なぜ直轄と自治体でICT施工の普及に差があるのか?
国が直接発注する直轄の土木工事では、ICT施工の実施率が2023年度に87%に達した一方、都道府県・政令市は23%にとどまります。この差の背景には、いくつかの構造的な要因があります。
第一に、工事の規模です。直轄工事は大規模な土工を含むものが多く、ICT施工の効果が出やすいのに対し、自治体の工事は生活道路や小規模な河川など、1件あたりの規模が小さく土工量が限られるものが中心です。第二に、人材と体制です。ICT建機を扱う受注業者、3次元データを発注・検査できる自治体職員の双方が、地方では不足しています。土木技術職員が少ない小規模自治体では、ICT施工を前提とした発注・監督の体制づくりが追いつきません。
工事件数の多くを担うのは地方自治体であり、ここへの普及なくして全国的な生産性向上は実現しません。国は、小規模工事に対応した簡易な基準づくりやICT建機のレンタル活用、研修による人材育成を後押ししており、自治体への普及をどこまで広げられるかが、ICT施工全体の成否を左右します。