リース・レンタル業界の市場規模・主要企業・動向
日本のリース・レンタル業界はリース取扱高5兆847億円(2024年度)規模で、設備投資のリース比率は4.34%へ低下し、大手は事業投資・海外へ多角化しています。
リース・レンタル業界(物品賃貸業)とは、企業や個人が必要とする設備・物品を、購入せずに一定期間借りて利用できるようにする金融・サービス産業です。中長期契約のリースと短期利用のレンタルの二本柱からなります。2024年度のリース取扱高(新規契約額)は5兆847億円(前年度比+9.8%)、レンタル市場は年間売上高約1.9兆円(2023年度)規模です。設備投資に占めるリース比率は4.34%まで低下する成熟局面にあり、オリックス・三菱HCキャピタルなどの総合リース大手は、金融から事業投資・航空機・海外・環境エネルギーへ事業を広げています。本ページでは、リース・レンタル業界を、市場規模、業界構造、主要プレイヤー、リースの仕組みと会計、収益構造と将来性の5軸で整理します。
業界サマリ
業界概要
リース・レンタル業界(物品賃貸業)とは、企業や個人が設備・物品を購入せずに一定期間借りて使えるようにする金融・サービス産業です。中長期で物件を賃貸するリース(2024年度の新規契約額5兆847億円)と、短期で貸し出すレンタル(年間売上高約1.9兆円)の二本柱からなります。リース会社は出自によって銀行系・商社系・メーカー系・独立系に分かれ、オリックスや三菱HCキャピタルなどの総合リース大手が中心です。
- リースとレンタルの二本柱で成り立ちます。リースは中長期・金融的な取引(取扱高5兆847億円)、レンタルは短期・在庫保有の取引(売上高約1.9兆円)で、別々の統計で集計されます。
- 総合リース大手は銀行系・商社系・メーカー系の出自で並びます。オリックス・三菱HCキャピタル・三井住友ファイナンス&リース・東京センチュリーなどが、リース料収益を基盤に事業を展開しています。
- 大手は金融から事業投資へ多角化しています。国内リース市場の成熟を背景に、航空機・不動産・環境エネルギー・海外事業へ事業領域を広げています。
市場動向
リース取扱高は、2024年度に5兆847億円(前年度比+9.8%)となり、3年連続で増加しました。ただしバブル期の8兆8,016億円(1991年度)からは長期的に縮小し、設備投資に占めるリース比率は4.34%と2000年代の8%台から半減しています。機種別では情報通信機器が構成比4割で最大です。
- リース取扱高は2024年度に5兆847億円(前年度比+9.8%)で、3年連続の増加です。設備投資額のうちリース調達分は4兆6,710億円で、リース比率は4.34%です。
- 情報通信機器が2兆580億円(構成比4割)で最大の機種です。パソコン・通信機器・ソフトウエアが牽引し、輸送用機器(8,340億円)・商業サービス業用機器(5,917億円)が続きます。
- リース比率は2000年代の8%台から4.34%へ低下しています。設備投資の自己資金化やソフトウエア・サービス化の進展が、長期的な縮小の背景にあります。
競争環境
日本のリース・レンタル業界では、銀行系・商社系・メーカー系・独立系の総合リース会社と、建機・産業機械を扱うレンタル専業が並びます。オリックス・三菱HCキャピタル・三井住友ファイナンス&リース・東京センチュリーなどの大手は、リース料収益に加え事業投資・航空機・海外・環境エネルギーへ多角化を進めています。調達金利・残価リスク・新リース会計基準への対応が共通の論点です。
- 総合リース大手は出自で分かれます。銀行系の三菱HCキャピタル・三井住友ファイナンス&リース・芙蓉総合リース・みずほリース、商社系の東京センチュリー(伊藤忠)、独立系のオリックスなどが、それぞれ親会社の基盤を生かして競っています。
- メーカー系とレンタル専業も存在感を持ちます。情報機器のリコーリース・NECキャピタルソリューション、建機レンタルのカナモト・アクティオ・西尾レントオール、レンタカー・カーシェアのパーク24などが、特定の分野に強みを持ちます。
- 規模の比較は指標と会計基準に注意が必要です。連結総資産ではオリックス(16.9兆円)が最大ですが、同社は多角化が進みIFRSを採用するため、純粋なリース事業での比較はできません。三菱HCキャピタル・東京センチュリーが営業資産で続きます。
市場規模推移
2010-2024 · リース取扱高リース取扱高(新規契約額)の推移 (兆円)
リース取扱高(その年度に新規契約したリース額)は、2024年度に5兆847億円(前年度比+9.8%)となり、3年連続で増加しました。設備投資額のうちリースで調達された分は4兆6,710億円で、設備投資全体に占めるリース比率は4.34%です。
ただし長期で見ると、取扱高はバブル期の8兆8,016億円(1991年度)をピークに縮小し、リース比率も2000年代の8%台から半減しました。企業が設備を自己資金で持つ傾向や、ソフトウエア・サービス化の進展が背景にあります。機種別では情報通信機器が2兆580億円(構成比4割)で最大で、パソコン・通信機器・ソフトウエアが取扱高を牽引しています。
物品賃貸業は、リースとレンタルという性質の異なる二本柱からなります。リースは、特定の利用者向けに物件を調達して中長期で賃貸する金融に近い取引で、新規契約額(取扱高)は2024年度に5兆847億円でした。レンタルは、事業者が在庫を保有して不特定多数へ短期で貸し出す取引で、年間売上高は約1.9兆円(自動車を除く)です。
両者は別々の統計で集計されるため、単純に足し合わせることはできません。レンタルでは土木・建設機械が6割超を占め、建設現場の機械や高所作業車が中心です。利用期間・対象物件・与信や残価のリスクの所在が異なり、事業としても分かれて発展してきました。
総合リース大手は、国内リース市場の成熟を受けて金融から事業投資へ事業領域を広げています。オリックスは生命保険・銀行・不動産・環境エネルギー・海外事業へ多角化し、連結総資産は16.9兆円に達します。三菱HCキャピタル(総資産11.8兆円)・東京センチュリー(同6.9兆円)も航空機リースや海外を強化しています。
2024年度(2025年3月期)は、コロナ禍で落ち込んだ航空機リース需要の回復が各社の利益を押し上げ、複数社が高水準の純利益を計上しました。一方で、2027年4月から適用される新リース会計基準により、借り手側でオペレーティングリースも資産計上(オンバランス)され、利用企業の資産と負債が同時に増える変更が控えています。
主要トピック
業界構造
主要プレイヤー / サプライヤー / 流通 / 需要リース・レンタル業界(物品賃貸業)は、リースとレンタルという性質の異なる二本柱からなります。リースは、リース会社が銀行借入や社債で資金を調達し、利用者が指定した物件をメーカーから購入して中長期で賃貸する、金融に近い取引です。中途解約が原則できず、保守は利用者が負担し、リース会社は利用者の信用力を見極める与信が事業の中心です。
一方レンタルは、レンタル会社が汎用的な物品を在庫として保有し、不特定多数へ短期で貸し出す取引で、建設機械やOA機器が中心です。リースには、リース料総額で物件価格をほぼ回収するファイナンスリースと、期間終了後に残る価値(残価)を見込むオペレーティングリースがあり、所有権・与信・残価リスクの所在が両者を分けます。
総合リース大手は出自によって分かれます。独立系のオリックス(連結総資産16.9兆円、IFRS)は金融から事業投資まで多角化が進み、純粋なリース事業での比較はできません。銀行系では三菱HCキャピタル(総資産11.8兆円)・三井住友ファイナンス&リース(非上場)・芙蓉総合リース・みずほリース、商社系では伊藤忠系の東京センチュリー(同6.9兆円)が並びます。
メーカー系のリコーリース・NECキャピタルソリューションは情報機器に強みを持ちます。レンタルでは、建機のカナモト・アクティオ・西尾レントオール、レンタカー・カーシェアのパーク24(タイムズ)が存在感を持ちます。各社は調達金利・残価リスクの管理と、リース以外の収益源の開拓を競っています。
リース会計は事業の根幹に関わります。2024年9月に企業会計基準委員会(ASBJ)が公表した新リース会計基準では、借り手側で原則すべてのリースを資産計上(オンバランス)することになり、2027年4月から適用されます。これまで費用処理されていたオペレーティングリースも使用権資産として計上される変更で、利用企業の財務に影響します。
業界では、リース事業協会が統計や制度対応を担います。事業面では、国内リース市場の成熟を背景に、大手が事業投資・航空機・海外・環境エネルギーへ多角化を進めています。個人向けには月額定額のカーリースやサブスクリプションが広がり、所有から利用へという流れが、設備・物品の調達のあり方を変えつつあります。
業界の3大論点
リース取扱高はなぜバブル期から縮小し、リース比率は低下し続けているのか?
リース取扱高は、バブル期の1991年度に8兆8,016億円のピークを付けた後、長期的に縮小してきました。2024年度は5兆847億円で、ピーク時の6割弱の水準です。設備投資に占めるリース比率も、2000年代の8%台から2024年度の4.34%へと半減しています。背景には、設備投資のあり方の変化と会計制度の影響があります。
第一に、設備投資の自己資金化です。日本企業は手元資金が潤沢になり、設備を借りるよりも自己資金やコストの低い借入で持つ傾向が強まりました。第二に、設備のソフトウエア・サービス化です。かつてリースの中心だった大型のIT機器やオフィス機器は、クラウドやサブスクリプションへの移行が進み、所有を前提としたリースになじみにくくなっています。
第三に、会計制度の変化です。2008年度の会計基準改正でファイナンスリースが原則として資産計上(オンバランス)に変わり、オフバランスという利点が薄れました。2027年4月からの新リース会計基準では、オペレーティングリースも借り手が資産計上することになります。こうした構造変化のなかで、近年の取扱高は情報通信機器や輸送用機器の更新需要に支えられて3年連続で増加しており、縮小一辺倒ではなく機種ごとの濃淡が出ています。
リースとレンタルは何が違い、なぜ別々に語られるのか?
リースとレンタルは、どちらも物品を借りて使う点では同じですが、取引の性質が大きく異なります。このため統計も事業も分かれており、リース取扱高(5兆847億円)とレンタル売上高(約1.9兆円)を単純に足し合わせることはできません。
リースは、利用者が指定した特定の物件を、リース会社が代わりに購入して中長期(数年単位)で賃貸する取引です。実質的には設備の分割購入に近く、金融に近い性質を持ちます。物件は利用者専用に調達され、リース期間中の中途解約は原則できず、保守や保険は利用者が負担します。リース会社にとっては、利用者の信用力を見極める与信が事業の中心です。
一方レンタルは、レンタル会社があらかじめ在庫として保有する汎用的な物品を、不特定多数の利用者へ短期(日・週・月単位)で貸し出す取引です。建設現場の重機や高所作業車、イベント用品、OA機器などが中心で、レンタル市場では土木・建設機械が6割超を占めます。利用後は返却され別の利用者へ貸し出されるため、レンタル会社は在庫の稼働率と、使用後に残る価値(残価)のリスクを管理します。所有権・与信・残価リスクの所在が異なるため、リースとレンタルは別々の事業として発展してきました。
総合リース大手はなぜ金融から事業投資・海外へ多角化するのか?
総合リース大手は、国内のリース取扱高が長期的に伸び悩むなかで、リース料収益に依存しない事業構造への転換を進めてきました。その象徴がオリックスで、連結総資産16.9兆円のうち、純粋なリース事業は一部にすぎず、生命保険・銀行・不動産・環境エネルギー・海外事業など多角化した事業群が利益を支えています。
背景には、国内リース市場の成熟と利ざやの縮小があります。物件を調達する資金を調達金利より高いリース料で回収するのがリースの基本ですが、長く続いた低金利下で利ざやは縮小し、規模の拡大だけでは利益が伸びにくくなりました。そこで大手は、保有する資産や与信のノウハウを生かして、より収益性の高い事業投資(企業や事業への出資)へ軸足を移しています。
もう一つの柱が海外と特定分野への展開です。三菱HCキャピタルや東京センチュリーは、世界的に需要のある航空機リースを強化し、2024年度はコロナ後の航空需要回復が利益を押し上げました。再生可能エネルギー発電、海外でのリース・ファイナンス、不動産など、国内リースにとどまらない分野へ展開することで、各社は金融とサービスを組み合わせた事業会社へと姿を変えつつあります。
よくある質問 (FAQ)
リース・レンタル業界の市場規模はどれくらいですか?
リースとレンタルの違いは何ですか?
リース業界の主要企業はどこですか?
ファイナンスリースとオペレーティングリースの違いは何ですか?
新リース会計基準で何が変わりますか?
リース比率はなぜ低下しているのですか?
カーリースの市場規模はどれくらいですか?
関連業界
BPO・法人サービス 業界の他のカテゴリ
4 業界参考資料 / 一次ソース
- 1.
- 2.
- 3.
- 4.
- 5.