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設備工事業の市場規模|完成工事高の推移と業種別の内訳【2026年版】

設備工事業の完成工事高(各社が施工した工事の請負金額)は令和6年度に38兆481億円で、前年度比2.3%増でした(国土交通省 建設工事施工統計)。これは業者が国内で手がけた設備工事の施工規模を示し、うち発注者から直接請け負った元請が19兆6,562億円(元請比率51.7%)です。電気工事・電気通信工事を除く管工事・機械器具設置工事などが本ページで扱う範囲で、規模は約22兆5,759億円。管工事10兆3,157億円、機械器具設置工事(生産設備・プラント設備の据付など)9兆4,544億円がその中心です。令和2年度からの推移と業種別の内訳を整理します。

完成工事高(令和6年度)
38兆481億円2.3% YoY
設備工事業計(電気・電気通信を含む)。前年度比2.3%増
出典: 国交省 建設工事施工統計 第2表
元請比率(令和6年度)
51.7%
発注者から直接請け負った割合。元請19兆6,562億円、残りはゼネコン等の下請として施工した分
出典: 国交省 建設工事施工統計 第2表
管工事(令和6年度)
10兆3,157億円2.8% YoY
設備工事の二大業種の一つ。前年度比2.8%増
出典: 国交省 建設工事施工統計 第2表
機械器具設置工事(令和6年度)
9兆4,544億円11.5% YoY
プラント設備の据付等を含む。前年度比11.5%増
出典: 国交省 建設工事施工統計 第2表

設備工事業の完成工事高の推移(2020-2024年度、元請・下請、兆円)

令和2年度の32兆1,140億円から、令和5・6年度に伸びて38兆481億円へ。半導体・データセンター投資が押し上げ
単位: 兆円
元請完成工事高下請完成工事高
0.0010.020.030.040.032.12032.72132.52237.22338.024
出典: 国土交通省 建設工事施工統計調査報告 第2表 業種別完成工事高(令和6年度実績。令和2・3年度は過去にさかのぼって再集計した数値、令和4-6年度は各年度の実績。いずれも2020年度の集計方法見直し後の基準)
年度20202021202220232024
元請完成工事高兆円16.8417.2916.8319.3619.66
下請完成工事高兆円15.2815.4615.6517.8318.39
合計(兆円32.1132.7532.4837.1938.05
前年比+2.0%-0.8%+14.5%+2.3%
読み解き

設備工事業の完成工事高は、発注者から直接請け負った元請と、他社の下請として施工した下請を合わせた、業者側から見た施工規模です。令和2年度の32兆1,140億円から令和4年度の32兆4,824億円まではほぼ横ばいでしたが、令和5年度に大きく伸び(前年度比+14.5%)、令和6年度は伸びが緩やかになりつつ38兆481億円(同+2.3%)と令和2年度以降で最も高い水準となりました。元請と下請の比率はおおむね半々で、令和6年度の元請比率は51.7%です。

伸びの背景には、半導体工場やデータセンターの建設、都市再開発などの旺盛な設備投資があります。これらの施設は高度な空調・電源・配管設備を必要とし、設備工事の需要を押し上げています。金額には資材費や労務費の上昇も反映されており、令和5年度の大きな伸びにはこうした単価上昇も含まれます。なお、令和元年度(2019年度)以前は集計方法が異なり本系列と接続できないため、令和2年度以降の推移で示しています。

設備工事業の業種別完成工事高(令和6年度、億円)

設備工事業計38兆481億円の内訳(8業種)。管工事・機械器具設置工事が二大業種
項目完成工事高(億円)構成比シェア
電気工事119,62331.4%
電気通信工事35,0999.2%
管工事103,15727.1%
さく井工事1,7030.4%
熱絶縁工事17,1234.5%
機械器具設置工事94,54424.8%
消防施設工事5,0421.3%
その他の設備工事4,1901.1%
設備工事業計380,481100.0%
読み解き

設備工事業の完成工事高を業種別に見ると、最も大きいのは電気工事(11兆9,623億円)で、次いで管工事(10兆3,157億円)、機械器具設置工事(9兆4,544億円)が続きます。管工事は建物の空調・給排水衛生・冷暖房の配管を、機械器具設置工事は国内の工場・生産設備やプラント設備の据付などを担う工事です。小さい業種では、さく井工事(井戸の掘削)や熱絶縁工事(配管・機器の保温や断熱)なども設備工事に含まれます。

このうち電気工事(11兆9,623億円)と電気通信工事(3兆5,099億円)は、電気設備・通信設備という別の分野にあたります。本ページで扱う設備工事の範囲は、これらを除いた管工事・機械器具設置工事・熱絶縁工事・消防施設工事などで、合計すると約22兆5,759億円です(電気・電気通信を除いた小計で、統計の正式な区分ではありません)。設備工事業全体の中で、管工事と機械器具設置工事の二業種が中心的な位置を占めています。

建設業の大分類別 完成工事高(令和6年度)

建設工事施工統計の3大分類。設備工事業は総合工事業に次ぐ規模で、元請比率は総合工事業より低い
総合工事業
完成工事高
89兆8,343億円
元請比率
70.7%
主な業種
一般土木建築・土木・建築工事業など、元請として建物やインフラ全体を請け負う
職別工事業
完成工事高
26兆6,129億円
元請比率
28.4%
主な業種
とび・土工・大工・内装など、専門工事を下請中心に施工する
設備工事業
完成工事高
38兆481億円
元請比率
51.7%
主な業種
電気・電気通信・管・機械器具設置など、建物やプラントの設備を施工する
読み解き

建設工事施工統計では、建設業を総合工事業・職別工事業・設備工事業の3大分類に分けています。令和6年度の完成工事高は、総合工事業が89兆8,343億円、設備工事業が38兆481億円、職別工事業が26兆6,129億円です。設備工事業は総合工事業に次ぐ規模を持ちます。

元請比率(完成工事高に占める元請の割合)は、その業種が発注者とどれだけ直接つながっているかを示します。建物全体を請け負う総合工事業が70.7%と高い一方、専門工事を下請中心に担う職別工事業は28.4%にとどまります。設備工事業は51.7%で、その中間です。設備工事業のなかでも業種ごとに元請比率は異なり、建物に付随する管工事はゼネコンの下請として施工することが多い一方、国内の生産設備やプラント設備の据付を担う機械器具設置工事は、発注者と直接契約する割合が高くなっています。

完成工事高という数字の見方

完成工事高という数字は「施工規模」を表す

建設工事施工統計の完成工事高は、各社が施工した工事を発注者から直接請け負った元請と、他社の下請として施工した下請に分けて集計したものです。設備工事業の令和6年度の完成工事高38兆481億円は、元請19兆6,562億円と下請18兆3,920億円の合計で、業者が国内で手がけた設備工事の施工規模を示します(億円表示は四捨五入のため、元請と下請の単純合計は完成工事高と1億円ほどずれる場合があります)。設備工事の下請の多くは、ゼネコンが請け負った建築工事の設備部分を担うもので、設備工事としては実体のある施工です。したがって、設備工事の規模感を見るなら完成工事高38兆481億円が目安、発注者から直接請け負った規模を見るなら元請19兆6,562億円、電気・電気通信を除いた本ページの対象範囲を見るなら約22兆5,759億円、と目的に応じて使い分けます。

なお、建設業全体(総合工事業・職別工事業・設備工事業)を単純に足し合わせると、設備工事の下請がゼネコンの元請にも計上されて業種をまたいだ重複が生じます。建設業界全体の規模を横断で見るときに元請ベースが使われるのはこのためで、これは業界全体を1つの数字で見る場合の扱いです。

本ページが扱う設備工事の範囲

設備工事業という統計区分には、電気工事(11兆9,623億円)と電気通信工事(3兆5,099億円)も含まれます。これらは電気設備・通信設備という別の分野にあたり、本ページで扱う設備工事の範囲は、これらを除いた管工事・機械器具設置工事・熱絶縁工事・消防施設工事などです。その合計は約22兆5,759億円で、統計の正式な区分ではなく、集計上の内訳から電気・電気通信を差し引いた小計です。空調・給排水衛生・冷暖房などの建築設備工事は、主にこの管工事や機械器具設置工事に含まれます。

産業プラントは別の見方が必要

石油化学・LNG・発電などの産業プラントを設計から施工まで担うプラントエンジニアリング(日揮・千代田化工建設・東洋エンジニアリングなど)は、海外案件が中心で、国内のプラント工事だけを切り出した市場統計は乏しいのが実態です。各社の規模は連結の受注高・売上高で見るのが一般的で、そこには海外での工事が大半含まれます。この海外EPCは、国内で施工された工事を集計する完成工事高の統計には表れにくく、基準が異なるため単純に足し合わせるものではありません(一方、国内の工場・生産設備の据付は機械器具設置工事としてこの統計に含まれます)。

主要論点

なぜ設備工事業の完成工事高は伸びているのか?

設備工事業の完成工事高は、令和2年度の32兆1,140億円から令和4年度までは横ばいでしたが、令和5年度・令和6年度に伸び、令和6年度は38兆481億円と令和2年度以降で最も高い水準となりました。とりわけ機械器具設置工事は前年度比11.5%増と伸びが続いています。

背景には、半導体工場やデータセンターの建設、都市再開発などの旺盛な設備投資があります。半導体工場やデータセンターは、高度な空調・クリーンルーム・電源・配管設備を必要とし、これらの施工が設備工事の需要を押し上げています。加えて、資材費や労務費の上昇が請負金額に反映され、金額ベースの完成工事高を押し上げる面もあります。

一方で、設備工事の需要は建設投資全体の動向に左右されます。半導体・データセンターの投資が一巡した後の需要をどう確保するかが、中長期の論点です。

「完成工事高」と「元請」、どちらの数字を使えばいいのか?

設備工事の規模を語るとき、完成工事高38兆481億円と元請19兆6,562億円のどちらを使うかは、見たいものによって変わります。完成工事高は、元請と下請を合わせた業者側の施工規模で、「設備工事業者が国内でどれだけの工事を手がけたか」を示します。設備工事の下請の多くはゼネコンが請け負った建築の設備部分を担う実体のある施工なので、業界の施工規模を見るならこの完成工事高が目安になります。

一方、元請19兆6,562億円は、発注者から直接請け負った分(施主直請)で、「発注者が設備会社に直接どれだけ発注したか」に近い見方です。ゼネコン経由で設備会社に流れる工事は含まないため、これだけを設備工事の市場規模とすると実際より小さく見える点に注意が必要です。

なお、建設業全体(総合工事業・職別工事業・設備工事業)を横断で合算する場面では、設備工事の下請がゼネコンの元請にも計上されて業種をまたいだ重複が生じるため、重複を避ける元請ベースが用いられます。ただしそれは建設業界全体を1つの数字で見るための扱いで、設備工事そのものの規模を語る場面とは分けて考えるのが適切です。

業種によって元請比率が違うのはなぜか?

設備工事業のなかでも、元請比率は業種によって異なります。建物に付随する管工事は元請比率が43.3%と下請施工が多い一方、機械器具設置工事は66.2%と直接受注の割合が高くなっています。

この違いには、工事の受注のされ方が映っていると考えられます。建物の空調・給排水衛生などの管工事は、元請の総合建設会社(ゼネコン)が建物全体を請け負い、その下請として設備会社が施工することが多いため、下請の比率が高くなります。一方、機械器具設置工事に含まれる国内の生産設備やプラント設備の据付は、発注者(工場や施設の所有者)と設備会社が直接契約するケースが多く、元請の比率が高くなるとみられます。

元請比率は、その業種が発注者と直接つながっているか、元請ゼネコンの下で施工しているかを示す手がかりになります。

中期見通し

近未来1-2年

完成工事高は、半導体工場・データセンターの設備投資を追い風に、当面は底堅く推移する見通しです。資材費・労務費の上昇が金額を押し上げる面もあります。一方で、大型プロジェクトの一巡や、担い手不足による施工能力の制約が、伸びを抑える要因となりえます。

中期3-5年

半導体・データセンター投資の動向が、設備工事の需要を大きく左右します。加えて、インフラの老朽化に伴う上下水道などの更新や、脱炭素に向けた省エネ設備・ヒートポンプの導入が、設備工事の需要を下支えします。人手不足を背景に、配管や空調ダクトの工場でのユニット化(プレハブ化)など、省人化・効率化も進みます。

長期5-10年

国内の建設投資が人口減少のもとで大きくは伸びにくいなか、設備工事は半導体・データセンター・脱炭素関連という成長領域を取り込めるかが焦点です。高度な設備を要する施設ほど設備工事の比重が高く、施工の難度も上がります。技術力と施工管理力を持つ企業が、付加価値の高い工事を確保していく展開が見込まれます。

よくある質問

設備工事業の市場規模はどれくらいですか?
国土交通省の建設工事施工統計によると、設備工事業の完成工事高は令和6年度に38兆481億円で、前年度比2.3%増でした。これは元請19兆6,562億円と下請18兆3,920億円を合わせた、業者が国内で手がけた設備工事の施工規模です。この区分には電気工事(11兆9,623億円)と電気通信工事(3兆5,099億円)も含まれ、これらを除いた管工事・機械器具設置工事などが約22兆5,759億円で、本ページで扱う設備工事の範囲です。
完成工事高の「元請」と「下請」はどう違いますか?
元請完成工事高は、発注者から直接請け負って施工した工事の金額(施主直請)です。下請完成工事高は、他の建設会社(多くはゼネコン)の下請として施工した工事の金額です。設備工事業の令和6年度の元請比率は51.7%で、元請と下請がおおむね半々です。設備工事の規模を見るなら両者を合わせた完成工事高38兆481億円が施工規模の目安で、発注者が直接発注した規模を見たいときは元請19兆6,562億円を用います。
設備工事の主な業種は何ですか?
建設業の許可業種では、設備工事は管工事・機械器具設置工事・電気工事・電気通信工事・熱絶縁工事・消防施設工事などに分かれます。完成工事高では、電気工事(11兆9,623億円)が最も大きく、管工事(10兆3,157億円)、機械器具設置工事(9兆4,544億円)が続きます。管工事は建物の空調・給排水衛生の配管を、機械器具設置工事はプラント設備や生産設備の据付を担う工事です。
設備工事の完成工事高が伸びているのはなぜですか?
半導体工場やデータセンターの建設、都市再開発などの旺盛な設備投資が背景にあります。これらの施設は高度な空調・クリーンルーム・電源・配管設備を必要とし、設備工事の需要を押し上げています。加えて、資材費や労務費の上昇が請負金額に反映され、金額ベースの完成工事高を押し上げる面もあります。令和6年度は機械器具設置工事が前年度比11.5%増と伸びが続いています。
設備工事業の完成工事高データの出典は何ですか?
国土交通省の建設工事施工統計調査報告が出典です。建設業者が施工した完成工事高を業種別に集計した統計で、本ページは第2表の業種別完成工事高に基づいています。最新は令和6年度実績(2026年4月公表)です。令和2・3年度は過去にさかのぼって再集計した数値、令和4-6年度は各年度の実績で、いずれも2020年度の集計方法見直し後の基準です。令和元年度以前は集計方法が異なるため、令和2年度以降の推移で示しています。

参考資料 / 一次ソース

  1. 1.
    国土交通省 建設工事施工統計調査報告(令和6年度実績)第2表 業種別完成工事高
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