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TOPIC DETAIL · EC & OMNICHANNEL

ホームセンターのEC・ネット通販|店舗連携とEC化率【2026年版】

ホームセンターは、重くてかさばる・単価の低い商材を多く扱うため、ネット通販(EC)化が難しい業態とされてきました。物販全体でEC化が進むなかでも、ホームセンターのEC化率は構造的に低いとみられます。各社はこの制約のもとで、ネットで注文して店舗で受け取る仕組みや、アプリ・会員サービスを使って店舗とECを結びつけるオムニチャネル戦略を進めています。コーナン商事は会員サービス「コーナンプラス」が100万人を突破し、EC×店舗の連携を進めています。なぜEC化率が低いのか、各社がどう店舗とECを連携させ、店舗網を強みに変えようとしているのかを整理します。

なぜホームセンターのEC化率は低いのか

重い・かさばる・低単価の商材が多い

最大の理由は、扱う商材の性質です。木材・建材・セメント・園芸用土・大型の収納用品など、ホームセンターの主力商品は重くてかさばるものが多く、配送コストが商品単価に対して高くつきます。単価の低い日用品をネットで個別配送すると採算が合いにくく、まとめ買いや店舗での持ち帰りが前提となる商材が多いことが、EC化を難しくしています。

実物の確認と専門的な相談のニーズ

第2の理由は、実物を見て選びたい、相談して決めたいという需要です。工具や塗料、園芸用品、住宅設備などは、サイズや質感、使い方を確かめてから買いたい商品が多く、店頭での相談やワークショップが購入の決め手になります。プロ向けの建材や資材も、用途に応じた選定が必要なため、店舗での対面のやり取りが重視されます。

店舗の即時性という強み

第3に、すぐ手に入る店舗の利便性があります。「いま必要」な工具・部材・消耗品は、配送を待つネット通販よりも、近くの店舗で買うほうが便利です。郊外型の大型店は駐車場を備え、かさばる商品を車で持ち帰れます。こうした店舗の強みがあるため、ホームセンターはECで店舗を置き換えるより、両者を組み合わせる方向に向かっています。

各社のEC・オムニチャネル戦略

コーナン商事 — EC×店舗の連携と会員基盤

コーナン商事は、自社ECサイト「コーナンeショップ」と店舗を結びつけるオムニチャネルを進めています。ネットで注文して店舗で受け取るサービスで来店時の「ついで買い」を促し、店舗からはコーナンeショップへ送客するなど、双方向の動線をつくっています。2026年2月期はEC売上が前年同期比約120%となり、EC×店舗の連携による売上の押し上げ効果は約+2.5%とされます。

会員基盤も強化しており、会員サービス「コーナンプラス」は100万人突破しました。楽天IDやコーナンPayと連携し、会員限定クーポンやポイントで来店頻度と客単価の向上につなげています(楽天会員と比べた会員の客単価は約+895円)。さらに、家具・インテリア専業のEC事業者「グラムスタイル」「イーナ」(I'nTホールディングス)を2025年12月にグループに迎え、ECのノウハウとプライベートブランド開発力を取り込んでいます。

カインズ — アプリを軸にした店舗とのつなぎ込み

カインズは、アプリ(CAINZアプリ)を軸に店舗とデジタルをつないでいます。アプリで在庫を確認して店舗で受け取る、プライベートブランド商品を探すといった使い方を想定し、体験型の大型店とアプリを組み合わせています。プライベートブランドの開発力と店舗体験を強みとするカインズにとって、アプリは来店者との関係を深める接点となっています。

コメリ・DCM — 店舗網を生かしたネット販売

コメリは「コメリドットコム」でネット販売を手がけ、建材・農業資材など店舗で扱う商品をオンラインでも提供しています。全国に広がる小型店・大型店の店舗網と配送を組み合わせ、農村部や事業者の需要にも応えています。DCMも公式通販サイトやアプリを通じて、チラシ・在庫情報の提供やネット販売を行っています。

いずれの社も、ECで店舗を置き換えるのではなく、店舗網を在庫・受け取りの拠点として生かす点が共通しています。重い・かさばる商材という制約のなかで、店舗とECをどう組み合わせるかが各社の工夫の焦点となっています。

主な各社のEC・アプリ施策

各社が展開するECサイト・アプリと、その特徴。重い・かさばる商材が多く、店舗網を生かしたオムニチャネルが中心
読み解き

各社とも、ECで店舗を置き換えるのではなく、店舗網を在庫・受け取りの拠点として生かすオムニチャネルを進めています。コーナン商事はネット注文の店舗受取と会員基盤(コーナンプラス)、カインズはアプリ、コメリはコメリドットコム、DCMは公式通販と、自社の強みに応じた施策を展開しています。重い・かさばる商材が多いという制約のなかで、来店とネットを行き来できる環境づくりが共通の方向となっています。

主要論点

なぜホームセンターのEC化率は低いのか?

物販全体でネット通販(EC)が広がるなかでも、ホームセンターのEC化率は構造的に低いとみられます(ホームセンター単独のEC化率は公表されていませんが、業種の特性からそう考えられます)。最大の理由は、扱う商材の性質です。

木材・建材・園芸用土・大型の家庭用品など、ホームセンターの主力商品は重くてかさばり、単価が低いものが多くあります。こうした商品は配送コストが商品単価に対して高くつき、個別配送では採算が合いにくいため、まとめ買いや店舗での持ち帰りが前提となります。加えて、工具や塗料、住宅設備などは実物を見て選びたい、専門的な相談をして決めたいという需要が強く、店頭での対面のやり取りが購入の決め手になります。

さらに、「いますぐ必要」な工具・部材・消耗品は、配送を待つよりも近くの店舗で買うほうが便利です。郊外型の大型店は駐車場を備え、かさばる商品を車で持ち帰れます。こうした店舗の強みがあるため、ホームセンターはECで店舗を置き換えるより、両者を組み合わせる方向に進んでいます。

「店舗を生かすオムニチャネル」とはどういう戦略か?

ホームセンター各社のEC戦略は、ECと店舗を対立させるのではなく、店舗網を在庫・受け取りの拠点として生かすオムニチャネルが中心です。代表的なのが、ネットで注文して店舗で受け取る仕組みです。重い・かさばる商品でも、店舗受け取りなら配送コストを抑えられ、来店時の「ついで買い」も期待できます。

コーナン商事は、コーナンeショップと店舗の双方向の送客を進め、EC×店舗の連携による売上の押し上げ効果を約+2.5%としています。アプリや会員サービスも、店舗とネットをつなぐ役割を担います。コーナンプラス(会員100万人突破)のような会員基盤は、来店頻度や客単価の向上に寄与し、どこで買うかを顧客が選べる環境をつくります。

店舗を持つことが、ネット専業に対する強みになる点がホームセンターの特徴です。在庫の確認・受け取り・相談の拠点として店舗を活用し、ECと組み合わせることで、重い・かさばる商材という制約を競争力に変えようとしています。

ホームセンターのEC・店舗連携は今後どうなるのか?

ホームセンターのEC化は、店舗との連携を軸に緩やかに進むとみられます。市場が成熟しオーバーストアが進むなかで、各社は新規出店よりも、既存店とECを組み合わせて1店舗あたりの収益力を高める方向に力を入れています。

会員基盤やアプリを通じて顧客のデータを集め、来店頻度や客単価の向上につなげる動きも広がっています。コーナン商事の会員サービスや、家具・インテリア専業ECの取り込みのように、デジタルの接点と専門領域を組み合わせる取り組みが進む見通しです。

一方で、重い・かさばる・低単価という商材の性質は変わらないため、ホームセンターが家電や衣料品のようにEC比率を大きく高めるのは難しいとみられます。配送・物流の効率化と、店舗を生かした受け取り・相談の仕組みをどこまで磨けるかが、各社のEC・オムニチャネル戦略の焦点となります。

中期見通し

近未来1-2年

各社はネット注文の店舗受取やアプリ・会員サービスの強化を続ける見通しです。コーナン商事はコーナンプラスの会員基盤とEC×店舗の連携を、カインズはアプリを軸に、店舗とデジタルのつなぎ込みを進めます。重い・かさばる商材の制約のもとで、店舗を受け取り・在庫拠点として生かす取り組みが中心となります。

中期3-5年

中期では、会員データの活用による来店頻度・客単価の向上や、家具・インテリアなどEC向きの領域での専門ECの取り込みが進む可能性があります。物流の効率化と店舗受け取りの仕組みづくりが、EC・オムニチャネルの採算を左右します。

長期

長期でも、重い・かさばる・低単価という商材の性質から、ホームセンターのEC比率が家電や衣料品のように大きく高まるのは難しいとみられます。店舗を持つ強みを生かし、ECと店舗をどう組み合わせるかが、各社の長期的な競争力を決めます。

よくある質問

ホームセンターのEC化率はなぜ低いのですか?
ホームセンターは木材・建材・園芸用土・大型の家庭用品など、重くてかさばり単価の低い商材を多く扱うためです。配送コストが商品単価に対して高く、実物を見て選びたい・相談して決めたい需要も強いため、ネット通販に向きにくい性質があります。ホームセンター単独のEC化率は公表されていませんが、物販全体に比べ構造的に低いとみられます。
ホームセンターのオムニチャネル戦略とは何ですか?
ECで店舗を置き換えるのではなく、店舗網を在庫・受け取りの拠点として生かし、ECと店舗を結びつける戦略です。代表的なのが、ネットで注文して店舗で受け取る仕組みで、重い商品でも配送コストを抑え、来店時のついで買いも期待できます。アプリや会員サービスも、店舗とネットをつなぐ役割を担います。
コーナン商事のEC・会員サービスはどのようなものですか?
自社ECサイト「コーナンeショップ」と店舗を結びつけ、ネット注文の店舗受取などを展開しています。2026年2月期はEC売上が前年同期比約120%、EC×店舗の連携による売上押し上げ効果は約+2.5%とされます。会員サービス「コーナンプラス」は100万人突破し、楽天IDやコーナンPayと連携しています。
カインズやコメリのネット通販はどうなっていますか?
カインズはアプリ(CAINZアプリ)を軸に、在庫確認や店舗受取などで店舗とデジタルをつないでいます。コメリは「コメリドットコム」で建材・農業資材などのネット販売を行い、全国の店舗網と配送を組み合わせています。DCMも公式通販サイトやアプリを展開しています。いずれも店舗網を生かしたオムニチャネルが中心です。
ホームセンターのEC比率は今後大きく伸びますか?
店舗との連携を軸に緩やかに進むとみられますが、家電や衣料品のように大きく高まるのは難しいとみられます。重い・かさばる・低単価という商材の性質が変わらないためです。配送・物流の効率化と、店舗を生かした受け取り・相談の仕組みをどこまで磨けるかが、各社のEC戦略の焦点となります。

参考資料 / 一次ソース

  1. 1.
    コーナン商事「2026年2月期 決算説明会資料」
  2. 2.
    経済産業省「電子商取引に関する市場調査」(物販系BtoC-EC、参考)/ 各社IR
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