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家電量販店の市場規模|販売額の推移とコロナ後の回復【2026年版】

家電量販店の販売額は、経済産業省の商業動態統計(家電大型専門店)で2025年に4兆9,214億円(前年比+4.1%)となり、コロナ特需期(2020年の4兆7,928億円)を上回る水準に回復しました。全国の店舗数は2023年をピークに近年は2,650店台で高止まりしています。家電・IT製品の小売を店頭とネット通販を合わせた全チャネルで捉える調査会社GfK・NIQの推計では、市場は2024年に約6.9兆円で、対象とする範囲が異なるため水準に差があります。販売額・店舗数の推移と、複数の市場規模の数字の関係を順に整理します。

量販チャネル販売額(2025年)
4.92兆円
経済産業省 商業動態統計(家電大型専門店)、49,214億円、前年比+4.1%
出典: 経済産業省「商業動態統計調査」
全販路の家電・IT市場(2024年)
約6.9兆円
GfK・NIQの家電・IT市場動向、全チャネル推計(店頭+EC+その他)、前年比-1.1%
出典: GfK・NIQ Japan「家電・IT市場動向」
全国の店舗数(2025年)
2,657
経済産業省 商業動態統計(経済産業局別の合算)、2020年以降は約2,650店で横ばい
出典: 経済産業省「商業動態統計調査」
家電のEC化率(2024年)
43.03%
経済産業省 電子商取引市場調査。家電という商品カテゴリのネット販売の比率(量販店だけでなくAmazon・楽天等を含む全事業者ベース)、ネット販売額27,443億円
出典: 経済産業省「電子商取引に関する市場調査」

家電大型専門店の販売額の推移(2014-2025年、兆円)

経済産業省 商業動態統計(量販チャネル)。2025年は4兆9,214億円で、コロナ特需期(2020年の4.79兆円)を上回る。なお2020年に調査対象企業の見直しがあり、それ以前と以降では集計対象が一部異なる
読み解き

家電大型専門店の販売額は、2020年の新型コロナ禍で家電需要が高まった後、いったん伸びが鈍りました。2025年は4兆9,214億円(前年比+4.1%)と、コロナ特需期の2020年(4.79兆円)を上回る水準まで回復しています。これは調査対象を見直した2020年以降の系列で最も高い販売額です。2025年の伸びは、パソコンの買い替えや猛暑によるエアコン需要などの後押しによるものです。なお2020年3月に調査対象企業の見直しがあったため、それ以前の年と単純に比較する際は注意が必要です。

このグラフに関連するトピック

家電大型専門店の店舗数の推移(2014-2025年、店)

経済産業省 商業動態統計(経済産業局別の合算)。2020年に調査対象企業を見直しており、それ以降でみると約2,650〜2,670店で横ばい。2019年以前は集計対象が一部異なる
読み解き

家電大型専門店の店舗数は、調査対象を見直した2020年以降でみると、2,566店(2020年)から2,673店(2023年)まで緩やかに増えた後、2025年は約2,657店とほぼ横ばいです。大型店の出店余地は乏しくなっており、各社は新規出店よりも、既存店の建て替えや立地の見直し、ネット通販と店舗を組み合わせた集客に力を入れています。なお2020年3月に調査対象企業の見直しがあったため、2019年以前の店舗数とは集計対象が一部異なり、単純には比較できません。販売額が回復するなかで店舗数が伸びていないことは、1店舗あたりの売上の引き上げが進んでいることを示しています。

家電の市場規模を表す3つの数字の対象範囲

調査によって対象とするチャネルが異なり、水準に差がある。集計の範囲が違うため足し合わせることはできない。各社チェーンの売上は事業範囲や決算期が異なり桁も混在するため、ここには含めず主要チェーン比較で個別に整理する
読み解き

家電の市場規模としてよく使われる数字には、いくつかの種類があります。GfK・NIQは家電・IT製品の全チャネル小売をパネル調査で推計し、2024年は約6.9兆円です。これに対し経済産業省の商業動態統計は、大型家電専門店という販売チャネルを捉えており、2025年の販売額は4兆9,214億円です。さらに経済産業省の電子商取引市場調査は、家電のネット販売だけを全EC事業者横断で集計し、2024年は27,443億円(EC化率43.03%)です。

この3つは、測っている範囲が重なり合っています。最も広いのが全販路の約6.9兆円で、家電量販店の店頭での販売も、ネット通販での販売もそのなかに含まれます。量販チャネルの4兆9,214億円は、そのうち大型家電専門店という売り場で売れた分を、家電のネット販売27,443億円は、量販店もAmazon・楽天も含めた全事業者のネット通販で売れた分を、それぞれ別の調査で捉えたものです。3つは調査の主体・方法・対象品目が異なり、集計年も一部ずれている(全販路とネット販売は2024年、量販チャネルは2025年が最新)ため、重なりを差し引いて内訳を求めるような計算はできません。市場規模を引用するときは、どの調査の数字かを確認することが大切です。

主要論点

店舗数が頭打ちの家電量販店は、なぜ販売額を回復できたのか?

家電大型専門店の店舗数は2023年の約2,673店をピークに、近年は2,650店台で高止まりしています。新規の大型出店による量的な拡大が一巡しているにもかかわらず、販売額は2025年に4兆9,214億円と、コロナ特需期の2020年を上回る水準まで伸びました。販売額の伸びは、いくつかの需要が重なって生まれたものです。

第1に、パソコンの買い替えです。Windows10のサポートが2025年に終了することを控え、買い替えが活発化し、情報家電は前年比+13.9%と大きく伸びました。第2に、猛暑によるエアコン需要です。記録的な高温で、生活家電の柱であるエアコンの販売が押し上げられました。第3に、スマートフォンの回復で、通信家電は+16.8%となりました。

これらに加え、店舗数が伸びないなかで各社が1店舗あたりの収益力を高めてきたことも、販売額の回復を支えています。ただしパソコンや猛暑の需要には一時的・季節的な側面があり、その後も成長を続けられるかが課題です。

全販路6.9兆円と量販チャネル4.9兆円は、なぜ数字が違うのか?

家電の市場規模には、GfK・NIQによる全チャネルの推計(2024年 約6.9兆円)と、経済産業省の商業動態統計による量販店の販売額(2025年の4兆9,214億円)の2つがよく登場します。両者の水準が違うのは、測っている範囲が異なるためです。

GfK・NIQの数字は、家電量販店の店頭だけでなく、ネット通販やそのほかの販売チャネルを含めた全体を推計したものです。一方、商業動態統計は大型の家電専門店という販売チャネルを対象としています。つまり全販路の6.9兆円のほうが対象が広く、量販店の販売額はその一部にあたります。

ただし両者は調査の主体も方法も対象品目も異なるため、概念のうえでは全販路が量販店の店頭を含んでいても、6.9兆円から4.9兆円を差し引いてネット通販などの規模を求める、といった算術は別物どうしの引き算となり、意味を持ちません。市場規模を読むときは、どの範囲を測った数字かを確かめることが大切です。

2025年の販売額の回復は、今後も続くのか?

2025年の販売額の回復には、特殊な要因が含まれています。Windows10のサポート終了に伴うパソコンの買い替えや、記録的な猛暑によるエアコン需要は、いずれもその年に集中して現れた一時的・季節的な需要です。これらが一巡したあと、需要が反動で落ち込む可能性があります。

中長期では、人口減少と世帯数の頭打ちが、家電の国内需要の基調を決めます。テレビや白物家電などは買い替えが中心で、大きく需要が増えにくい市場です。各社は、ネット通販との競争のなかで価格や利便性を高めつつ、住宅・通信・リフォームなどの周辺事業や、設置・延長保証・ポイントといったサービスで収益を補おうとしています。

販売額の水準を維持できるかは、買い替えサイクルや新しい製品分野の動向に左右されます。一時的な需要に頼らず、1店舗あたりの収益力やネットとの連携をどこまで高められるかが焦点となります。

中期見通し

近未来1-2年

パソコンの買い替えや猛暑による2025年の需要が一巡し、その反動で販売額が一時的に伸び悩む可能性があります。店舗数は約2,650店で頭打ちが続き、各社は新規出店よりも既存店の収益力強化やネット通販との連携を進める見通しです。

中期3-5年

中期では、人口減少と買い替え中心の需要のなかで、1店舗あたりの収益力をどう高めるかが焦点となります。ネット通販との競争が続くなか、店舗とネットを組み合わせたオムニチャネルや、住宅・通信などの周辺事業の強化が販売額と利益を左右する見通しです。

長期

長期では、人口減少と世帯数の頭打ちが国内の需要の基調を決めます。新しい製品分野の登場や買い替えサイクルが市場規模を左右し、各社は事業の多角化や経営統合による規模の確保で成長を補おうとしています。市場規模を読む際は、全チャネル推計と量販チャネルの販売額の対象範囲の違いを踏まえることが前提となります。

よくある質問

家電量販店の市場規模はどのくらいですか?
経済産業省の商業動態統計によると、家電大型専門店(量販チャネル)の販売額は2025年に4兆9,214億円(49,214億円、前年比+4.1%)です。家電・IT製品の小売を全チャネルで捉えるGfK・NIQの推計では2024年に約6.9兆円となります。両者は対象とする範囲が異なるため水準に差があります。
家電量販店の店舗数は全国でどのくらいですか?
経済産業省の商業動態統計(経済産業局別の合算)では、家電大型専門店は全国で約2,657店です(2025年)。調査対象を見直した2020年以降でみると、約2,566店から2,673店(2023年)まで増えた後、近年は約2,650店で横ばいとなり、大型店の出店余地は乏しくなっています(2019年以前は調査対象が一部異なります)。
家電市場はコロナのあと回復したのですか?
家電大型専門店の販売額は2025年に4兆9,214億円となり、コロナ特需期(2020年の4兆7,928億円)を上回る水準に回復しました。Windows10のサポート終了に伴うパソコンの買い替え(情報家電+13.9%)、猛暑によるエアコン需要、スマートフォンの回復(通信家電+16.8%)が背景です。
なぜ家電の市場規模の数字がいくつもあるのですか?
家電の市場規模には、GfK・NIQの全チャネル推計(2024年 約6.9兆円)、商業動態統計の量販店の販売額(2025年の4兆9,214億円)、電子商取引市場調査の家電のネット販売額(2024年の27,443億円)などがあります。それぞれ測っている範囲が異なるため水準に差があり、単純に足し合わせることはできません。
家電のネット通販(EC)の規模はどのくらいですか?
経済産業省の電子商取引市場調査によると、生活家電・AV機器・パソコンなどの2024年のネット販売額は27,443億円で、EC化率は43.03%です。これは物販の分野別では書籍・映像・音楽ソフト(56.45%)に次ぐ高さで、物販全体の平均(9.78%)を大きく上回ります。

参考資料 / 一次ソース

  1. 1.
    経済産業省「商業動態統計調査」(家電大型専門店 販売額・店舗数)
  2. 2.
    GfK・NIQ Japan「家電・IT市場動向」
  3. 3.
    経済産業省「令和6年度 電子商取引に関する市場調査」
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