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リース・レンタル業界の構造|リース会社の類型と事業の仕組み【2026年版】

リース・レンタル業界の中核を担う総合リース会社は、その出自によって独立系・銀行系・商社系・メーカー系に分かれ、資金調達の基盤や強みとする物件分野がそれぞれ異なります。本ページでは、リース会社の出自別の類型と代表的なプレイヤー、そして中長期で物件を貸すリースと短期で貸すレンタルの事業の仕組みの違いを整理します。

リース会社の出自別類型

独立系・銀行系・商社系・メーカー系の4類型と、レンタル側を担うレンタル専業

リースの中核を担う総合リース会社は、その出自によって独立系・銀行系・商社系・メーカー系の4つに大きく分けられます。出自は、資金調達の基盤、顧客への接点、強みを持つ物件分野を左右します。分類は主たる出自によるもので、銀行系が商社と資本提携するなど、資本関係が複数の系列に及ぶ会社もあります。下の表は、各類型の特徴と代表的なプレイヤーを整理したものです。なお、建設機械などを在庫保有して短期で貸し出すレンタル専業は、リースの出自4類型とは事業の軸が異なる、レンタル側の主要な担い手です(表の最下段)。

独立系
出自・特徴
特定の親会社を持たず、リースを起点に金融・事業投資へ多角化
代表的なプレイヤー
オリックス
銀行系
出自・特徴
メガバンク・金融グループを母体に、信用力と資金調達力を活用
代表的なプレイヤー
三菱HCキャピタル・三井住友ファイナンス&リース・芙蓉総合リース・みずほリース など
商社系
出自・特徴
総合商社を母体に、事業ネットワークと海外網・商材知見を活用
代表的なプレイヤー
東京センチュリー(伊藤忠系)・JA三井リース(三井物産系) など
メーカー系
出自・特徴
機器メーカーを母体に、親会社製品の販売を金融面で後押し
代表的なプレイヤー
リコーリース・NECキャピタルソリューション など
レンタル専業
出自・特徴
リースとは別軸(レンタル側)。建機などを在庫保有し短期で貸し出す
代表的なプレイヤー
カナモト・アクティオ・西尾レントオール など

独立系 — 金融・事業投資への多角化

独立系は、銀行・商社・メーカーといった特定の親会社を持たず、リースを起点に事業領域を広げてきた類型です。資金調達も顧客開拓も自前で進める必要がある一方、特定グループの枠にとらわれず、収益機会のある分野へ柔軟に事業を展開できる自由度を持ちます。

代表例はオリックスです。1964年に日本で初めてのリース専業会社として設立され、その後、リース・割賦などの法人金融を土台に、不動産、生命保険、銀行、事業投資、環境エネルギー、海外事業へと多角化を進めてきました。現在は連結総資産16.9兆円(IFRS)規模の総合金融・事業投資グループで、売上・利益に占めるリース事業の比重は限定的です。

そのため、オリックスを他のリース会社と連結の規模で単純に並べることはできません。会計基準が国際会計基準(IFRS)で他社(日本基準)と異なるうえ、事業が金融・投資へ多角化しているためです。リースという枠を超えて、保有する資産や顧客基盤を事業投資に振り向ける戦略が、独立系の特徴を最も色濃く表しています。

銀行系 — メガバンク・金融グループを基盤

銀行系は、メガバンクや金融グループを母体とする類型です。親銀行の信用力を背景に低コストで資金を調達でき、親銀行・グループの取引先という幅広い顧客基盤を販売チャネルとして使える点が強みです。総合リース大手の多くがこの類型に属します。

三菱HCキャピタルは、三菱UFJフィナンシャル・グループ系のリース会社で、2021年に三菱UFJリースと日立キャピタルが統合して発足しました。航空機・環境エネルギーなどへ事業を広げています。三井住友ファイナンス&リース(SMFL)は、三井住友フィナンシャルグループと住友商事が共同出資する非上場の大手で、SMBCアビエーションキャピタルを通じた航空機リースに強みを持ちます。

このほか、みずほフィナンシャルグループ系では、旧富士銀行系の流れをくむ芙蓉総合リースと、旧興銀リースを統合したみずほリースがあります。みずほリースは丸紅と資本提携するなど、銀行系のなかでも各社が独自の提携・事業構成を持ちます。親銀行の資金力と顧客網を生かしつつ、航空機・不動産・環境エネルギーといった成長分野でどう差別化するかが、銀行系各社の戦略の焦点です。

商社系 — 総合商社のネットワークを活用

商社系は、総合商社を母体とする類型です。商社が持つ国内外の事業ネットワーク、海外拠点、取扱商材の知見を生かし、海外案件や事業投資との親和性が高いのが特徴です。リースにとどまらず、商社の事業と一体で投資・サービスを展開する動きが目立ちます。

代表例は、伊藤忠商事系の東京センチュリーです。航空機リース(ACG)や国際事業、環境エネルギーに加え、NTTグループとの協業など、商社・事業会社との連携を軸に事業を組み立てています。JA三井リースは、JAグループと三井物産系の流れをくむ非上場の総合リース会社で、農業・食品関連をはじめ幅広い分野で事業を展開しています。

商社系は、親会社である総合商社が世界各地で進める事業投資と歩調を合わせやすく、海外・新領域への展開で先行しやすい立ち位置にあります。一方で、商社本体の事業ポートフォリオの方針に事業の軸が左右されやすい面もあり、リース事業としての独自性をどう保つかが論点になります。

メーカー系 — 親メーカーの製品販売を金融面で支える

メーカー系は、機器メーカーを母体とする類型です。親会社の製品を購入する顧客に対し、割賦やリースで支払いを支えるベンダーファイナンス(メーカー製品の販売を金融面から後押しする仕組み)を起点としています。親メーカーの製品分野に密着した顧客基盤と商品知識が強みです。

リコーリースはリコー系で、複合機などの情報機器のリース・割賦を土台に、口座振替による集金代行などの金融サービスへ事業を広げています。NECキャピタルソリューションはNEC系で、情報通信機器のリースや官公庁向けの機器調達に強みを持ちます。いずれも、親メーカーの販売を支える役割から出発しています。

メーカー系は、親会社の製品分野では強い一方、その分野に依存すると事業の幅が限られます。そのため各社は、親メーカー以外の物件や独立した金融・サービス事業へと裾野を広げ、特定の製品分野を超えた収益源の確保を進めています。

レンタル専業 — リースとは別軸の短期賃貸

レンタル専業は、ここまでの出自4類型とは事業の軸が異なります。これらの会社が担うのは、中長期・金融的なリースではなく、短期・在庫保有型のレンタルです。建設機械を中心とする汎用品を自社の在庫として保有し、不特定多数の利用者へ日・月単位で貸し出します。

代表例は、建機レンタル大手のカナモト、建機レンタル最大手級で利用者の課題解決を支援する「レンサルティング」を掲げるアクティオ、建機・イベント・産業機械を幅広く扱う西尾レントオールです。カナモトは上場していますが、アクティオと西尾レントオールは非上場です。建設需要を背景に、建機を中心としたレンタルがこの領域の中心です。

レンタル専業の事業の核は、リース会社の与信・資金調達とは異なり、在庫の確保・稼働率の管理・物件の整備、そして全国の拠点網にあります。同じ物品賃貸業でも、リースとレンタルでは収益の源泉と必要な経営資源が異なる点が、この類型の位置づけによく表れています。

リースとレンタルの事業の仕組みの違い

契約期間・所有権・解約の可否・事業の核・統計の観点で整理
契約期間
リース
中長期(数年〜十数年)。物件の耐用年数に合わせて設定
レンタル
短期(時間・日・月単位)。必要なときだけ借りる
対象物件
リース
利用者が指定した特定の物件をメーカーから新規購入
レンタル
汎用的な物品をレンタル会社が在庫として保有
所有権
リース
リース会社が保有。契約満了後は返却または再リース
レンタル
レンタル会社が保有。複数の利用者へ繰り返し貸与
中途解約
リース
原則できない(ファイナンスリース)。総額で物件価格を回収
レンタル
随時可能。借りた期間だけ料金を支払う
事業の核
リース
利用者の信用力を見極める与信と資金調達(金融に近い)
レンタル
在庫の確保・稼働率の管理・物件の整備(物品の保有)
主な統計
リース
リース取扱高5兆847億円(リース事業協会、2024年度)
レンタル
レンタル売上高約1.9兆円(特定サービス産業動態統計、2023年度)
読み解き

リースとレンタルは、物件を所有せずに使うという点では似ていますが、契約期間・所有権・解約の可否・事業の核が大きく異なります。リースには、リース料の総額で物件価格をほぼ回収するファイナンスリースと、契約終了後に残る価値(残価)を見込んで料金を抑えるオペレーティングリースがあり、所有権や残価リスクの所在が両者を分けます。

統計の面では、リース取扱高5兆847億円(リース事業協会、会員ベース)レンタル売上高約1.9兆円(特定サービス産業動態統計、サンプル調査)は、集計の対象も方法も異なる別々の統計で、単純に足し合わせることはできません。リース取扱高はその年度に新規契約したリース額(フロー)、レンタル売上高は期中のレンタル収入を指し、調査の主体も対象範囲も異なります。両者を同じ調査で比較できる数少ない資料が2016年の経済センサスで、物品賃貸業全体の年間売上高10.3兆円のうち、リースが6.9兆円、レンタルが3.4兆円でした(2016年時点の全数調査)。リースがレンタルの2倍程度の規模を持つ構図が読み取れます。

主要論点

なぜリース会社は出自によって性格が分かれるのか?

総合リース会社は、独立系・銀行系・商社系・メーカー系という出自によって性格が分かれます。出自が事業を左右するのは、リースが本質的に資金調達と顧客接点に支えられた金融的な事業だからです。

銀行系は、親銀行の信用力で低コストの資金を調達でき、グループの取引先という顧客基盤を持ちます。商社系は、総合商社の海外網と事業ネットワークを生かし、海外・事業投資に強みを発揮します。メーカー系は、親会社の製品を買う顧客に金融を提供するベンダーファイナンスから出発し、特定の製品分野に密着します。独立系は特定の親会社を持たないぶん、収益機会のある分野へ柔軟に多角化できます。

つまり、どこから資金を引き、どの顧客に接し、どの物件分野に強いかが出自ごとに異なるため、同じ「総合リース会社」でも事業の組み立て方や成長戦略が分かれるのです。近年は、各社とも出自の枠を超えて、航空機・環境エネルギー・海外・事業投資といった成長分野への多角化を進めており、出自の違いは戦略の出発点として残りつつあります。

リースとレンタルは事業としてどう違うのか?

リースとレンタルは、どちらも「物件を所有せずに使う」点では共通しますが、事業の仕組みは大きく異なります。最大の違いは、リースが金融に近い事業、レンタルが物品保有の事業だという点です。

リースは、利用者が指定した特定の物件をリース会社がメーカーから新規購入し、中長期で賃貸します。中途解約は原則できず、リース料の総額で物件価格を回収するため、利用者の信用力を見極める与信と、低コストの資金調達が事業の核になります。一方レンタルは、建設機械などの汎用品をあらかじめ在庫として保有し、不特定多数へ短期で貸し出します。随時解約でき、同じ物件を繰り返し貸すため、在庫の確保・稼働率の管理・物件の整備が事業の中心です。

この違いは統計にも表れます。リース取扱高(リース事業協会)とレンタル売上高(特定サービス産業動態統計)は、集計の対象も方法も異なる別々の統計で、単純に合算はできません。同じ物品賃貸業でも、必要な経営資源と収益の源泉が異なる二つの事業が併存しているのが、この業界の構造です。

リース会社の事業の核はどこにあるのか?

リース会社の事業の核は、与信・資金調達・残価の3つにあります。リースはメーカーから物件を購入して貸す事業のため、その採算は金融的な要素で決まります。

第一に与信です。リース料は中長期にわたって分割で受け取るため、利用者が途中で支払えなくなるリスクを見極める審査が欠かせません。第二に資金調達です。物件の購入資金を銀行借入や社債で調達するため、その調達金利とリース料の利回りの差(利ざや)が収益を左右します。銀行系が資金調達力を強みとするのは、この点が事業の採算に直結するからです。

第三に残価です。契約終了後に物件に残る価値を見込んで料金を抑えるオペレーティングリースや、航空機・自動車のように中古市場のある物件では、残価をどう見積もるかが利益を大きく左右します。これらの金融的な能力が、リース会社の競争力の土台です。レンタルでは、これに代わって在庫と稼働率の管理が事業の核となり、求められる能力が異なります。

中期見通し

近未来1-2年

2027年4月から適用される新リース会計基準を控え、利用企業の会計対応への支援や、リースにサービスを組み合わせた提供形態の拡充が進みます。出自を生かした非リース収益(事業投資・サービス・海外)の拡大も続き、調達金利の動向が各社の利ざやに影響します。

中期3-5年

国内リース市場の成熟を背景に、各社は航空機・環境エネルギー・海外・事業投資といった成長分野への多角化を進めます。銀行系は資金調達力、商社系は海外網、独立系は事業投資の自由度といった出自ごとの強みが、進出分野の違いとして表れ、各類型の事業構成の分岐が広がる見通しです。

長期

長期では、設備・物品の調達が所有から利用へと移る流れが、業界の構造に影響します。月額定額のカーリースやサブスクリプションのように、リースとレンタルの境界が曖昧になる領域が広がる可能性があり、リース会社・レンタル会社それぞれが、金融とサービスを組み合わせた事業へと姿を変えていくとみられます。

よくある質問

リース会社にはどんな種類がありますか?
総合リース会社は、出自によって独立系・銀行系・商社系・メーカー系の4つに大きく分けられます。独立系はオリックス、銀行系は三菱HCキャピタル・三井住友ファイナンス&リース・芙蓉総合リース・みずほリースなど、商社系は東京センチュリー(伊藤忠系)やJA三井リース(三井物産系)、メーカー系はリコーリース・NECキャピタルソリューションなどです。出自によって資金調達の基盤や強みとする物件分野が異なります。
リースとレンタルは何が違いますか?
リースは、利用者が指定した特定の物件をリース会社が新規購入し、中長期で賃貸する金融に近い取引で、中途解約は原則できません。レンタルは、建設機械などの汎用品をレンタル会社が在庫として保有し、不特定多数へ短期で貸し出す取引で、随時解約できます。リースの事業の核は与信と資金調達、レンタルの事業の核は在庫と稼働率の管理にあります。
三菱HCキャピタルはどんな会社ですか?
三菱UFJフィナンシャル・グループ系の総合リース会社で、2021年に三菱UFJリースと日立キャピタルが統合して発足しました。航空機・環境エネルギーなどへ事業を広げる銀行系の大手です。総合リース会社のなかでも規模の大きい一社で、銀行系の代表格として位置づけられます。
リース取扱高とレンタル売上高は合算できますか?
合算できません。リース取扱高(リース事業協会、会員ベース)とレンタル売上高(特定サービス産業動態統計、サンプル調査)は、集計の対象も方法も異なる別々の統計だからです。同じ調査で両者を比較できる2016年の経済センサスでは、物品賃貸業全体10.3兆円のうちリースが6.9兆円、レンタルが3.4兆円でした。
レンタル専業の会社にはどんなところがありますか?
建設機械を中心に汎用品を在庫保有し短期で貸し出すレンタル専業には、建機レンタル大手のカナモト、最大手級のアクティオ、建機・イベント・産業機械を幅広く扱う西尾レントオールなどがあります。カナモトは上場、アクティオと西尾レントオールは非上場です。リースの出自4類型とは事業の軸が異なる、レンタル側の主要な担い手です。

参考資料 / 一次ソース

  1. 1.
    公益社団法人リース事業協会「リース統計」
  2. 2.
    経済産業省「特定サービス産業動態統計調査」
  3. 3.
    総務省・経済産業省「平成28年経済センサス‐活動調査」
  4. 4.
    各社 有価証券報告書・会社開示
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