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電気工事業の元請・下請構造|重層下請の流れと元請比率の推移【2026年版】

電気工事業では、ゼネコンが受注した建築工事の電気設備部分を、電気工事の専門工事業者が下請として施工する形が一般的です。2024年度の完成工事高は元請48.7%・下請51.3%で、下請が過半を占めます(国土交通省 建設工事施工統計調査)。元請比率は2020年度の51.8%から緩やかに低下しており、下請の比重がやや増えています。発注者からゼネコン(元請)、電気設備の専門大手(サブコン)、地域の専門工事業者へと連なる重層的な下請構造がどう成り立っているのか、その流れと元請比率の推移から整理します。

電気工事業の重層下請の階層と受発注の流れ

発注者からゼネコン(元請)、電気設備の専門大手(サブコン)、地域の専門工事業者へと連なる階層

電気工事業の受発注は、発注者からゼネコン(元請)、サブコン(一次下請)、地域の専門工事業者(二次下請以下)へと段階的に連なる重層構造です。2024年度は完成工事高の51.3%が下請で、ゼネコンの下で担う工事に厚みがあります。ただし、この階層は固定的なものではなく、サブコンは下請と元請の両面を持ち、工場やデータセンターなどの案件では電気工事会社が直接元請となることもあります。役割の重なりを含めて、受発注の流れを見ていきます。

発注者
役割
建物・施設・設備工事を発注する。工事全体の起点
主な担い手
事業会社・公共・電力会社・鉄道会社など
元請(ゼネコンなど)
役割
建築工事を一括で受注し、そのなかの電気設備部分を下請に発注する
主な担い手
総合建設業(ゼネコン)。工場・データセンター・再エネなどでは電気工事会社が直接元請となる例も
一次下請(電気設備の専門大手=サブコン)
役割
ゼネコンの下で電気設備工事を施工。自ら元請として直接受注する二面性を持つ
主な担い手
きんでん・関電工・クラフティアなどの大手サブコン
二次下請以下(地域の専門工事業者)
役割
サブコンや上位の下で、配線・据付など個別の工事を分業で担う
主な担い手
地域の電気工事店・一人親方など

重層下請とは — 建築工事のなかの電気設備

電気工事の多くは、単独の工事としてではなく、建築工事の一部として発注されます。ビル・工場・商業施設などをつくる際、発注者はまず総合建設業(ゼネコン)に建築工事全体を発注し、ゼネコンが元請として工事を取りまとめます。その建物に必要な電気設備(受変電・配線・照明・動力など)の部分を、ゼネコンが電気工事の専門工事業者に下請として発注する、というのが基本的な流れです。

このように、発注者から元請、下請、さらにその下の下請へと工事が段階的に発注されていく仕組みを重層下請と呼びます。電気設備は専門性が高く、建物のあらゆる部分に関わるため、ゼネコンが自社で施工するのではなく、電気工事を専門とする業者に任せる分業が定着しています。2024年度に電気工事業の完成工事高の51.3%が下請だったのは、この分業構造を反映したものです。

ゼネコンからサブコン、専門工事業者へ連なる流れ

重層下請の中核にいるのが、サブコン(電気設備工事の専門大手)です。ゼネコンが元請として受注した工事のうち、電気設備の部分をサブコンが一次下請として引き受け、規模の大きい案件では、さらにその下の地域の専門工事業者に配線や据付などの工事を発注します。こうして、ゼネコン(元請)からサブコン(一次下請)、地域の専門工事業者(二次下請以下)へと、工事が段階的に連なります。

各階層は、それぞれの得意分野で役割を分担します。ゼネコンは建物全体の工程管理を、サブコンは電気設備全体の設計・施工と品質管理を、地域の専門工事業者は現場での配線・据付といった実作業を担うのが典型です。電気工事業には全国に小規模な専門工事業者が広く分散しており(建設業許可の電気工事業で約6.5万社、令和7年)、従業者数人規模の事業者が数多く存在する背景には、この重層下請のなかで下位の工事を担う裾野の広さがあります。

サブコンの二面性 — 元請でも下請でも担う

サブコンの立ち位置は、一方向ではありません。ゼネコンの下で電気設備を担う下請であると同時に、案件によっては発注者から直接工事を受注する元請にもなる、という二面性を持ちます。たとえば、工場の受変電設備の更新や、データセンターの電気設備、再生可能エネルギー発電設備の系統接続工事(発電した電気を送配電網につなぐ工事)などでは、電気設備が工事の中心となるため、サブコンが元請として直接受注することが少なくありません。

この二面性は、電気工事業の元請・下請比率を読むうえで重要です。完成工事高の元請分には、サブコンが直接受注した工事が含まれ、下請分には、ゼネコンの下で担った工事が含まれます。同じサブコンでも、案件によって元請と下請を使い分けているため、「元請=大手、下請=中小」という単純な対応にはなりません。元請と下請は、企業の規模ではなく、その工事における受注の立場を表しています。

直接受注の広がり — 工場・データセンター・再エネ

近年は、電気工事会社が元請として直接受注する案件が広がる動きもあります。背景にあるのが、電気設備が工事の主役となる案件の増加です。データセンターや半導体工場のように大量の電力を安定供給する必要がある施設、工場の生産設備の電化、再生可能エネルギーの発電設備と系統をつなぐ工事などでは、電気設備の比重が大きく、電気工事の専門性が工事全体を左右します。

こうした案件では、電気工事会社が発注者から直接受注し、みずから工事を取りまとめることが増えています。もっとも、建築工事に付随する電気設備工事はなお下請が中心で、直接受注の広がりが下請中心の構造をすぐに覆すわけではありません。元請比率が2020年度の51.8%から2024年度の48.7%へと低下しているように、全体としては下請の比重がむしろやや高まっており、下請中心の構造と直接受注の広がりが併存しているのが実態です。

電気工事業の元請比率の推移(2020-2024年度、%)

下請が過半。元請比率は51.8%(2020年度)から48.7%(2024年度)へ緩やかに低下
単位: %
0.015.030.045.060.051.82052.12150.42250.32348.724
出典: 国土交通省 建設工事施工統計調査 業種別完成工事高(電気工事業、元請比率、新基準2020-2024年度)
年度20202021202220232024
元請比率%51.8052.1050.4050.3048.70
読み解き

電気工事業の完成工事高に占める元請の比率は、2020年度の51.8%から2024年度の48.7%へと緩やかに低下しています。裏を返せば、下請の比率が過半で推移し、2024年度は51.3%まで高まりました。電気工事業がゼネコンの下で担う下請工事に厚みを持つ、下請中心の構造であることが読み取れます。

このグラフは、電気工事を主たる業種とする業者の完成工事高のうち、自ら発注者から直接受注した元請分の割合を示したものです。完成工事高そのものの規模(元請+下請の合計)ではなく、ここでは受注の立場の内訳(元請と下請の比率)の推移を見ています。

なお、元請比率は単年の大型案件の入り方にも左右されます。工場やデータセンターなど電気工事会社が直接受注する大型案件が重なる年は元請比率が上がりやすく、逆にゼネコン主導の建築工事が中心の年は下請比率が高まります。数ポイントの上下より、下請が過半を占めるという構造の特徴を押さえることが、電気工事業の受発注を読むうえでの要点です。

主要論点

なぜ電気工事業は重層下請の構造になるのか?

電気工事の多くは、単独の工事ではなく建築工事の一部として発注されるためです。ビル・工場・商業施設などをつくる際、発注者は総合建設業(ゼネコン)に建築工事全体を発注し、ゼネコンが元請として工事を取りまとめます。その建物に必要な電気設備の部分を、ゼネコンが電気工事の専門工事業者に下請として発注する、という分業が定着しています。

電気設備は専門性が高く、受変電・配線・照明・動力など建物のあらゆる部分に関わります。このため、ゼネコンが自社で施工するのではなく、電気工事を専門とする業者に任せる方が効率的です。専門大手のサブコンが一次下請として電気設備全体を引き受け、規模の大きい案件ではさらに地域の専門工事業者に個別の工事を発注する、という重層的な流れが生まれます。

この分業構造の結果として、2024年度の完成工事高の51.3%が下請となっています。建設業許可の電気工事業で約6.5万社(令和7年)にのぼる許可業者が広く分散し、小規模な事業者が数多く存在する電気工事業の裾野の広さも、この重層下請のなかで下位の工事を担う業者の多さを反映しています。

「元請」と「下請」は企業の規模で決まるのか?

いいえ、元請と下請はその工事における受注の立場であって、企業の規模で固定されるものではありません。大手のサブコンでも、ゼネコンの下で電気設備を担うときは下請となり、工場やデータセンターなどを発注者から直接受注するときは元請となります。同じ会社が、案件によって元請と下請を使い分けています。

このため、完成工事高の元請分には、サブコンが直接受注した大型案件などが含まれ、下請分には、ゼネコンの下で担った建築付随の電気設備工事が含まれます。「元請=大手、下請=中小」という単純な対応ではなく、大手・中小それぞれが元請と下請の両方を手がけているのが実態です。

したがって、元請比率を読むときは、企業規模の分布ではなく、その業界がどれだけ直接受注とゼネコン下請に分かれているかという構造の指標として捉えるのが適切です。電気工事業は下請が過半で、建築工事に付随する電気設備工事の比重が高いことを、元請比率は示しています。

なぜ元請比率は低下しているのか?

元請比率は、2020年度の51.8%から2024年度の48.7%へと緩やかに低下しています。裏を返せば、下請の比率が過半で推移し、2024年度は51.3%まで高まりました。全体としては、ゼネコンの下で担う下請工事の比重がやや増していることを示しています。

一方で、工場・データセンター・再生可能エネルギー設備など、電気工事会社が元請として直接受注する案件も広がっています。つまり、下請中心の構造が続くなかで、直接受注の動きも並行して進んでいる、というのが実態です。元請比率は単年の大型案件の入り方にも左右されるため、数ポイントの上下だけで傾向を断定することはできません。

重要なのは、水準の小さな変動よりも、下請が過半という構造の特徴が続いている点です。電気工事業は、ゼネコンの下で建築付随の電気設備を担う下請の厚みと、電気設備が主役となる案件での直接受注が併存する構造にあり、その比率が緩やかに動いていると読むのが実態に近いといえます。

中期見通し

近未来1-2年

下請が過半の構造は当面続く見通しです。建築工事に付随する電気設備工事はなおゼネコンの下請が中心で、元請比率は単年の大型案件の進捗で数ポイント動く程度と見られます。一方、データセンターや再生可能エネルギー関連など、電気工事会社が直接受注する案件は増えており、元請分を下支えする要因となります。

中期3-5年

中期では、電気設備が主役となる案件の増加が、受発注の構造に影響します。データセンター・半導体工場・再エネ設備などで電気工事会社が元請として直接受注する動きが広がれば、元請比率の下支えとなります。同時に、担い手不足を背景に、重層下請の下位を担う中小の確保が、施工体制を維持できるかの課題となります。

長期5-10年

長期では、電化・脱炭素に伴う電気工事の需要拡大と、重層下請を支える担い手の確保の綱引きが構造を左右します。電気設備の比重が高まるほど直接受注の余地は広がる一方、下位の工事を担う地域の専門工事業者の減少が進めば、施工体制の維持が難しくなります。重層下請の裾野をどう保つかが、業界全体の課題となります。

よくある質問

電気工事業の元請と下請の比率はどれくらいですか?
国土交通省の建設工事施工統計調査によると、2024年度の電気工事業の完成工事高は元請48.7%・下請51.3%で、下請が過半を占めます。金額では元請約5兆8,214億円・下請約6兆1,409億円です。ビルや工場の建築工事をゼネコンが元請として受注し、その電気設備部分を専門工事業者が下請として担う分業が定着しているためです。
重層下請とは何ですか?
重層下請とは、発注者から元請、下請、さらにその下の下請へと、工事が段階的に発注されていく仕組みです。電気工事業では、発注者からゼネコン(元請)、サブコン(一次下請)、地域の専門工事業者(二次下請以下)へと連なります。ゼネコンが建築工事全体を取りまとめ、専門性の高い電気設備を電気工事の専門業者に任せる分業から生まれる構造です。
サブコンは元請ですか、下請ですか?
サブコン(電気設備工事の専門大手)は、案件によって元請にも下請にもなります。ビルなどの建築工事ではゼネコンの下請として電気設備を担い、工場・データセンター・再生可能エネルギー設備などでは発注者から直接受注する元請となることがあります。元請と下請は企業の規模ではなく、その工事における受注の立場を表しています。
元請比率は上がっていますか、下がっていますか?
元請比率は緩やかに低下しています。2020年度の約51.8%から2024年度の約48.7%へと下がり、下請の比率が過半で推移しています。ゼネコンの下で担う下請工事の比重がやや高まっている一方、電気工事会社が直接受注する大型案件も増えており、下請中心の構造と直接受注の広がりが併存しています。ただし元請比率は単年の大型案件の入り方にも左右されます。
なぜ電気工事は下請が多いのですか?
電気工事の多くが、建築工事の一部として発注されるためです。ビルや工場をつくる際、ゼネコンが建築工事全体を元請として受注し、その電気設備部分を電気工事の専門工事業者に下請として発注する形が一般的です。電気設備は専門性が高く建物のあらゆる部分に関わるため、ゼネコンが専門業者に任せる分業が定着しており、結果として下請が過半を占めます。

参考資料 / 一次ソース

  1. 1.
    国土交通省 建設工事施工統計調査(令和6年度実績)
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