最終更新
STAT DETAIL · MARKET SIZE

土木・インフラ工事の市場規模|建設投資の推移と公共主導の構造【2026年版】

日本の土木・インフラ工事の市場規模は、2025年度の土木建設投資で26兆3,700億円(需要側)です。内訳は政府17兆7,500億円・民間8兆6,200億円で、政府投資が約3分の2を占める公共主導の構造です。土木投資は1995年度の約38兆円をピークに公共投資の抑制で2012年度の約17.6兆円まで落ち込み、その後は国土強靱化を背景に26兆円台へ回復しました。市場規模の長期推移・官民の内訳・構成比の変遷・他の建設統計との違いまで順に整理します。

土木建設投資(2025年度)
26.4兆円
26兆3,700億円、前年度比1.5%増(需要側)
出典: 国土交通省 令和7年度 建設投資見通し
政府投資(2025年度)
17.8兆円
17兆7,500億円。うち公共事業14兆3,900億円
出典: 国土交通省 令和7年度 建設投資見通し
ピーク(1995年度)
38.0兆円
1995年度がピーク。公共投資の抑制でここから縮小した
出典: 国土交通省 建設投資見通し(名目、1960-2025)
底(2012年度)
17.6兆円
17兆5,605億円、ピークの半分以下まで縮小
出典: 国土交通省 建設投資見通し(名目、1960-2025)

土木建設投資の推移(1990-2025年度、億円)

政府と民間の積み上げ。1995年度の約38兆円をピークに2012年度の約17.6兆円まで縮小し、2025年度は26兆3,700億円まで回復
単位: 億円
政府民間
0100,000200,000300,000400,000292,0769091929394380,2729596979899325,7590001020304218,5340506070809198,2911011121314195,5521516171819249,9932021222324263,70025
出典: 国土交通省 令和7年度 建設投資見通し(土木、名目値の年度推移)
年度199019911992199319941995199619971998199920002001200220032004200520062007200820092010201120122013201420152016201720182019202020212022202320242025
政府億円211,470230,175259,709275,118267,810295,314288,649275,414291,155273,938259,597245,786224,101203,001184,439169,211157,518149,956146,507157,232157,724139,939133,207150,460144,568145,961154,051156,064158,869167,303183,230176,742178,975175,400176,300177,500
民間億円80,60686,70489,24888,75280,41684,95881,68677,62573,99964,56766,16259,02852,31447,18746,85449,32349,92749,81150,58245,51540,56743,44742,39845,29448,47449,59150,28748,59554,54654,16066,76369,10571,78680,40083,50086,200
合計(億円292,076316,879348,957363,870348,226380,272370,335353,039365,154338,505325,759304,814276,415250,188231,293218,534207,445199,767197,089202,747198,291183,386175,605195,754193,042195,552204,338204,659213,415221,463249,993245,847250,761255,800259,800263,700
前年比+8.5%+10.1%+4.3%-4.3%+9.2%-2.6%-4.7%+3.4%-7.3%-3.8%-6.4%-9.3%-9.5%-7.6%-5.5%-5.1%-3.7%-1.3%+2.9%-2.2%-7.5%-4.2%+11.5%-1.4%+1.3%+4.5%+0.2%+4.3%+3.8%+12.9%-1.7%+2.0%+2.0%+1.6%+1.5%
読み解き

土木建設投資は1995年度の約38兆円をピークに、1990年代後半以降の公共投資の抑制で縮小が続き、2012年度に約17.6兆円とピークの半分以下まで落ち込みました。その後は国土強靱化を背景に持ち直し、2020年度以降は26兆円台で推移して、2025年度は26兆3,700億円まで戻しています。積み上げの内訳は政府と民間で、合計が土木建設投資にあたります。

戻り方には官民で差があり、政府投資はピーク(1995年度の約29.5兆円)の水準にまだ届かない一方、民間投資が近年の回復を牽引しています。

土木建設投資の内訳(2025年度、億円)

政府(公共事業・公共事業以外)と民間の3区分。合計が土木建設投資にあたる
項目投資額(億円)構成比シェア
政府(公共事業)143,90054.6%
政府(公共事業以外)33,60012.7%
民間86,20032.7%
土木建設投資263,700100.0%
読み解き

2025年度の土木建設投資26兆3,700億円のうち、最も大きいのは政府の公共事業14兆3,900億円(構成比54.6%)です。道路・河川・治水・港湾・上下水道など、国と地方自治体が予算を組んで発注する公共インフラの整備がここに含まれます。次いで民間8兆6,200億円(同32.7%)で、鉄道・電力・通信・物流施設など民間事業者が発注する土木がこれにあたります。

政府(公共事業以外)は3兆3,600億円(同12.7%)です。道路・河川などの国の公共事業予算(公共事業関係費)に基づく「公共事業」とは別に、独立行政法人や公営企業などが担う政府部門の土木投資がこれにあたります。土木は政府と民間を合わせても公共の比重が高いのが特徴です。

土木建設投資の官民構成比の推移(1990-2025年度、%)

政府と民間の構成比(合計100%)。政府の割合が下がり、民間の割合が高まってきた
単位: %
出典: 国土交通省 建設投資見通し(土木、名目値から構成比を算出)
読み解き

土木建設投資に占める民間の割合は、1995年度の約22.3%から2012年度の約24.1%、2025年度は約32.7%へと、長い目でみて高まってきました。裏を返せば、政府の割合は約77.7%から約67.3%へと下がっています。100%積み上げの2つの帯で構成比を表示しており、両者の合計は常に100%です。

ただし、これは民間の土木投資が大きく伸びたためというより、政府投資がピークから戻りきっていないことの裏返しでもあります。民間投資は8兆6,200億円と1990年代前半のピーク(約8.9兆円)に近い水準まで回復した一方、政府投資はピーク(約29.5兆円)の約6割にとどまります。金額の絶対額でみれば政府が民間の約2倍で、依然として公共主導であることは変わりません。構成比の変化は、政府の未回復と民間の回復がセットで生んでいる点に注意が必要です。

主要論点

なぜ土木投資は半分以下まで減り、その後戻したのか?

土木建設投資は1995年度の約38兆円をピークに、2012年度の約17.6兆円までピークの半分以下に縮小しました。背景には、1990年代後半以降の財政再建のもとで公共事業が抑制の対象となり、政府の土木投資が大きく絞られたことがあります。政府投資はピークの約29.5兆円から2012年度には約13.3兆円まで落ち込みました。

流れが変わったのが2010年代です。東日本大震災(2011年)や相次ぐ豪雨・地震を受けて、防災・減災とインフラ老朽化への対応が政策課題となり、国土強靱化の取り組みが進みました。5か年加速化対策などの集中的な投資により、政府投資は下げ止まって持ち直し、土木建設投資は2020年度以降26兆円台で推移しています。

もっとも、回復した水準もピークには遠く及びません。政府投資は2025年度でピークの約6割です。財政制約が続くなかで、老朽化するインフラの維持・更新にどう予算を配分するかが、今後の市場規模を左右する構造になっています。

民間の土木投資は何が支えているのか?

土木は公共主導ですが、2025年度の民間投資も8兆6,200億円あり、土木建設投資の約3分の1を占めます。民間の土木投資は、鉄道会社の線路・駅、電力会社の発電所・送電網、通信会社の基地局・管路、物流施設やデータセンターの造成など、民間事業者が自ら発注するインフラ関連の工事が中心です。

近年の民間土木の回復には、いくつかの要因があります。都市部の再開発に伴う造成やインフラ整備、物流施設の建設ラッシュ、脱炭素に向けた再生可能エネルギー(太陽光・風力など)の関連工事、半導体工場などの大型設備投資に伴う土木需要などです。民間投資は1990年代前半のピークに近い水準まで戻ってきました。

ただし、民間の土木投資は景気や企業の設備投資の動向に左右されやすく、公共投資に比べて変動が大きい面があります。公共が需要の下支えとなり、民間が景気局面で上乗せする、という組み合わせが土木市場の特徴です。

「26兆円」は他の建設統計の数字とどう違うのか?

土木・インフラ工事の規模を示す数字にはいくつかの種類があり、集計の立場や範囲が異なるため金額も一致しません。本ページの26兆3,700億円は「建設投資」で、発注された工事の出来高を発注者側から見た投資額です。市場全体の需要規模をつかむのに使われます。

これとは別に、建設業者の売上高(完成工事高)を集計した統計や、企業がその年に受注した金額(受注高)を集計した統計もあります。完成工事高は工事を施工した業者の売上ベース、受注高は契約ベースで、いずれも建設投資とは対象や数え方が違います。同じ「土木の規模」を語る数字でも、どの立場から集計したものかによって金額が変わる点に注意が必要です。

このため、複数の統計の数字を単純に足し合わせたり、比較したりすることはできません。本ページでは、市場規模の指標として、需要側(発注者ベース)の建設投資26兆3,700億円を用いています。

中期見通し

近未来1-2年

2026-2027年度は、国土強靱化の実施中期計画に基づく防災・減災投資が土木需要を下支えする見通しです。政府投資は当初予算に加えて補正予算で上乗せされる年もあり、26兆円台の推移が続くとみられます。資材価格・労務費の上昇が続くなか、投資額(名目)の伸びには単価上昇の影響も含まれます。

中期3-5年

中期では、需要の重心が新設から維持管理・更新へ移っていきます。高度経済成長期に整備したインフラの老朽化が進み、点検・補修・更新の工事が増えます。財政制約のもとで限られた予算を新設と維持にどう配分するかが焦点で、予防保全への転換と生産性向上が市場の質を決めます。

長期

長期では、人口減少と財政のもとで、土木投資の総額を大きく増やすことは見込みにくい一方、老朽インフラの維持・更新は避けられない安定需要となります。担い手不足を背景に、ICT施工などによる省人化と、限られた人手で膨大なインフラを維持する仕組みづくりが、長期の課題です。

よくある質問

土木・インフラ工事の市場規模はどれくらいですか?
2025年度の土木建設投資で26兆3,700億円です(国土交通省 建設投資見通し、需要側)。前年度比1.5%増の見通しで、内訳は政府17兆7,500億円・民間8兆6,200億円です。政府投資のうち14兆3,900億円が公共事業にあたります。
土木投資はなぜ減って、その後回復したのですか?
土木建設投資は1995年度の約38兆円をピークに、1990年代後半以降の公共投資の抑制で縮小が続き、2012年度には約17.6兆円とピークの半分以下まで落ち込みました。その後、東日本大震災や相次ぐ災害を受けた防災・減災(国土強靱化)を背景に持ち直し、2020年度以降は26兆円台で推移しています。
なぜ土木は公共主導なのですか?
2025年度の土木建設投資26兆3,700億円のうち、政府投資が17兆7,500億円と約3分の2を占めます。民間が約85%を占める建築とは対照的です。道路・河川・港湾・上下水道といった社会インフラの多くは、利益を生む民間事業ではなく、国民の安全や生活を支える公共財として、国や地方自治体が発注・整備するためです。
「26兆円」は他の建設統計の数字とどう違いますか?
26兆3,700億円は「建設投資」で、発注された工事の出来高を発注者側から見た投資額です。これとは別に、建設業者の売上高を集計した完成工事高や、受注した金額を集計した受注高もあり、集計の立場や範囲が異なるため金額も一致しません。複数の統計を単純に足し合わせることはできない点に注意が必要です。
民間の土木投資には何が含まれますか?
2025年度の民間の土木投資は8兆6,200億円で、土木建設投資の約3分の1を占めます。鉄道会社の線路・駅、電力会社の発電所・送電網、通信会社の基地局・管路、物流施設やデータセンターの造成など、民間事業者が発注するインフラ関連の工事が中心です。近年は再生可能エネルギーや大型設備投資に伴う土木需要が民間投資を押し上げています。

参考資料 / 一次ソース

  1. 1.
    国土交通省 建設投資見通し(令和7年度版)
  2. 2.
    国土交通省 建設投資見通し(e-Stat統計表、名目値)
📄 資料DL💬 無料相談