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家電のEC化とネット通販との競合|EC化率の高さと量販店の対応【2026年版】

家電は、商品の分野別でみるとネット通販で買われる割合(EC化率)が43.03%と、物販で2番目に高い水準にあります。これは家電という商品全体の数字で、Amazon・楽天などの純ネット勢と、家電量販店各社のネット通販を合わせた比率です。家電量販店は、ヨドバシ.comのように自社のネット通販を伸ばす一方、純ネット勢との競争にもさらされています。EC化率の高さの背景と、量販店の対応を整理します。

家電のEC化率(2024年)
43.03%
生活家電・AV機器・PC等という商品分野のネット販売の比率(量販店だけでなくAmazon・楽天等を含む全事業者ベース)。物販分野で2番目に高い
出典: 経済産業省「電子商取引に関する市場調査」
家電のネット販売額(2024年)
2兆7,443億
生活家電・AV機器・PC・周辺機器等のBtoC-ECの販売額(全EC事業者横断)
出典: 経済産業省「電子商取引に関する市場調査」
物販全体のEC化率(2024年)
9.78%
物販系BtoC-EC全体の平均。家電の43.03%はこの平均を大きく上回る
出典: 経済産業省「電子商取引に関する市場調査」
ヨドバシ.comの売上(2024年3月期)
2,268億円
家電量販店のネット通販の先行者。EC比率は約3割で、家電量販ECで売上首位級
出典: ヨドバシカメラ 公表値

物販分野別のEC化率(2024年、%)

経済産業省の電子商取引市場調査。各分野の小売全体に占めるネット販売の比率。物販全体の平均は9.78%で、家電(生活家電・AV・PC等)はそれを大きく上回る。各分野とも全EC事業者を横断した数字で、特定のチャネルだけの比率ではない
読み解き

家電(生活家電・AV機器・パソコン等)のEC化率は43.03%で、書籍・映像・音楽ソフト(56.45%)に次ぐ2番目の高さです。物販全体の平均9.78%や、生活雑貨・家具・インテリア(32.58%)と比べても、家電がネットで買われやすい商品であることがわかります。これは、家電が型番で仕様が決まる規格化された商品で、価格を比較しやすく、配送・設置の仕組みも整っているためです。なお衣類や食品はこれらより低く、商品の性質によってEC化の進み方は大きく異なります。

このグラフに関連するトピック

なぜ家電は、ネットで買われやすいのか

型番で仕様が決まる規格化された商品

家電のEC化率が物販で特に高い第1の理由は、商品が規格化されていることです。家電は型番(品番)で仕様が決まり、どの店で買っても同じ製品が届きます。衣類のように試着が必要だったり、食品のように鮮度を確かめたりする必要が薄いため、実物を見なくてもネットで安心して選べる商品です。

価格を比較しやすい

第2に、価格の比較が容易なことです。同じ型番の製品が複数の店で売られているため、価格比較サイトなどで最も安い店を探しやすく、価格の安いネット通販が選ばれやすくなっています。家電は単価が高い商品も多く、少しの価格差が金額として大きくなるため、消費者が比較に手間をかける動機も働きます。

配送・設置の仕組みが整っている

第3に、配送・設置の仕組みが整っていることです。冷蔵庫や洗濯機のような大型家電でも、自宅への配送や設置、古い製品の引き取りまでネットの注文で完結できるようになり、店頭で持ち帰る必要が薄れています。こうした条件が重なり、家電は物販のなかでもネット通販との相性が高い分野になっています。

量販店のネット通販と、純ネット勢との競合

量販店ECとAmazon・楽天が混在する市場

家電のネット販売2兆7,443億円には、Amazonや楽天といった純粋なネット通販の事業者と、家電量販店各社の自社のネット通販(ヨドバシ.com・ビックカメラ.com・ジョーシンwebなど)の両方が含まれます。43.03%という家電のEC化率は、この両者を合わせた商品分野全体の数字です。量販店から見れば、ネット通販はこれだけ大きな販売の場であると同時に、純ネット勢と価格やサービスで競い合う場でもあります。

自社ECで先行するヨドバシと上新

家電量販店のなかでネット通販に強いのがヨドバシカメラです。ヨドバシ.comの売上は2,268億円、自社売上に占めるEC比率は約3割にのぼり、即日配送などの利便性でAmazonに次ぐ国内の通販として知られます。上新電機(ジョーシン)もEC化率17.1%(ネット売上691億円)と量販店のなかでは高い水準です。各社の自社EC比率(数%〜約3割)は、家電という商品分野全体のEC化率43.03%とは別の数字である点に注意が必要です。

店舗とネットを組み合わせるオムニチャネル

純ネット勢との競争のなかで、家電量販店の強みは店舗とネットを組み合わせられることです。店舗で実物を見て触れてからネットで注文する、ネットで注文した商品を最寄りの店舗で受け取る、設置や修理・相談で店舗を使うといった、ネット単独ではできない体験を提供できます。実店舗網を、商品の展示場であると同時に在庫拠点・受け取り拠点・サービス拠点として使う「オムニチャネル」が、各社の競争の軸になっています。

主要論点

家電のEC化率が物販で突出して高いのは、なぜか?

家電(生活家電・AV機器・パソコン等)のEC化率は43.03%で、物販全体の平均9.78%を大きく上回り、書籍・映像・音楽ソフトに次ぐ2番目の高さです。背景には、家電という商品の性質があります。

第1に、家電は型番で仕様が決まる規格化された商品で、どの店で買っても同じ製品が届くため、実物を見なくてもネットで選びやすいことです。第2に、同じ製品が複数の店で売られているため価格を比較しやすく、単価が高い商品も多いことから、消費者が比較に手間をかける動機が働くことです。第3に、大型家電でも配送・設置・引き取りがネットの注文で完結する仕組みが整っていることです。

これらが重なり、家電はネット通販との相性が高い商品分野になっています。ただしこの43.03%は商品分野全体の数字で、その販売を担うのはAmazon・楽天などの純ネット勢と量販店各社の両方です。

家電量販店は、Amazon・楽天とどう競うのか?

家電のネット通販は、Amazonや楽天といった純ネット勢と、家電量販店各社の自社ネット通販が混在する市場です。型番が同じ商品は価格が比較されやすいため、純ネット勢との価格競争は厳しく、量販店にとってネット通販は機会であると同時に脅威でもあります。

このなかで量販店が打ち出しているのが、店舗とネットの組み合わせ(オムニチャネル)です。ヨドバシ.comのように即日配送と店舗受け取りを組み合わせて利便性で勝負する、店舗で実物を確認してから購入してもらう、設置・修理・相談といった対面のサービスで付加価値をつける、といった戦い方です。

加えて、ポイント還元や延長保証、下取りなど、価格だけではない要素で顧客をつなぎとめています。純ネット勢が持たない実店舗網を、展示・在庫・受け取り・サービスの拠点として生かせるかが、競争の鍵になっています。

ネット通販が広がるなかで、店舗の役割はどう変わるのか?

ネット通販が広がっても、家電量販店の実店舗がなくなるわけではありません。むしろ店舗の役割が、商品を「売る場所」から、ネットと組み合わせた多様な拠点へと変わりつつあります。

店舗は、実物を見て触れる展示の場であり、ネット注文の商品を受け取る受け取り拠点であり、設置・修理・相談に対応するサービス拠点でもあります。家電量販店の店舗数は約2,650店で頭打ちとなっており、各社は新規出店よりも、1店舗あたりの収益力を高めることや、店舗とネットの連携を強めることに力点を移しています。

今後は、店舗の数を増やすのではなく、限られた店舗をネットの強みと組み合わせてどう生かすかが、各社の課題になります。ネットで完結しやすい商品ほど、店舗ならではの体験やサービスをどう提供するかが問われます。

中期見通し

近未来1-2年

家電のEC化率は高水準で推移し、Amazon・楽天などの純ネット勢との価格競争が続く見通しです。各社は、即日配送や店舗受け取り、設置・下取りなどの利便性で差別化を図ります。ヨドバシ.comのように自社ECを伸ばす動きと、店舗とネットを連携させるオムニチャネルの強化が進みます。

中期3-5年

店舗数が頭打ちのなか、限られた店舗をネットと組み合わせてどう生かすかが各社の課題です。店舗を受け取り・在庫・サービスの拠点として活用し、ネットで完結しにくい設置・相談・修理といった対面の価値を高める動きが続きます。物流や在庫管理への投資の効率が、収益を左右します。

長期

家電は商品の性質上ネット通販との相性が高く、EC化はさらに進む可能性があります。そのなかで家電量販店は、純ネット勢にはない実店舗網とサービスを軸に、価格以外の価値を提供できるかが生き残りの条件になります。店舗とネットの境界をなくしたシームレスな購買体験を、どこまで築けるかが問われます。

よくある質問

家電のEC化率はどのくらいですか?
経済産業省の調査によると、生活家電・AV機器・パソコンなどの家電という商品分野のEC化率は43.03%(2024年)で、物販の分野別では書籍・映像・音楽ソフト(56.45%)に次ぐ2番目の高さです。物販全体の平均9.78%を大きく上回ります。この分野のネット販売額は2兆7,443億円です。
この43.03%は家電量販店のネット通販の比率ですか?
いいえ。43.03%は「家電という商品分野全体」のEC化率で、Amazonや楽天などの純粋なネット通販の事業者と、家電量販店各社のネット通販を合わせた、全EC事業者を横断した数字です。家電量販店各社の自社EC比率は別の数字で、ヨドバシカメラが約3割、上新電機が17.1%などとなっています。
なぜ家電はネットで買われやすいのですか?
家電は型番で仕様が決まる規格化された商品で、どの店で買っても同じ製品が届くためネットで選びやすいこと、同じ製品が複数の店で売られ価格を比較しやすいこと、大型家電でも配送・設置・引き取りがネット注文で完結する仕組みが整っていることが理由です。これらが重なり、家電は物販のなかでもネット通販との相性が高い商品分野になっています。
ネット通販に強い家電量販店はどこですか?
ヨドバシカメラが代表格で、ヨドバシ.comの売上は2,268億円、自社のEC比率は約3割と、家電量販のネット通販の先行者です。上新電機(ジョーシン)もEC化率17.1%(ネット売上691億円)と高い水準にあります。各社とも自社のネット通販を強化し、店舗との連携(オムニチャネル)を進めています。
家電量販店はAmazonや楽天とどう競っているのですか?
家電量販店は、店舗とネットを組み合わせる「オムニチャネル」で競っています。店舗で実物を見てネットで買う、ネットで注文して店舗で受け取る、設置・修理・相談で店舗を使うといった、ネット単独ではできない体験を提供できることが強みです。加えて、ポイント還元や延長保証、下取りなど、価格以外の要素でも顧客をつなぎとめています。

参考資料 / 一次ソース

  1. 1.
    経済産業省「令和6年度 電子商取引に関する市場調査」
  2. 2.
    ヨドバシカメラ・上新電機 公表値
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