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電気工事業界の市場規模|完成工事高の推移と設備工事のなかの位置【2026年版】

電気工事業の2024年度の完成工事高は約11兆9,623億円で、前年度比9.2%減でした(国土交通省 建設工事施工統計調査)。これは、電気工事を請け負った業者側の売上(元請+下請)を集計した供給側の数値で、発注者が支払う建設投資(需要側)とは集計の立場が異なります。新しい集計方法(2020年度以降)では11兆7,040億〜13兆1,797億円のレンジで推移し、2023年度に直近のピークに達した後、2024年度はその反動で減少しました。電気工事業は、管工事や機械器具設置工事などと並ぶ設備工事業のなかで最大の分野です。完成工事高の推移と、設備工事業のなかでの位置づけを整理します。

完成工事高(2024年度)
11兆9,623億円
供給側(元請+下請)の業者売上ベース。設備工事業で最大の分野
出典: 国交省 建設工事施工統計調査
前年度比(2024年度)
-9.2%
2023年度の直近ピークからの反動減。新基準では11〜13兆円台で推移
出典: 国交省 建設工事施工統計調査
元請比率(2024年度)
48.7%
下請が51.3%と過半。ゼネコンの下で担う下請の比重が高い
出典: 国交省 建設工事施工統計調査
管工事業(2024年度)
10兆3,157億円
電気に次ぐ設備工事業の2番手。電気が設備工事業で最大の分野
出典: 国交省 建設工事施工統計調査

電気工事業の完成工事高の推移(2020-2024年度、元請・下請、兆円)

新しい集計方法での5年間。2023年度の約13兆1,797億円をピークに2024年度は反動減。下請が過半を占める
単位: 兆円
元請下請
0.003.757.5011.315.011.72011.42111.52213.22312.024
出典: 国土交通省 建設工事施工統計調査 業種別完成工事高(電気工事業、新基準2020-2024年度、元請・下請)
年度20202021202220232024
元請兆円6.065.965.806.635.82
下請兆円5.645.485.716.556.14
合計(兆円11.7011.4511.5213.1811.96
前年比-2.2%+0.6%+14.4%-9.2%
読み解き

電気工事業の完成工事高は、電気工事を主たる業種とする業者の元請と下請を合わせた売上(供給側)です。2020年度の約11兆7,040億円から11〜12兆円台で推移し、2023年度は大型案件が重なって前年度比14.4%増の約13兆1,797億円と直近のピークに達しました。2024年度はその反動で前年度比9.2%減の約11兆9,623億円となっています。単年では大型の建築・設備工事の進捗に左右される一方、長期では建物の電化・高機能化を背景に底堅く推移しています。

このグラフは、電気工事業を主たる業種とする業者の完成工事高を、元請(自ら発注者から直接受注)と下請(ゼネコンなどの下で担う)に分けて積み上げたものです。2024年度は元請5兆8,214億円・下請6兆1,409億円で、下請が51.3%と過半を占めます。工事を自ら受注する元請と、ゼネコンなどの下で担う下請の二本立てが、電気工事業の受発注の基本的な形です。

なお、この推移は2020年度以降の新しい集計方法によるものです。それ以前(2019年度以前、電気は約8.90兆円)は集計方法が異なり水準に段差があるため、同じ折れ線でつなぐことはできません。ここでは方法がそろう2020年度以降の5年間で規模の動きを見ています。

設備工事業の完成工事高の内訳(2024年度、8業種、億円)

電気工事業は設備工事業のなかで最大。管工事・機械器具設置工事が続く
項目完成工事高(億円)構成比シェア
電気工事業119,62331.4%
管工事業103,15727.1%
機械器具設置工事業94,54424.8%
電気通信工事業35,0999.2%
熱絶縁工事業17,1234.5%
消防施設工事業5,0421.3%
その他の設備工事業4,1901.1%
さく井工事業1,7030.4%
設備工事業計380,481100.0%
読み解き

設備工事業は、電気・管・機械器具設置・電気通信・熱絶縁・消防施設・さく井・その他の8業種からなります。2024年度の完成工事高は合計で約38兆481億円(38兆円台)で、このうち電気工事業が約11兆9,623億円と最大の分野です。2番手の管工事(約10兆3,157億円)、3番手の機械器具設置工事(約9兆4,544億円)が続きます。

電気が最大となる背景には、建物の電化・高機能化があります。データセンターや半導体工場のように電力を多く使う施設が増え、受変電・配電設備の需要が広がっていることが、設備工事に占める電気の重みを押し上げています。

なお、通信・弱電を扱う電気通信工事業(約3兆5,099億円)は、電力(強電)を扱う電気工事業とは別の業種として区分されます。電話・LAN・通信設備などの施工がこれにあたり、本ページの電気工事業には含みません。四捨五入の関係で、内訳の合計は総額と一致しない場合があります。

主要論点

なぜ2024年度の完成工事高は減少したのか?

電気工事業の2024年度の完成工事高は約11兆9,623億円で、前年度比9.2%減でした。ただしこれは水準が下がったというより、2023年度に大型案件が重なって前年度比14.4%増の約13兆1,797億円まで伸びた反動という側面が強いものです。新しい集計方法での5年間を見ると、完成工事高は11〜13兆円台のレンジで推移しています。

電気工事業の完成工事高は、大型の建築・設備工事の進捗に左右されやすい構造です。工場やデータセンター、再開発ビルなどの大型案件は工期が複数年にわたり、完成のタイミングで売上として計上されます。このため単年では、どの案件が完成期を迎えるかによって金額が上下します。

一方、長期の底流には建物の電化・高機能化があります。電力を多く使う施設の増加や、既存設備の更新需要が、電気工事の裾野を広げています。単年の増減は大型案件の進捗によるもので、需要そのものが縮小しているわけではない点が読み解きの要点です。

完成工事高(供給側)と建設投資(需要側)は何が違うのか?

電気工事業の完成工事高は、電気工事を主たる業種とする業者の売上を集計した数値です。元請として直接受注した工事に加え、ゼネコンなどの下で担う下請工事の売上も含みます。これは工事を「行う側」から見た供給側の集計で、2024年度は元請5兆8,214億円・下請6兆1,409億円の合計約11兆9,623億円でした。

一方、建設投資は、発注者が建設に支出する金額を「発注する側」から見た需要側の集計です。同じ工事でも、供給側(業者売上)と需要側(発注額)では集計の入口が異なり、対象の範囲も一致しません。このため、完成工事高と建設投資を足したり比べたりすることはできません。

さらに、電気工事業の完成工事高は電気工事を主たる業種とする業者を対象とするため、ゼネコンが自社で施工する電気設備部分など、他業種の業者が手がける電気工事は含まれ方が異なります。規模を読む際は、どの立場から集計した数値かを押さえることが重要です。

なぜ電気工事は設備工事業のなかで最大なのか?

2024年度の設備工事業8業種の完成工事高は合計約38兆481億円で、このうち電気工事業が約11兆9,623億円と最大です。2番手の管工事(約10兆3,157億円)、3番手の機械器具設置工事(約9兆4,544億円)を上回ります。

電気が最大となる背景には、あらゆる建物・施設が電気設備を必要とすることに加え、近年の電化・高機能化があります。オフィスビルや商業施設の高度化、データセンターや半導体工場のように大量の電力を安定供給する必要のある施設の増加が、受変電・配電設備の工事需要を押し上げています。

加えて、再生可能エネルギーの系統接続やEV充電設備など、電気工事の対象そのものが広がっています。建物の電化と脱炭素・デジタル化が進むほど、設備工事に占める電気の重みは増す方向にあります。

中期見通し

近未来1-2年

完成工事高は、大型案件の進捗に左右される局面が続きます。2023年度のピークからの反動が一巡した後は、工場・データセンター・再開発などの大型案件の完成期が、単年の金額を動かします。資材価格や労務費の上昇が工事費に転嫁される分、金額ベースでは下支えとなる面もあります。

中期3-5年

中期では、建物の電化・高機能化に加え、データセンターや再生可能エネルギー関連の電気設備が需要を底上げする見通しです。電力を多く使う施設の増加と、既存の受変電・配電設備の更新が重なり、設備工事に占める電気の重みは増す方向にあります。担い手の確保が需要に追いつくかが、供給側の制約となります。

長期5-10年

長期では、高度成長期に整備された電力インフラの更新と、電化・脱炭素に伴う新たな工事需要が底流となります。再生可能エネルギーの系統接続、EV充電インフラ、工場の電化などが電気工事の裾野を広げる一方、有資格者の高齢化と担い手不足が、需要に応える力を左右します。

よくある質問

電気工事業の市場規模はどれくらいですか?
国土交通省の建設工事施工統計調査によると、電気工事業の2024年度の完成工事高は約11兆9,623億円です。これは元請と下請を合わせた業者売上ベース(供給側)の数値で、前年度の約13兆1,797億円から9.2%減でした。新しい集計方法(2020年度以降)では11〜13兆円台で推移しています。
完成工事高の「供給側」とはどういう意味ですか?
完成工事高は、電気工事を主たる業種とする業者の売上を集計した数値で、工事を行う側から見た供給側の集計です。元請として直接受注した工事に加え、ゼネコンなどの下で担う下請工事の売上も含みます。発注者が支出する金額を集計する需要側の建設投資とは、集計の対象や範囲が異なるため、両者を足したり比べたりすることはできません。
なぜ2020年度以降のデータだけで見ているのですか?
建設工事施工統計は2020年度に集計方法が見直され、それ以前とは水準に段差があります。電気工事業では、それ以前(2019年度以前)は約8.90兆円の水準で、新しい集計方法での約12兆円とは方法が異なるため、同じ折れ線でつなぐことができません。このため、方法がそろう2020年度以降の5年間で規模の推移を見ています。
電気工事は設備工事業のなかで最大なのですか?
はい。2024年度の設備工事業8業種の完成工事高は合計約38兆481億円で、このうち電気工事業が約11兆9,623億円と最大です。2番手は管工事業(約10兆3,157億円)、3番手は機械器具設置工事業(約9兆4,544億円)です。建物の電化やデータセンターなど電力を多く使う施設の増加が、電気の比重を高めています。
電気工事業と電気通信工事業はどう違いますか?
電気工事業は、屋内配線・受変電・送配電など主に電力(強電)に関わる設備の施工を担います。一方、電気通信工事業は、電話・LAN・通信設備など通信(弱電)に関わる設備の施工を担う別の業種です。建設工事の業種区分でも両者は分けられており、2024年度の完成工事高は電気工事業が約11兆9,623億円、電気通信工事業が約3兆5,099億円です。

参考資料 / 一次ソース

  1. 1.
    国土交通省 建設工事施工統計調査(令和6年度実績)
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