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TOPIC DETAIL · REIMBURSEMENT REFORM 2026

調剤報酬改定2026|令和8年度改定の内容と薬局の収益への影響【2026年版】

2026年度(令和8年度)の診療報酬改定は、医療機関や薬局の技術料にあたる「本体」が+3.09%(令和8年度と9年度の2年度平均)、うち調剤は+0.08%、医薬品の公定価格である薬価は▲0.86%です。調剤報酬では、処方箋1枚ごとの基本点数である調剤基本料を引き上げる一方、都市部で診療所前に新規出店する薬局に減算を設け、同一グループの店舗数による区分を撤廃しました。後発医薬品調剤体制加算は撤廃され、地域支援・医薬品供給対応体制加算に統合されます。かかりつけ薬剤師の評価は包括的な指導料から実績に基づく評価へ転換します。薬局の収入は調剤医療費の27.7%を占める技術料で決まるため、改定の中身がそのまま収益に効きます。本ページでは改定の内容と、薬局の収益構造のどこに効くかを整理します。

診療報酬本体の改定率
+3.09%
令和8年度と9年度の2年度平均。8年度+2.41%、9年度+3.77%
出典: 厚生労働省 令和8年度診療報酬改定の概要
調剤の改定率
+0.08%
賃上げ・物価対応分を除く各科の配分。医科+0.28%、歯科+0.31%
出典: 厚生労働省 令和8年度診療報酬改定の概要
薬価の改定率
▲0.86%
2026年4月施行。材料価格▲0.01%と合わせ▲0.87%
出典: 厚生労働省 令和8年度診療報酬改定の概要
薬局の損益差額率(2024年度)
4.9%
法人立の保険薬局。収益に対する利益の割合
出典: 中央社会保険医療協議会 第25回医療経済実態調査

2026年度の調剤報酬改定で何が変わるのか

改定率、調剤基本料、加算の再編、対人業務の評価、賃上げへの対応
改定率と施行時期 — 本体+3.09%、調剤+0.08%、薬価▲0.86%

2025年12月24日の大臣折衝で決まった改定率は、診療報酬本体が+3.09%です。令和8年度と9年度の2年度平均で、年度別には8年度+2.41%、9年度+3.77%と段階的に上がります。内訳は賃上げ分+1.70%、物価対応分+0.76%、入院時の食費・光熱水費分+0.09%、経営環境の悪化への緊急対応分+0.44%、後発医薬品への置き換えの進展を踏まえた評価の適正化や長期処方・リフィル処方の取り組み強化による効率化▲0.15%、それ以外の分+0.25%で、合計が+3.09%になります。医科+0.28%、歯科+0.31%、調剤+0.08%という各科の改定率は、この「それ以外の分+0.25%」を科ごとに配分したもので、賃上げや物価対応の分は別に上乗せされます。調剤は3科の中で最も小さい配分です。薬価は▲0.86%、材料価格▲0.01%で、薬価は2026年4月、本体は6月に施行されます。

調剤基本料 — 引上げと、都市部の新規出店への減算

調剤基本料は処方箋1枚(受付1回)ごとに算定する基本の点数で、1点は10円にあたります。薬局の処方箋受付回数と処方箋集中率(特定の医療機関からの処方箋が占める割合)、同一グループの規模で調剤基本料1から3(3はさらにイ・ロ・ハ)と特別調剤基本料A・Bの区分に分かれ、面分業型の薬局ほど高い区分になります。今回の改定では面分業を促す観点から調剤基本料1が45点から47点、3ハが35点から37点など、特別調剤基本料A(5点)・B(3点)を除く各区分が1〜2点引き上げられました。

同時に、小規模な薬局の乱立を抑える措置が入ります。2026年6月1日以降に都市部(特別区・政令指定都市)で新規開設し、処方箋の受付回数が少なく集中率が高い薬局は調剤基本料2の適用となり、既に薬局が多い地域や医療モール内で集中率が高い場合には門前薬局等立地依存減算として15点を減算します(半径500m以内に他の薬局が無い地点は除く)。医療モール内の複数の医療機関は1つの医療機関とみなして集中率を計算する扱いに変わり、同一建物内に診療所がある場合に特別調剤基本料Aの適用を除外する規定も撤廃されます。調剤基本料3ロ・ハにあった同一グループの店舗数300以上という要件は撤廃され、店舗数そのものでは区分が変わらなくなりました(3ロ・ハの区分自体は処方箋受付回数と集中率の要件で残ります)。

地域支援・医薬品供給対応体制加算 — 後発品加算の撤廃と統合

薬局の体制を評価する加算は大きく組み替えられました。後発医薬品(ジェネリック医薬品)の使用割合に応じて算定していた後発医薬品調剤体制加算(加算1が使用割合80%以上で21点、加算2が85%以上で28点)は撤廃され、後発品の使用割合は新しい加算の基礎要件に組み込まれます。従来の地域支援体制加算はこれと統合して地域支援・医薬品供給対応体制加算に改称され、加算1が27点で新設、既存の加算2から5はいずれも27点ずつ引き上げられました(例えば加算2は32点から59点、加算3は40点から67点)。区分ごとの点数は下の表にまとめています。

後発品の数量ベースの割合は2024年度末に90.6%に達しており、置き換えを促す加算はその役割を終えました。代わりに、地域での医薬品供給と在宅対応の体制を持つ薬局に評価を集める形です。引上げ幅の27点は撤廃される後発品加算2の28点とほぼ同額なので、両方を算定していた薬局では差し引きゼロに近く、後発品加算だけを算定していた薬局には減収、新たに加算1(27点)を算定できる薬局には増収になります。

かかりつけ薬剤師 — 包括的な指導料から実績評価へ

かかりつけ薬剤師(患者ごとに担当薬剤師が継続して服薬管理に関わる仕組み)の評価は、かかりつけ薬剤師指導料と包括管理料を廃止し、実務の実績で評価する形に転換します。具体的には、電話などによる患者のフォローアップ、残薬調整のための患家(患者の自宅)訪問、服薬状況などに関する総合的な管理と評価の実施といった、かかりつけ薬剤師としての服薬管理指導の実務を評価します。関連する施設基準も見直されます。

調剤管理料では日数区分が見直され、調剤管理加算は廃止されます。服薬指導では、吸入薬指導加算の対象にインフルエンザの吸入薬が加わり、バイオ後続品の品質などを説明した場合の評価が設けられ、残薬対策の強化を目的に、処方箋上で残薬を勘案して処方より少ない量で調剤する(減数調剤)指示ができる様式の見直しと評価の引き上げが行われます。

在宅医療 — 在宅薬学総合体制加算の引上げと訪問の柔軟化

薬局による在宅医療の体制を評価する在宅薬学総合体制加算は要件を強化したうえで、加算1が15点から30点、個人宅を対象とする加算2イが50点から100点へ引き上げられました(施設を対象とする2ロは50点で据え置き)。在宅患者訪問薬剤管理指導料の算定間隔は「中6日以上」から「週1回」に見直され、医師と薬剤師が患家を同時に訪問した場合や複数名で訪問した場合の評価が新設されます。在宅対応の実績を持つ薬局に評価を集め、訪問の頻度を上げやすくする方向です。

バイオ後続品と医療DX — 新しい加算と一本化

バイオ医薬品の後発品にあたるバイオ後続品(バイオシミラー)の使用を促すため、バイオ後続品を調剤する体制の評価としてバイオ後続品調剤体制加算50点(調剤時)が新設されました。医療DXでは、医療DX推進体制整備加算を廃止して電子的調剤情報連携体制整備加算8点(月1回)に一本化し、電子処方箋のシステムで重複投薬などのチェックを行う体制を評価します。医療情報取得加算は廃止されます。

賃上げと物価 — 調剤ベースアップ評価料と調剤物価対応料

薬局の薬剤師や事務職員の賃上げを確実にする観点から、調剤ベースアップ評価料4点が設定されました(改定概要では新設として整理)。改定率の賃上げ分+1.70%に対応する仕組みで、令和8・9年度にそれぞれ3.2%(看護補助者・事務職員は5.7%)のベースアップを実現するための措置です。物価上昇への対応としては、調剤基本料などと併せて算定できる調剤物価対応料1点が設けられ、令和8年度と9年度で段階的に対応します。

主な改定項目と影響が大きい薬局

厚生労働省の改定概要に基づく整理。影響の方向は制度上の対象で、個々の薬局の損益を示すものではありません
調剤基本料の引上げ
変更内容
調剤基本料1が45点から47点、3ハが35点から37点など各区分を1〜2点引上げ(特別調剤基本料A・Bは据え置き)
影響が大きい薬局
面分業型の薬局を中心に、届出のあるほぼ全ての薬局
門前薬局等立地依存減算の新設
変更内容
2026年6月以降に都市部(特別区・政令指定都市)で新規開設し、小規模で処方箋集中率が高い薬局などは調剤基本料から15点減算
影響が大きい薬局
都市部で診療所前や医療モール内に新規出店する薬局
同一グループ300店以上の要件撤廃
変更内容
調剤基本料3ロ・ハにあった「同一グループの店舗数300以上」という要件を撤廃し、処方箋受付回数と集中率で区分
影響が大きい薬局
大手チェーン(店舗数が多いことだけで区分が変わらなくなる)
医療モールの集中率計算の見直し
変更内容
同一建物内・敷地内の複数の医療機関を1つの医療機関とみなして処方箋集中率を計算
影響が大きい薬局
医療モール併設の薬局
後発医薬品調剤体制加算の撤廃
変更内容
加算1(21点)・加算2(28点)を撤廃し、後発品の使用割合は地域支援・医薬品供給対応体制加算の基礎要件に
影響が大きい薬局
後発品加算だけを算定し、地域支援の要件を満たさない薬局(減収要因)
地域支援・医薬品供給対応体制加算
変更内容
地域支援体制加算を改称・統合。加算1を27点で新設、加算2から5はいずれも27点引上げ(加算2は32点から59点)。引上げ幅は撤廃される後発品加算2の28点とほぼ同額
影響が大きい薬局
両方を算定していた薬局は相殺に近い。新たに加算1を算定できる薬局は増収
かかりつけ薬剤師の実績評価
変更内容
かかりつけ薬剤師指導料・包括管理料を廃止し、電話などのフォローアップや残薬調整の患家訪問、服薬状況の総合的な管理など実務への評価に転換
影響が大きい薬局
かかりつけ薬剤師指導料を算定していた薬局
在宅・DX・賃上げの評価
変更内容
在宅薬学総合体制加算1を15点から30点、2イ(個人宅)を50点から100点へ引上げ。電子的調剤情報連携体制整備加算8点(月1回)、バイオ後続品調剤体制加算50点、調剤ベースアップ評価料4点、調剤物価対応料1点を設定
影響が大きい薬局
在宅医療や電子処方箋の体制を持つ薬局、賃上げは全薬局
読み解き

改定項目を並べると、減収要因は後発医薬品調剤体制加算の撤廃と、都市部の新規出店への減算、増収要因は調剤基本料の引上げ、在宅薬学総合体制加算の引上げ、賃上げ・物価対応の設定です。地域支援・医薬品供給対応体制加算の27点の引上げは、撤廃される後発品加算2の28点とほぼ同額で、両方を算定していた薬局では差し引きゼロに近く、後発品加算だけを算定していた薬局は減収、新たに加算1を算定できる薬局は増収になります。どちらが大きいかは薬局ごとに異なり、地域支援の要件を満たせない薬局には厳しく、在宅対応や地域連携の実績を持つ薬局には有利に働きます。大手チェーンは店舗数による要件がなくなる一方、門前立地の新規出店が抑えられます。

薬局はどこで稼ぎ、改定はどこに効くのか

技術料と薬剤料の構造、技術料の中身、損益差額率4.9%の意味
薬局の収入は技術料27.7%で決まる

2024年度の調剤医療費(電算処理分)8兆4,008億円の内訳は、薬の代金である薬剤料が6兆592億円(72.1%)、調剤や服薬指導への報酬である技術料が2兆3,251億円(27.7%)、残りが特定保険医療材料料165億円です。薬剤料の大半は医薬品の仕入れ代金として卸や製薬会社に支払われるため、薬局の手元に残るのは技術料と、薬価と仕入れ値の差である薬価差です。報酬改定の「本体」が動かすのはこの技術料で、薬価改定は薬剤料と薬価差の両方に効きます。

技術料の中身 — 調剤基本料は技術料の3分の1

技術料2兆3,251億円は、調剤技術料1兆2,249億円と薬学管理料1兆1,003億円に分かれます。調剤技術料のうち調剤基本料は7,678億円で、技術料の33.0%を占めます(統計上の調剤基本料は、地域支援体制加算など基本料に付く加算を含む区分です)。処方箋1枚ごとに算定される基本料の点数が2点(20円)動くだけで、年間8億枚を超える処方箋を通じて業界全体の技術料に効き、地域支援・医薬品供給対応体制加算のような体制の加算は算定できる薬局とできない薬局で差がつきます。薬学管理料は服薬指導や薬歴管理への報酬で、かかりつけ薬剤師の実績評価や在宅の加算はここに含まれます。

損益差額率4.9% — 薄い利益に改定が直接効く

中央社会保険医療協議会の医療経済実態調査(第25回)によると、法人立の保険薬局の2024年度の1施設当たり収益は1億7,973万円で、費用のうち医薬品等費が63.2%、給与費が18.2%を占め、損益差額率は4.9%でした。この実態調査は改定の基礎資料です。改定率の内訳にある「令和6年度改定以降の経営環境の悪化を踏まえた緊急対応分+0.44%」は、配分の大半が病院(+0.40%)で、保険薬局への配分は+0.01%にとどまります。利益率が5%前後の事業では、基本料や加算の数点の増減と、賃上げに伴う給与費の上昇が、そのまま損益の符号を左右します。

なぜ門前薬局の是正が主題なのか

10年で増えた門前薬局、医療モールと新規出店、後発品置き換えの到達点
10年で門前薬局はむしろ増えた

厚生労働省は2015年の「患者のための薬局ビジョン」で門前からかかりつけ・地域へ移す方針を示しましたが、処方箋集中率95%以上の薬局の割合は2015年7月の14.0%から2024年8月の17.3%へ、85%以上は32.5%から39.3%へ増えました。改定概要はこの数字を示したうえで「門前型薬局や医療モール型薬局の設立が続出」している現状を是正の理由に挙げています。2016年に新設したかかりつけ薬剤師指導料などの報酬上の誘導では、立地の優位を覆せなかったという総括です。

医療モールと新規出店に直接手を入れる

今回の改定が過去と違うのは、報酬で誘導するだけでなく立地そのものに減算を設けた点です。都市部の門前・密集地域や医療モール内で集中率が高い新規開設薬局への15点の減算、医療モール内の複数医療機関を1つとみなす集中率の計算、同一建物内に診療所がある薬局への特別調剤基本料Aの適用は、いずれも「複数の医療機関に対応しているように見えて実態は門前」という形を塞ぐ措置です。既存の薬局には当面適用しない経過措置があるため、効くのはこれからの出店に対してです。

後発品の置き換えは終わり、次は供給と機能

後発医薬品の数量ベースの割合は2024年度末に90.6%に達しました。使用割合に応じて薬局に点数を付ける加算は、置き換えを進める段階では意味を持ちましたが、9割に達した今は「加算がなくても後発品を使う」状態です。加算を撤廃して地域支援・医薬品供給対応体制加算の基礎要件に組み込んだのは、評価の軸を「後発品を使うか」から「地域に医薬品を安定して供給し、在宅や連携の機能を持つか」へ移す判断です。バイオ後続品の加算新設は、置き換えの対象がバイオ医薬品に移ったことを示しています。

主要論点

改定は大手チェーンと中小薬局のどちらに効くのか?

大手チェーンにとって、調剤基本料3ロ・ハにあった同一グループの店舗数300以上という要件がなくなったことは、店舗数だけで低い区分に置かれる不利の解消です。一方で、都市部の門前・医療モールへの新規出店には15点の減算が入り、処方箋の集中率(特定の医療機関に依存する門前薬局ほど高い)と受付回数で区分が決まるため、店舗網を広げる戦略のうち「診療所前への出店」は報酬上の優位を失います。大手が得意としてきた出店による成長の型に制度が直接手を入れた形です。

中小・個人の薬局にとっては、調剤基本料1の45点から47点への引上げと、調剤ベースアップ評価料・調剤物価対応料の新設が下支えになります。ただし後発医薬品調剤体制加算の撤廃は、加算を算定していた薬局の減収要因で、代わりの地域支援・医薬品供給対応体制加算は在宅対応や地域連携の実績を要件とするため、薬剤師の人数に余裕のない薬局ほど満たしにくい面があります。

つまり改定の効き方は「大手か中小か」ではなく、門前立地に依存しているか、地域の機能を持っているかで分かれます。大手でも面分業型の店舗と在宅対応の実績があれば増収要因が上回り、中小でも門前で後発品加算に頼っていた薬局には厳しい改定です。

後発医薬品調剤体制加算の撤廃で、薬局の収益はどう変わるのか?

後発医薬品調剤体制加算は、使用割合80%以上で21点、85%以上で28点を処方箋の受付ごとに算定できる加算でした。数量ベースの後発品割合が90.6%に達した今、大半の薬局が算定していた加算がなくなることは、業界全体でみれば技術料の配分の組み替えです。撤廃分は地域支援・医薬品供給対応体制加算の引上げ(加算2が32点から59点、加算3が40点から67点)に振り向けられ、後発品の使用割合はその基礎要件に残ります。

薬局にとっての違いは、新しい加算が「後発品を使っているか」だけでなく「地域で医薬品を安定供給し、在宅や連携の体制を持つか」を問う点です。引上げ幅の27点と撤廃される後発品加算2の28点はほぼ同額で、従来から地域支援体制加算と後発品加算の両方を算定していた薬局では差し引きゼロに近くなります。差がつくのは、要件を満たせず後発品加算分をそのまま失う薬局と、新設の加算1(27点)を新たに算定できる薬局です。改定率の内訳にある「後発医薬品への置換えの進展を踏まえた評価の適正化」▲0.15%は、この撤廃を含む効率化です。

薬剤料の側では、薬価▲0.86%の引き下げが薬価差を縮めます。後発品の供給不安が続く中で、薬局は加算のない後発品を扱いながら在庫と供給の負担を負う形になり、収益構造は技術料の中でも体制の加算への依存を強めます。

かかりつけ薬剤師の実績評価は現場を変えるのか?

2016年に新設されたかかりつけ薬剤師指導料は、患者が薬剤師を指名して同意することで算定する包括的な評価でした。今回の改定はこれを廃止し、電話でのフォローアップ、残薬調整のための患家訪問、服薬状況の総合的な管理といった実際に行った業務を評価する形に転換します。同意書を取って算定する型から、行為の実績で算定する型への変更です。

現場にとっては、算定の根拠が明確になる一方、業務の記録と実施の手間が増えます。在宅訪問の算定間隔が「中6日以上」から「週1回」に緩み、医師との同時訪問や複数名の訪問に評価がつくことと合わせると、薬剤師が薬局の外に出て患者に関わる業務ほど報酬がつく設計です。薬局薬剤師は2024年末に約19.7万人で薬局数の伸びを上回って増えていますが、対人業務が増えるほど1人の薬剤師が扱える処方箋の枚数には限りが出ます。

実績評価が現場を変えるかどうかは、薬局が薬剤師の時間を対物業務(薬を揃えて渡す)から対人業務(患者に向き合う服薬指導やフォロー)へどれだけ移せるかにかかっています。調剤ロボットや電子処方箋による効率化は、その時間を生み出す手段として位置づけられます。門前薬局の是正と同じく、制度は方向を示しましたが、実態が動くのはこれからです。

よくある質問

2026年度の調剤報酬改定の改定率は何%ですか?
診療報酬本体が+3.09%(令和8年度+2.41%、令和9年度+3.77%の2年度平均)で、うち調剤は+0.08%(医科+0.28%、歯科+0.31%。賃上げ分や物価対応分を除いた各科の配分)です。薬価は▲0.86%、材料価格は▲0.01%です。薬価は2026年4月、本体は2026年6月に施行されます。
調剤基本料はどう変わりますか?
調剤基本料1が45点から47点、調剤基本料2が29点から30点、3イが24点から25点、3ロが19点から20点、3ハが35点から37点に引き上げられます(特別調剤基本料A5点・B3点は据え置き)。調剤基本料3ロ・ハにあった同一グループの店舗数300以上という要件は撤廃され、2026年6月以降に都市部で新規開設する小規模で集中率の高い薬局などには門前薬局等立地依存減算15点が適用されます。
後発医薬品調剤体制加算はなくなるのですか?
はい。加算1(使用割合80%以上、21点)と加算2(85%以上、28点)は撤廃され、後発医薬品の使用割合は新設・改称された地域支援・医薬品供給対応体制加算の基礎要件になります。後発品の数量ベースの割合が2024年度末に90.6%に達し、置き換えを促す加算の役割が終わったためです。代わりにバイオ後続品調剤体制加算50点が新設されます。
かかりつけ薬剤師指導料はどうなりますか?
かかりつけ薬剤師指導料とかかりつけ薬剤師包括管理料は廃止されます。代わりに、電話などによる患者のフォローアップ、残薬調整のための患家訪問、服薬状況などの総合的な管理と評価の実施といった、かかりつけ薬剤師としての実務に対する評価が設けられます。包括的な指導料から実績に基づく評価への転換で、関連する施設基準も見直されます。
改定は薬局の収益にどのくらい影響しますか?
薬局の収入は調剤医療費の27.7%を占める技術料で決まり、その3分の1が調剤基本料です。法人立の保険薬局の損益差額率は2024年度で4.9%と薄いため、基本料の1〜2点の引上げ、後発品加算の撤廃、地域支援・医薬品供給対応体制加算や在宅加算の引上げ、調剤ベースアップ評価料4点の新設が損益を左右します。影響の向きは、門前立地に依存しているか、地域の機能を持っているかで薬局ごとに異なり、本ページでは金額の推計はしていません。

参考資料 / 一次ソース

  1. 1.
    厚生労働省 令和8年度診療報酬改定の概要【調剤】
  2. 2.
    厚生労働省 調剤医療費(電算処理分)の動向 年度版
  3. 3.
    中央社会保険医療協議会 第25回医療経済実態調査(医療機関等調査)
  4. 4.
    厚生労働省 医師・歯科医師・薬剤師統計 / 令和8年度診療報酬改定の概要【調剤】p.4
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