最終更新
STAT DETAIL · PRODUCTION & EXPORT

自動車の生産・輸出と海外生産の動向|国内生産・完成車輸出・地域別の構造【2026年版】

日本の自動車産業は2024年通年で国内生産823万台、完成車輸出574万台、海外生産1648万台の3軸構造です。国内生産の約70%が完成車輸出に回る輸出依存型で、海外生産は国内の2.0倍規模。米国・中東・欧州・豪州への完成車輸出と、アジア54%・北米26%を中心とした現地生産が並列する構造を、本ページで整理します。

年間 国内4輪生産 (2024年)
823万台
乗用車714万+商用車 (トラック+バス) 109万
出典: 経済産業省 機械統計 (自動車生産、年間通年確定値)
年間 完成車輸出 (2024年)
574万台
バス+乗用車+貨物車の合算、輸出依存度70%
出典: 財務省 普通貿易統計 確報 品別国別表 (完成車輸出、年間通年確定値)
年間 完成車輸出額 (2024年)
17.8兆円
輸出1台あたり平均約311万円
出典: 財務省 普通貿易統計 確報 (完成車輸出額、年間通年確定値)
年間 海外生産 (2024年、4輪)
1648万台
日本メーカー海外現地工場、国内生産の2.0倍
出典: 日本自動車工業会 海外生産統計 (4輪、年間)

国内4輪生産の車種別構成 (2024年、年間)

単位: 万台8 カテゴリ・合計 822
0125250375500475普通乗用 (>2000cc)125軽乗用 (660cc以下)113小型乗用 (660-200…45普通トラック35軽トラック19小型トラック9.5小型バス0.6大型バス
出典: 経済産業省 機械統計 (自動車生産、月次・車種別、2024年通年確定値)
カテゴリ普通乗用 (>2000cc)小型乗用 (660-2000cc)軽乗用 (660cc以下)普通トラック小型トラック軽トラック小型バス大型バス
万台4751131254519359.500.62
シェア57.8%13.7%15.2%5.5%2.3%4.3%1.2%0.1%
読み解き

国内4輪生産823万台は 乗用車714万 (シェア87%) + 商用車 (トラック+バス) 109万 で構成。乗用車のうち普通乗用車 (2000cc超) が475万台で全体の58% を占め、輸出向け中心の高単価セグメントが国内生産の主軸。トヨタの高付加価値モデル (Lexus系・大型SUV) やSUBARUの北米向けOutback / Foresterなど、輸出基地型工場の生産が反映されています。

軽自動車 (660cc以下) は乗用125万 + 軽トラ35万 = 計160万台で、国内消費中心 (輸出は限定的)。スズキ・ダイハツ・三菱・日産アライアンスの軽専業ラインが地方生活インフラを支えています。商用車109万台 (普通トラック45万 + 小型19万 + バス10.1万) は専業OEM (いすゞ・日野・三菱ふそう・UD) の領域で、乗用車OEMとは独立した競争構造です。

完成車輸出の車種別構成 (2024年、年間 台数ベース)

単位: 万台3 カテゴリ・合計 573
0150300450600512乗用車50貨物車 (トラック類)11.4バス (10人以上)
出典: 財務省 普通貿易統計 確報 品別国別表 (完成車輸出、2024年通年確定値)
カテゴリ乗用車貨物車 (トラック類)バス (10人以上)
万台5125011.40
シェア89.3%8.7%2.0%
読み解き

完成車輸出574万台のうち 乗用車 (10人未満) が512万台 (シェア89%) で圧倒的中心。日本の自動車輸出は 乗用車1本足 の構造で、輸出単価も乗用車の比重が大きい。輸出額17.8兆円を1台あたりに割り戻すと約311万円で、円安局面 (2022-2024) では為替差益がOEMの連結利益を押し上げてきました。

貨物車 (トラック類) 50万 (9%)、バス (10人以上乗用) 11.4万 (2%) と続きます。商用車輸出は新興国市場 (中東・アフリカ・東南アジア) のインフラ需要に依存し、いすゞ・日野・三菱ふそう・UDの存在感が大きい領域です。

このグラフに関連するトピック

完成車輸出の仕向地別top10 (2024年、年間 台数ベース)

単位: 万台10 カテゴリ・合計 338
037.575113150138アメリカ44.2オーストラリア35.2アラブ首長国23.6カナダ19.9ロシア19.9中国19.1サウジアラビア13.7英国12.9ニュージーランド11.6モンゴル
出典: 財務省 普通貿易統計 確報 品別国別表 (完成車輸出、仕向地別、2024年通年確定値)
カテゴリアメリカオーストラリアアラブ首長国カナダロシア中国サウジアラビア英国ニュージーランドモンゴル
万台137.6044.2035.2023.6019.9019.9019.1013.7012.9011.60
シェア40.7%13.1%10.4%7.0%5.9%5.9%5.7%4.1%3.8%3.4%
読み解き

最大仕向地は米国138万台 (シェア24%) で、輸出全体の約20% を占めます。日本国内工場で生産されたLexusや大型SUV、HEVモデルを北米市場に流す構造が継続。次いで豪州 (44.2万)、UAE (35.2万) と続き、米国以外は分散傾向。

top 10のうち 米国・カナダ (北米) で約28% を占め、USMCA圏が日本完成車輸出の中核。中東 (UAE / サウジ) と豪州・ニュージーランドは右ハンドル + 砂漠仕様SUV / ピックアップの強い市場。米国関税政策 (トランプ政権下の追加関税議論) とUSMCA再交渉が短期最大の輸出リスクです。

このグラフに関連するトピック

日本メーカー海外生産の地域別構成 (2024年、年間4輪)

単位: 万台5 カテゴリ・合計 1,649
02505007501,000896アジア424北米188中南米123欧州17.7アフリカ
出典: 日本自動車工業会 (JAMA) 日本メーカー海外生産統計 (4輪、地域別 四半期累計、2024年通年確定値)
カテゴリアジア北米中南米欧州アフリカ
万台89642418812317.70
シェア54.3%25.7%11.4%7.5%1.1%
読み解き

海外生産1648万台のうち アジアが896万台 (シェア54%) で過半を占めます。中国 (広汽トヨタ・一汽トヨタ・東風日産・広汽ホンダ・東風ホンダ)、タイ (トヨタ・いすゞ・三菱)、インドネシア (ダイハツ・トヨタ)、インド (スズキMaruti) を中心に、現地市場対応 + ASEAN域内輸出基地として機能。中国市場での日系シェア低下 (BYD / 中国系EVの台頭) が中期構造課題です。

北米424万 (26%、うち米国328万) はUSMCA圏の現地生産で、トヨタ ケンタッキー / ホンダ オハイオ / 日産 テネシー / マツダ メキシコ等が主要拠点。欧州123万 (7%、英国・チェコ等) と中南米188万 (11%、ブラジル・アルゼンチン)、アフリカ17.7万 (1%、南アフリカ等) と続き、地域分散型の生産配置です。

このグラフに関連するトピック

完成車輸出 + 日本メーカー海外生産の年次推移 (2021-2025年)

単位: 万台
完成車輸出 (国内発)海外生産 (現地工場)
06251,2501,8752,5002,147212,197222,343232,222242,21925
出典: 財務省 普通貿易統計 (完成車輸出) + JAMA海外生産統計 (4輪)、2021-2025年
年度20212022202320242025
完成車輸出 (国内発)万台501501592574583
海外生産 (現地工場)万台1,6461,6961,7511,6481,636
合計(万台2,1472,1972,3432,2222,219
前年比+2.3%+6.6%-5.2%-0.1%
読み解き

直近5年で完成車輸出は501-592万台、海外生産は1636-1751万台のレンジ で推移。2023年が直近ピーク (輸出592万 / 海外生産1751万) で、半導体・部品サプライチェーンの正常化が両者を押し上げました。

2024年は輸出574万 / 海外生産1648万でやや減速 (認証不正影響 + 中国市場での日系シェア低下が主因)、2025年は輸出583万に回復する一方、海外生産1636万は頭打ち基調。海外生産は国内生産の約2.0倍の規模で、「日本国内 = 高付加価値・輸出基地」「海外 = 現地市場対応 + 関税回避」 の住み分けが定着。

主要論点

円安/円高で輸出依存度70% は維持されるか?

日本の自動車輸出574万台 (輸出額17.8兆円) は、国内生産823万台の70% を占める輸出依存型。円安局面 (2022-2024年、150円/ドル前後) では為替差益がOEM連結利益を押し上げ、トヨタ・ホンダ・日産等が過去最高益を更新する追い風になりました。

中長期では為替の振れ (110円割れの円高 → 150円台) が輸出採算を大きく動かし、円高局面ではSUBARU群馬・トヨタ高付加価値モデル等の 国内輸出基地型工場の存在意義 が問われます。米国生産シフト (現地調達義務、USMCA域内付加価値率)、中国EVの世界輸出加速、為替ヘッジ手段の限界 — これらが重なるとき、輸出70% を維持できるかどうかが業界中期戦略の最大論点です。

USMCA / 米国関税 / 中国EV規制で生産配置はどう動くか?

日本完成車輸出の最大仕向地は米国 (138万、シェア24%)、海外生産の北米424万 (うち米国328万)。米国市場は完成車輸出 + 現地生産の両軸で日本OEMの生命線。トランプ政権の追加関税議論 (25% 関税復活シナリオ) やUSMCA (米国・メキシコ・カナダの自由貿易協定) 再交渉、IRA (米インフレ抑制法) のEV補助金の現地組立要件などが重なれば、北米市場での競争力が直接揺らぎます。

中国市場は別軸の構造圧力: アジア海外生産896万のうち中国比重が大きく、JAMAやCAAM (中国汽車工業協会) の統計でもBYD / 中国系EVの急伸により日系の中国シェアが低下中と観察されています。米国関税圧力 + 中国EV規制 + EU域内CO2規制 の3正面プレッシャーが続く中、日本OEMが国内生産 / 北米現地 / アジア現地の 生産配置をどう再編するか が中期 (2026-2030年) の業界論点になります。

EVシフトで日本の輸出競争力は変わるか?

日本の純EV+FCV国内生産は17.2万台 (国内生産の2.1%)、HEV+PHEVは345万台 (42%) で、国内生産・輸出の中核は HEV/ICE (内燃機関車) が依然として支配的。一方、欧州ACEA (欧州自動車工業会) や中国CAAMの統計では欧州・中国の純EV市場での日系シェア劣化が観察されており、米国IRAの現地組立要件は完成車輸出を相対的に不利にしています。

国産OEMの各社中期計画では、トヨタ2030年350万台 / ホンダ200万台 / 日産100万台 規模のEV投入が公表されており、計画通り進めば2030年代の純EV国内生産は数百万台規模に拡大する可能性があります。だが、EV製造に必要な電池・半導体・希少資源 (ニッケル・リチウム) のサプライチェーン整備、北米現地調達義務、欧州CO2ペナルティの設計、中国系メーカーとのコスト競争 — これらの解の出方で、輸出競争力の中長期トレンドが分岐すると見られます。HEV優位の現状から純EV競争力への転換速度 が業界長期論点です。

中期見通し

近未来1-2年

2026-2027年は半導体・部品供給の正常化で、完成車輸出が574万台前後のレンジで推移する見通し。米国市場 (138万台) はHEV / 大型SUVの堅調で底堅く、円安維持 (130-150円/ドル) であればOEMの連結利益も高水準を維持。一方、中国市場での日系シェア低下、欧州CO2規制への対応コスト増が中期の収益圧力。

中長期3-5年

2028-2030年はEVシフトの本格化で輸出構造が転換期に入る可能性。トヨタ・ホンダ・日産の2030年EV目標 (合計650万台規模) が計画通り進めば、国内生産の電動化比率が大きく上昇。但し、米国IRAの現地組立要件、中国系EVの世界輸出加速、欧州プレミアム市場での競争激化が並列し、「日本国内 = HEV/ICE輸出 + EV高付加価値」「北米 = USMCA圏現地生産」「アジア = 現地市場 + ASEAN輸出基地」の役割再編が進みます。

関連業界への波及

国内生産823万台 + 海外生産1648万台 = 2470万台規模の生産は、部品サプライヤー (Tier 1-3、約7万社)・物流・港湾・海運・自動車保険・整備業の巨大エコシステムを支えています。輸出依存度の変動は完成車だけでなくサプライチェーン全体に波及し、地方雇用 (約550万人の自動車関連就業者) にも直結します。電動化シフトはエンジン部品メーカー (Tier 1 〜 2) の事業転換を強制し、業界構造の再編が中長期で進行する見込みです。

よくある質問

日本の自動車生産台数はどれくらいですか?
2024年の国内4輪生産は 823万台、海外生産 (日本メーカー海外現地工場) が 1648万台 で、合計2470万台規模。海外生産は国内の2.0倍で、現地市場対応の比重が大きいのが特徴です。
完成車輸出はどこが多い?
2024年の完成車輸出574万台のうち 米国が138万台 (シェア24%) で最大。次いで豪州44.2万、UAE 35.2万、カナダ23.6万、ロシア19.9万と続きます。北米 + 中東 + 豪州が中核。
国内生産の何割が輸出されますか?
2024年は国内生産823万台のうち 約70% (574万台) が輸出。日本国内工場は 「内需 + 海外向け輸出基地」 の両機能を持ち、SUBARU群馬や トヨタ高付加価値モデル等は輸出比率の高い拠点です。
海外生産の地域別比率は?
2024年の海外生産1648万台は アジア54% (896万) / 北米26% (424万、うち米国328万) / 中南米11% / 欧州7% / アフリカ1% の構成。アジア中心の現地生産が過半を占めます。
生産・輸出の中期見通しは?
半導体・部品サプライチェーン正常化で短期は安定推移の見通し。中期 (2028-2030年) はEVシフト・米国関税・中国EV規制が並行影響し、「国内 = HEV/ICE輸出 + EV高付加価値」「海外 = 現地生産」 の役割再編が進む可能性が高い見込みです。

参考資料 / 一次ソース

  1. 1.
    経済産業省 機械統計
  2. 2.
    財務省 普通貿易統計 確報 品別国別表
  3. 3.
    日本自動車工業会 (JAMA) 日本メーカー海外生産統計
📄 資料DL💬 無料相談