立地の類型 — 門前薬局は10年で減らず、むしろ増えた
薬局の立地を分ける指標が処方箋集中率で、その薬局が受ける処方箋のうち特定の医療機関から発行されたものの割合です。厚生労働省が届出をもとに集計したところ、集中率95%以上の薬局の割合は2015年7月の14.0%から2024年8月に17.3%へ、85%以上の薬局は32.5%から39.3%へ上がりました。届出薬局60,086のうち集中率95%以上は約10,395薬局にあたります(この届出数は2024年8月時点の集計で、衛生行政報告例の薬局数63,203は2025年3月末の値です)。2015年に国が示した「患者のための薬局ビジョン」は門前から地域へ移すことを目標に掲げましたが、この10年で門前薬局は減っていません。
背景には処方箋の発行構造があります。厚生労働省の調剤医療費の統計では2024年度の処方箋枚数の79.4%が診療所発行で、診療所の隣に薬局を置けば処方箋を安定して確保できます。医療モールのように複数の診療所と薬局を一体で開発する形も広がり、見かけ上は複数の医療機関に対応していても、実態は門前に近い薬局が増えました。病院の敷地内に開設する敷地内薬局は、抗がん剤など専門的な薬剤への対応で役割を持つ一方、医療機関と薬局を経営上も場所も分けるという医薬分業の原則との関係が制度上の論点になっています。
面分業型の薬局は、住宅地や駅前で複数の医療機関の処方箋を受け、かかりつけ薬剤師や在宅医療への対応など地域の機能を担います。集中率85%未満の薬局は全体の60.7%で、85%以上95%未満の22.0%は門前と面分業の中間にあたります。2026年度の報酬改定では、集中率の高い薬局の調剤基本料(処方箋1枚ごとの基本点数で、薬局の区分ごとに点数が異なる)の評価が下がり、医療モールの集中率の計算方法も見直されます。立地でなく機能で報酬が決まる方向へ制度が動いており、その内容は報酬改定のページで扱います。