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EC主要プレイヤーの規模比較|流通総額と業績でみる競争【2026年版】

日本のEC市場は、楽天市場・Amazon・Yahoo!ショッピングの総合モール3強を中心に、ファッション専業のZOZO、フリマのメルカリ、EC支援のBASEなどが事業を展開しています。EC事業の規模は売上ではなく、サイト上で取引された総額(流通総額・GMV)で測ります。楽天市場の国内EC流通総額は6兆3,452億円、メルカリのGMVは1兆1,209億円、ZOZOの商品取扱高は5,746億円です。各社の流通総額・連結売上・ビジネスの特色を順に整理します。

主要EC事業者の規模比較

流通総額・取扱高(EC事業の規模)と連結売上高(企業全体の規模)。★ 流通総額/取扱高は社で定義が異なる(モール=出店者の取引を含む流通総額、ZOZO=受託+買取の取扱高、メルカリ=個人間取引のGMV、Amazon=自社販売+手数料等の純売上)ため単純比較はできない。★ 楽天・LINEヤフーの連結売上はEC以外(金融・モバイル・広告等)を含む。営業利益は集計基準(連結・事業セグメント・調整後)が社で異なるため横並びにせず各社の解説で扱う。決算期は社で異なり各社の直近通期で揃えた(楽天=2025年12月期/LINEヤフー・ZOZO=2025年3月期/メルカリ=2025年6月期/BASE=2024年12月期)。Amazonは日本非上場で米国本社の年次報告書ベース(USD建て)

流通総額でみると、楽天市場(6兆3,452億円)とLINEヤフーの国内物販eコマース取扱高(3兆1,206億円)、Amazon(日本純売上 約274億ドル)の3強が大きく抜けています。メルカリのGMV(1兆1,209億円)、ZOZOの商品取扱高(5,746億円)、BASEの流通総額(1,542億円)が続きます。連結売上と比べると、モール・フリマでは流通総額が売上を大きく上回ります。これは運営会社の売上が、取引額そのものではなく出店者・出品者から得る手数料を中心とするためです。モール・直販・フリマ・EC支援といったモデルごとの稼ぎ方の違いが、この差を生んでいます。

楽天グループ — 国内最大級のモールと楽天経済圏

楽天グループは、国内最大級の総合モール「楽天市場」を運営し、国内EC流通総額は6兆3,452億円(2025年度、前年比+3.9%)です。2024年度はポイント制度(SPU)の改定などの影響で創業以来初めて前年を下回りましたが、2025年度は再びプラス成長に戻りました。

楽天の特徴は、ECに加えて金融(カード・銀行・証券)やモバイルを束ねた「楽天経済圏」です。共通のポイントとIDで利用者を囲い込み、EC・金融・通信を横断して使ってもらう戦略をとっています。このため連結売上収益(2兆4,966億円、2025年12月期、前年比+9.5%で過去最高)にはEC以外の事業が多く含まれます。国内EC事業の調整後(Non-GAAP)営業利益は1,224億円(+12.6%)と好調な一方、連結のIFRS損益はモバイル事業への大型投資にともなう費用を反映して純損失となっており、損益はEC事業の実態ではなく事業投資の局面を映しています。

Amazon — 自社販売とマーケットプレイスの両輪(日本非上場)

Amazon(Amazon.co.jp)は、自社で商品を仕入れて売る直販と、出品者に販売の場を提供するマーケットプレイスの両方を持つ総合モールです。日本では非上場のため、規模は米国本社Amazon.comの年次報告書(Form 10-K)の地域別開示から把握されます。2024年の日本の純売上は約274億ドルで、地域別では北米・欧州に次ぐ規模です。

この日本純売上は、自社販売の売上に加えてマーケットプレイス手数料や広告・サブスクリプション(プライム会員)収入などを含む数字で、他社の流通総額(GMV)とは定義が異なります。Amazonは物流網(フルフィルメントセンター)と当日・翌日配送、プライム会員制度を強みに、国内物販ECの中心的な存在となっています。為替の影響があるため、円換算ではなくドル建ての原数値で示しています。

LINEヤフー — Yahoo!ショッピング・ZOZO・アスクルを擁する

LINEヤフーは、ソフトバンク傘下でYahoo!ショッピングを運営し、ZOZO・アスクルを連結子会社に持つ総合プラットフォームです。国内物販のeコマース取扱高は3兆1,206億円(2025年3月期、前年比+2.7%)で、旅行などを含むeコマース取扱高全体では4兆円を超えます。

連結売上(1兆9,175億円、2025年3月期)には、コマースに加えて検索・広告などのメディア事業やLINEの各種サービスが含まれます。LINEのメッセージング基盤とYahoo!の検索・ID基盤を組み合わせ、コマースへの送客や決済(PayPay連携)を強化しているのが特徴です。傘下のZOZO・アスクルがそれぞれファッション・事業者向けで独自の地位を持つ点も、グループの幅を広げています。

メルカリ — フリマ(CtoC)最大手、リユース市場を牽引

メルカリは、個人どうしが売買するフリマアプリの最大手で、国内マーケットプレイスのGMVは1兆1,209億円(2025年6月期、前年比+4%)です。連結売上(1,926億円)は、取引額そのものではなく出品者・購入者から得る手数料が中心で、GMVが売上を大きく上回ります。

メルカリは中古品の二次流通(リユース)市場の拡大を追い風に成長しており、2025年6月期は営業利益278億円と過去最高水準でした。決済サービス「メルペイ」やクレジット(後払い)も育成しています。米国でもフリマ事業を展開し、2025年6月期に黒字化を達成しました。個人間取引(CtoC)市場全体は2024年に2兆5,269億円で、メルカリがその拡大を牽引しています。

ZOZO — ファッション専業EC、高い収益性

ZOZOは、ファッションEC「ZOZOTOWN」を運営する専業事業者で、商品取扱高は5,746億円(2025年3月期、前年比+7.0%)です。ブランドから商品を預かって販売する受託販売を中心に、買取販売も手がけています。LINEヤフーの連結子会社です。

連結売上は2,131億円、営業利益は648億円で、営業利益が売上の約3割に達する高い収益性が特徴です。受託販売のため在庫リスクが小さく、ファッション分野に特化したブランド誘致と物流・採寸技術(ZOZOSUITやZOZOMATなどの計測技術)で差別化してきました。物価高のなかでも出荷単価が上昇を続け、堅調に取扱高を伸ばしています。

BASE・事業者向けEC — 中小支援とBtoB

BASEは、中小事業者がネットショップを開設・運営できるサービスを提供するEC支援(SaaS)の代表格で、BASE事業の流通総額は1,542億円(2024年12月期)です。連結売上(160億円)は、ショップの開設・決済にかかる手数料が中心で、多数の小規模事業者の自社EC(D2C)を束ねるモデルです。2025年12月期はEストアーの子会社化により、グループ連結の流通総額が約5,000億円規模へ拡大しています。

事業者向け(BtoB)のECでは、工具・間接資材を扱うMonotaRO(連結売上3,339億円、2025年12月期)や、オフィス用品のアスクル(同4,811億円、2025年5月期、LINEヤフー連結)が大きな存在です。これらは事業者向けの直販に近く、売上がほぼ取引額にあたります。BtoB-EC市場(2024年514兆円)の規模は消費者向けの約20倍にのぼります。

主要論点

なぜEC事業の規模は「売上」でなく「流通総額(GMV)」で測るのか?

EC事業者の規模を比べるとき、連結売上だけを見ると実態を見誤ります。楽天グループの連結売上は2兆4,966億円ですが、これには金融・モバイルなどEC以外の事業が多く含まれます。一方で楽天市場で実際に取引された総額(国内EC流通総額)は6兆3,452億円にのぼります。

この差が生まれるのは、モールやフリマの運営会社の売上が、取引額そのものではなく出店者・出品者から得る手数料を中心とするためです。楽天市場やAmazonのマーケットプレイスは「場所を貸す」モデルで、流通総額(GMV)が運営会社の売上を大きく上回ります。だからEC事業の規模を比べるには、売上ではなく流通総額を見るのが一般的です。

ただし流通総額の定義も社で異なります。モールは出店者の取引を含み、ZOZOは受託・買取の取扱高、メルカリは個人間取引、Amazonは自社販売を含む純売上です。数字を比べる際は、何を含む金額かを確認する必要があります。

モール3強と専業・フリマはどこで差がつくのか?

日本のECは、楽天市場・Amazon・Yahoo!ショッピングの総合モール3強が物販の中核を占めます。流通総額・取扱高はいずれも兆円規模で、幅広い商品をそろえる総合性と、ポイント・物流・決済の基盤で利用者を囲い込んでいます。

これに対し、ZOZOやメルカリは特定の領域に特化することで独自の地位を築いています。ZOZOはファッションに絞ってブランドを集め、受託販売で営業利益率が約3割と高収益です。メルカリは個人間取引(CtoC)という総合モールが手薄な領域で最大手となり、リユース市場の拡大を取り込んでいます。BASEは中小事業者の自社EC開設を支える裏方として、多数の小規模ショップを束ねています。

総合モールが規模で先行する一方、専業・フリマ・EC支援は特定領域での深さや独自モデルで競争力を保っています。総合性と専門性のどちらを軸にするかが、各社のポジションを分けています。

各社の収益性の違いは何を示すのか?

主要EC各社の収益性は、ビジネスモデルと投資局面によって大きく異なります。ZOZOは営業利益648億円(売上の約3割)、メルカリは278億円と高い収益性を示します。ZOZOは商品を預かる受託販売で在庫リスクが小さく、メルカリは手数料型のフリマで利益が残りやすい構造だからです。

一方、楽天グループは連結で純損失が続いてきました。これはEC事業の不振ではなく、モバイル事業への大型投資にともなう費用や財務負担を反映したものです。国内EC事業の調整後営業利益は1,224億円と好調で、ECや金融は利益を生んでいます。連結の損益だけで競争力を判断するのは適切ではありません。

このように、連結営業利益は各社で集計の基準(連結全体・事業セグメント・調整後)が異なり、単純な横並び比較には向きません。規模(流通総額)・売上・収益性をそれぞれの文脈で読むことが、各社の実力を理解する鍵となります。

中期見通し

近未来1-2年

総合モール3強が物販ECの中核を保つ見通しです。楽天はポイント制度改定後の流通総額の回復、Amazonは物流と配送の速さ、LINEヤフーはPayPay連携での送客が焦点となります。メルカリ・ZOZOは専門領域での成長を続ける見込みです。

中期3-5年

中期では、各社が物流・決済・広告(リテールメディア)など流通総額を収益に変える仕組みをどこまで広げられるかが競争軸となります。生成AIを使った購買支援や検索体験の改善も、各モールが力を入れる領域です。

長期

長期では、国内市場の成熟のなかで越境ECや新領域(食品・サービス)の取り込み、物流網の効率化が成長を左右します。総合モールの規模と専業・フリマの専門性が、それぞれの強みを軸に併存し続ける見通しです。

よくある質問

日本の主要なEC事業者はどこですか?
物販ECでは楽天市場・Amazon・Yahoo!ショッピング(LINEヤフー)の総合モール3強が中心です。これにファッション専業のZOZO、フリマのメルカリ、EC支援のBASEが続き、事業者向け(BtoB)ではMonotaRO・アスクルが大きな存在です。
楽天市場・メルカリ・ZOZOの流通総額(GMV)はどのくらいですか?
楽天市場の国内EC流通総額は6兆3,452億円(2025年度、前年比+3.9%)、メルカリのGMVは1兆1,209億円(2025年6月期)、ZOZOの商品取扱高は5,746億円(2025年3月期)です。LINEヤフーの国内物販eコマース取扱高は3兆1,206億円(2025年3月期)です。
なぜ楽天の連結売上とEC流通総額は大きく違うのですか?
楽天グループの連結売上(2兆4,966億円)には金融・モバイルなどEC以外の事業が含まれます。一方、楽天市場で取引された総額(国内EC流通総額6兆3,452億円)は、運営会社の売上ではなく出店者の取引を含む金額です。モールの売上は手数料が中心のため、流通総額が連結売上を上回ります。
Amazonの日本での規模はどのくらいですか?
Amazonは日本では非上場のため、米国本社Amazon.comの年次報告書(Form 10-K)の地域別開示から把握されます。2024年の日本の純売上は約274億ドルで、自社販売に加えてマーケットプレイス手数料や広告・プライム会員収入などを含みます。他社の流通総額(GMV)とは定義が異なります。
ZOZOやメルカリの収益性が高いのはなぜですか?
ZOZOはブランドから商品を預かる受託販売が中心で在庫リスクが小さく、営業利益が売上の約3割(648億円、2025年3月期)と高収益です。メルカリは個人間取引の手数料型モデルで利益が残りやすく、2025年6月期の営業利益は278億円と過去最高水準でした。ビジネスモデルの違いが収益性に表れています。

参考資料 / 一次ソース

  1. 1.
    楽天グループ2025年度決算 / メルカリ・ZOZO・BASE・LINEヤフー 各IR(決算短信・決算説明資料)
  2. 2.
    Amazon.com, Inc. Form 10-K(FY2024)
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