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電気工事業界の市場規模・主要企業・動向

電気工事業界は完成工事高約12兆円規模で、全国6.5万社の許可業者が支える分散構造です。下請が過半を占め、再エネ・データセンター・電化が新たな需要を牽引しています。

電気工事業とは、ビル・工場・住宅の屋内配線から受変電・送配電設備、再生可能エネルギーの系統接続までを担う、設備工事の最大分野です。2024年度の完成工事高は約11兆9,623億円(業者売上ベース、元請+下請)で、下請が51.3%と過半を占めます。きんでん・関電工などの大手サブコン(電気設備工事の専門大手)を含め全国約6.5万社の許可業者が連なる分散構造で、再生可能エネルギー・データセンター・電化が新たな需要を牽引します。本ページでは、電気工事業界を、市場規模、主要企業、業界構造、元請・下請構造、需要構造、資格制度の軸で整理します。

最終更新

業界サマリ

業界概要

電気工事業とは、屋内配線・受変電設備・送配電・再エネ系統接続などの電気設備の施工を担う、設備工事の最大分野です。完成工事高は約11兆9,623億円(2024年度、業者売上ベース)で、全国約6.5万社の許可業者が支えます。ゼネコンの下で担う下請が過半を占める重層構造が特徴です。

  • 電気工事業は、屋内配線・受変電設備・送配電・再エネ系統接続などの電気設備の施工を担う設備工事の最大分野です。完成工事高は約11兆9,623億円(2024年度)で、2番手の管工事(約10.3兆円)を上回ります。
  • 下請が51.3%と過半を占めます。ゼネコンが受注した建築・土木工事の電気設備部分を専門工事業として下請で担う構造で、元請と下請の二本立てになっています。
  • 許可業者は約6.5万社で、特定の企業に集中せず、地域の中小・専門工事業者が広く支える分散型の業界です。大手サブコン5社でも合計売上は約2.5兆円(連結ベース)にとどまります。
基礎データ: 国交省 建設工事施工統計調査(業種別完成工事高・元請下請) / 国交省 建設業許可業者数調査(令和7年3月末) / 主要サブコン各社 決算

市場動向

電気工事の需要は、建物の電化・高機能化に加え、再生可能エネルギーの系統接続工事・データセンターの電気設備・EV充電インフラ・電力インフラの更新といった脱炭素・デジタル関連が押し上げています。完成工事高は新基準で11〜13兆円台で推移し、2024年度は大型案件の反動で前年度比9.2%減となりました。

  • 再エネ・データセンター・電化が新たな需要の柱です。再生可能エネルギーの系統接続工事、データセンター内の電気設備、EV充電設備など、電気工事の対象が広がっています。
  • 電力インフラの更新も底流にあります。高度成長期に整備された送配電設備の老朽化更新が、安定した工事需要を生んでいます。
  • 完成工事高は11〜13兆円台で推移(新基準2020年度以降)しています。2023年度の約13.2兆円から2024年度は約12.0兆円へ、大型案件の反動で減少しました。
基礎データ: 国交省 建設工事施工統計調査 / 資源エネルギー庁 再エネ・系統関連資料 / 各社 中期経営計画・受注公表

競争環境

電気工事業界は、きんでん・関電工・クラフティア(旧九電工)などの大手サブコン(電気設備工事の専門大手)を含め全国約6.5万社の許可業者が連なる分散構造です。大手5社の合計売上は約2.5兆円(連結ベース)ですが、特定の企業に集中せず、地域の専門工事業者が広く担っています。主要サブコンの多くは各地域の電力会社系で、再エネ・データセンターなどの成長領域と担い手の確保が共通の論点です。

  • 主要サブコン5社は、きんでん(売上7,507億円)・関電工(7,420億円)・クラフティア(4,761億円)・トーエネック(2,724億円)・ユアテック(2,522億円)です(2026年3月期)。5社とも営業増益となりました。
  • いずれも各地域の電力会社系です。きんでんは関西電力系で配電工事を全国に展開する最大手、関電工は東京電力系、クラフティアは九州電力系、トーエネックは中部電力系、ユアテックは東北電力系で、ビル設備から送配電まで幅広く手がけます。
  • 競争軸は成長領域と担い手に移っています。再エネ・データセンター・電化の取り込みと、有資格者の確保・省人化が各社共通のテーマです。
基礎データ: きんでん・関電工・クラフティア・トーエネック・ユアテックの2026年3月期決算 / 各社 中期経営計画

市場規模推移

2020-2024 · 元請 + 下請
単位: 兆円
元請下請
0.003.757.5011.315.011.72011.42111.52213.22312.024
出典: 国土交通省 建設工事施工統計調査 業種別完成工事高(電気工事業、新基準2020-2024年度) / 元請・下請完成工事高
年度20202021202220232024
元請兆円6.065.965.806.635.82
下請兆円5.645.485.716.556.14
合計(兆円11.7011.4511.5213.1811.96
前年比-2.2%+0.6%+14.4%-9.2%
市場規模の読み解き
市場規模と推移

2024年度の電気工事業の完成工事高は約11兆9,623億円(前年度比9.2%減)でした。これは建設業のうち主たる業種が電気工事の業者の売上を集計した供給側(元請+下請)の数値で、需要側から見た建設投資とは別の集計です。

新基準(2020年度以降)では11〜13兆円台で推移しています。2023年度は大型案件が重なって約13兆1,797億円と直近のピークに達し、2024年度はその反動で減少しました。長期では建物の電化・高機能化を背景に底堅く推移していますが、単年では大型案件の進捗に左右されます。

⇒電気工事の市場規模(完成工事高)を詳しく見る

元請と下請の構造

電気工事は下請の比重が高いのが特徴です。2024年度は元請48.7%・下請51.3%で、下請が過半を占めます。これは、ゼネコンが受注した建築・土木工事の電気設備部分を、電気工事の専門工事業として下請で担うケースが多いためです。

元請比率は2020年度の51.8%から緩やかに低下しており、近年は下請側がやや増えています。元請として直接受注する工事と、ゼネコンの下で担う下請工事の二本立てが、電気工事業の受発注構造を形づくっています。

⇒元請・下請構造と重層下請を詳しく見る

設備工事のなかの位置

電気工事業は、設備工事業(電気・管・電気通信など)のなかで最大の分野です。2024年度は電気の約11兆9,623億円に対し、管工事が約10兆3,157億円、機械器具設置工事が約9兆4,544億円、電気通信工事が約3兆5,099億円と続きます。

建物の電化や高機能化、データセンターや半導体工場といった電力を多く使う施設の増加により、設備工事全体に占める電気の重みは増す方向です。なお、通信・弱電を扱う電気通信工事業は別の業種として区分されます。

⇒設備工事の内訳(8業種)を詳しく見る

主要トピック

業界構造

主要プレイヤー / サプライヤー / 流通 / 需要
電気工事業界の構造
主要プレイヤー (2026年6月時点)
01
電気機器・資材
Upstream
主要な電気機器・資材
電線・ケーブル
住友電気工業・古河電気工業・フジクラ 等
受変電・配電盤
日立製作所・三菱電機・東芝・明電舎 等
照明・配線器具
パナソニック・遠藤照明・オーデリック 等
太陽光・蓄電・パワコン
再エネ設備の機器メーカー(別業界、系統接続工事の対象)
EV充電器
充電インフラの機器(設置工事の対象)
03
地域・専門電気工事業者
電気工事業 許可業者 全国 6.5 万社
裾野(建設業許可・電気工事業 65,497社、令和7年3月末)
中小・地域の電気工事業者
大手5社を除く大半 — ビル・住宅・店舗の屋内配線、保守
専門工事業者(下請)
ゼネコン・サブコンの下で電気設備部分を施工
登録電気工事業者
電気工事業法に基づく登録、主任電気工事士を配置
04
発注者・需要側
Demand Side
元請(ゼネコン経由の下請発注)
ゼネコン(総合建設会社)
建築・土木を一括受注し、電気設備部分を下請発注
サブコン自身の元請受注
工場・データセンター・再エネ設備などを直接受注
施主・需要(直接/間接の発注源)
工場・データセンター・半導体
受変電・配電設備を必要とする電力多消費施設
再生可能エネルギー
太陽光・風力の系統接続工事、受変電設備
商業施設・オフィス・住宅
屋内配線・照明・空調電源・EV充電設備
公共・電力インフラ
送配電設備の更新、公共施設の電気設備
業界構造の読み解き
分散構造

電気工事業は、建設業許可で電気工事業の許可を持つ業者が6万5,497社(令和7年3月末)に達する、裾野の広い分散構造です。きんでん・関電工・クラフティア(旧九電工)などの大手サブコン5社の売上の合計は約2.5兆円(連結ベース、電気工事以外やグループ・海外を含む)ですが、特定の企業に集中せず、地域の中小・専門の電気工事業者が広く担っています。

許可業者数は建設業全体が伸び悩むなかでも増え続けており、平成12年比で21.9%増です。電化や再生可能エネルギーなど、電気をつなぐ工事の裾野が広がっていることが背景にあります。

⇒電気工事業の分散構造を詳しく見る

重層下請とサブコン

受発注は、ゼネコン(元請)・サブコン(電気設備の専門大手)・地域の専門工事業者が連なる重層的な下請でつながっています。完成工事高で見ると、2024年度は元請48.7%・下請51.3%と下請が過半を占めます。

中核となるサブコンは、いずれも各地域の電力会社系で、きんでんは関西電力系の最大手、関電工は東京電力系、クラフティアは九州電力系、トーエネックは中部電力系、ユアテックは東北電力系です。いずれもビルの屋内配線から受変電設備、送配電、再エネの系統接続まで幅広く手がけ、自ら元請として直接受注する工事と、ゼネコンの下で担う下請工事の両方を担っています。

⇒元請・下請構造と重層下請を詳しく見る

資格と担い手

電気工事は、電気工事士や電気主任技術者といった有資格者でなければ施工・管理ができない規制業種です。電気工事業を営むには、電気工事業法に基づく登録(登録電気工事業者)と、営業所ごとの主任電気工事士の配置が求められます。

安全に直結するため資格制度が施工の前提となる一方、有資格者の高齢化が進んでおり、担い手の確保と技能の継承が業界共通の課題です。再生可能エネルギー設備や高圧受電設備の増加で必要な有資格者は増える方向にあり、省人化やスマート保安の取り組みも進んでいます。

⇒資格・制度と担い手を詳しく見る

業界の3大論点

01

なぜ電気工事は下請の比率が高いのか?

電気工事業の完成工事高は、2024年度で元請48.7%・下請51.3%と、下請が過半を占めます。元請比率は2020年度の51.8%から緩やかに低下しており、下請の比重がやや増えています。電気工事業は完成工事高(元請+下請)で見ると約12兆円規模で、その半分強がゼネコンなどの下で担う下請工事です。

背景には、電気設備工事の位置づけがあります。ビルや工場、商業施設などの建築工事は、ゼネコンが元請として一括で受注し、そのなかの電気設備部分を電気工事の専門工事業者が下請として施工する形が一般的です。サブコンと呼ばれる電気設備工事の大手も、自ら元請として直接受注する工事と、ゼネコンの下で担う下請工事の両方を手がけています。

受発注の構造は、ゼネコン(元請)からサブコン(電気設備の専門大手)、地域の専門工事業者へと連なる重層的な下請でつながっています。一方で、工場やデータセンター、再生可能エネルギーの設備工事などでは、電気工事会社が元請として直接受注するケースも増えています。元請と下請の二本立てが、電気工事業の受発注構造の特徴です。

02

電気工事の需要を脱炭素・デジタルがどう変えるか?

電気工事の需要は、建物の電化と高機能化を底流に、脱炭素・デジタル関連の新しい工事が押し上げています。柱となるのが、再生可能エネルギーの系統接続工事、データセンター内の電気設備工事、EV充電インフラの整備、そして高度成長期に整備された送配電設備の老朽化更新です。

再生可能エネルギーでは、太陽光や風力の発電設備を電力系統につなぐ連系工事や受変電設備の工事が電気工事会社の領域です。データセンターや半導体工場は、大量の電力を安定して供給するための受変電・配電設備を必要とし、電気工事の需要を生んでいます。EV充電設備の設置や、工場・建物の電化(脱炭素に向けた燃料転換)も、新たな工事需要につながっています。

これらは、発電設備そのものの市場や、太陽光パネル・風力発電機・蓄電池といった機器メーカーの市場とは区別されます。電気工事業が担うのは、あくまでそれらを建物や系統につなぎ込む施工の部分です。脱炭素とデジタル化が進むほど、電気をつなぐ工事の役割は広がる方向にあります。

03

担い手不足のなかで電気工事業はどう生産性を上げるか?

電気工事は、電気工事士(第一種・第二種)や電気主任技術者といった有資格者でなければ施工・管理ができない規制業種です。安全に直結するため、資格制度が施工の前提になっています。一方で、有資格者の高齢化が進んでおり、担い手の確保と技能の継承が業界共通の中長期課題となっています。

論点は3つに整理できます。第一に、資格者の確保です。電気工事士の養成や、電気主任技術者の確保が、再生可能エネルギー設備や高圧受電設備の増加に追いつくかが問われています。第二に、省人化と効率化です。施工管理のデジタル化や、点検・保安業務の遠隔化(スマート保安)などで、限られた人員で需要に対応する取り組みが進んでいます。第三に、若手の入職促進で、処遇改善や働き方の見直しが課題です。

電気工事の需要は再エネ・データセンター・電化で広がる方向にある一方、担い手は限られています。需要の拡大と人手の制約をどう両立するかが、業界の生産性をめぐる中心的なテーマです。

よくある質問 (FAQ)

電気工事業界の市場規模はどれくらいですか?
電気工事業の2024年度の完成工事高は約11兆9,623億円です(国土交通省 建設工事施工統計調査、業者売上ベース、元請+下請)。前年度の約13兆1,797億円から9.2%減で、新基準(2020年度以降)では11〜13兆円台で推移しています。これは建設業のうち主たる業種が電気工事の業者の売上を集計した供給側の数値で、需要側から見た建設投資とは別の集計です。
電気工事はなぜ下請の比率が高いのですか?
電気工事業の完成工事高は、2024年度で元請48.7%・下請51.3%と下請が過半を占めます。これは、ゼネコンが受注した建築・土木工事の電気設備部分を、電気工事の専門工事業として下請で担うケースが多いためです。ゼネコン(元請)からサブコン(電気設備の専門大手)、地域の専門工事業者へと連なる重層的な下請構造でつながっています。一方、工場やデータセンター、再エネ設備などでは電気工事会社が元請として直接受注する例も増えています。
電気工事の大手企業(サブコン)はどこですか?
電気工事の大手は、きんでん(売上7,507億円)・関電工(7,420億円)・クラフティア(4,761億円)・トーエネック(2,724億円)・ユアテック(2,522億円)の5社です(いずれも2026年3月期)。いずれも各地域の電力会社系で、きんでんは関西電力系の最大手、関電工は東京電力系、クラフティアは九州電力系、トーエネックは中部電力系、ユアテックは東北電力系です。5社の合計売上は約2.5兆円(連結ベース、電気工事以外も含む)ですが、電気工事業の許可業者は約6.5万社にのぼり、特定の企業に集中せず地域の中小・専門工事業者が広く担う分散構造です。
九電工はクラフティアに社名が変わったのですか?
はい。九電工は2025年10月1日に商号を「株式会社クラフティア(KRAFTIA)」へ変更しました。1989年以来36年ぶりの社名変更で、持株会社化ではなく事業会社としての商号変更です。九州電力グループの電気設備工事会社という事業内容や、東京証券取引所への上場は変わっていません。
電気工事業の会社数はどれくらいですか?
建設業許可のうち電気工事業の許可業者数は、令和7年3月末時点で6万5,497社です(国土交通省 建設業許可業者数調査)。平成12年比で21.9%増と増え続けています。大手サブコン5社が知られていますが、特定の企業に集中せず、地域の中小・専門工事業者が広く支える分散構造です。なお、これは建設業許可の数値で、電気工事業法に基づく登録電気工事業者とは別の制度です。
電気工事に必要な資格は何ですか?
電気工事には、工事の規模や種類に応じて電気工事士(第一種・第二種)などの資格が必要です。第二種は一般住宅や小規模店舗の電気工事、第一種はより大規模な設備の工事を扱えます。また、高圧で受電する事業用設備の保安監督には電気主任技術者が必要です。電気工事業を営むには、電気工事業法に基づく登録(登録電気工事業者)と、営業所ごとの主任電気工事士の配置が求められます。
電気工事の需要は今後どうなりますか?
電気工事の需要は、建物の電化・高機能化に加え、脱炭素・デジタル関連が押し上げる見通しです。具体的には、再生可能エネルギーの系統接続工事、データセンター内の電気設備工事、EV充電インフラの整備、高度成長期に整備された送配電設備の老朽化更新などです。これらは発電設備や機器メーカーの市場とは区別され、電気工事業が担うのはそれらを建物や系統につなぎ込む施工の部分です。
電気工事業と電気通信工事業はどう違いますか?
電気工事業は、屋内配線・受変電・送配電など主に電力(強電)に関わる設備の施工を担います。一方、電気通信工事業は、電話・LAN・通信設備など通信(弱電)に関わる設備の施工を担う別の業種です。建設工事の業種区分でも両者は分けられており、2024年度の完成工事高は電気工事業が約11兆9,623億円、電気通信工事業が約3兆5,099億円です。

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