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通信工事の市場規模|完成工事高の推移と元請・下請の内訳【2026年版】

電気通信工事業の2024年度の完成工事高は、元請と下請を合わせた計で3兆5,099億円(約3.51兆円)で、これが電気通信工事の施工規模を示す主な指標です(国土交通省 建設工事施工統計)。このうち発注者から直接請け負った元請(施主直請)が2兆1,007億円(約2.10兆円)で、直請比率は59.8%です。残りは、ゼネコンなど他社が受注した工事を下請で請け負った分です。統計は2020年度に推計方法が改定されており、それ以前(1.8〜2.6兆円規模)とは水準が直接つながりません。完成工事高の推移を、新系列と旧系列に分けて整理します。

完成工事高・計(2024年度)
3兆5,099億円3.5% YoY
電気通信工事の施工規模を示す主な指標(元請+下請)
出典: 国交省 建設工事施工統計調査
元請・施主直請(2024年度)
2兆1,007億円
発注者から直接請け負った分。直請比率59.8%
出典: 国交省 建設工事施工統計調査
下請(2024年度)
1兆4,093億円
ゼネコンなど他社が受注した工事を下請で請け負った分
出典: 国交省 建設工事施工統計調査
元請比率・直請比率(2024年度)
59.8%
完成工事高のうち発注者から直接請け負った分の割合。大手のシェアではない
出典: 国交省 建設工事施工統計調査

電気通信工事業の完成工事高の推移(新系列2020-2024年度、元請・下請、兆円)

推計方法改定後の新系列。計は3.4〜3.6兆円で推移、2024年度は計約3.51兆円(元請比率59.8%)
単位: 兆円
元請下請
0.001.002.003.004.003.52203.44213.58223.39233.5124
出典: 国土交通省 建設工事施工統計調査 第2表(電気通信工事業 完成工事高、新系列2020-2024年度、元請・下請)
年度20202021202220232024
元請兆円2.051.941.851.982.10
下請兆円1.471.501.731.411.41
合計(兆円3.523.443.583.393.51
前年比-2.3%+4.0%-5.2%+3.5%
読み解き

電気通信工事業の完成工事高を、元請(発注者から直接受注)と下請(他社の工事を請け負う)に分けて積み上げたものです。推計方法改定後の新系列では、計(gross)が3.4〜3.6兆円規模で推移し、2024年度は約3.51兆円(3兆5,099億円)でした。前年度からは計で約3.5%増えています。

この計が、電気通信工事の施工規模を示す主な指標です。同じ業種の中で元請と下請を二重に数えたものではなく、業界が施工した工事の金額を表します。このうち発注者から直接請け負った元請(施主直請)は2024年度で2兆1,007億円(約2.10兆円)、直請比率は59.8%です。残りの下請は、ゼネコンなど他社が受注した工事の施工を請け負った分です。直請比率は2022年度に51.8%まで下がった後、直近は約60%へ戻っています。

なお、元請比率(直請比率)は、完成工事高のうち発注者から直接請け負った分の割合であって、特定の大手企業が市場の約6割を占めるという意味ではありません。また、電気通信工事を電気工事など他の建設業種と合算して建設業全体を見るときは、業種をまたいだ重複(電気通信の下請がゼネコンの元請にも計上される分)を避けるため元請ベースで足しますが、電気通信工事だけを見る本ページでは計が施工規模の指標になります。

参考: 電気通信工事業の完成工事高の推移(旧系列2003-2019年度、計、兆円)

2019年度以前の旧系列。2020年度の推計方法改定より前の数値で、上の新系列とは接続しない
単位: 兆円
0.000.751.502.253.002.31031.961.96052.102.252.291.822.08101.952.122.622.222.24152.422.332.242.3319
出典: 国土交通省 建設工事施工統計調査 第2表(電気通信工事業 完成工事高、旧系列2003-2019年度)
年度20032004200520062007200820092010201120122013201420152016201720182019
完成工事高(計)兆円2.311.961.962.102.252.291.822.081.952.122.622.222.242.422.332.242.33
読み解き

この折れ線は、2003〜2019年度の旧系列の完成工事高(計)です。国土交通省の建設工事施工統計は2020年度に推計方法が改定されており、この旧系列は上の新系列(2020年度以降、3.4〜3.6兆円規模)とは水準が接続しません。旧系列の2.33兆円(2019年度)から新系列の3.52兆円(2020年度)への段差は、実際の需要増ではなく推計方法の違いによるものです。両者を1本の連続した推移として読むことはできません

旧系列の範囲(2003〜2019年度)だけで見ると、完成工事高(計)は1.8〜2.6兆円規模で推移しました。2009年度の約1.82兆円(1兆8,153億円)を底に、2013年度の約2.62兆円(2兆6,249億円)が山で、2019年度は約2.33兆円でした。この期間はおおむね横ばい圏で、大きな趨勢的な伸びは見られません。

最新の水準は、上の新系列(2020年度以降)で見てください。旧系列はあくまで、統計の連続性が断たれる前の長期の参考として掲げています。

主要論点

完成工事高の「計」と「元請」は何を表すのか?

電気通信工事業の2024年度の完成工事高は、元請と下請を合わせた計で3兆5,099億円(約3.51兆円)です。この計が、電気通信工事の施工規模を示す主な指標です。同じ業種の中で元請と下請を二重に数えたものではなく、業界が実際に施工した工事の金額を表します。

このうち元請(施主直請)は、発注者から直接請け負った分で、2024年度は2兆1,007億円(約2.10兆円)、直請比率は59.8%でした。残りの下請は、ゼネコンなど他社が元請として受注した工事の施工を、電気通信工事業者が下請で請け負った分です。つまり計と元請の違いは、「施工規模の全体」と「そのうち発注者から直接請け負った分」の違いです。

なお、電気通信工事を電気工事など他の建設業種と合算して建設業全体の規模を見るときは、業種をまたいだ重複(電気通信の下請が、ゼネコンの元請完成工事高にも計上される分)を避けるため、元請ベースで足すのが一般的です。ただし電気通信工事だけを見る本ページでは、計が施工規模の指標になります。直請比率59.8%は、発注者から直接請け負った分の割合であって、大手3社が市場の約6割を占めるという意味ではありません。

2020年度の段差は、需要が増えたということか?

電気通信工事業の完成工事高は、旧系列(2003〜2019年度)では1.8〜2.6兆円規模、新系列(2020年度以降)では3.4〜3.6兆円規模と、2020年度を境に水準が大きく上がって見えます。しかし、これは実際に需要が急増したのではなく、統計の推計方法が2020年度に改定されたことによる段差です。

旧系列の2.33兆円(2019年度)と新系列の3.52兆円(2020年度)を1本の線でつなぐと、あたかも1年で大きく伸びたように見えますが、これは誤読です。推計方法が変わった年をまたいで、金額を単純に比較することはできません。

このため、通信工事の市場規模の推移を見るときは、新系列は新系列の中(2020年度以降)、旧系列は旧系列の中(2003〜2019年度)で比較する必要があります。本ページでも、新系列と旧系列を別のグラフに分けて掲げているのはこのためです。

大手3社の連結売上を足せば、通信工事の市場規模になるのか?

いいえ、なりません。NTT系の通信建設大手3社(コムシスホールディングス・エクシオグループ・ミライト・ワン)の連結売上を合算すると約1.86兆円(2025年3月期、約18,640億円)ですが、これを通信工事の市場規模とは見なせません。

第一に、各社の連結売上には通信工事以外の事業が広く含まれます。IT・システムソリューション、都市インフラ、環境など非通信工事の比重が大きく、通信工事コアは各社の連結の概ね2.5〜4割にとどまります。第二に、3社はあくまで全国1万6,523社ある電気通信工事業者のうちの3社で、業界全体ではありません。

電気通信工事の施工規模は、国交省の施工統計の完成工事高(2024年度で計3兆5,099億円、うち施主直請の元請2兆1,007億円)で捉えます。大手の連結売上や社数の合算を、市場規模の代わりに使わないのが基本です。

中期見通し

近未来1-2年

完成工事高は、最大の発注者であるNTTの設備投資動向に左右される局面が続きます。新系列では計3.4〜3.6兆円のレンジで推移しており、5G基地局やデータセンター、光ファイバ網の更新に伴う工事が受注を支えます。単年では、発注者の投資サイクルによって金額が上下します。

中期3-5年

中期では、データセンターの新設・増設と光ファイバ網の更新が需要の底流となります。生成AIの普及による計算資源の需要増が、大規模データセンターの通信・電源工事を押し上げる見通しです。防災行政無線や自治体のデジタル基盤といった公共の情報インフラ投資も、受注を下支えします。

長期5-10年

長期では、Beyond 5Gや次世代の通信インフラへの更新投資が、通信工事の裾野を広げると見られます。通信インフラは景気変動の影響を受けにくい一方、需要が発注者の投資サイクルに連動する点は変わりません。担い手の確保と省人化が、需要に応える力を左右します。

よくある質問

通信工事の市場規模はどれくらいですか?
電気通信工事業の2024年度の完成工事高は、元請と下請を合わせた計で3兆5,099億円(約3.51兆円)で、これが電気通信工事の施工規模を示す主な指標です(国交省 建設工事施工統計)。このうち発注者から直接請け負った元請(施主直請)は2兆1,007億円(約2.10兆円)で、直請比率は59.8%です。残りは、ゼネコンなど他社が受注した工事を下請で請け負った分です。
完成工事高の「計」と「元請」はどう違いますか?
計は、電気通信工事業者が元請として受注した工事と、下請として受注した工事の両方を合計した金額で、電気通信工事の施工規模を示します(同じ業種の中で二重に数えたものではありません)。このうち元請(施主直請)は発注者から直接請け負った分(2024年度で2兆1,007億円)、下請はゼネコンなど他社が受注した工事の施工を請け負った分です。なお、電気通信工事を他の建設業種と合算して建設業全体を見るときは、業種をまたいだ重複を避けるため元請ベースで足します。
なぜ2020年度で完成工事高の水準が変わっているのですか?
国交省の建設工事施工統計は、2020年度に完成工事高の推計方法が改定されました。このため電気通信工事業の完成工事高は、改定前の旧系列(2003〜2019年度、1.8〜2.6兆円規模)と、改定後の新系列(2020年度以降、3.4〜3.6兆円規模)で水準が直接つながりません。2019年度の2.33兆円から2020年度の3.52兆円への段差は、需要増ではなく推計方法の違いによるものです。
大手3社の売上を合計すれば市場規模になりますか?
いいえ、なりません。大手3社の連結売上を合算すると約18,640億円(約1.86兆円、2025年3月期)ですが、各社の連結にはIT・都市インフラ・環境など通信工事以外が広く含まれ、通信工事コアは概ね2.5〜4割です。しかも3社は全国1万6,523社のうちの3社にすぎません。電気通信工事の施工規模は、施工統計の完成工事高(2024年度で計3兆5,099億円)で捉えます。
通信工事業と電気工事業はどう違いますか?
電気通信工事業は、光ファイバ網・携帯基地局・構内LAN・データセンター・放送設備など、主に通信(弱電)に関わる設備の施工を担います。一方、電気工事業は、屋内配線・受変電・送配電など主に電力(強電)に関わる設備の施工を担う別の業種です。建設業の許可業種でも両者は分けられており、施工する設備の種類が異なります。

参考資料 / 一次ソース

  1. 1.
    国土交通省 建設工事施工統計調査(第2表 業種別 完成工事高)
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