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リースの種類と新会計基準|ファイナンスとオペレーティングの違い【2026年版】

リースは会計上、売買に近い「ファイナンス・リース」と賃貸借に近い「オペレーティング・リース」に分かれます。2024年9月に企業会計基準委員会(ASBJ)が公表した新しいリース会計基準では、借り手は原則すべてのリースを資産・負債として貸借対照表に計上することになり、2027年4月以後に始まる事業年度から適用されます。種類ごとの違いと、新基準で何が変わるのかを整理します。

ファイナンス・リースとオペレーティング・リースは、何が違うのか

ファイナンス・リースは「売買に近い」リース

ファイナンス・リースとは、契約期間の中途で解約することができず(中途解約不能)、借り手が物件から得られる経済的な利益のほとんどを享受し、かつ物件にかかるコストのほとんどを負担するリースです。リース料の総額で物件の取得価額をほぼ回収する形になるため、フルペイアウト(借り手がほぼ全額を負担する形)と呼ばれ、形は賃貸借でも、経済的な実態は物件を分割払いで購入するのに近い取引です。

所有権が移るかで2つに分かれる

ファイナンス・リースは、さらに所有権移転所有権移転外に分かれます。契約条件に照らして、リース期間の終了時などに物件の所有権が借り手に移ると認められるものが所有権移転ファイナンス・リースで、それ以外が所有権移転外ファイナンス・リースです。実務で多いのは所有権移転外で、リース期間の終了後に物件を返すか、再リースするかを選ぶ形が一般的です。

オペレーティング・リースは「賃貸借に近い」リース

オペレーティング・リースとは、ファイナンス・リース以外のリースを指します。貸し手は、リース期間の終了後に物件に残る価値(残価)を見込んでリース料を設定するため、借り手が負担するのは物件価格の一部にとどまります。中途解約の条件も比較的柔軟で、賃貸借に近い性格を持ちます。物件の価値の変動(残価リスク)を貸し手が負う点が、ファイナンス・リースとの大きな違いです。自動車では、保守を含む形のリースと、リース料で車両価格を回収する形のリースがあり、個人・法人ともに保守を含む形が広く使われています。

再リースという仕組み

リース期間が終わった後、同じ物件を引き続き使う場合の仕組みが再リースです。日本の再リースは、当初の契約に再リースの条項があらかじめ定められ、物件の使用可能な期間を踏まえた解約不能期間が過ぎた後に、当初の月額リース料と同じ程度の年間リース料で1年間貸借する形が一般的です。物件をまだ使えるうちは、新たに買い替えるよりも低い負担で使い続けられる点に意味があります。

リースの会計上の種類と特徴

所有権の移転・中途解約・残価リスクの所在・貸し手の会計処理の違い(企業会計基準第34号に基づく)
所有権移転ファイナンス・リース
所有権の移転
契約条件から借り手に移ると認められる
中途解約
原則できない
残価リスクの所在
借り手が負う(フルペイアウト)
貸し手の会計処理
リース債権(売買に準じて処理)
所有権移転外ファイナンス・リース
所有権の移転
移転しない
中途解約
原則できない
残価リスクの所在
借り手が負う(フルペイアウト)
貸し手の会計処理
リース投資資産(売買に準じて処理)
オペレーティング・リース
所有権の移転
移転しない
中途解約
契約により柔軟
残価リスクの所在
貸し手が負う(残価を見込む)
貸し手の会計処理
賃貸借に準じて収益を計上
読み解き

上の区分は、主に貸し手(リース会社)から見た分類です。新しいリース会計基準では、借り手の側は、この3つの種類にかかわらず、原則すべてのリースについて使用権資産とリース負債を計上します(短期・少額の例外を除く)。つまり、借り手の会計処理は種類によらずおおむね共通になり、貸し手の会計処理は従来どおり種類で分かれる、という形になります。

新しいリース会計基準(企業会計基準第34号)は何を変えるのか

借り手は、原則すべてのリースをオンバランス

2024年9月に公表された企業会計基準第34号の最大の変更は、借り手の会計処理です。借り手は、リースの開始日に、物件を使う権利を表す使用権資産と、将来のリース料の支払義務を表すリース負債を計上します。これまで、所有権移転外ファイナンス・リースの一部やオペレーティング・リースは、資産・負債を計上せず費用として処理(オフバランス)されてきましたが、新基準ではこれらも原則すべて貸借対照表に載せる(オンバランス)ことになります。

種類で分けない「単一の会計処理モデル」

新基準では、借り手はリースがファイナンス・リースかオペレーティング・リースかにかかわらず、使用権資産の減価償却費とリース負債にかかる利息相当額を計上します。これは、すべてのリースを「物件を使う権利の取得」と捉える単一の会計処理モデルで、国際的な会計基準であるIFRS第16号と整合させたものです。借り手の費用の出方が種類によらず共通になるため、財務諸表を読む側にとっては比較がしやすくなります。

なぜ変わるのか — 国際的な整合性

背景にあるのは、国際的な会計基準との整合性です。IASB(国際会計基準審議会)は2016年にIFRS第16号を、米国のFASBも同年にTopic842を公表し、いずれもオペレーティング・リースも含むすべてのリースを借り手の資産・負債に計上する考え方を採りました。日本の従来基準では、重要なオペレーティング・リースが財務諸表本体に載らず、簿外の債務があると国際的に指摘される可能性がありました。こうした懸念を踏まえ、ASBJは借り手についてIFRS第16号と整合的な基準を開発しました。

適用は2027年4月から(早期適用も可能)

新基準は、2027年4月1日以後に開始する連結会計年度・事業年度の期首から適用されます。準備期間を確保するため、公表から原則適用まで2年半程度が設けられ、2025年4月1日以後に開始する事業年度からの早期適用も認められています。リースを多く利用してきた企業ほど、契約内容の棚卸しや会計システムの対応が必要になるため、適用に向けた準備が進められています。

貸し手の会計はどうなり、実務では何を押さえるのか

貸し手は2分類を維持する

借り手の処理が大きく変わる一方で、貸し手(リース会社)の会計処理は、ファイナンス・リースとオペレーティング・リースの2分類を維持します。これは、国際的にも貸し手側の会計処理は抜本的には改められておらず、日本でも従来の企業会計基準第13号の考え方を基本的に引き継いだためです。貸し手は、ファイナンス・リースを売買に準じて計上します(所有権が移転するものはリース債権、移転しないものはリース投資資産として区分します)。オペレーティング・リースは賃貸借に準じて収益を計上します。リース会社にとっては、借り手側の制度変更への対応が、むしろ実務上の論点になります。

短期・少額のリースは簡便的に処理できる

すべてのリースを一律にオンバランスすると実務負担が大きくなるため、簡便的な取扱いが設けられています。リース開始日において借り手のリース期間が12か月以内で購入オプションを含まない短期リースと、少額の資産にかかる少額リースについては、使用権資産・リース負債を計上せず、リース料をリース期間にわたって費用として処理することができます。少額かどうかは、全国一律の金額が定められているわけではなく、企業が定める重要性の基準などに照らして判断されます。重要性の乏しいリースまで一つひとつ資産計上する負担を避けるための取扱いです。

利用企業の財務に与える影響

新基準の適用により、これまでオフバランスだったオペレーティング・リースが資産・負債として両建てで計上されるため、リースを多く使う企業では総資産と負債がともに増える方向に働きます。店舗や事務所の不動産賃借、車両、機器などをリースで多く調達してきた企業ほど影響が大きく、自己資本比率などの財務指標にも表れます。ただし、これは会計上の見え方が実態に近づく変更であり、企業が実際に負っている支払義務そのものが増えるわけではありません。

2027年4月の本適用に向けて

直近 — 契約の棚卸しとシステム対応

本適用が2027年4月に控えるなか、利用企業ではリース契約の洗い出しと、使用権資産・リース負債を計算するためのシステム対応が進みます。早期適用を選ぶ企業も出ており、対応の巧拙が決算実務の負担を左右します。

中期 — リース利用の判断への影響

オンバランス化により、リースと自社購入・借入の会計上の見え方の差は小さくなります。これがリースの利用を抑える方向に働くのか、調達手段としての利便性や残価リスクの移転といったリース本来の利点が引き続き評価されるのかは、見方が分かれます。少なくとも、会計上の体裁だけを理由にリースを選ぶ動機は薄れていきます。

主要論点

ファイナンス・リースとオペレーティング・リースは、結局何が違うのか?

両者の違いは、物件の経済的な実態を借り手と貸し手のどちらが引き受けるかにあります。ファイナンス・リースは、中途解約ができず、借り手がリース料総額で物件価格をほぼ負担するフルペイアウトの取引で、経済的には物件を分割払いで購入するのに近い形です。物件の所有権が借り手に移ると認められるかどうかで、所有権移転と所有権移転外に分かれます。

一方、オペレーティング・リースは、貸し手が期間終了後の残価を見込んでリース料を設定するため、借り手の負担は物件価格の一部にとどまり、中途解約の条件も比較的柔軟です。物件の価値の変動という残価リスクを貸し手が負う点が、最大の違いです。

なお、新しいリース会計基準のもとでは、借り手の会計処理はこの種類の違いによらずおおむね共通になります。種類の違いが最も明確に表れるのは、貸し手側の会計処理と、残価リスクを誰が負うかという経済的な実態の面です。

新リース会計基準で、企業のリース利用はどう変わるのか?

会計面では、これまでオフバランスだったオペレーティング・リースが借り手の資産・負債に計上されるため、リースを多く使う企業の総資産・負債は増える方向に動きます。店舗や車両、機器をリースで調達してきた企業ほど、自己資本比率などの財務指標への影響が表れます。

ただし、これは企業が実際に負う支払義務が増えるわけではなく、会計上の見え方が実態に近づく変更です。したがって、リースをやめて購入や借入に切り替える直接の理由にはなりにくいと考えられます。

むしろ実務上の負担は、契約の洗い出しや使用権資産・リース負債の計算、システム対応にあります。リースの利用そのものは、初期投資を抑えられる、設備を最新に保てる、残価リスクを貸し手に移せるといった本来の利点に照らして判断されていくと見られます。

オンバランス化で、リースの利点は失われるのか?

オンバランス化により、リースと購入・借入の会計上の見え方の差は小さくなります。かつては、オフバランスにできることがオペレーティング・リースを選ぶ一因とされることもありましたが、その動機は薄れます。

しかし、リースの本質的な利点は会計上の体裁ではありません。初期投資を抑えて設備を導入できること、契約期間ごとに設備を更新しやすいこと、物件の残価リスクや管理の手間を貸し手に移せることは、会計基準が変わっても残ります。

加えて、貸し手側の2分類は維持され、リース会社が提供する与信・残価管理・保守一体のサービスの価値は変わりません。会計上の差が縮む分、リースを選ぶ理由はサービスとしての実質的な利便性に移っていくと考えられます。

よくある質問

ファイナンス・リースとオペレーティング・リースの違いは何ですか?
ファイナンス・リースは、契約期間の中途で解約できず、借り手がリース料総額で物件価格をほぼ負担する(フルペイアウトの)、売買に近いリースです。物件の所有権が借り手に移ると認められる所有権移転と、それ以外の所有権移転外に分かれます。オペレーティング・リースは、それ以外のリースで、貸し手が期間終了後の残価を見込むため借り手の負担は物件価格の一部にとどまり、賃貸借に近い性格を持ちます。残価リスクを貸し手が負う点が大きな違いです。
新リース会計基準(企業会計基準第34号)とは何ですか? いつから適用されますか?
2024年9月に企業会計基準委員会(ASBJ)が公表したリースの会計基準です。最大の変更は、借り手が原則すべてのリースを使用権資産とリース負債として貸借対照表に計上(オンバランス)する点で、国際的な会計基準であるIFRS第16号と整合させています。2027年4月1日以後に開始する事業年度から適用され、2025年4月1日以後に開始する事業年度からの早期適用も認められています。
すべてのリースが貸借対照表に載るのですか?
借り手については、原則すべてのリースが使用権資産とリース負債として計上されます。ただし、リース期間が12か月以内で購入オプションを含まない短期リースや、少額の資産のリースについては、計上せずリース料を費用として処理できる簡便的な取扱いが設けられています。重要性の乏しいリースまで一律に資産計上する負担を避けるためのものです。
貸し手(リース会社)の会計処理も変わりますか?
貸し手の会計処理は、ファイナンス・リースとオペレーティング・リースの2分類が維持され、従来の考え方が基本的に引き継がれます。貸し手はファイナンス・リースを売買に準じてリース債権・リース投資資産として計上し、オペレーティング・リースは賃貸借に準じて収益を計上します。大きく変わるのは借り手側で、リース会社にとっては顧客である借り手側の制度対応が実務上の論点になります。
新基準は国際的な会計基準とどう関係していますか?
IASB(国際会計基準審議会)が2016年に公表したIFRS第16号と、米国のTopic842は、いずれもオペレーティング・リースを含むすべてのリースを借り手の資産・負債に計上する考え方を採っています。日本の従来基準ではオペレーティング・リースが財務諸表本体に載らず、簿外の債務があると国際的に指摘される懸念がありました。新基準は、借り手の会計処理についてIFRS第16号と整合させることで、この差を解消するものです。

参考資料 / 一次ソース

  1. 1.
    企業会計基準委員会(ASBJ)「企業会計基準第34号 リースに関する会計基準」(2024年9月)
  2. 2.
    企業会計基準委員会(ASBJ)「企業会計基準適用指針第33号 リースに関する会計基準の適用指針」(2024年9月)
  3. 3.
    公益社団法人リース事業協会「リース統計」「車種別リース車保有台数調査」
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