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設備・プラント工事の主要企業|設備サブコンと御三家の業績を比較【2026年版】

設備・プラント工事の主要企業は、大きく二つのグループに分かれます。建物の空調・給排水衛生を担う建築設備サブコンでは、高砂熱学工業が連結売上4,239億円で最大です。石油化学・LNGなどの産業プラントを手がけるプラントエンジニアリングの「御三家」では、日揮ホールディングスが連結売上7,453億円で最大です。ただし、設備サブコンの売上は国内の建築設備工事が中心、御三家の連結売上は大半が海外のプラント案件で、事業の土俵が異なります。令和7年度(2026年3月期)は、設備サブコンが半導体・データセンター需要を追い風に総じて増益となった一方、御三家は各社で明暗が分かれました。グループの中での連結業績と収益性を比べます。

主要各社の連結業績(建築設備サブコンとプラント御三家)

連結ベース(いずれも日本基準、2026年3月期)。上段5社は国内中心の建築設備サブコン、下段3社は連結売上の大半が海外EPCのプラント御三家。営業利益は本業の儲け、純利益は最終的に手元に残る利益、ROE(自己資本利益率)は自己資本をどれだけ効率よく利益に変えたか、自己資本比率は総資産に占める自己資本の割合(財務の健全さの目安)を表す。ROE・自己資本比率は各社の公表値

建築設備サブコン5社は、半導体・データセンター需要を追い風に総じて増益です。高砂熱学工業が連結売上4,239億円と最大で、大気社は自動車工場向けの塗装システムを含む点で他の空調専業とは毛色が異なります。収益性ではダイダンのROE22.5%が5社で最も高く、規模が最も小さい新日本空調も自己資本比率61.0%と財務が最も厚く、規模と収益性・財務体質は必ずしも一致しません。

御三家3社は財務で明暗が分かれました。純利益では千代田(847億円)が日揮(418億円)を上回りますが、千代田の高いROE(123.1%)は自己資本が薄い(自己資本比率22.2%)ことの裏返しで、そのまま続く実力とは読みにくい数字です。東洋エンジは純損失(△149億円)に転落しました。表は上段・下段それぞれのグループの中で見比べるのがおすすめで、ここで並べているのは各社の連結の財務です(受注動向は別の切り口になります)。

高砂熱学工業
建築設備サブコン・空調首位
売上高
4,239億円
営業利益
477億円
純利益
375億円
ROE
19.2%
自己資本比率
55.0%
大気社
建築設備サブコン・空調+自動車塗装システム
売上高
2,861億円
営業利益
233億円
純利益
156億円
ROE
10.1%
自己資本比率
56.1%
ダイダン
建築設備サブコン・空調/衛生/電気の総合
売上高
2,562億円
営業利益
345億円
純利益
268億円
ROE
22.5%
自己資本比率
56.2%
三機工業
建築設備サブコン・空調衛生+環境システム
売上高
2,547億円
営業利益
280億円
純利益
237億円
ROE
20.8%
自己資本比率
55.3%
新日本空調
建築設備サブコン・空調専業
売上高
1,549億円
営業利益
151億円
純利益
122億円
ROE
16.0%
自己資本比率
61.0%
日揮ホールディングス
プラント御三家・海外EPC中心
売上高
7,453億円
営業利益
354億円
純利益
418億円
ROE
10.2%
自己資本比率
51.2%
千代田化工建設
プラント御三家・LNG/ガス
売上高
4,939億円
営業利益
821億円
純利益
847億円
ROE
123.1%
自己資本比率
22.2%
東洋エンジニアリング
プラント御三家・石油化学/肥料/環境
売上高
1,829億円
営業利益
△190億円
純利益
△149億円
ROE
△28.9%
自己資本比率
16.7%

建築設備サブコン5社 — 半導体・データセンター需要で総じて増益

建築設備サブコンは、建物の空調・給排水衛生などを施工する専門工事会社で、多くは元請の総合建設会社(ゼネコン)の下で工事を担います。最大手の高砂熱学工業は、令和7年度(2026年3月期)の連結売上が4,239億円(前年比+11.1%)、純利益375億円(同+35.6%)と、売上・利益とも過去最高を更新しました(同社短信)。半導体工場やデータセンターのクリーンルーム空調に強みを持ち、旺盛な設備投資を取り込んでいます。ROEは19.2%、自己資本比率は55.0%です。

大気社は連結売上2,861億円と高砂熱学に次ぐ規模ですが、空調設備に加えて自動車工場向けの塗装システム(塗装プラント)を事業の柱に持ち、海外比率が高いのが特徴です。純利益は156億円(前年比+41.4%)と伸びた一方、ROEは10.1%と5社では低めで、事業構成が他の空調専業と異なるため、単純な横並びには注意が要ります。ダイダンは空調・給排水衛生・電気を総合的に手がけ、令和7年度は減収ながら純利益268億円(前年比+53.5%)と大幅増益で、ROE22.5%は5社で最も高い水準です。

三機工業は空調・給排水衛生に加えて搬送・水処理などの環境システムを手がけ、連結売上2,547億円・純利益237億円(前年比+37.7%)と増益でした。新日本空調は産業・研究施設の空調に強い専業会社で、連結売上1,549億円(同+12.5%)と5社で最も小さい規模ですが、純利益は122億円(同+25.9%)と増益で、自己資本比率61.0%は5社で最も高く、財務の厚さが際立ちます(数値は決算短信でなく有価証券報告書によります)。5社は利益ベースでいずれも前期を上回り、規模の大小と収益性・財務体質は必ずしも一致しません。

プラント御三家3社 — 連結の大半は海外EPC、財務は明暗

プラントエンジニアリングの御三家は、連結売上の大半を海外のプラント案件が占めるため、上段の建築設備サブコンの国内売上とは事業の土俵が異なります。最大手の日揮ホールディングスは連結売上7,453億円で、令和7年度(2026年3月期)は前期の営業損失から営業黒字に回復し、純利益418億円を確保しました。千代田化工建設はLNG・ガスに強く、純利益847億円と金額では日揮を上回りましたが、ROE123.1%という高い数字は自己資本が薄い(自己資本比率22.2%)ことの裏返しで、過去の大型損失からの回復局面による面が大きく、そのまま続く実力とは読みにくい数字です。東洋エンジニアリングは進行中の案件で採算が悪化し、営業損益△190億円・純損益△149億円と損失に転落しました。

このように、御三家は同じプラント大手でも財務の方向がそろいません。プラントは1件が数百億〜数千億円・工期数年と大型で、案件の採算次第で損益が大きく振れるためです。ここで示したのは各社の連結の財務(売上・利益・収益性)であり、受注高・受注残高・海外比率といった受注動向や各社の得意領域とは、別の切り口になります。連結売上や利益の規模を、そのまま国内のプラント工事の市場規模と読み替えることはできません。

非上場・その他の主要各社

建築設備サブコンには、非上場の大手もあります。新菱冷熱工業は空調設備の専業大手として知られ、産業・研究施設などの高度な空調を手がけますが、非上場のため連結財務は公表されていません。プラントエンジニアリングでも、御三家のほかにJFEエンジニアリングやIHIなどが関連分野を手がけており、「御三家」は代表的な3社を指す慣用的な呼び方で、プラントを手がける企業がこの3社に限られるわけではありません。上場企業については、社名から各社の企業ページで個別の業績を確認できます。

主要論点

設備サブコンと御三家を、同じ土俵で比べられるのか?

結論から言えば、グループの中では業績を比べられますが、二つのグループをまたいで一列に並べることはできません。建築設備サブコンと御三家は、いずれも日本基準の連結売上高を開示していますが、その売上が立っている市場が異なります。設備サブコンの売上は、主に国内の建物の空調・給排水衛生などの建築設備工事です。一方、御三家の連結売上は、大半が海外のプラント案件(EPC=設計・調達・建設の一括請負)で構成されます。

このため、日揮の連結売上7,453億円が高砂熱学工業の4,239億円を上回っても、それは「国内の建築設備で日揮がサブコンより大きい」ことを意味しません。日揮の数字は世界で手がけたプラント工事を含み、高砂熱学の数字は国内の建築設備が中心という、別の市場の規模だからです。

ですから、主要企業を読むときは、まず設備サブコンどうし・御三家どうしとグループの中で業績や収益性を見比べ、そのうえで二つのグループは性格の違う別の事業として捉えるのが実態に合います。8社を一列に並べた売上ランキングにしたり、両グループの売上を足して業界規模としたりはできません。この点は、設備工事業の完成工事高(国内の施工規模)と御三家の連結受注・売上(海外中心)を足し合わせないことにも通じます。

なぜ設備サブコンは総じて好調で、御三家は明暗が分かれたのか?

令和7年度(2026年3月期)は、建築設備サブコン5社が利益ベースでそろって前期を上回った一方、御三家は日揮の黒字回復・千代田の増益・東洋エンジの純損失と、方向が分かれました。この違いは、両者の需要基盤と収益の振れ方の差からきています。

建築設備サブコンは、半導体工場・データセンター・都市再開発といった国内の旺盛な設備投資が追い風です。これらの施設は高度な空調・クリーンルーム設備を必要とし、比較的安定した国内需要としてサブコンの受注と採算を支えました(大気社は加えて自動車工場向け塗装システムの海外需要も寄与)。

一方、御三家のプラント事業は、1件が数百億〜数千億円で工期も数年に及ぶ大型案件が中心です。資材費・人件費の高騰や工事の遅延が一つの案件で起きると損益が大きく振れ、日揮は過去の不採算案件を消化して採算が改善し、東洋エンジは逆に進行中の案件で採算が悪化しました。数多くの現場を積み上げる設備サブコンと、少数の大型案件に依存する御三家とで、業績の安定性が異なるのです。

規模と収益性・財務体質は一致するのか?

一致しません。建築設備サブコンの中では、ダイダンのROE22.5%が5社で最も高い一方、売上規模は中位です。規模が最も小さい新日本空調は自己資本比率61.0%と財務が最も厚く、規模の順位と収益性・財務の健全性の順位は別物です。売上が高砂熱学に次ぐ大気社も、ROEは10.1%と5社では低めで、塗装システムを含む事業構成の違いが表れています。

注意が必要なのが、単年のROEや純利益だけで判断しないことです。御三家の千代田は純利益847億円・ROE123.1%と数字の上では際立ちますが、この高いROEは自己資本が薄い(自己資本比率22.2%)ことの裏返しです。同社は過去の大型損失で財務が痛み、優先株式の発行などで再建を進めてきた途上にあり、普通配当は無配が続きます。高い利益率が財務の厚みを伴うのか、薄い自己資本による一過性のものかは、区別して読む必要があります。

収益性は、単年のROEだけでなく、営業利益の水準・自己資本比率・複数年の推移を合わせて読むことが大切です。

中期見通し

近未来1-2年

建築設備サブコンは、半導体工場・データセンターの設備投資を追い風に、受注環境は当面底堅い見通しです。資材費・労務費の上昇が請負金額を押し上げる面もあります。御三家は、世界的なLNG・エネルギー需要を背景に受注は堅調ですが、抱える大型案件をいかに採算を確保して遂行するかが、損益を左右します。

中期3-5年

建築設備サブコンでは、既存ビルの空調更新や脱炭素に向けた省エネ空調、人手不足を背景とした施工の省人化・ユニット化への対応が競争力を分けます。御三家では、水素・アンモニア・CO2回収(CCS)・持続可能な航空燃料(SAF)など脱炭素関連プラントのEPCへの展開が焦点で、ただし実績の乏しい新技術は採算・リスクの見極めが課題です。

長期5-10年

国内の建設投資が人口減少のもとで大きくは伸びにくいなか、両グループとも半導体・データセンター・脱炭素という成長領域を取り込めるかが問われます。建築設備サブコンは高度な設備を要する施設で技術力と施工管理力が、御三家は大型・高難度の案件を採算を保って遂行する総合力が、各社の実力を分ける展開が見込まれます。

よくある質問

設備・プラント工事の主要企業はどこですか?
建物の空調・給排水衛生を担う建築設備サブコンでは、高砂熱学工業(連結売上4,239億円、空調首位)・大気社・ダイダン・三機工業・新日本空調が主要な上場企業です。産業プラントを手がけるプラントエンジニアリングでは、御三家と呼ばれる日揮ホールディングス(7,453億円)・千代田化工建設・東洋エンジニアリングが代表格です。このほか、空調では非上場の新菱冷熱工業が専業大手として知られます。
建築設備サブコンで最大手はどこですか?
連結売上では高砂熱学工業が4,239億円(2026年3月期)で最大手です。半導体工場やデータセンターのクリーンルーム空調に強みを持ち、令和7年度は売上・利益とも過去最高を更新しました(同社短信)。これに大気社・ダイダン・三機工業・新日本空調が続きます。ただし各社は得意領域が異なり、大気社は自動車工場向けの塗装システムも手がける点で毛色が異なります。
設備サブコンと御三家は同じように売上で比べられますか?
グループの中でなら比べられますが、二つのグループをまたいで一列に並べることはできません。両者とも日本基準の連結売上高を開示していますが、設備サブコンの売上は主に国内の建築設備工事、御三家の連結売上は大半が海外のプラント案件(EPC=設計・調達・建設の一括請負)で、売上が立っている市場が異なります。日揮の連結売上が高砂熱学を上回っても、これは世界で手がけたプラント工事を含むためで、国内の建築設備を担うサブコンと同じ市場で比べているわけではありません。両グループの売上を足して業界規模とすることもできません。
御三家の令和7年度(2026年3月期)の業績はどうでしたか?
各社で明暗が分かれました。日揮ホールディングスは営業黒字に回復し純利益418億円、千代田化工建設は純利益847億円と大幅増益ながら自己資本比率22.2%と財務再建の途上、東洋エンジニアリングは採算悪化で純損失△149億円に転落しました。プラントは大型案件の採算で損益が振れるため、「全社が好調」とは一括りにできません。ここでの比較は各社の連結の財務で、受注動向とは切り口が異なります。
最も収益性が高いのはどの会社ですか?
建築設備サブコンでは、ダイダンのROEが22.5%と5社で最も高く、新日本空調が自己資本比率61.0%と財務の厚さで際立ちます。御三家の千代田はROE123.1%と数字は突出しますが、これは自己資本が薄いことの裏返しで再建途上の一過性の面が大きく、そのまま実力とは読みにくい数字です。収益性は単年のROEだけでなく、営業利益や自己資本比率、複数年の推移と合わせて見る必要があります。

参考資料 / 一次ソース

  1. 1.
    建築設備サブコン5社(高砂熱学工業・大気社・ダイダン・三機工業・新日本空調)の2026年3月期 決算短信・有価証券報告書(連結)
  2. 2.
    御三家(日揮ホールディングス・千代田化工建設・東洋エンジニアリング)の2026年3月期 決算短信(連結)
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