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自動車業界の構造とサプライヤー階層|部品市場・整備・リース・保険のアフターマーケット【2026年版】

日本の自動車業界は、完成車OEM 9社と完成車組立1社、1次部品メーカーのTier1主要3社、Tier2-3サプライヤー、整備・リース・保険・中古車のアフターマーケットからなる4階層構造です。上場13社のFY2025連結売上合計は約122兆円で、部品市場では2024年通年で輸出6.7兆円、輸入3.3兆円の貿易構造を持ちます。アフターマーケットはリース保有287万台、任意自動車保険4.48兆円、整備業約9万社の独立した産業領域です。本ページでは階層構造、部品市場、アフターマーケット、EVシフトの影響を順に整理します。

上場13社合計売上 (FY2025)
122兆円
OEM 9社+OEM affiliate 1社+Tier1 3社の連結 (期計)
出典: EDINET有価証券報告書 (上場13社、FY2025)
2024年 部品輸出
6.7兆円
輸入3.3兆円、差引貿易黒字3.4兆円
出典: 日本自動車部品工業会 自動車部品輸出入統計
リース保有 (2025/3)
287万台
乗用車149・トラック111万台、うち電気自動車2.59万台
出典: リース事業協会 自動車リース統計 (2025年3月末)
任意自動車保険 (2024年度)
4.48兆円
元受正味保険料、前年度比+2.9%
出典: 日本損害保険協会 自動車保険

自動車業界の階層別連結売上規模 (上場13社+Tier2-3参考、FY2025)

OEM (完成車メーカー) ・Tier1 (1次部品) ・Tier2-3 (2-3次部品) ・アフターマーケットの4階層構造
区分名称時期ステージ定義
OEM完成車メーカー (9社)FY2025106兆円 (構成比86%)トヨタ48、ホンダ21.7、日産12.6、スズキ5.8、SUBARU 4.7、マツダ4.8、三菱自2.8、いすゞ3.2、日野1.9兆円。乗用車・商用車を含む完成車メーカー9社の上場ベースです。
OEM affiliate完成車組立 (1社)FY20250.35兆円 (構成比0.3%)日産車体。日産系列の完成車組立を担当する独立上場会社で、OEM本体とは独立した法人格で開示しています。
Tier11次部品メーカー (3社)FY202516.5兆円 (構成比13%)デンソー7.2兆円 (電装、世界首位級) 、アイシン4.9兆円 (駆動・e-Axle) 、ブリヂストン4.4兆円 (タイヤ、世界首位級) です。OEM直接取引の1次部品メーカーで、日系OEM以外の欧米・中国系OEMにも世界規模で供給しています。
Tier2-32-3次部品 (約7万社、参考)2024非開示 (約7万社、推計)上場と非上場の中小サプライヤーで、本ページ集計外です (非上場含むため定量データ未集計) 。OEM・Tier1業績比較ページの関連業界として参照、部品市場6.7兆円輸出の主たる供給源です。
アフターマーケット整備・リース・保険・中古車2024推計15-20兆円規模整備業約9万事業所、リース保有287万台、任意自動車保険4.48兆円、中古車流通 (年間600-700万台) 。新車販売 (フロー) とは独立した保有 (ストック) 軸の市場です。
読み解き

上場13社 (OEM 9+OEM-affiliate 1+Tier1 3) のFY2025連結売上合計は122兆円です。OEM 9社は売上規模で圧倒的シェア (約86%) 、Tier1 3社が約13%を占めます。業態が異なるOEM (完成車組立) とTier1 (1次部品メーカー) を単純な売上ランキングで横並びにすると比較軸が混乱するため、本ページでは階層別の集計表として整理しています (個社の業績比較はOEM・Tier1業績比較ページ参照) 。

Tier2-3サプライヤー (約7万社、非上場含む) は本表の集計対象外で、部品市場6.7兆円輸出の供給源として機能します。アフターマーケット (整備・リース・保険・中古車) は新車販売とは独立した保有ストック市場で、推計15-20兆円規模です。EVシフトとSDV (Software Defined Vehicle) の進行で、Tier1-3の事業構造、整備業の収益構造、OEM・Tier1の力関係が再定義される局面に入っています。

自動車部品の輸出・輸入の品目別構成 (2024年)

単位: 億円8 カテゴリ・合計 67,144
010,00020,00030,00040,00038,970自動車用部品・付属品8,213ピストン・同部品4,866ゴム製タイヤ4,794内燃機関用電気部品4,170その他部品2,572エアコン1,886伝導軸・軸受箱1,673自動車用照明機器等
出典: 日本自動車部品工業会 自動車部品輸出入統計 (2024年通年、品目別)
カテゴリ自動車用部品・付属品ピストン・同部品ゴム製タイヤ内燃機関用電気部品エアコン伝導軸・軸受箱自動車用照明機器等その他部品
億円38,9708,2134,8664,7942,5721,8861,6734,170
シェア58.0%12.2%7.2%7.1%3.8%2.8%2.5%6.2%
読み解き

2024年の自動車部品輸出6.7兆円のうち、最大カテゴリは「自動車用部品・付属品」 (38,970億円、輸出全体の58%) です。これはOEM完成車の組立に直接使われる広範な部品群 (車体パネル・内装・足回り部品等) を含む大分類で、北米・東南アジアの日系OEM現地工場向け供給が中核です。続いてピストン・同部品 (8,213億円) 、ゴム製タイヤ (4,866億円) 、内燃機関用電気部品 (4,794億円) 、エアコン (2,572億円) が上位を占めます。

輸出超過3.4兆円が業界の貿易黒字を支える構造で、これは日本完成車輸出 (約17.8兆円) と並んで国際収支の主柱です。Tier1 (デンソー・アイシン等) とTier2-3サプライヤーの生産技術力が、世界のOEM (米GM・米Ford・独VW等) や日系OEMの海外工場に部品を供給する競争力の源泉です。一方、ピストンや内燃機関用電気部品が上位にあることから、EVシフトの本格化で輸出構成が中長期で大きく変わる構造変化が見えてきます。

自動車部品の主要仕向地 (輸出 上位10カ国、2024年)

単位: 億円10 カテゴリ・合計 48,832
06,25012,50018,75025,00022,171アメリカ6,002中華人民5,033タイ3,479メキシコ2,791インドネシア2,091ブラジル2,076インド1,751ドイツ1,743カナダ1,695オランダ
出典: 日本自動車部品工業会 自動車部品輸出入統計 (2024年通年、仕向地別)
カテゴリアメリカ中華人民タイメキシコインドネシアブラジルインドドイツカナダオランダ
億円22,1716,0025,0333,4792,7912,0912,0761,7511,7431,695
シェア45.4%12.3%10.3%7.1%5.7%4.3%4.3%3.6%3.6%3.5%
読み解き

輸出仕向地は北米中心の構造で、首位アメリカ22,171億円が輸出全体の33%を占めます。次いで中国6,002億円、タイ5,033億円、メキシコ3,479億円、インドネシア2,791億円と続き、日系OEMの現地生産地 (北米・東南アジア・メキシコ) への補完供給が輸出構造の中核です。

輸入は中国11,049億円が圧倒的首位 (輸入全体の34%) で、ベトナム・タイ・フィリピン・インドネシアの東南アジア勢が並びます。背景にはTier2-3サプライヤーの低コスト調達 (中国と東南アジア) と日系Tier1の現地調達戦略があり、EVシフトで電池・モーター・パワー半導体の中国依存度が上昇する構造変化が中期論点です。輸出6.7兆円、輸入3.3兆円の差引3.4兆円の貿易黒字は基幹産業の指標として機能しています。

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自動車アフターマーケットの分野別規模 (直近年)

単位: 兆円4 カテゴリ・合計 20.0
0.002.004.006.008.007.00リース料総額5.50整備業売上4.48任意自動車保険3.00中古車流通
出典: 日本損害保険協会 (任意自動車保険、2024年度) ・リース事業協会 (2025年3月末、台数→推計金額) ・日本自動車整備振興会連合会 (整備業推計) ・各種業界統計
カテゴリ任意自動車保険リース料総額整備業売上中古車流通
兆円4.4875.503
シェア22.4%35.0%27.5%15.0%
読み解き

任意自動車保険4.48兆円 (2024年度元受正味保険料) は前年度比+2.9%で拡大基調にあります。30年スパンで見ても4兆円台を維持する安定市場です。リース保有287万台 (2025年3月末) は乗用車149万台、トラック111万台で、企業のフリート (社用車) 需要と個人向けカーリースの拡大が背景です。リース料総額 (推計約6-8兆円規模) を加味すると、アフターマーケット全体は15-20兆円規模の独立した産業領域となります。

整備業 (約9万事業所、日本自動車整備振興会連合会加盟ベース) は車検・法定点検・故障修理・リコール対応の必須インフラで、保有8,200万台の社会基盤を支える役割を担います。中古車流通 (JU中販連と民間オークションUSS等を経由した売買、年間600-700万台規模) も並行して機能。アフターマーケットは新車販売 (フロー) と独立した保有 (ストック) 軸の市場で、人口減少局面でも保有台数の高齢化 (平均車齢9.0年) で需要は底堅く推移します。

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主要論点

EVシフトで部品サプライヤーTier1-3はどう変わるか?

内燃機関車 (ICE) はエンジン関連部品4,000-5,000点を必要とする組立構造で、Tier1-3サプライヤー (デンソー・アイシン・愛三工業・武蔵精密・河西工業等の中小含む) が個別に競争力を持って供給してきました。電気自動車であるEVでは構造が大きく変わり、部品点数は約1/3 (1,500-2,000点) に減少し、中核は電池 (セル+モジュール+パック) +e-Axle (モーター+インバーター+減速機) +パワー半導体 (SiC・GaN) に集約されます。

Tier1の動向: デンソーは電動化投資を年率拡大しトヨタ系電動化の中核に位置づけ、アイシンはe-Axle量産拡大 (中国・欧州向け含む) で2030年に売上の30%を電動車両向けに引き上げる方向です。一方、エンジン部品依存度の高いTier2-3 (ピストン・バルブ・カムシャフト・燃料噴射系メーカー) は事業構造転換が課題で、3軸で再編が進行する見通しです。①電動車両向け新規部品開発 (バッテリーケース・モーターハウジング等) 、②Tier1への統合・買収、③異業種への転出、です。中国CATL・BYDのセル+電池モジュール優位への対抗策、ソフトウェア定義車であるSDVのソフトウェア競争への参入が、日本Tier1の中期競争軸として浮上しています。

整備業界はEV化で縮小するか?

整備業は約9万事業所 (日本自動車整備振興会連合会加盟ベース) 、整備士 約33万人で、車検・法定1年点検・故障修理・リコール対応の必須インフラです。売上構成はエンジン整備 (オイル交換・タイミングベルト・エンジン故障修理) ・トランスミッション・足回り・電装・ボディ補修が中核で、エンジン関連の作業比率が高い構造です。EVはICEに比べ可動部品 (エンジン・ミッション) が大幅減で、整備工数はICE比30%程度減と業界推計されています。

業界の軟着陸シナリオは4軸あります。①日本市場ではHEVが乗用車生産の48%を占め、HEVはエンジンとモーター両方を持つため整備工数がICEと同等以上で残るHEV整備の長期併存、②整備事業者の認証制度 (指定工場・認証工場) がEV向けにも適用される車検制度の継続、③電池の劣化診断と高電圧系の専門資格 (低圧電気取扱者・EV整備士) の育成によるバッテリー診断・電動車両整備の専門化、④高齢化と人材不足で整備キャパが需要に追いつかない整備士不足の構造的継続、です。9万社の業界規模は中長期で安定する見通しですが、内燃機関専業の中小整備工場はEVシフト適応が遅れると個別では縮小リスクがあります。

SDV (ソフトウェア定義車) でOEM・Tier1の力関係は変わるか?

車両機能をソフトウェアで定義し、OTA (Over-The-Air) アップデートで継続更新する車であるSDV (Software Defined Vehicle) は、テスラと中国系EV (BYD・NIO・Xpeng) が先行してきた領域です。コンサルティング会社の業界予測 (McKinsey・Roland Berger等の公表レポート) では、ソフトウェア / コネクテッド領域が中長期で車両売上に占める割合を高めていくとされており、出典は各社レポートURLを参照、OEMのソフトウェアと電子アーキテクチャ投資が中期競争軸になっています。

国産OEMの対応: トヨタは「Arene」ソフトウェアプラットフォームの開発を進め、ホンダは「E&E (Electrical and Electronic) アーキテクチャ」の刷新計画を発表しています。OEM・Tier1の境界が再定義されつつあり、2方向で再編が進行しています。①テスラ式の垂直統合でTier1の供給領域が縮小する可能性のOEM内製領域の拡大、②逆にSDV統合システム供給でTier1が「ソフトと部品」を一体提供する事業モデル拡大、です。デンソー・アイシン・ブリヂストン等の日系Tier1は車載OS・統合制御ソフトウェア・電子アーキテクチャの領域でグローバル競合 (Bosch・Continental・ZF・Valeo・中国系Tier1) との競争に直面しており、SDV時代の競争力維持が業界中期3-5年の最大論点となっています。

中期見通し

近未来1-2年

2026-2027年はOEM 9社の業績がトヨタ寡占強化、日産経営再建、中堅OEM (スズキ・SUBARU・マツダ) のHEV・北米向けSUV・軽自動車での収益確保が続く見通しです (詳細はOEM業績比較ページ) 。Tier1 3社は電動化投資が利益率を1-2pt圧迫しつつ売上は安定推移します。部品輸出6.7兆円規模は維持される一方、HS構成 (ピストン・内燃機関電気部品から電池・モーター・パワー半導体への置換) が緩やかに進行します。アフターマーケット (リース・保険・整備・中古車) は保有台数8,200万台の安定基盤の上で堅調に推移します。

中長期3-5年

2028-2030年はEVシフトとSDV化でTier1-3の事業構造が業界全体で再編される局面に入ります。エンジン部品依存度の高いTier2-3は、電動車両向け新規部品への転換・Tier1への統合・異業種転出の3軸で再編進行します。整備業9万社はHEV長期併存とバッテリー診断の専門化で安定するものの、内燃機関専業の中小はEV適応が課題です。SDV領域の競争 (車載OS・統合制御ソフト・電子アーキテクチャ) で日系Tier1がボッシュ・コンチネンタル・中国系Tier1と並ぶ位置を確保できるかが、業界生態系全体の競争力を左右する論点です。

関連業界への波及

上場13社合計 約122兆円の自動車業界は、部品サプライヤー (Tier1-3、約7万社規模) ・販売店・整備業 (約9万社) ・自動車保険 (4.48兆円) ・リース・中古車流通の巨大エコシステムを支え、関連雇用 約550万人 (日本の就業者の約8%) を内包する基幹産業です。EVシフトとSDV化による業界構造の変化は、素材産業 (鉄鋼・電機・化学・電池材料) と関連雇用にも直結し、日本の対GDP比5%超を占める産業として政策面・地域経済面でも継続的にウォッチが必要な領域です。

よくある質問

自動車業界の階層構造はどうなっていますか?
完成車OEM (Original Equipment Manufacturer、完成車メーカー) 9社と完成車組立1社、Tier1 (1次部品メーカー) 主要3社、Tier2-3サプライヤー (約7万社規模) 、アフターマーケット (整備・リース・保険・中古車) の4階層構造です。上場13社 (OEM 9+affiliate 1+Tier1 3) のFY2025連結売上は約122兆円です。
自動車部品市場の規模はどれくらいですか?
日本自動車部品工業会集計の2024年通年で輸出6.7兆円、輸入3.3兆円、差引貿易黒字3.4兆円です。輸出仕向地はアメリカが最大 (22,171億円) 、輸入相手は中国が最大 (11,049億円) です。
Tier1部品メーカーとはどんな企業ですか?
Tier1 (1次部品メーカー、OEMと直接取引する階層) の上場主要3社はデンソー・アイシン・ブリヂストンです。FY2025連結売上はデンソー約7.2兆円、アイシン約4.9兆円、ブリヂストン約4.4兆円で、それぞれ世界規模の独立した部品メーカーです。詳細はOEM業績比較ページを参照ください。
カーリースの保有台数はどれくらいですか?
2025年3月末で保有287万台 (リース事業協会、正・賛助会員合計) です。乗用車149万台、トラック111万台が中核で、うち電気自動車は2.59万台 (全体の0.9%) の構成です。
任意自動車保険の市場規模は?
2024年度の元受正味保険料は4.48兆円 (日本損害保険協会、前年度比+2.9%) です。30年スパンでも4兆円台を維持する安定市場で、保有8,200万台の社会基盤を支えています。
EV化で部品サプライヤーはどう変わりますか?
部品点数がICE 4,000-5,000点からEV 1,500-2,000点に減少し、中核は電池とe-Axleとパワー半導体に集約されます。エンジン部品依存度の高いTier2-3は、電動車両向け新規部品開発・Tier1統合・異業種転出の3軸で事業構造転換が進む見通しです。

参考資料 / 一次ソース

  1. 1.
    日本自動車部品工業会 自動車部品輸出入統計
  2. 2.
    リース事業協会 自動車リース統計
  3. 3.
    日本損害保険協会 自動車保険
  4. 4.
    EDINET経由 上場13社連結財務
  5. 5.
    日本自動車整備振興会連合会 整備業統計
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