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自動車OEM主要9社の業績比較|売上・営業利益率・ROEとTier1 3社別軸【2026年版】

日本の自動車産業を構成する完成車メーカーのOEM 9社とOEM affiliate 1社の計10社の連結売上は、FY2025で約106.0兆円、別に1次部品メーカーのTier1 3社が並ぶ階層構造です。首位トヨタ48.0兆円は2位ホンダ21.7兆円の2.2倍という極端な格差です。営業利益率はトヨタ10.0%、ホンダ5.6%、日産0.6%。Tier1部品メーカーも世界的規模ですが業態が異なるため別軸として扱い、OEMの業績格差、Tier1の電動化対応、業界再編論点までを整理します。

OEM 10社合計売上 (FY2025)
106兆円
OEM 9社+OEM affiliate 1社の連結 (期計) 、Tier1 3社は別軸
出典: EDINET有価証券報告書 (OEM 10社、FY2025)
首位トヨタ (FY2025)
48.0兆円
2位ホンダの2.2倍、営業利益4.8兆円、ROE 13.6%
出典: EDINETトヨタ自動車 有価証券報告書 (FY2025)
業績悪化中の日産 (FY2025)
12.6兆円
売上は維持も純損失-6.7千億円、ROE -12.3%
出典: EDINET日産自動車 有価証券報告書 (FY2025)
Tier1首位デンソー (FY2025)
7.2兆円
世界的電装サプライヤー、SUBARU (4.7兆) を超える規模
出典: EDINETデンソー 有価証券報告書 (FY2025)

日本自動車OEM主要9社 + 完成車組立1社の連結売上ランキング (FY2025)

単位: 兆円10 カテゴリ・合計 105.9
0.0012.525.037.550.048.0トヨタ21.7ホンダ12.6日産5.80スズキ5.00マツダ4.70SUBARU3.20いすゞ2.80三菱自動車1.70日野0.40日産車体
出典: EDINET有価証券報告書 (連結財務、OEM 10社、FY2025)
カテゴリトヨタホンダ日産スズキマツダSUBARUいすゞ三菱自動車日野日産車体
兆円4821.7012.605.8054.703.202.801.700.40
シェア45.3%20.5%11.9%5.5%4.7%4.4%3.0%2.6%1.6%0.4%
読み解き

首位トヨタ48.0兆円は2位ホンダ21.7兆円の2.2倍という極端な格差です。世界的にも単独OEMで48兆円規模はGM・VW・ステランティス級です。3位日産12.6兆円、4位スズキ5.8兆円、5位SUBARU 4.7兆円が乗用車中堅、続いてマツダ5.0兆円、三菱自2.8兆円が並びます。

商用車専業のいすゞ3.2兆、日野1.7兆は乗用車OEMとは独立した競争領域で、トラック・バスの専業構造です。なお1次部品メーカーのTier1 3社 (デンソー・アイシン・ブリヂストン) は業態が異なるため、§4で別グラフとして整理します (混在比較は誤解を招くため分離) 。

Tier1 (1次部品メーカー) 主要3社の連結売上 (FY2025)

単位: 兆円3 カテゴリ・合計 16.5
0.002.004.006.008.007.16デンソー4.90アイシン4.43ブリヂストン
出典: EDINET有価証券報告書 (連結財務、デンソー・アイシン・ブリヂストン、FY2025)
カテゴリデンソーアイシンブリヂストン
兆円7.164.904.43
シェア43.4%29.7%26.9%
読み解き

OEMに直接部品を納入する階層であるTier1 (1次部品メーカー) 上位3社はデンソー7.2兆円 (トヨタ系電装で世界首位級) 、アイシン4.9兆円 (AT/CVT/e-Axle等の駆動系) 、ブリヂストン4.4兆円 (タイヤ世界シェア首位級) です。それぞれの売上規模は国産OEM中堅 (SUBARU 4.7兆円、マツダ5.0兆円) を超えるか同水準で、世界市場で評価される独立した競争領域です。

完成車メーカーのOEMと部品メーカーのTier1は業態が異なるため売上ランキングの直接比較には注意が必要ですが、両者を含めた業界13社合計 約122兆円の生態系で日本経済が支えられているという全体構造が見えてきます。Tier1の電動化対応 (電池・モーター・SDV領域) は§6で論じます。

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OEM主要10社の営業利益率比較 (FY2025、operating income / revenue)

単位: %10 カテゴリ・合計 56.5
0.03.87.511.315.011.0スズキ10.0トヨタ8.6SUBARU7.1いすゞ5.6ホンダ5.0三菱自動車3.7マツダ3.4日野1.5日産車体0.6日産
出典: EDINET有価証券報告書 (連結財務、営業利益率=営業利益÷売上高、FY2025)
カテゴリスズキトヨタSUBARUいすゞホンダ三菱自動車マツダ日野日産車体日産
%11108.607.105.6053.703.401.500.60
シェア19.5%17.7%15.2%12.6%9.9%8.8%6.5%6.0%2.7%1.1%
読み解き

営業利益率のOEMトップはSUBARU 8.6% (北米市場の高採算が寄与) 、次いでトヨタ10.0%、スズキ11.0%、三菱自5.0%が二桁水準です。トヨタは規模 (48.0兆円) と利益率 (10.0%) を両立し、HEV累計販売の優位と円安の追い風が利益を押し上げました。

ホンダ5.6%、日産0.6%はOEM中堅の壁に直面しています。日産は北米と中国市場の収益悪化で営業利益率が悪化し、純損失計上 (FY2025) 。商用車OEM (いすゞ7.1%、日野3.4%) は乗用車OEMとは異なる収益構造で、日野は認証不正影響からの回復途上です。なおTier1の利益率はデンソー7.2%、アイシン4.1%、ブリヂストン8.6%でOEM中位と同等水準ですが、業態が異なるため別軸として認識する必要があります (本グラフはOEMのみ表示) 。

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OEM主要10社のROE (自己資本利益率) 比較 (FY2025)

単位: %10 カテゴリ・合計 -18.3
0.03.87.511.315.014.6スズキ13.6トヨタ12.8SUBARU10.2いすゞ6.7ホンダ6.5マツダ4.2三菱自動車1.7日産車体-12.3日産-76.3日野
出典: EDINET有価証券報告書 (連結財務、ROE=純利益÷自己資本、FY2025)
カテゴリスズキトヨタSUBARUいすゞホンダマツダ三菱自動車日産車体日産日野
%14.6013.6012.8010.206.706.504.201.70-12.30-76.30
シェア0.0%0.0%0.0%0.0%0.0%0.0%0.0%0.0%0.0%0.0%
読み解き

ROEのOEMトップはSUBARU 12.8% (北米市場の高採算と自己資本効率の良さ) 、次いでトヨタ13.6%、マツダ6.5%、いすゞ10.2%が二桁水準です。トヨタはROE 13.6%を維持しつつ48.0兆円の事業規模を保つ「規模×効率」の両立OEMです。

日産はFY2025のROEが-12.3%で大幅赤字です。北米市場の販売不振 (在庫過剰から値引き拡大) と中国市場での日系シェア低下が主因で、純損失-6.7千億円が自己資本を毀損しました。日野のROE -76.3%も認証不正の出荷停止影響で大幅マイナスです。Tier1のROEはデンソー8.0%、アイシン5.2%、ブリヂストン8.9%でOEM中位水準ですが、業態が異なるため別軸として認識する必要があります。

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主要OEM5社の連結売上の5年推移 (FY2021-2025)

単位: 兆円
トヨタホンダ日産スズキSUBARU
0.0025.050.075.0100.054.32160.72273.12388.32492.825
出典: EDINET有価証券報告書 (主要OEM 5社連結売上、FY2021-2025)
年度20212022202320242025
トヨタ兆円27.2031.4037.2045.1048
ホンダ兆円13.2014.6016.9020.4021.70
日産兆円7.908.4010.6012.7012.60
スズキ兆円3.203.604.605.405.80
SUBARU兆円2.802.703.804.704.70
合計(兆円54.3060.7073.1088.3092.80
前年比+11.8%+20.4%+20.8%+5.1%
読み解き

FY2021からFY2025の5年で、5社合計売上は約54兆円から約93兆円に拡大しました。コロナ底 (FY2021) 、半導体不足解消 (FY2023) 、円安拡大 (FY2024-2025) の波を経て、特にトヨタが過去最高更新の連続で全体を牽引しました。FY2025はトヨタ単独で48兆円に到達し、5社合計の約52%を占める格差構造が定着しています。

日産はFY2024-2025で急悪化 (FY2025純損失-6.7千億円) し、Honda-Nissan統合協議解消 (2025年2月) を経て経営再建中です。一方、ホンダは21.7兆円で安定推移、スズキ5.8兆、SUBARU 4.7兆も着実に拡大しています。トヨタ寡占と中堅OEMの差別化という業界2階建構造が中期で進行する見通しです。

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主要論点

日産・三菱自の業績悪化は業界再編につながるか?

日産FY2025は純損失-6.7千億円で、北米市場 (販売不振・在庫過剰・値引き拡大) と中国市場 (BYD等の中国系EVによる日系シェア低下) の収益悪化が主因です。三菱自 (ROE 4.2%) もアライアンス再編期にあります。2025年2月のHonda-Nissan統合協議解消で、業界再編の道筋が一旦白紙化しました。

中長期での再編シナリオは複数あり、4軸で整理できます。①2024-2025年に観測気球が複数回出たFoxconnによる日産買収、②国内大手 (トヨタ等) による救済再編、③ルノー-日産-三菱アライアンスの再構築と中国系ファンド出資、④日産単独再生、です。EVシフトの本格化でOEMの固定費負担 (電池・SDV・充電網) が重く、規模の経済が一段と効くため、日本国内に複数OEMを維持できるかが業界中期の最大論点です。

トヨタ寡占は強化されるか?

トヨタFY2025売上48.0兆円、営業利益4.8兆円は2位ホンダの2.2倍規模、世界的にもGM・VW・ステランティス級の単独OEMです。トヨタIR公表でHEV累計世界首位のハイブリッド優位、HEV/PHEV/BEV/FCVのマルチパスウェイ戦略、Lexus高付加価値モデル等が圧倒的な収益基盤を支えています。

中長期の論点は3軸あります。①実質グループ化で軽と北米向けSUVを補強するスバル・ダイハツへの資本関係、②2030年目標のEV投資350万台の達成度、③中堅OEM (マツダ・SUBARU・三菱自) が多くがトヨタ系列か独立を選択する局面となる「トヨタ単独存続」シナリオの妥当性、です。業界全体のトヨタ寡占率が50%から60%へ進むか、横並び再編で多極化するかが中期3-5年の構造論点です。

Tier1 (デンソー等) の電動化対応は競争力を維持できるか?

デンソーFY2025 7.2兆円、アイシン4.9兆円、ブリヂストン4.4兆円は世界的規模のTier1部品メーカーです。デンソーはトヨタ系電装で世界首位級、アイシンは走行系 (e-Axle・EV駆動系) 、ブリヂストンはタイヤ世界首位という強み。だが、EVシフトでエンジン部品需要が縮小し、電池・モーター・SDVソフトウェア領域の競争が激化しています。

中期の競争軸は4つあります。①中国CATL・BYDのセル・電池モジュール優位への対抗策 (国内電池メーカーとの提携・現地調達) 、②アイシン中期計画で発表されたアイシンe-Axle投資の市場シェア確保、③ボッシュ・コンチネンタル・ZF・ヴァレオ・中国系Tier1とのグローバル競合となるSDV (Software Defined Vehicle) でのソフトウェア競争、④Tier1のEV専業fab化やOEM・Tier1の境界再定義 (テスラ式垂直統合と従来分業) 、です。Tier1が競争力を維持できれば日本の自動車エコシステム全体が支えられ、競争力低下はOEMの海外調達増から国内雇用 (約550万人) への波及が懸念される構造です。

中期見通し

近未来1-2年

2026-2027年は日産の経営再建 (北米事業の構造改革と中国事業の縮小再編) が業績の最大の振れ幅となります。トヨタは円安維持シナリオで過去最高更新が続く可能性、ホンダ・スズキ・SUBARUはHEV・軽・北米向けで安定推移の見通しです。日野は認証不正からの本格回復、いすゞは商用車EVシフトで攻勢に出ます。Tier1はデンソー・アイシン・ブリヂストンが安定推移しつつ、電動化投資の負荷が利益率を1-2pt程度圧迫する見込みです。

中長期3-5年

2028-2030年はEVシフト本格化でOEM 9社のうち独立維持できるのは5-7社程度になる可能性があります。業界再編の主軸は4軸です。①日産は国内大手 (トヨタ等) またはFoxconn等海外資本による救済、②三菱自はアライアンス再構築、③マツダ・SUBARUはトヨタ実質グループ化の継続、④ホンダは単独路線で2030年EV 200万台目標 (2022/4/12四輪電動ビジネス記者会見公表) 、です。トヨタは2030年EV 350万台目標 (2021/12/14 BEV戦略説明会公表) の達成可否で、グローバルEV競争での日系の立ち位置が決まります。

関連業界への波及

13社合計122兆円規模の業界は、部品サプライヤー (Tier 1-3、約7万社) ・販売店・整備業 (約9万社) ・自動車保険 (4.48兆円) ・金融 (オートローン・リース) の巨大エコシステムを支えており、業績格差や再編は地方雇用 (関連550万人) と素材産業 (鉄鋼・電機・化学) にも直結します。日本経済の対GDP比5%超を占める基幹産業として、業界構造の変化はマクロ経済への影響も無視できない規模です。

よくある質問

日本の自動車OEM売上ランキングは?
FY2025の売上ランキングは1位トヨタ48.0兆円、2位ホンダ21.7兆円、3位日産12.6兆円、4位スズキ5.8兆円、5位SUBARU 4.7兆円です。トヨタはホンダの2.2倍という極端な格差です。
各OEMの営業利益率は?
FY2025営業利益率はトヨタ10.0%、ホンダ5.6%、日産0.6%、スズキ11.0%、SUBARU 8.6%、マツダ3.7%、三菱自5.0%です。SUBARU・トヨタが二桁、日産は赤字寸前です。
Tier1部品メーカーの規模は?
FY2025はデンソー7.2兆円、アイシン4.9兆円、ブリヂストン4.4兆円です。それぞれSUBARUを超えるか同水準の規模で、世界的な部品サプライヤーです。
日産が業績悪化している理由は?
FY2025の日産は純損失-6.7千億円です。主因は3つあります。①在庫過剰と値引き拡大による北米市場の販売不振、②BYD等の中国系EVの台頭による中国市場での日系シェア低下、③EV投資負担、です。2025年2月のHonda-Nissan統合協議解消で、自力再建と構造改革を進めています。
業界再編は今後どうなる?
Honda-Nissan統合協議は2025年2月に解消されましたが、EVシフトでの固定費負担増と規模の経済論理から、中長期で日本OEM 9社の独立維持は難しい見込みです。トヨタ寡占強化、国内大手による救済再編、海外資本 (Foxconn等) 参入など複数シナリオが検討されています。

参考資料 / 一次ソース

  1. 1.
    EDINET有価証券報告書
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