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STRUCTURAL DETAIL · SUPPLY

化粧品の受託製造(OEM/ODM)と原料メーカー|供給側のプレイヤーと業界構造【2026年版】

化粧品は、ブランドメーカーが自社の工場ですべてを作るとは限りません。原料・成分メーカーが供給する素材をもとに、受託製造(OEM/ODM)の会社が製品を生産し、ブランドメーカーが企画・販売を担う分業が広がっています。とくに、自社工場を持たないD2Cブランドやインバウンド向けの新興ブランドの増加が、受託製造の活用を後押ししています。本ページでは、化粧品の供給側にあたる受託製造(OEM/ODM)と原料・成分メーカーのプレイヤーと構造を整理します。

受託製造(OEM/ODM)と原料・成分メーカーの主なプレイヤー

受託製造(OEM/ODM)と原料・成分メーカーが、ブランドメーカーの製品づくりを支える

化粧品の供給側は、原料・成分メーカーと受託製造(OEM/ODM)が、ブランドメーカーの製品づくりを支える構造です。ブランドメーカーが企画・販売に集中し、生産や素材の供給を専門の会社が担う分業が広がっています。

日本コルマーホールディングス(TOA)
特徴・強み
国内最大級の化粧品受託製造。スキンケア・ヘアケアに強み。2024年にトキワを買収
上場
非上場
トキワ
特徴・強み
アイメイクを中心としたメイクアップの受託製造。2024年に日本コルマーHDの傘下に
上場
非上場
日本色材工業研究所
特徴・強み
ファンデーション・口紅などメイクアップに強い受託製造(OEM/ODM)
上場
東証スタンダードに上場
AFC-HDアムスライフサイエンス
特徴・強み
健康食品と化粧品の受託製造(OEM)。自社工場での品質管理をうたう
上場
東証スタンダードに上場
東洋ビューティ/コスモビューティー ほか
特徴・強み
スキンケア・メイクなどの化粧品ODM/OEMを手がける受託製造各社
上場
非上場

受託製造(OEM/ODM)— ブランドに代わって生産する

受託製造は、ブランドメーカーに代わって化粧品を生産する事業です。OEMは相手先ブランドの製品を製造すること、ODMは企画・処方の開発から受託することを指します。ブランドが企画とマーケティングに集中し、生産を専門会社に任せる分業が広がっています。

国内では、日本コルマーホールディングス(TOA、旧 日本コルマー)がスキンケア・ヘアケアに強い国内最大級の受託製造会社で、2024年にトキワ(アイメイク中心)を買収しました。上場している受託製造会社には、メイクアップに強い日本色材工業研究所や、健康食品と化粧品を手がけるAFC-HDアムスライフサイエンスがあります。東洋ビューティコスモビューティーなど、非上場の大手も数多く、上場している会社は限られます。

受託製造の会社は、ブランドの企画を形にする処方開発や、安定した品質での量産を担います。化粧品の製造には、薬機法に基づく製造販売業の許可や、品質管理(GMP)の体制が必要です。こうした設備と体制を整え、複数のブランドの生産を安定して引き受けられることが、受託製造会社の強みになります。

原料・成分メーカー — 製品の素材を供給する

原料・成分メーカーは、化粧品の素材を供給します。水や油分を混ぜ合わせる界面活性剤、肌にうるおいを与える保湿成分、美白やエイジングケアなどをうたう機能性成分などを、受託製造会社やブランドメーカーに納めます。

原料には、汎用的な基礎原料から、効能・効果の訴求を支える機能性成分まで幅があります。とくに機能性成分は、製品の差別化の源泉となるため、国内外のさまざまなサプライヤーが開発にしのぎを削っています。海外の大手化学メーカーが供給する原料も多く、原料の調達は国内だけで完結しません。

主要論点

化粧品の受託製造(OEM/ODM)はなぜ広がっているのか?

受託製造が広がる背景には、自社工場を持たずにブランドを立ち上げる動きがあります。D2C(消費者直販)のブランドや、インバウンド需要を取り込む新興ブランド、小売業のプライベートブランドなどが増え、これらは生産設備を持たないため、受託製造の会社に製造を委託します。

ブランドにとって、受託製造を使うメリットは、初期投資を抑えて素早く製品を出せることです。工場を建てる代わりに、企画やマーケティング、ブランドづくりに資源を集中できます。受託製造の会社は、複数のブランドの生産をまとめて引き受けることで、設備を効率よく使い、品質を安定させます。

化粧品の種類が多様になり、製品の入れ替わりも速くなるなかで、企画と生産を分ける分業は今後も広がるとみられます。受託製造の業界では再編も進んでおり、2024年には日本コルマーホールディングスがトキワを買収し、国内で売上合計が約1,000億円規模となるグループが生まれました。

受託製造とブランドメーカーはどう役割を分けているのか?

ブランドメーカーと受託製造の会社は、企画・販売生産で役割を分けています。ブランドメーカーは、どんな製品を作るかを企画し、ブランドを育て、流通や販売を担います。受託製造の会社は、その企画を処方として形にし、安定した品質で量産します。ODMの場合は、処方や企画の開発の段階から受託製造の会社が関わります。

この分業は、化粧品の品質や安全性を支える仕組みでもあります。化粧品の製造には、薬機法に基づく製造販売業の許可や、品質管理(GMP)の体制が必要です。受託製造の会社は、こうした設備と体制を整え、複数のブランドの生産を引き受けることで、専門性を高めています。

一方で、ブランドメーカーのなかには、自社工場を持ち、研究開発から生産まで一貫して手がける会社もあります。資生堂や花王のような大手は、自社の生産と研究開発を強みとしており、生産を受託製造に委ねる新興ブランドとは異なる戦略をとっています。化粧品業界では、自社で一貫生産する大手と、受託製造を活用する新興ブランドが併存しています。

原料・成分メーカーは化粧品づくりでどんな役割を担うのか?

原料・成分メーカーは、化粧品の素材を供給する役割を担います。化粧品は、界面活性剤や保湿成分、機能性成分など、さまざまな原料を組み合わせて作られます。これらの原料を開発・供給するのが原料・成分メーカーです。

とくに重要なのが、機能性成分です。美白やエイジングケア、保湿などの効果の訴求は、配合する成分によって支えられます。新しい機能性成分は、製品の差別化の源泉となるため、原料メーカーは成分の研究開発に力を注いでいます。先端的な成分をうたう製品が増えるなかで、原料の競争力が製品の価値を左右する場面も多くなっています。

原料の調達は、国内のメーカーだけで完結するものではありません。海外の大手化学メーカーが供給する原料も多く、グローバルな調達網のなかで化粧品が作られています。原料の安定した調達と、機能性成分の開発が、供給側の課題となっています。

中期見通し

近未来1-2年

2026年にかけては、D2Cやインバウンド向けの新興ブランドの増加が、受託製造の需要を支える構図が続くとみられます。自社工場を持たずにブランドを立ち上げる動きが広がり、企画と生産を分ける分業が進みます。受託製造の業界では、設備や処方開発の力を高める動きが続きます。

中期3-5年

中期では、受託製造の業界で再編が進む可能性があります。2024年の日本コルマーホールディングスによるトキワの買収のように、規模を拡大して開発力や生産能力を高める動きが、今後も起こり得ます。原料・成分メーカーでは、機能性成分の開発競争が、製品の差別化を左右します。

長期

長期では、化粧品の種類の多様化や、ブランドの入れ替わりの速さが続くなか、企画と生産を分ける分業の構造が定着するとみられます。受託製造と原料・成分メーカーは、ブランドメーカーの製品づくりを支える供給側として、品質管理と成分開発の力を高めることが課題となります。

よくある質問

化粧品のOEMとODMの違いは何ですか?
OEMは、ブランドメーカーに代わってその相手先ブランドの化粧品を製造することを指します。ODMは、製造に加えて、企画や処方(中身の設計)の開発の段階から受託することを指します。ODMのほうが、受託製造の会社が関わる範囲が広く、企画力や開発力が問われます。
化粧品の主な受託製造(OEM/ODM)会社はどこですか?
国内最大級の受託製造会社は日本コルマーホールディングス(TOA、旧 日本コルマー)で、2024年にメイクアップに強いトキワを買収しました。上場している会社には、メイクアップに強い日本色材工業研究所や、健康食品・化粧品を手がけるAFC-HDアムスライフサイエンスがあります。東洋ビューティやコスモビューティーなど、非上場の大手も多く、上場している会社は限られます。
なぜブランドは自社で作らず受託製造を使うのですか?
自社工場を持たずにブランドを立ち上げられることが、大きな理由です。とくにD2Cブランドやインバウンド向けの新興ブランド、小売業のプライベートブランドは、生産設備を持たないため、受託製造を活用します。工場への投資を抑え、企画やマーケティングに資源を集中できる利点があります。
化粧品の原料・成分メーカーはどんな役割ですか?
界面活性剤や保湿成分、美白・エイジングケアなどをうたう機能性成分といった、化粧品の素材を供給する役割を担います。とくに機能性成分は、製品の差別化の源泉となるため、原料メーカーは成分の研究開発に力を注いでいます。海外の大手化学メーカーが供給する原料も多く、原料の調達はグローバルに行われます。
受託製造の市場規模はどれくらいですか?
化粧品の受託製造(OEM/ODM)に絞った市場規模は、公的な統計では確立した数字が公表されていません。化粧品市場全体(メーカー出荷ベース)は約2.6兆円で、受託製造や原料・成分メーカーはこの市場を供給側から支えています。本ページでは、市場規模ではなく、供給側のプレイヤーと構造を整理しています。

参考資料 / 一次ソース

  1. 1.
    各受託製造会社の会社情報・業界報道(2024-2025年)
  2. 2.
    経済産業省 令和6年度「化粧品におけるOEM/ODM/原料製造の市場動向」(調査報告書)
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