは特定デジタルプラットフォームに指定され、出店事業者への取引条件の開示や運営状況の報告が法律で求められています。
業界の3大論点
EC化率の伸びしろはどこにあるのか?
物販分野のEC化率は2024年に9.78%で、店舗を含む商取引全体のなかでEC経由はまだ1割に届いていません。この全体平均の裏側には、商品カテゴリごとの大きな差があります。
書籍・映像音楽ソフトはEC化率が56.45%、生活家電が43.03%、生活雑貨・家具・インテリアが32.58%と、すでに半分前後がオンラインに移っています。一方で食品は4.52%、化粧品・医薬品は8.82%、自動車関連は4.16%と低く、これらの低浸透カテゴリが今後の主戦場となります。市場規模で最大の食品は、生鮮品の鮮度管理や冷蔵配送のコストが普及の壁となってきました。ネットスーパーや定期宅配の拡大、置き配や宅配ボックスの普及が、こうした壁を少しずつ下げています。
EC化率が高いカテゴリでの伸びが鈍化するなかで、食品や日用品など生活に密着した低浸透カテゴリをどう取り込むかが、市場全体の成長を左右します。
モールと自社ECはどう使い分けられるのか?
ECで商品を売る方法は大きく分けて、楽天市場やAmazonなどのモール(マーケットプレイス)に出店するか、自社のサイトで直接売る(自社EC、メーカーが消費者に直接販売するD2C)かの2つがあります。それぞれに利点と費用の構造の違いがあります。
モールは大きな集客力を持ち、出店すればすぐに多くの利用者に届きます。その代わりに販売額に応じた手数料がかかり、運営会社にとっては流通総額(GMV)が売上を大きく上回る構造になります。自社ECはBASEやShopifyなどのサービスで開設が容易になり、ブランドの世界観を作りやすく手数料負担も小さい一方、集客は自力で行う必要があります。さらに個人どうしが売買するフリマ(CtoC)市場も2兆5,269億円に達し、メルカリを中心に二次流通の市場を形づくっています。
多くの事業者はモールと自社ECを併用し、認知の獲得と利益率の確保を両立させています。どの販売チャネルにどの商品を載せるかが、EC事業の収益を左右します。
EC拡大と宅配のひっ迫にどう向き合うか?
EC市場の拡大は、商品を家庭まで届ける宅配便の量を押し上げてきました。宅配便の取扱個数は2024年度に50億3,147万個に達し、長期的に増加を続けています。一方で配送を担う人手の確保が課題となっています。
2024年度からはトラック運転手の時間外労働に上限が設けられ(物流の2024年問題)、輸送できる量が制約を受けやすくなりました。配送効率を下げる再配達も課題で、再配達率は2025年10月時点で約8.3%です。国は再配達率を6%まで下げる目標を掲げ、置き配(玄関前などへの配達、利用率は約34.9%)や宅配ボックス、コンビニ受け取りの普及を後押ししています。
EC事業者にとって配送網の安定は事業の前提条件であり、各社は配送拠点の整備や置き配の標準化、配送日のまとめ依頼などで物流の負担軽減に取り組んでいます。
よくある質問 (FAQ)
日本のEC市場規模はどれくらいですか?
EC化率とは何ですか? 日本のEC化率は?
BtoC-ECとBtoB-ECの違いは何ですか?
ECで売れている商品カテゴリは何ですか?
主要なEC事業者(モール)はどこですか?
フリマアプリ(CtoC)の市場規模はどれくらいですか?
EC拡大で物流にどんな影響がありますか?
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18 業界参考資料 / 一次ソース
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