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食品スーパーのDX・省人化|セルフレジ・ネットスーパーと食品アクセス【2026年版】

食品スーパーは、薄い収益構造と人手不足のもとで、省人化と販路の拡大、そして社会インフラとしての役割を同時に求められています。セルフレジを設置する企業は2025年に41.7%へ増え、自動発注システムや電子棚札など省人化の取り組みも広がっています。インターネットで注文を受けるネットスーパーの実施率は20.9%、移動販売(移動スーパー)は32.0%です。背景には、高齢化で身近に店がなく買い物に困る人(食料品アクセス困難人口)が約825万人にのぼるという社会課題があります。人手が足りない店舗をどう効率よく回すか(省人化)と、店まで来られない人にどう届けるか(食品アクセス)は、いずれも人手と移動の制約という共通の課題に根ざしています。省人化のためのDX、ネットスーパーや移動販売による販路拡大、食品アクセスへの対応を順に整理します。

セルフレジの設置率(2025年)
41.7%
設置企業の割合。設置していない企業は2023年68.9%から2025年58.3%へ減少(設置は増加)
出典: スーパーマーケット年次統計調査2025(3協会)アンケート調査
移動スーパーの実施率(2025年)
32.0%
移動販売。高齢化・過疎地の買い物困難(食品アクセス)への主要な対応手段
出典: スーパーマーケット年次統計調査2025(3協会)アンケート調査
ネットスーパーの実施率(2025年)
20.9%
インターネット注文の宅配。店舗販売分の配送サービスは42.4%
出典: スーパーマーケット年次統計調査2025(3協会)アンケート調査
食料品アクセス困難人口
825万人
65歳以上の24.6%。店舗まで500m以上かつ自動車利用が困難な高齢者(農水省)
出典: 農林水産省 食料品アクセス困難人口の推計(2020年国勢調査ベース、2024年2月公表)

生産性向上に向けた取り組み(複数回答、2025年、%)

セルフレジ・自動発注など省人化の取り組み別の実施率。薄利・人手不足のもとで作業を効率化する
読み解き

生産性向上の取り組みで最も多いのは「セルフレジ・セルフ精算レジの導入」(66.2%)で、次いで自動発注システム(48.8%)、複数部門をこなせる人材の育成(多能工化、44.4%)が続きます。グラフの「需要予測型発注」は販売の予測にもとづいて発注量を自動で決める仕組み、「電子棚札」は値札を電子化して価格の更新を自動化する仕組み、「プロセスセンター」は惣菜・生鮮を集中して加工する施設です。前回調査に比べ、自動発注システムや電子棚札、人材育成の割合が増えています。

ここで注意したいのが、2つのセルフレジの数字です。この取り組みでの66.2%は「生産性向上策としてセルフレジ・セルフ精算レジの導入を挙げた企業の割合」(セルフ精算レジを含む複数回答)で、KPIで示した設置率41.7%は「実際にセルフレジを設置している企業の割合」です。前者は取り組み・意向のベース、後者は設置実態のベースで、集計の対象が異なります。いずれの取り組みも、レジ・発注・品出しといった人手のかかる作業を機械やシステムに置き換え、薄利のもとで人件費を抑える狙いです。

店舗外販売・配送サービスの実施率(2025年、%)

ネットスーパー・移動販売・宅配など、店舗の外へ商品を届けるサービス。販路拡大と食品アクセス対応を兼ねる
読み解き

店舗の外へ商品を届けるサービスでは、店舗販売分の配送サービス(42.4%)が最も多く、次いで移動販売(移動スーパー、32.0%)ネットスーパー(20.9%)が続きます。ピックアップサービスやフードデリバリー事業者による配達は1割未満です。

ネットスーパーは、共働き世帯の増加や利便性を背景にした販路の拡大策です。一方、移動販売は、高齢化や過疎化で店まで行きにくい地域への対応として重要で、次に述べる食品アクセスの課題に直接こたえる手段になっています。

主要論点

食品アクセス(買い物困難)の問題とは何ですか?

食品アクセス(買い物困難)とは、身近に店がない、店まで遠い、移動手段がないなどの理由で、日々の食料品の買い物に困る問題です。農林水産省は、店舗まで500m以上離れ、かつ自動車の利用が難しい65歳以上の高齢者を「食料品アクセス困難人口」と定義し、最新の推計(2020年国勢調査ベース、2024年2月公表)で約825万人、65歳以上人口の24.6%にのぼるとしています。高齢化の進行を背景に、この人数は増加傾向にあります。

食料品スーパーは、コンビニや総合スーパー、ドラッグストアなどと並んで、地域の食を支える店舗として位置づけられています。とくに地方や過疎地では、近くの食品スーパーが日常の食料調達の生命線になっており、店舗の存続そのものが地域の食品アクセスを左右します。

食品スーパーは食品アクセスにどう対応していますか?

主な対応は、移動販売(移動スーパー)と宅配です。年次統計では、移動スーパーを実施する企業は32.0%、店舗販売分の配送サービスは42.4%、ネットスーパーは20.9%です。移動販売車で住宅地や過疎地を巡回したり、注文を受けて自宅へ届けたりすることで、店まで来られない高齢者などの買い物を支えています。

これらは、人手とコストがかかる一方で、地域に密着する食品スーパーの役割そのものでもあります。薄い収益構造のもとで採算と両立させるため、自治体との連携や、効率的な配送の仕組みづくりが課題になっています。生活インフラとしての役割と、事業としての収益性をどう両立するかが、長期のテーマです。

なぜ食品スーパーでDX・省人化が急がれているのですか?

薄い収益構造と人手不足が重なっているためです。食品スーパーの営業利益率は全業界平均で1〜3%台と薄く、人件費が利益を大きく左右します。そこに最低賃金の引き上げや採用難が加わり、限られた人手で店舗を回す必要が高まっています。

そのため、レジ(セルフレジ設置率41.7%)、発注(自動発注システム48.8%)、棚札の更新(電子棚札)など、人手のかかる作業を機械やシステムに置き換える投資が広がっています。あわせて、複数部門をこなせる人材の育成(44.4%)で、少ない人数でも柔軟に店舗を運営する取り組みも進みます。DX・省人化は、薄利のもとで店舗運営の効率を高め、生鮮・惣菜などの付加価値づくりに人手を振り向けるための土台になっています。

中期見通し

近未来1-2年

人手不足と最低賃金の上昇が続くなか、セルフレジ・自動発注・電子棚札などの省人化投資がさらに広がる見通しです。設置していない企業の割合が年々減っていることからも、導入は今後も進むとみられます。ネットスーパーや移動販売も、販路拡大と食品アクセス対応の両面で各社が取り組みを続けます。

中期3-5年

中期では、需要予測にもとづく発注や物流の効率化、店舗作業の自動化が一段と進む見通しです。省人化で生まれた余力を、生鮮・惣菜の店内調理や接客といった付加価値づくりに振り向ける動きが強まります。食品アクセスの面では、移動販売や宅配に加え、自治体や他業態との連携による買い物支援の仕組みづくりが課題になります。

長期

長期では、人口減少と高齢化が、店舗の効率化と社会インフラ機能の両方を強く求めます。食料品アクセス困難人口の増加が見込まれるなか、店舗の省人化で採算を保ちつつ、移動販売・宅配で地域の食を支える二つの役割をどう両立するかが、食品スーパーの長期的な課題となります。

よくある質問

食品スーパーのセルフレジ設置率はどのくらいですか?
年次統計(業界推計)では、セルフレジを設置する企業の割合は2025年に41.7%です。設置していない企業は2023年の68.9%から2025年は58.3%へ減っており、設置は年々増えています。規模の大きい企業ほど設置率が高い傾向があります。
食品スーパーの省人化ではどんな取り組みが多いですか?
生産性向上の取り組みとして最も多いのは「セルフレジ・セルフ精算レジの導入」(66.2%、複数回答)で、次いで自動発注システム(48.8%)、複数部門をこなせる人材の育成(44.4%)です。電子棚札や需要予測型の発注システムなども導入が進んでいます。
食品スーパーのネットスーパーや宅配はどのくらい普及していますか?
年次統計(業界推計)では、ネットスーパーの実施率は20.9%、店舗販売分の配送サービスは42.4%、移動販売(移動スーパー)は32.0%です。インターネット注文の宅配に加え、移動販売や店舗からの配送など、複数の方法で店舗の外へ商品を届けています。
「食料品アクセス困難人口」とは何ですか?
農林水産省の定義で、店舗まで500m以上離れ、かつ自動車の利用が難しい65歳以上の高齢者を指します。最新の推計(2020年国勢調査ベース、2024年2月公表)で約825万人、65歳以上人口の24.6%にのぼり、高齢化を背景に増加傾向にあります。食品スーパーは地域の食を支える店舗として重要な役割を担っています。
食品スーパーは買い物困難な高齢者にどう対応していますか?
移動販売(移動スーパー、実施率32.0%)や宅配(店舗配送42.4%・ネットスーパー20.9%)で対応しています。移動販売車で住宅地や過疎地を巡回したり、注文を受けて自宅へ届けたりして、店まで来られない高齢者などの買い物を支えています。採算との両立や自治体との連携が課題です。

参考資料 / 一次ソース

  1. 1.
    スーパーマーケット年次統計調査2025(全国・日本・オール日本スーパーマーケット協会)
  2. 2.
    農林水産省 食料品アクセス困難人口の推計(2020年国勢調査ベース、2024年2月公表)
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