設備・プラント工事業界の市場規模・主要企業・動向
設備・プラント工事業界は、空調や給排水衛生などを施工する建築設備のサブコンと、化学・エネルギープラントを手がけるエンジニアリング会社の二本柱で構成され、半導体工場やデータセンター、脱炭素が需要を牽引しています。
設備・プラント工事業とは、建設業の専門工事のうち、建築物の空調・給排水衛生・電気設備などを施工する建築設備工事(サブコン)と、化学・エネルギーなどの産業プラントを設計から施工まで担うプラントエンジニアリングの二本柱で構成される分野です。設備工事業の完成工事高は38.0兆円規模(令和6年度、元請と下請の供給側。うち電気・通信を除く本ページの範囲は約22.6兆円)で、プラント大手は海外EPCが中心です。半導体工場・データセンター・脱炭素を需要の軸に、市場規模、主要企業、業界構造、需要動向まで整理します。
業界サマリ
業界概要
設備・プラント工事業とは、建設業の専門工事のうち、建築物の空調・給排水衛生などを施工する建築設備工事(サブコン)と、化学・エネルギーなどの産業プラントを設計施工するプラントエンジニアリングの二本柱で構成される分野です。設備工事業の完成工事高は38.0兆円規模(令和6年度、元請と下請の供給側)で、うち電気・電気通信工事を除く本ページの範囲は約22.6兆円です。建築設備は高砂熱学工業などのサブコンが、プラントは日揮ホールディングスなどの御三家が担います。
- 設備・プラント工事は、建築設備工事(管・空調・給排水衛生など)とプラントエンジニアリング(石油化学・エネルギー等の産業プラント)の二本柱です。前者は元請ゼネコンの下請として、後者は自ら設計施工の元請として工事を担います。
- 設備工事業の完成工事高は38.0兆円(令和6年度)で、うち電気・電気通信工事を除く本ページの範囲は約22.6兆円です。管工事10.3兆円・機械器具設置工事9.5兆円がこの分野の二大業種です。
- 主要企業は、空調設備サブコンの高砂熱学工業・三機工業・大気社・新日本空調・ダイダンと、プラント御三家の日揮ホールディングス・千代田化工建設・東洋エンジニアリングです。全国に多数の専門工事業者が連なる分散構造です。
市場動向
設備工事業の完成工事高は令和6年度に38.0兆円(前年度比2.3%増)へと伸びています。機械器具設置工事が11.5%増と伸びが続き、半導体工場・データセンター・再開発などの旺盛な設備投資が需要を押し上げています。建築設備のサブコンは増益基調にある一方、プラントエンジニアリングは海外EPCの大型案件の採算で業績が振れやすく、2025年度は各社で明暗が分かれました。
- 設備工事業の完成工事高は38.0兆円(令和6年度、前年度比2.3%増)で、機械器具設置工事が11.5%増、管工事が2.8%増と伸びが続いています。半導体・データセンター・再開発が需要を牽引しています。
- 建築設備のサブコンは増益基調で、高砂熱学工業は営業利益が47.3%増、ダイダンも49.7%増と利益率が改善しています。半導体工場・データセンターの空調需要が追い風です。
- プラントエンジニアリングは海外EPCが中心で、業績は大型案件の採算で振れます。2025年度は日揮が営業黒字に転換・千代田化工が大幅増益となる一方、東洋エンジニアリングは純損失となりました。
競争環境
建築設備工事は、元請ゼネコンの下請として施工するサブコンが中心で、空調設備では高砂熱学工業を筆頭に三機工業・大気社・新日本空調・ダイダンが続きます。一方、化学・エネルギープラントのエンジニアリングは、日揮ホールディングス・千代田化工建設・東洋エンジニアリングが代表格で、海外EPCが収益の柱です。サブコンは半導体・データセンター需要で増益基調にある一方、プラント大手は大型案件の採算で業績が振れやすく、2025年度も明暗が分かれました。
- 空調設備のサブコンは、高砂熱学工業が連結売上4,239億円(2025年度)で先行し、三機工業・大気社・新日本空調・ダイダンが続きます。半導体工場・データセンターの空調需要を取り込み、各社とも増益基調にあります。
- プラント御三家は、日揮ホールディングスが連結売上7,453億円、千代田化工建設が4,939億円、東洋エンジニアリングが1,829億円(いずれも2025年度)です。海外EPCが収益の柱で、日揮の受注は86.5%が海外向けです。
- 業績は柱ごとに性格が異なります。サブコンは国内の設備投資を背景に安定して増益基調にある一方、プラント大手は大型案件の採算で振れやすく、2025年度は日揮の黒字転換・千代田の増益と、東洋エンジの純損失で明暗が分かれました。
市場規模推移
2022-2024 · 元請完成工事高 + 下請完成工事高設備工事業の完成工事高推移(年度、元請・下請の積み上げ)
設備工事業の完成工事高は38兆481億円(令和6年度、前年度比2.3%増)です。これは元請19兆6,562億円と下請18兆3,920億円を合わせた、業者が国内で手がけた設備工事の施工規模を示します。うち発注者から直接請け負った元請完成工事高は19兆6,562億円(元請比率51.7%)で、下請の多くはゼネコンが請け負った建築工事の設備部分を担う施工です。
この区分には電気工事(11兆9,623億円)と電気通信工事(3兆5,099億円)も含まれます。両者を除いた管工事・機械器具設置工事などが本ページの中心で、約22.6兆円です。内訳は管工事10兆3,157億円、機械器具設置工事9兆4,544億円が二大業種で、熱絶縁工事・消防施設工事などが続きます。
建築設備工事は、元請ゼネコンの下請として空調・給排水衛生・電気設備を施工するサブコンが担います。空調設備では高砂熱学工業を筆頭に、三機工業・大気社・新日本空調・ダイダンが続きます。
半導体工場やデータセンターの旺盛な設備投資を背景に、各社は増益基調にあります。高砂熱学工業は2025年度の連結売上が4,239億円(前年比11.1%増)、営業利益は477億円(47.3%増)、ダイダンも営業利益が49.7%増と、利益率の改善が目立ちます。空調は高い技術力と施工管理が求められ、利益率が相対的に高い分野です。
プラントエンジニアリングは、石油化学・LNG・発電などの産業プラントを設計・調達・建設まで一括で担うEPC(設計・調達・建設)の分野で、日揮ホールディングス・千代田化工建設・東洋エンジニアリングが代表格です。国内のプラント工事だけを切り出した市場統計は乏しく、各社の連結受注・売上で実態を見ます。
各社は海外案件が収益の柱で、日揮ホールディングスは2025年度の受注高9,845億円のうち86.5%が海外向けでした。この連結の受注・売上は海外を大半に含むため、国内の設備工事の完成工事高とは基準が異なります。業績は大型案件の採算で振れやすく、2025年度は日揮が営業黒字に転換し千代田化工が大幅増益となる一方、東洋エンジニアリングは採算悪化で純損失となりました。
主要トピック
業界構造
主要プレイヤー / サプライヤー / 流通 / 需要設備・プラント工事は、性格の異なる二本柱で構成されます。ひとつは建築設備工事で、オフィスや工場・病院などの建物に空調・給排水衛生・電気などの設備を据え付けます。元請の総合建設会社(ゼネコン)の下請(サブコン)として施工することが多く、高砂熱学工業・三機工業・大気社・新日本空調・ダイダンなどが担います。
もうひとつはプラントエンジニアリングで、石油化学・LNG・発電などの産業プラントを設計から施工まで一括で請け負います。各社が自ら元請(EPC事業者)となり、日揮ホールディングス・千代田化工建設・東洋エンジニアリングの御三家が代表格です。海外案件が収益の柱で、建築設備のサブコンとは施工対象も収益構造も異なります。
建設業の許可業種では、設備工事は管工事・機械器具設置工事・熱絶縁工事・消防施設工事などに分かれます。完成工事高では管工事が10兆円台、機械器具設置工事が9兆円台と、この二業種が中心です。機械器具設置工事は、プラント設備の据付なども含みます。
業種ごとに元請と下請の割合は異なります。建物に付随する管工事は元請比率が43%と下請施工が多い一方、機械器具設置工事は元請比率が66%と直接受注の割合が高く、プラント据付など発注者と直接契約する工事が多いことを映しています。全国に多数の専門工事業者が連なる分散構造で、特定企業が市場全体を占めるわけではありません。
需要を牽引しているのが、半導体工場・データセンター・再開発などの旺盛な設備投資です。これらの施設は高度な空調・クリーンルーム・電源設備を必要とし、建築設備サブコンの受注を押し上げています。インフラの老朽化に伴う上下水道などの更新も安定した需要です。プラント分野では、脱炭素に伴う水素・アンモニア・CCS・SAFなどの新しいプラント需要が中長期の成長軸として期待されます。
共通の課題は、技能者の高齢化と担い手不足、2024年問題(時間外労働の上限規制)への対応です。配管や空調ダクトの工場でのユニット化、BIM(建築物の3次元モデル)を使った施工計画など、省人化・効率化が進んでいます。プラントでは、海外大型案件の採算管理が経営の安定に直結します。
業界の3大論点
建築設備のサブコンはなぜ増益基調にあるのか?
空調設備のサブコン各社は、2025年度に増益基調が続きました。高砂熱学工業は連結売上4,239億円(前年比11.1%増)で営業利益が47.3%増、ダイダンは減収ながら営業利益が49.7%増と、いずれも利益率が改善しています。
背景には3つの要因があります。第一に、半導体工場やデータセンターの旺盛な設備投資です。これらの施設は空調・クリーンルーム・電源など高度な設備を必要とし、施工の難度が高いぶん採算も取りやすい傾向があります。第二に、物価上昇分の価格転嫁が進み、資材費や労務費の上昇を請負金額に反映しやすくなりました。第三に、採算重視の選別受注で、各社が利益率の高い案件に注力しています。
もっとも、建築設備工事は元請ゼネコンの下請として施工することが多く、完成工事高に占める下請の割合も小さくありません。建設投資全体の動向や、元請ゼネコンの受注状況に左右される構造は変わりません。半導体・データセンター需要が一巡した後の受注をどう確保するかが、中長期の論点です。
プラントエンジニアリング御三家の競争力と採算リスクはどこにあるか?
プラント御三家(日揮ホールディングス・千代田化工建設・東洋エンジニアリング)は、石油化学・LNG・発電などの産業プラントを設計から施工まで一括で担うEPC(設計・調達・建設)を得意とし、海外案件が収益の柱です。日揮ホールディングスは2025年度の受注高9,845億円のうち86.5%が海外向けで、東洋エンジニアリングも受注の7割超が海外です。国内のプラント工事だけを切り出した市場統計は乏しく、各社の連結受注・売上が実態を映します。
一方で、業績は大型案件の採算で大きく振れます。工期が数年に及ぶ大型EPCでは、資材費・人件費の高騰や為替の変動が採算を圧迫することがあり、一件の損失計上が全社の損益を左右します。2025年度は、日揮ホールディングスが前期の営業赤字から黒字に転換し、千代田化工建設が営業利益236.2%増となる一方、東洋エンジニアリングは採算悪化で190億円の営業損失・149億円の純損失を計上しました。受注は伸びても損益は案件次第という、EPC特有のリスクがうかがえます。
中長期では、脱炭素に伴う水素・アンモニア・CCS(二酸化炭素の回収・貯留)・SAF(持続可能な航空燃料)などの新分野のプラント需要が成長軸として期待されます。従来の石油・ガスプラントで培った技術を、脱炭素関連にどう展開できるかが競争力を左右します。
設備・プラント工事業界の人手不足・2024年問題への対応は?
設備・プラント工事業界も、建設業共通の担い手不足と時間外労働の上限規制(2024年問題)に直面しています。2024年4月から建設業に時間外労働の上限規制が適用され、月45時間・年360時間が原則の上限となりました。技能者の高齢化が進むなか、限られた人員で工事を進める必要が高まっています。
対応の軸は2つです。ひとつは省人化・施工の効率化で、配管や空調ダクトの工場でのユニット化(プレハブ化)、BIM(建築物の3次元モデル)を使った施工計画、現場のデジタル管理などが進んでいます。もうひとつは利益率の確保で、物価上昇分の価格転嫁や、難度が高く採算の取りやすい案件への注力が各社の増益につながっています。
プラントエンジニアリングでは、海外案件の現地調達・現地施工体制の構築や、設計の標準化(モジュール化)が工期短縮とコスト管理の鍵となります。設備・プラントとも、人手不足を前提に生産性をどう高めるかが、業界共通の中長期テーマです。
よくある質問 (FAQ)
設備工事業の市場規模はどれくらいですか?
サブコン(サブコントラクター)とは何ですか?
建築設備(空調・衛生)のサブコン大手はどこですか?
プラントエンジニアリングの御三家とはどこですか?
プラント大手はなぜ業績が振れやすいのですか?
設備工事とプラント工事はどう違いますか?
設備・プラント工事の需要を牽引しているのは何ですか?
設備・プラント工事業界の課題は何ですか?
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