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電気工事の主要企業(サブコン)|大手の連結業績を比較【2026年版】

電気工事の大手サブコン(電気設備工事の専門大手)の連結(グループ全体)業績を比べると、きんでんが売上7,507億円で最大、関電工が7,420億円で続きます。8社はいずれも2026年3月期に営業増益となりました。多くが各地域の電力会社系で、日本電設工業はJR東日本系(鉄道系)です。ただしこれらの数値は連結全社のもので、電気工事以外やグループ・海外の事業も含み、電気工事市場そのものの規模ではありません。電気工事業の許可業者は約6.5万社にのぼり、大手に集中せず地域の中小・専門工事業者が広く担う分散構造です。

主要サブコンの連結業績と事業構成 (2026年3月期)

各社の連結全社ベース(電気工事以外・グループ・海外含む)。売上順位は全社規模を示し、電気工事事業のみの数値ではない

連結業績では、きんでんが売上7,507億円・営業利益902億円と規模・利益とも最大で、自己資本比率72.4%と財務も健全です。関電工はROE16.8%が8社で最も高く、首都圏の旺盛な需要を取り込んでいます。8社はいずれも営業増益ですが、純利益はユアテック・中電工が特別損失や前期の特別利益の反動で減益となっており、営業段階の伸びと最終利益の増減は必ずしも一致しません。売上高に対する営業利益率で見ても、規模が最大のきんでんが約12.0%である一方、地域を地盤とする中堅では7.2%前後にとどまる社もあり、規模の大きさが必ずしも高い利益率を意味しません。多くが各地域の電力会社系である一方、日本電設工業はJR東日本系で鉄道電気設備に強みを持つなど、出自による色合いの違いもあります。

きんでん
関西電力系
売上高
7,507億円
営業利益
902億円
純利益
694億円
ROE
11.0%
自己資本比率
72.4%
関電工
東京電力系
売上高
7,420億円
営業利益
831億円
純利益
635億円
ROE
16.8%
自己資本比率
61.4%
クラフティア
九州電力系
売上高
4,761億円
営業利益
546億円
純利益
400億円
ROE
12.2%
自己資本比率
66.4%
トーエネック
中部電力系
売上高
2,724億円
営業利益
214億円
純利益
178億円
ROE
12.3%
自己資本比率
49.1%
ユアテック
東北電力系
売上高
2,522億円
営業利益
180億円
純利益
103億円
ROE
6.8%
自己資本比率
67.8%
日本電設工業
JR東日本系(鉄道系)
売上高
2,292億円
営業利益
235億円
純利益
180億円
ROE
8.8%
自己資本比率
64.6%
中電工
中国電力系
売上高
2,278億円
営業利益
261億円
純利益
184億円
ROE
7.9%
自己資本比率
76.9%
四電工
四国電力系
売上高
994億円
営業利益
88億円
純利益
75億円
ROE
11.0%
自己資本比率
68.4%

きんでん — 関西電力系の電気工事最大手

関西電力を筆頭株主とする、電気工事の最大手です。関西を地盤としながら全国に営業網を広げ、配電線工事の取扱高は国内最大級です。屋内配線や受変電設備といった一般の電気工事に加え、送配電、情報通信、空調まで手がける総合設備企業で、事業の幅広さが規模を支えています。

2026年3月期は売上7,507億円・営業利益902億円と8社で最大で、営業利益は前年度から大きく伸びました。自己資本比率72.4%と財務基盤も厚く、データセンターや再生可能エネルギー関連の大型案件を取り込める体力を持ちます。全国規模で大型・広域の電気設備工事を担える点が、地域中心の他社との違いです。

関電工 — 東京電力系、首都圏の需要を取り込む

東京電力を主要株主とし、首都圏を地盤とする大手です。都心の再開発ビルや大規模施設の電気設備工事に強く、旺盛な首都圏の建設需要を業績に取り込んでいます。屋内配線・受変電から送配電、情報通信設備まで幅広く手がけます。

2026年3月期は売上7,420億円とサブコンで2番手、ROEは16.8%と8社で最も高い水準です。首都圏に集中するデータセンターやオフィスの電力需要が、受変電・配電設備の工事を押し上げています。地盤とする市場の需要の強さが、高い資本効率につながっています。

クラフティア — 九州電力系、社名変更と多角化

九州電力系の大手で、2025年10月に「九電工」から「クラフティア」へ商号を変更しました。1989年以来36年ぶりの社名変更で、持株会社化ではなく事業会社としての商号変更です。電気工事を主軸としつつ、空調・情報通信・都市開発などへ事業領域を広げてきたことが、社名変更の背景にあります。

2026年3月期は売上4,761億円・営業利益546億円で、営業増益を確保しました。九州を地盤としながら全国・海外にも展開し、電気工事に空調・情報通信を組み合わせた総合設備企業として、電力会社系サブコンの中でも多角化が進んだ一社です。

トーエネック — 中部電力系、中部を地盤に

中部電力を主要株主とし、中部地方を地盤とする大手です。配電線工事や屋内配線、情報通信設備を中心に、地域の電力インフラと建物の電気設備を支えています。中部圏の製造業の設備投資や再開発が需要の柱です。

2026年3月期は売上2,724億円・営業利益214億円と営業増益で、営業利益率も改善しました。自己資本比率は49.1%と8社の中では低めですが、これは事業拡大に向けた投資を進めている面もあります。中部圏の電力・産業需要を安定して取り込む地域中核のサブコンです。

ユアテック — 東北電力系、東北を地盤に

東北電力系の大手で、東北地方を地盤とします。配電・屋内配線から空調・情報通信まで手がけ、東北の電力インフラと建物設備を担う地域の中核企業です。

2026年3月期は売上2,522億円で、営業利益は180億円と増益でした。一方、純利益は特別損失の計上で減益となっており、営業段階の改善と最終利益が一致しない年もあります。自己資本比率67.8%と財務は健全で、東北の再エネ関連やインフラ更新の需要が中期の柱となります。

日本電設工業 — JR東日本系、鉄道電気設備に強み

電力会社系が多いサブコンの中で、JR東日本を主要株主とする鉄道系という異なる出自を持つ大手です。信号・電車線・駅設備といった鉄道の電気設備工事に強みを持ち、一般の建築電気設備と合わせて事業を展開しています。

2026年3月期は売上2,292億円・営業利益235億円と営業増益で、純利益も伸びました。鉄道インフラの更新・保守という安定した需要基盤を持つ点が、電力会社系サブコンとは異なる強みです。鉄道の安全に直結する電気設備の専門性が、参入障壁にもなっています。

中電工 — 中国電力系、高い自己資本比率

中国電力系の大手で、中国地方を地盤とします。配電・屋内配線・情報通信設備を中心に、地域の電力インフラと建物設備を支えています。

2026年3月期は売上2,278億円・営業利益261億円と営業増益でした。純利益は前期の特別利益の反動でやや減りましたが、自己資本比率は76.9%と8社で最も高く、財務は保守的で堅実です。厚い自己資本を背景に、地域のインフラ更新や成長分野への投資余力を持ちます。

四電工 — 四国電力系、地域中核の専門大手

四国電力系の大手で、四国を地盤とします。8社の中では売上規模が最も小さいものの、四国地域の電力インフラと建物の電気設備を担う中核企業です。配電・屋内配線・情報通信を手がけます。

2026年3月期は前期の大型工事の反動で減収となりましたが、工事採算の管理により営業利益88億円と営業増益、純利益も伸びました。売上994億円と規模は限られますが、ROE11.0%・自己資本比率68.4%と収益性・財務の健全性を確保しています。地域に密着した専門工事で安定した需要を取り込んでいます。

主要論点

なぜ大手サブコンの多くが電力会社系なのか?

電気工事の大手サブコン8社のうち、日本電設工業(JR東日本系)を除く7社は、各地域の電力会社系です。きんでんは関西電力、関電工は東京電力、中電工は中国電力といったように、それぞれの地域を管轄する電力会社を系列にしています。これは、電気工事という事業が電力インフラと密接に結びついてきた歴史によるものです。

電力会社は、送配電網の建設・保守や、地域の電気設備工事を担う専門会社をグループ内に持ってきました。これらが電気工事の専門大手として成長し、電力インフラ工事で培った技術と信用を土台に、一般の建築電気設備や情報通信、空調へと事業を広げてきました。地域の電力会社を後ろ盾に、その管轄エリアで安定した工事需要を取り込める点が強みです。

一方で、日本電設工業のようにJR東日本を主要株主とする鉄道系や、かつては独立系の大手も存在し、出自は一様ではありません。電力会社系という共通項はあるものの、各社は地盤とする地域と得意分野で棲み分けており、「電力会社系か独立系か」という二分だけでは業界の姿は捉えられません。

各社の連結業績を電気工事市場の規模とみなせるか?

結論から言えば、みなせません。本ページの各社の数値は連結全社のもので、電気工事以外の事業(空調・情報通信・都市開発など)や、グループ会社・海外の売上も含みます。例えばクラフティアは電気工事に空調・情報通信を組み合わせた総合設備企業で、社名変更もその多角化を反映したものです。

また、8社の売上を単純に足しても、電気工事業の市場規模(完成工事高、2024年度で約12兆円)とは一致しません。完成工事高は電気工事を主たる業種とする業者の売上を集計した供給側の数値で、集計の対象が異なります。大手サブコンの連結売上を完成工事高で割って「大手が市場の何割を占める」といった計算をすると、基準の異なる数値を混同することになります。

電気工事業の実態は、少数の大手による寡占ではなく、約6.5万社の許可業者が広く担う分散構造です。大手サブコンは全国・広域の大型案件で存在感を持つ一方、地域の中小・専門工事業者がゼネコンの下で電気設備を担い、業界の裾野を支えています。規模を読む際は、連結業績・完成工事高・業者数という異なる物差しを区別することが重要です。

成長領域と担い手をめぐる各社の課題は何か?

各社に共通する成長領域は、データセンター・再生可能エネルギー・電化に伴う電気設備工事です。首都圏や地方に建設が相次ぐデータセンターは、大量の電力を安定供給する受変電・配電設備を必要とし、関電工やきんでんなどが取り込んでいます。再生可能エネルギーの系統接続や、建物・工場の電化も新たな工事需要を生んでいます。

2026年3月期に8社が営業増益となった背景には、こうした旺盛な需要と工事採算の改善があります。各社とも自己資本比率が高く財務に余力があるため、成長分野への投資や、需要増に応える体制の整備を進めやすい状況です。ただし、純利益はユアテックや中電工のように特別損益で変動する年もあり、最終利益だけで各社の実力を測ることはできません。

共通の制約は、担い手の確保です。電気工事は有資格者でなければ施工・管理ができず、有資格者の高齢化が進んでいます。需要が広がる一方で人手が限られるため、施工管理のデジタル化や省人化、若手の育成が各社共通の課題です。需要の取り込みと担い手の確保をどう両立するかが、中期の競争力を左右します。

中期見通し

近未来1-2年

各社の業績は、データセンターや再開発などの大型案件の取り込みが牽引する局面が続きます。首都圏や地方でのデータセンター建設、再生可能エネルギーの系統接続工事が、受変電・配電設備の需要を支えます。資材価格や労務費の上昇分を工事費に反映できるかも、採算を左右します。

中期3-5年

中期では、電化・脱炭素・デジタル化に伴う電気設備需要の広がりが各社の成長基盤となります。厚い自己資本を持つ大手は、成長分野への投資や省人化(施工管理のデジタル化)を進めやすい立場にあります。地域を地盤とする各社が、広域の大型案件をどこまで取り込めるかが差につながります。

長期5-10年

長期では、電力インフラの更新と担い手の確保が共通の論点です。高度成長期の送配電設備の更新需要が底流にある一方、有資格者の高齢化と人手不足が供給の制約となります。技能の継承と省人化への投資、需要拡大への対応を両立できるかが、各社の持続的な競争力を決めます。

よくある質問

電気工事の大手企業(サブコン)はどこですか?
電気工事の大手サブコンは、きんでん(売上7,507億円)・関電工(7,420億円)・クラフティア(旧九電工、4,761億円)・トーエネック(2,724億円)・ユアテック(2,522億円)・日本電設工業(2,292億円)・中電工(2,278億円)・四電工(994億円)などです(いずれも2026年3月期の連結売上)。多くが各地域の電力会社系で、日本電設工業はJR東日本系(鉄道系)です。
いちばん大きい電気工事会社はどこですか?
連結売上では、きんでんが7,507億円で最大です。営業利益も902億円と8社で最も大きく、自己資本比率も72.4%と財務が健全です。関西電力を筆頭株主とし、配電工事の取扱高は国内最大級で、全国規模で大型の電気設備工事を手がけています。
各社の売上を足すと電気工事の市場規模になりますか?
なりません。各社の数値は連結全社のもので、電気工事以外(空調・情報通信など)やグループ・海外の事業を含みます。また、8社の売上を足しても、電気工事業を主たる業種とする業者の売上を集計した完成工事高(2024年度で約12兆円)とは集計の対象が異なり一致しません。電気工事業は約6.5万社の許可業者が広く担う分散構造で、少数の大手による寡占ではありません。
大手サブコンはなぜ電力会社系が多いのですか?
電気工事が電力インフラと密接に結びついて発展してきたためです。各地域の電力会社は、送配電網の建設・保守や地域の電気設備工事を担う専門会社をグループに持ち、それらが電気工事の大手サブコンへと成長しました。きんでんは関西電力、関電工は東京電力、トーエネックは中部電力といった系列です。ただし日本電設工業はJR東日本系(鉄道系)で、出自は電力会社系だけではありません。
2026年3月期の各社の業績はどうでしたか?
8社はいずれも営業増益でした。データセンターや再開発などの旺盛な建設・設備投資を背景に、工事採算が改善したためです。きんでん・関電工が営業利益で先行し、関電工はROE16.8%と資本効率が高くなっています。一方、純利益はユアテックや中電工が特別損失や前期の特別利益の反動で減益となるなど、営業段階の伸びと最終利益は必ずしも一致しません。

参考資料 / 一次ソース

  1. 1.
    各社2026年3月期 決算短信(連結)
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