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建築設備工事(空調・給排水衛生)|管工事の規模とサブコンの役割【2026年版】

建物の空調・給排水衛生・冷暖房などを担う建築設備工事の中核は、建設業許可の管工事です。管工事の完成工事高は令和6年度に10兆3,157億円で、前年度比2.8%増でした(国土交通省 建設工事施工統計)。うち発注者から直接請け負った元請は4兆4,640億円、元請比率は43.3%で、残りは元請ゼネコンの下請として施工されています。建築設備工事は、高砂熱学工業・三機工業・大気社などの専門工事会社(サブコントラクター=サブコン)が担う分野です。

管工事の完成工事高(令和6年度)
10兆3,157億円2.8% YoY
建築設備の中核業種。前年度比2.8%増
出典: 国交省 建設工事施工統計 第2表
元請完成工事高(令和6年度)
4兆4,640億円
発注者から直接請け負った分(施主直請)
出典: 国交省 建設工事施工統計 第2表
下請完成工事高(令和6年度)
5兆8,517億円
元請ゼネコンの下請として施工した分
出典: 国交省 建設工事施工統計 第2表
管工事の元請比率(令和6年度)
43.3%
過半(残り56.7%)は下請施工=サブコン構造
出典: 国交省 建設工事施工統計 第2表

管工事の完成工事高の推移(2020-2024年度、元請・下請、兆円)

令和2年度の8兆1,966億円から、令和5・6年度に伸びて10兆3,157億円へ。半導体・データセンターの空調需要が押し上げ
単位: 兆円
元請完成工事高下請完成工事高
0.003.757.5011.315.08.20208.66218.312210.02310.324
出典: 国土交通省 建設工事施工統計調査報告 第2表 業種別完成工事高(管工事。令和6年度実績。令和2・3年度は過去にさかのぼって再集計した数値、令和4-6年度は各年度の実績。いずれも2020年度の集計方法見直し後の基準。兆円は小数第2位で四捨五入し、元請・下請の合計は端数処理で完成工事高と一致しない場合があります)
年度20202021202220232024
元請完成工事高兆円3.403.513.464.174.46
下請完成工事高兆円4.805.154.855.865.85
合計(兆円8.208.668.3110.0310.32
前年比+5.6%-4.0%+20.7%+2.8%
読み解き

管工事の完成工事高は、発注者から直接請け負った元請と、他社の下請として施工した下請を合わせた、業者側から見た施工規模です。令和2年度の8兆1,966億円から令和4年度の8兆3,136億円までは8兆円台で推移し、令和5年度に前年度比+20.7%と大きく伸び、令和6年度は10兆3,157億円(同+2.8%)となりました。ただしこれは金額(名目)ベースの伸びで、令和5年度の大幅増には、半導体・データセンター向けなどの需要拡大に加えて、資材費・労務費の上昇による請負金額の上昇が相当程度含まれます。工事量そのものの拡大とは必ずしも一致しない点に注意が必要です。

令和6年度は、下請完成工事高がほぼ横ばい(前年度比-0.2%)だったのに対し、元請完成工事高が+7.0%と伸び、元請比率は令和5年度の41.6%から43.3%へ上昇しました。建物の空調・給排水衛生は元請ゼネコンの下請として施工することが中心ですが、半導体工場やデータセンターのように設備が主役の施設では、発注者がサブコンに直接発注する(元請として計上される)ケースが増えており、それが元請の伸びと元請比率の上昇に表れています。

建築設備工事とサブコンの見方

建築設備工事の規模は「管工事」で代表させる

建築設備工事は、建物の空調・給排水衛生・換気・冷暖房・消火などの設備を施工する分野です。この分野の規模を一本で測る公的統計はないため、中核となる許可業種の管工事(令和6年度の完成工事高10兆3,157億円)を代表指標として見ます。なお、ここでいう業種は統計上の工事の分類であって、会社の区分ではありません。1社が複数の業種の工事を手がけます。

管工事は代表指標ですが、建築設備工事と完全に一致するわけではありません。大型の空調機・冷凍機・ポンプなどの据付は機械器具設置工事に、電気設備は電気工事に区分されるため、この面では管工事は建築設備を少なめにとらえます。一方で、管工事には工場のプラント配管やガス配管など、建物の空調・給排水衛生以外の配管も含まれます。厳密な建築設備工事の額とは上下にずれますが、規模感と推移をとらえるには管工事が最も網羅的な指標です。

サブコンは元請ゼネコンの下請として施工する

建築設備工事は、専門工事のサブコントラクター(サブコン)が担うのが一般的です。ビルやマンションの建設では、元請の総合建設会社(ゼネコン)が建物全体を請け負い、そのなかの空調・給排水衛生などの設備工事を、専門のサブコンが下請として施工します。管工事の元請比率が43.3%と下請施工の割合が高いのは、この分業構造を映しています。一方で、工場やデータセンターなど設備が主役の施設では、発注者がサブコンに直接発注するケースもあり、その分は元請として計上されます。サブコンは、高度な空調・クリーンルーム設備の設計・施工管理の技術力で選ばれる分野です。

空調・給排水衛生サブコンの主要各社(業態の位置づけ)

空調設備を中心とする建築設備サブコンの主要各社を、売上・利益ではなく事業領域・得意分野から整理
主な事業領域
空調設備工事(ビル・産業・研究施設の空調)
特徴・強み
空調設備サブコンの最大手。半導体工場・データセンターのクリーンルーム空調に強み
主な事業領域
空調・給排水衛生設備 + 環境システム(搬送・水処理)
特徴・強み
ビル空調から工場・環境プラントまで幅広く手がける
主な事業領域
塗装システム(自動車工場向け)+ 空調設備
特徴・強み
塗装システムで世界的な地位を持ち海外比率が高い。空調と塗装が事業の両輪で、他の空調専業サブコンとは毛色が異なる
主な事業領域
空調設備の専業サブコン(産業・研究施設の空調)
特徴・強み
半導体・研究施設などの高度な空調に強みを持つ専業会社
主な事業領域
空調・給排水衛生・電気設備の総合設備工事
特徴・強み
建物の設備を総合的に手がける設備サブコン
読み解き

建築設備工事のサブコンには、空調設備を軸とする専門工事会社が並びます。上場企業では高砂熱学工業が空調設備サブコンの最大手で、半導体工場やデータセンターのクリーンルーム空調に強みを持ちます。三機工業は空調・給排水衛生に加えて搬送・水処理などの環境システムを、大気社は空調に加えて自動車工場向けの塗装システムを手がけ海外比率が高いのが特徴です。新日本空調は産業・研究施設の空調に強い専業会社、ダイダンは空調・衛生・電気を総合的に手がけます。

このほか、非上場では新菱冷熱工業が空調設備の専業大手として知られます。ここでは各社の事業領域と得意分野から位置づけを整理しています。

主要論点

なぜ建築設備工事の需要は伸びているのか?

建築設備工事の中核である管工事の完成工事高は、令和2年度の8兆1,966億円から令和5年度に大きく伸び、令和6年度は10兆3,157億円となりました。背景には、半導体工場・データセンターの建設や、都市再開発による高機能ビルの新築があります。

これらの施設は、精密な温湿度管理を要するクリーンルーム空調や大容量の冷却設備を必要とし、建物本体に対して設備工事の比重が高くなります。高度で難度の高い設備ほど、専門的な設計・施工管理が求められ、サブコンの受注を押し上げます。加えて、令和5年度の大幅増に見られるように、資材費・労務費の上昇が請負金額に反映され、金額ベースの伸びを押し上げる面もあります(工事量そのものの拡大とは必ずしも一致しません)。

サブコンはどんな構造で工事を請け負うのか?

建築設備工事は、専門工事のサブコントラクター(サブコン)が担います。ビルやマンションでは、元請の総合建設会社(ゼネコン)が建物全体を請け負い、空調・給排水衛生などの設備を、専門のサブコンが下請として施工します。管工事の元請比率が43.3%と下請施工の割合が高いのは、この構造を映したものです。

ただし、工場・データセンター・研究施設など、設備そのものが主役となる施設では、発注者がサブコンに直接発注することも多く、その分は元請として計上されます。サブコンにとっては、ゼネコン経由の下請工事と、発注者からの直接受注の両方が受注の源泉になります。設備が高度で難度が高い施設ほど、専門的な設計・施工管理力が求められ、サブコンの技術力が差になります。

空調サブコン各社は何で違いが出るのか?

空調を中心とする建築設備サブコンは、得意とする施設や事業領域で違いがあります。半導体工場やデータセンターのクリーンルーム空調に強い会社、産業・研究施設の高度な空調に特化した会社、自動車工場向けの塗装システムのように空調以外の産業設備に展開する会社など、それぞれ異なる強みを持ちます。

近年は、半導体・データセンター向けの高付加価値な設備工事を取り込めるかが、各社の業績を左右しています。高度な設備を要する案件ほど技術力と施工管理力が問われ、採算も相対的に高くなる傾向があります。

中期見通し

近未来1-2年

建築設備工事の需要は、半導体工場・データセンターの設備投資を追い風に、当面は底堅く推移する見通しです。資材費・労務費の上昇が請負金額を押し上げる面もあります。一方で、大型案件の一巡や、配管・空調工事の担い手不足による施工能力の制約が、伸びを抑える要因となりえます。

中期3-5年

半導体・データセンター投資の動向が、建築設備工事の需要を大きく左右します。加えて、既存ビルの空調・給排水設備の更新や、脱炭素に向けた省エネ空調・ヒートポンプの導入が需要を下支えします。人手不足を背景に、配管や空調ダクトの工場でのユニット化(プレハブ化)など、現場の省人化・効率化も進みます。

長期5-10年

国内の建設投資が人口減少のもとで大きくは伸びにくいなか、建築設備工事は半導体・データセンター・脱炭素関連という成長領域を取り込めるかが焦点です。高度な設備を要する施設ほど設備工事の比重が高く、施工の難度も上がります。技術力と施工管理力を持つサブコンが、付加価値の高い工事を確保していく展開が見込まれます。

よくある質問

建築設備工事の市場規模はどれくらいですか?
建築設備工事の規模を一本で測る統計はないため、中核業種である管工事の完成工事高を代表指標として見ます。管工事の完成工事高は、国土交通省の建設工事施工統計によると令和6年度に10兆3,157億円で、前年度比2.8%増でした。これは元請4兆4,640億円と下請5兆8,517億円を合わせた、業者が国内で手がけた施工規模です。
サブコン(設備サブコントラクター)とは何ですか?
サブコン(サブコントラクター)は、元請の総合建設会社(ゼネコン)の下請として、建物の空調・給排水衛生・電気などの設備工事を専門に施工する会社です。ゼネコンが建物全体を請け負い、そのなかの設備部分をサブコンが担う分業構造になっています。空調設備の主要なサブコンには、高砂熱学工業・三機工業・大気社・新日本空調・ダイダンなどがあります。
なぜ管工事は下請の割合が高いのですか?
管工事の元請比率は令和6年度で43.3%と、半分以上が下請施工です。これは、ビルやマンションの建設で、元請のゼネコンが建物全体を請け負い、その下請として設備会社が空調・給排水衛生を施工することが多いためです。一方、工場やデータセンターのように設備が主役の施設では、発注者がサブコンに直接発注するケースもあり、その分は元請として計上されます。
建築設備工事の需要が伸びているのはなぜですか?
半導体工場・データセンターの建設や、都市再開発による高機能ビルの新築が背景にあります。これらの施設は、精密な温湿度管理を要するクリーンルーム空調や大容量の冷却設備を必要とし、建築設備工事の比重が高くなります。加えて、資材費・労務費の上昇が請負金額に反映される面もあり、金額ベースの完成工事高を押し上げています。
建築設備工事の主要な会社はどこですか?
空調設備を中心とする建築設備サブコンでは、上場企業では高砂熱学工業(空調サブコン最大手)、三機工業、大気社、新日本空調、ダイダンなどが主要な担い手です。非上場では新菱冷熱工業が空調設備の専業大手として知られます。

参考資料 / 一次ソース

  1. 1.
    国土交通省 建設工事施工統計調査報告(令和6年度実績)第2表 業種別完成工事高(管工事)
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