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ホームセンターのプロ需要|職人・事業者向け業態の強化【2026年版】

ホームセンターは一般の消費者だけでなく、職人・工務店・農家などの事業者(プロ)の需要を成長の柱として取り込んでいます。プロの顧客は来店頻度と購入単価が高く、市場が成熟するなかで数少ない成長領域です。コーナン商事はプロ専門業態「コーナンPRO」を、コメリは農業資材や建材を、アークランズはスーパービバホームの建材を軸に事業者需要を伸ばしています。コーナン商事ではプロ業態の営業利益率がホームセンター業態を上回るなど、収益性の高さも特徴です。なぜホームセンターがプロ需要を重視するのか、各社の戦略の違いと、コーナンPROの売上・構成比の伸びまで整理します。

なぜホームセンターはプロ需要を取り込むのか

来店頻度と購入単価が高い顧客層

第1の理由は、プロの顧客が来店頻度と購入単価の両方で一般消費者を上回ることです。職人や工務店は、工事のたびに資材・工具・消耗品をまとめて購入し、繰り返し来店します。1回あたりの買い物が大きく、継続的に発生するため、1店舗あたりの売上を安定して押し上げます。原価高で利益率の確保が難しくなるなかで、こうした優良顧客の囲い込みは収益力に直結します。

成熟市場の数少ない成長領域

第2の理由は、成熟・オーバーストアの市場で、プロ需要が数少ない成長領域であることです。ホームセンターの市場規模は約3.4兆円で頭打ちとなり、一般消費者向けの新規出店による拡大は一巡しました。一方、これまで建材店・問屋・専門商社などを通じて流通していたプロ向けの資材・建材市場は、なお開拓の余地が大きく、ホームセンター各社が品ぞろえとサービスを整えて取り込みを進めています。

景気・天候に左右されにくい安定需要

第3の理由は、プロ需要が景気や天候に左右されにくく、業績の安定につながることです。一般消費者向けのDIY用品や園芸は天候や季節要因で売上が振れやすい一方、工事・リフォーム・農業に伴う資材需要は計画的・継続的に発生します。コメリが農業・防災といった需要で増益を確保したように、安定したプロ需要は成熟市場での業績の下支えとなっています。

主要各社のプロ(事業者向け)の取り組み

各社が事業者向けに展開する業態・施策と、主な対象・商材
読み解き

プロ向けの取り組みは、コーナン商事のプロ専門業態「コーナンPRO」、コメリの農業・建材、アークランズのスーパービバホームが代表例です。カインズはプライベートブランドと体験型の大型店で一般消費者向けに強く、プロ専門業態という点では上記3社ほど前面に出していませんが、資材・工具などで事業者の利用もあります。各社が強みとする領域(内装・工具/農業・建材/工事資材)の違いが、プロ需要の取り込み方に表れています。

各社のプロ戦略の違い

コーナン商事 — プロ専門業態「コーナンPRO」を拡大

コーナン商事は、内装工事資材・工具・エアコン用部材・金物などを扱うプロ専門業態「コーナンPRO」を全国で拡大しています。2026年2月期のプロ業態の売上高は1,477億円で、店舗売上高(会社計5,021億円)に占める構成比は29.4%に達しました(この構成比は店舗売上高ベースで、決算短信の連結営業収益5,198億円とは母数が異なります)。プロ業態の構成比は2022/2期の26.0%から2026/2期の29.4%へ高まってきました。

注目すべきは収益性で、プロ業態の営業利益率6.4%は、ホームセンター業態の5.3%を上回ります(いずれも店舗段階の数値)。コーナン商事は第4次中期経営計画で、2028年2月期にプロ業態の売上高1,900億円・構成比32.0%を目標に掲げ、ホームセンターからコーナンPROへの業態転換や大都市圏への出店を進めています。工具の買取・リユースを手がけるグループ会社「建デポ」とあわせ、事業者向けを成長の軸に据えています。

コメリ — 農業・建材とJA協業で事業者を取り込む

コメリは、農業資材・建材・金物に強く、農家や建設事業者の需要を取り込んでいます。肥料・農薬・農業資材・作業衣料・電材などをそろえ、プロ向けの商材が業績を下支えしています。新潟を地盤に小型店「ハード&グリーン」で地方を高密度にカバーし、農村部の事業者にも近い立地で応えています。

さらにコメリは、農協(JA)との協業を進めており、各JAの店舗運営を支援することで、農業者の利便性向上と地域の農業支援を図っています。個人だけでなく農業者・個人事業主・法人・公共団体に対応した決済カードも整え、資材・建材から農業まで、事業者向けの流通の近代化を掲げています。景気に左右されにくい農業・防災需要を取り込んだことが、2026年3月期の増益につながりました。

アークランズ — スーパービバホームの建材で工事需要に対応

アークランズは、大型の資材館を備えた「スーパービバホーム」を通じて、建材・工事資材の需要に対応しています。木材・建材・住宅設備などをそろえ、工務店やリフォーム事業者といったプロの利用を取り込んでいます。新潟発のホームセンタームサシとあわせ、事業者向けの建材販売が事業の柱の一つです。

アークランズは2027年にジョイフル本田との経営統合を予定しており、関東で大型店を展開するジョイフル本田のDIY・建材の強みと組み合わさることで、プロ・建材分野での品ぞろえと商圏が広がる可能性があります。

主要論点

プロ需要はなぜホームセンターの成長の柱になるのか?

ホームセンターの市場規模は約3.4兆円で頭打ちとなり、一般消費者向けの量的な拡大は一巡しました。そのなかでプロ(事業者向け)需要が成長の柱とされるのは、来店頻度・購入単価・収益性の3点で優位性があるためです。

職人・工務店・農家といったプロの顧客は、工事や農作業のたびに資材・工具をまとめて繰り返し購入するため、1店舗あたりの売上を安定して押し上げます。コーナン商事のプロ業態が営業利益率6.4%とホームセンター業態の5.3%を上回るように、収益性の面でも貢献します。加えて、工事・農業に伴う需要は景気や天候に左右されにくく、業績の下支えとなります。

これまで建材店や専門商社を通じて流通していたプロ向け市場には開拓の余地が残されており、各社は品ぞろえ・専門業態・決済サービスを整えて取り込みを競っています。出店による量的成長から、プロ需要を含む1店舗あたりの収益力の強化へと、競争の軸が移っています。

なぜコーナンPROの収益性はホームセンター業態より高いのか?

コーナン商事の2026年2月期の業態別実績では、プロ業態の営業利益率が6.4%と、ホームセンター業態の5.3%を上回りました(いずれも店舗段階の数値)。粗利益率はホームセンター業態(約38%)の方が高いものの、営業段階ではプロ業態が逆転しています。

背景には、プロ業態の販売効率の高さがあります。プロの顧客はまとめ買いと反復購入が中心で、1人の店員が接客や陳列にかける手間に対して売上が大きくなりやすく、販売管理費の比率を抑えられます。内装工事資材・工具といった専門商材は競合が比較的限られ、価格競争に巻き込まれにくい面もあります。

この収益性の高さが、コーナン商事がプロ業態の構成比を26.0%(2022/2期)から2028年2月期に32.0%へ高める目標を掲げる理由です。プロ需要は、売上の規模だけでなく利益率の改善にも寄与する領域として位置づけられています。

プロ需要の取り込みで各社の何が変わるのか?

プロ需要の強化は、各社の店舗・品ぞろえ・サービスのあり方を変えています。コーナン商事はホームセンターからプロ専門業態「コーナンPRO」への業態転換や、大都市圏への出店を進め、店舗網の構成そのものをプロ向けにシフトしています。

コメリは農協との協業や事業者向け決済カードといった、商品以外のサービスでプロ・農業者との関係を深めています。アークランズはスーパービバホームの大型資材館で建材・工事需要に対応し、ジョイフル本田との統合で関東の建材需要にも広がります。

一方で、プロ需要の取り込みは専門知識を持つ人材や、事業者向けの物流・決済・在庫の仕組みを必要とし、一般消費者向けとは異なる投資を伴います。各社が自社の地盤と強み(内装・工具/農業・建材/工事資材)に応じてプロ戦略を磨けるかが、成熟市場での収益力の差につながります。

中期見通し

近未来1-2年

各社はプロ向けの専門業態・品ぞろえ・サービスの強化を続ける見通しです。コーナン商事はコーナンPROの出店と業態転換を進め、構成比のさらなる引き上げを図ります。コメリは農業・建材を軸に、アークランズはスーパービバホームの建材で、それぞれ事業者需要を取り込みます。原価高のなかで、収益性の高いプロ需要が業績の下支えとなります。

中期3-5年

中期では、プロ向け市場の開拓余地をどれだけ取り込めるかが、各社の成長を左右します。アークランズとジョイフル本田の統合をはじめ、再編によるプロ・建材分野の規模拡大も進む可能性があります。建材店・専門商社との競合のなかで、価格だけでなく品ぞろえ・在庫・配送・決済を含めたサービス全体での競争が強まる見通しです。

長期

長期では、建設業の人手不足や職人の高齢化、住宅着工の減少が、プロ向け需要の量と質を変えていきます。省力化に資する工具・資材や、効率的な調達を支える仕組みへの需要が高まる一方、住宅着工の減少は建材需要の逆風となります。プロ需要を軸にした収益モデルを確立できるかが、成熟市場での各社の長期的な競争力を決めます。

よくある質問

ホームセンターの「プロ向け(事業者向け)」とは何ですか?
職人・工務店・内装業者・農家などの事業者を対象とした販売やサービスを指します。これらの事業者は来店頻度と購入単価が高く、ホームセンターの重要な顧客層です。市場が成熟するなかで、各社はプロ向けの専門業態・品ぞろえ・決済サービスを強化し、成長の柱に位置づけています。
コーナンPROとは何ですか?
コーナン商事が展開する、プロ(事業者)向けの専門業態です。内装工事資材・工具・エアコン用部材・金物などをそろえ、職人・工務店・内装業者の需要に対応しています。2026年2月期のプロ業態の売上高は1,477億円で、店舗売上高に占める構成比は29.4%に高まりました。営業利益率はホームセンター業態を上回り、コーナン商事の成長の軸となっています。
なぜホームセンターはプロ需要を強化しているのですか?
ホームセンターの市場規模は約3.4兆円で頭打ちとなり、一般消費者向けの拡大が一巡したためです。プロの顧客は来店頻度・購入単価・収益性が高く、景気や天候に左右されにくい安定した需要をもたらします。建材店や専門商社を通じて流通してきたプロ向け市場には開拓余地が残されており、成熟市場での数少ない成長領域となっています。
コメリの農業・プロ向けの取り組みはどのようなものですか?
コメリは農業資材・建材・金物に強く、肥料・農薬・作業衣料・電材などで農家や建設事業者の需要を取り込んでいます。農協(JA)との協業で各JAの店舗運営を支援し、農業者の利便性向上を図るほか、事業者向けの決済カードも整えています。景気に左右されにくい農業・防災需要が、2026年3月期の増益を支えました。
プロ需要は今後も伸びますか?
各社が成長の柱として強化しており、当面は伸びが続くと見られます。コーナン商事は2028年2月期にプロ業態の構成比を32.0%まで高める目標を掲げています。一方、長期では建設業の人手不足や住宅着工の減少が需要の逆風となる可能性もあり、省力化に資する商材や効率的な調達の仕組みづくりが課題となります。

参考資料 / 一次ソース

  1. 1.
    コーナン商事「2026年2月期 決算説明会資料」
  2. 2.
    コメリ「2026年3月期 決算短信」/ アークランズ「2026年2月期 決算短信」
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