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電気工事業界の構造|許可業者の分散と大手の位置づけ【2026年版】

電気工事業は、特定の企業に集中せず、地域の中小・専門工事業者が広く支える分散型の業界です。建設業許可の電気工事業の許可業者は約65,497社にのぼり、経済センサスで見ると事業所の約58.0%が従業者1〜4人の小規模事業者です。大手サブコン(電気設備工事の専門大手)は全国・広域の大型案件で存在感を持つ一方、数の上ではゼネコンの下で電気設備を担う中小の専門工事業者が業界の裾野を支えています。誰がどのように電気工事業を構成しているのか、プレイヤーの類型と制度の枠組みから整理します。

電気工事業のプレイヤー類型と制度の枠組み

規模と地盤で分かれる4つの類型と、建設業許可・電気工事業法登録という2つの制度

電気工事業のプレイヤーは、規模と地盤で大きく4つに整理できます。全国・広域に展開する大手サブコン、鉄道系など独立系の専門大手、地域密着の中堅、そして数のうえで大多数を占める中小・零細です。建設業許可の電気工事業の許可業者は約65,497社にのぼり、上位の大手に集中する寡占ではなく、多数の業者が広く担う構造です。同時に、この業界は建設業許可電気工事業法の登録という2つの制度の枠組みのうえに成り立っています。

全国・広域の大手サブコン
特徴
各地域の電力会社系を中心とする専門大手。全国・広域に営業網を持ち、大型・広域の電気設備工事を担う
代表的なプレイヤー
きんでん・関電工・クラフティア・トーエネック・ユアテック・中電工・四電工
独立系・鉄道系の専門大手
特徴
電力会社系以外の出自を持つ専門大手。鉄道電気設備など特定領域に強み
代表的なプレイヤー
日本電設工業(JR東日本系)など
地域の中堅工事業者
特徴
特定の地域で電気設備工事を請け負う中規模の業者。地域の建設・設備需要に密着
代表的なプレイヤー
各地域の中堅電気工事会社
中小・零細の専門工事業者
特徴
ゼネコンや元請の下で電気設備を担う中小・零細。事業所数の大多数(従業者1〜9人が約8割)を占め、業界の裾野を支える
代表的なプレイヤー
地域の電気工事店・一人親方など

全国・広域の大手サブコン — 電力会社系が中心

業界の上層は、各地域の電力会社系を中心とする大手サブコン(電気設備工事の専門大手)です。きんでん(関西電力系)・関電工(東京電力系)・クラフティア(九州電力系、旧九電工)・トーエネック(中部電力系)・ユアテック(東北電力系)・中電工(中国電力系)・四電工(四国電力系)などが該当します。電力インフラ工事で培った技術を土台に、屋内配線から受変電・送配電、情報通信、空調まで手がける総合設備企業へと事業を広げてきました。

これらの大手は、全国・広域に営業網を持ち、工場・データセンター・再開発ビルといった大型・広域の電気設備工事を担える体力を持ちます。一方で、大手であっても業界全体を寡占しているわけではなく、地域の中小・専門工事業者が広く存在する裾野のうえに位置しています。

独立系・鉄道系の専門大手 — 出自の多様性

大手のなかには、電力会社系ではない出自を持つ専門大手もあります。代表例が日本電設工業で、JR東日本を主要株主とする鉄道系として、信号・電車線・駅設備といった鉄道の電気設備工事に強みを持ちます。電力会社系サブコンとは異なる需要基盤(鉄道インフラの更新・保守)を持つ点が特徴です。

かつては住友電気工業系の住友電設のような独立系の大手も上場していましたが、住友電設は2026年に大和ハウス工業による買収で上場廃止となりました。このように、大手サブコンの出自は電力会社系が中心でありながらも一様ではなく、「電力会社系か独立系か」という単純な二分では捉えきれない多様性があります。

地域の中堅・中小 — 数の上での大多数

業界の裾野を支えるのが、地域密着の中堅工事業者と、数のうえで大多数を占める中小・零細の専門工事業者です。経済センサス(2021年)によると、電気工事業の事業所約49,459のうち、従業者1〜4人が約58.0%、1〜9人まで含めると約81.1%を占めます。50人以上の事業所は1.6%にすぎません。

これらの中小・零細の多くは、ゼネコンや元請の下で電気設備を担う下請として、あるいは地域の住宅・店舗の電気工事を手がける専門工事業者として活動しています。電気工事は比較的小規模でも参入しやすく、有資格者がいれば地域で開業できるため、多数の事業者が広く分散する構造を生んでいます。大手が大型・広域の案件を、中小が地域・下請の需要を担う、という役割分担で業界が成り立っています。

制度の枠組み — 建設業許可と電気工事業法の登録

電気工事業には、2つの異なる制度が関わります。一つは建設業法の建設業許可で、「電気工事業」の許可を持つ業者が約65,497社(令和7年=2025年3月末)です。本ページの分散構造は、この建設業許可の数で見ています。もう一つが、電気工事業法に基づく「登録電気工事業者」の制度で、電気工事業を営むための登録と、営業所ごとの主任電気工事士の配置を求めるものです。両者は目的も数え方も異なり、混同できません。

なお、建設業許可は業種ごとに与えられ、1つの業者が複数の業種の許可を持つこともあります。建設業許可を持つ業者は全業種で約483,700業者(令和7年3月末)あり、このうち電気工事業の許可を持つのが65,497社です。この全業種の業者数(約48万)と電気工事業の許可業者数(65,497社)を混同しないことも、業界の規模を正しく読むうえで大切です。

電気工事業の従業者規模別 事業所数(2021年、事業所数)

事業所の約58.0%が従業者1〜4人。中小・零細が数の上で大多数を占める分散構造
単位: 事業所6 カテゴリ・合計 49,459
07,50015,00022,50030,00028,6941〜4人11,3995〜9人5,77310〜19人1,61420〜29人1,17430〜49人80550人以上
出典: 総務省・経済産業省 令和3年経済センサス-活動調査(電気工事業 従業者規模別 民営事業所数)
カテゴリ1〜4人5〜9人10〜19人20〜29人30〜49人50人以上
事業所28,69411,3995,7731,6141,174805
シェア58.0%23.0%11.7%3.3%2.4%1.6%
読み解き

電気工事業の事業所を従業者規模で見ると、中小・零細への偏りが明確です。経済センサス(2021年)によると、電気工事業の事業所約49,459のうち、従業者1〜4人の事業所が28,694(約58.0%)と過半を占めます。1〜9人まで含めると約81.1%に達し、業界が小規模事業者の広い裾野で成り立っていることが分かります。

一方、50人以上の事業所は805(約1.6%)にすぎません。大手サブコンはこの少数の大規模事業所に含まれますが、事業所数のうえではごく一部です。多数の中小・零細がゼネコンや元請の下で電気設備を担い、少数の大手が全国・広域の大型案件を担うという、規模による役割分担が見て取れます。

なお、上のグラフと構成比は従業者規模が集計された6区分の事業所(計約49,459)に対するもので、これに出向・派遣従業者のみの事業所84を加えた総数は約49,543です。また、この事業所数(2021年、経済センサス)は、建設業許可の許可業者数(65,497社、2025年)とは集計の対象も年も異なります。事業所は事業を行う拠点の単位、許可業者は建設業許可を持つ業者の単位で、それぞれ別の統計です。いずれも電気工事業が分散した構造であることを示しています。

主要論点

なぜ電気工事業はこれほど分散しているのか?

電気工事業は、建設業許可の電気工事業だけで約65,497社、経済センサスの事業所で見ても約49,459あり、特定の大手に集中しない分散構造です。事業所の約58.0%が従業者1〜4人の小規模で、1〜9人まで含めると約81.1%を占めます。

分散の背景には、電気工事の参入のしやすさがあります。電気工事士などの有資格者がいれば、比較的小規模でも地域で開業でき、住宅や店舗の電気工事、あるいはゼネコン・元請の下での下請工事として仕事を得られます。大規模な設備や資本がなくても事業を始めやすいため、多数の中小・零細が広く存在します。

もう一つの要因が、重層的な下請構造です。ゼネコンが受注した工事の電気設備部分を、大手サブコンや地域の専門工事業者が下請で担い、さらにその下に小規模な業者が連なります。この重層構造が、規模の異なる多数の業者が併存する土台になっています。

大手サブコンと中小はどう役割分担しているのか?

電気工事業では、少数の大手サブコンと多数の中小・零細が、規模による役割分担で併存しています。大手サブコン(電力会社系を中心とする専門大手)は、全国・広域に営業網を持ち、工場・データセンター・再開発ビルといった大型・広域の電気設備工事を担います。技術力・施工体制・信用が問われる大型案件で存在感を持ちます。

一方、事業所数の大多数を占める中小・零細は、地域の住宅・店舗の電気工事や、ゼネコン・元請の下での下請工事を担います。地域に密着し、機動的に対応できる点が強みです。50人以上の事業所は全体の1.6%にすぎず、数のうえでは中小が圧倒的です。

この役割分担は、大手が寡占しているという意味ではありません。大手は大型・広域の案件で重みを持ちますが、地域や下請の需要は中小の広い裾野が支えており、両者が異なる領域で共存しているのが電気工事業の構造です。

「建設業許可」と「登録電気工事業者」は何が違うのか?

電気工事業には、2つの異なる制度が関わり、しばしば混同されます。一つは建設業法の建設業許可で、一定規模以上の建設工事を請け負うために必要な許可です。「電気工事業」の建設業許可を持つ業者が約65,497社(令和7年=2025年3月末)で、本ページの分散構造はこの数で見ています。

もう一つが、電気工事業法に基づく「登録電気工事業者」の制度です。これは電気工事業を営む者に登録を義務づけ、営業所ごとに主任電気工事士を置くことなどを求めるもので、電気工事の保安を確保するための制度です。建設業許可とは目的も対象も数え方も異なるため、両者の数を同じものとして扱うことはできません。

数を読む際は、この2つの制度に加えて、建設業許可が業種ごとに与えられる点も押さえておくと混乱を避けられます。「電気工事業」の許可業者65,497社は、全業種の許可業者(約48万業者)の一部であり、両者は別の数です。同じ「業者数」でも、どの制度・どの範囲で数えたものかを区別することが、業界の規模を正しく読む出発点になります。

中期見通し

近未来1-2年

分散構造は当面続きますが、担い手不足が中小・零細に影響します。有資格者の高齢化と後継者難のなかで、小規模事業者の廃業や、大手・中堅への集約が緩やかに進む可能性があります。一方、データセンターや再エネ関連の大型案件は大手サブコンに集中しやすく、規模による需要の取り込みの差が広がる面もあります。

中期3-5年

中期では、人手不足を背景とした再編・集約が構造を少しずつ変える見通しです。後継者不在の中小が大手・中堅の傘下に入る動きや、施工管理のデジタル化・省人化に投資できる企業とそうでない企業の差が、業界の担い手構成に影響します。ただし、地域密着の中小が担う下請・地域需要は残り、分散構造の基本は維持される見込みです。

長期5-10年

長期では、電化・脱炭素に伴う需要拡大と担い手の確保の綱引きが構造を決めます。電気工事の需要が広がる一方、有資格者の確保が追いつかなければ、施工体制を持つ大手・中堅への集約が進む可能性があります。省人化技術の普及や、資格者の育成・入職促進が、分散した裾野をどこまで維持できるかを左右します。

よくある質問

電気工事業の会社数(業者数)はどれくらいですか?
建設業許可のうち電気工事業の許可を持つ業者は、令和7年(2025年)3月末時点で約65,497社です(国土交通省 建設業許可業者数調査)。経済センサス(2021年)の事業所ベースでは約49,459事業所です。いずれも特定の大手に集中せず、地域の中小・専門工事業者が広く担う分散構造を示しています。なお、この数は建設業許可の数で、電気工事業法の登録電気工事業者とは別の制度です。
電気工事業は大手が寡占しているのですか?
いいえ、寡占ではありません。きんでん・関電工などの大手サブコンは全国・広域の大型案件で存在感を持ちますが、業界全体で見ると約65,497社の許可業者が広く分散しています。経済センサスでは事業所の約58.0%が従業者1〜4人の小規模で、50人以上は1.6%にすぎません。大手が大型・広域の案件を、中小がゼネコンの下請や地域の工事を担う役割分担で成り立っています。
「建設業許可」と「登録電気工事業者」はどう違うのですか?
建設業許可は、建設業法に基づき一定規模以上の建設工事を請け負うために必要な許可で、「電気工事業」の許可業者が約65,497社です。一方、登録電気工事業者は、電気工事業法に基づき電気工事業を営む者に登録を義務づけ、保安を確保するための制度で、営業所ごとの主任電気工事士の配置などを求めます。両者は目的も数え方も異なる別の制度で、同じ数として扱うことはできません。
電気工事業に小規模な事業者が多いのはなぜですか?
電気工事は、電気工事士などの有資格者がいれば比較的小規模でも開業しやすいためです。住宅や店舗の電気工事、あるいはゼネコン・元請の下での下請工事として仕事を得られ、大規模な資本がなくても事業を始められます。経済センサス(2021年)では、電気工事業の事業所の約81.1%が従業者1〜9人で、多数の中小・零細が業界の裾野を支えています。
電気工事の許可業者は増えていますか、減っていますか?
建設業許可の電気工事業の許可業者数は、増加傾向にあります。令和7年(2025年)3月末で約65,497社と、平成12年(2000年)比で2割ほど増えています。建物の電化・高機能化や、データセンター・再エネ関連など電気工事の対象が広がっていることが背景にあります。一方で、有資格者の高齢化を背景に、中長期的には担い手の確保が業界共通の課題となっています。

参考資料 / 一次ソース

  1. 1.
    国土交通省 建設業許可業者数調査(令和7年3月末)
  2. 2.
    総務省・経済産業省 令和3年経済センサス-活動調査
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