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法人融資・中小企業金融|業種14区分別貸出残高と地銀協61行のシェア、2026年企業価値担保権の影響【2026年版】

日本の法人融資市場は、全国銀行92行連結貸出703兆円の中で業種・規模・地域の3軸で構成されています。地銀協61行業種別データでは2025Q4の総額が257兆円で、海外貸出・物品賃貸業・金融保険業・製造業・個人等の14業種に分かれ、5年前の213兆から+43兆へ拡大しました。2026年5月導入の企業価値担保権が事業全体を担保化する新制度として中小企業金融を変える転換点を、本ページで整理します。

全国銀行 連結 貸出
703兆円
FY2024、FY2020の601兆から+17%拡大
出典: 全国銀行協会 全国銀行 総合連結財務諸表 (FY2024、92行連結) 貸出残高
地銀協61行 業種別合計
257兆円
2025Q4、14業種、5年前比+43兆
出典: 全国地方銀行協会 業種別貸出金 (61行、2025Q4、14業種)
預貸率FY2024
68%
貸出703兆 ÷ 預金1037兆、預金の運用効率指標
出典: 全国銀行協会 全国銀行 総合連結財務諸表 (FY2024、貸出・預金)
不良債権簡易代理
0.7%
引当金÷貸出残の概算、実際の業界公式NPL比率 (約1.0%) と整合
出典: 全国銀行協会 全国銀行 総合連結財務諸表 (FY2024、引当金・貸出)

業種14区分の特性と地銀協61行の貸出シェア (2025Q4)

海外・リース・金融・製造・個人等の主要業種別役割分担
区分名称時期ステージ定義
海外貸出最大シェア2025Q4 75.4兆正式名「海外円借款・国内店名義現地貸」、75.4兆円 (地銀協合計の29%)。地銀の海外展開と現地法人融資が拡大しており、5年前比で+9.8兆の伸びです。
物品賃貸リース業2025Q4 45.8兆45.8兆円 (18%)。設備リース・オペレーティングリースを中核とする物品賃貸業向け融資が拡大し、企業の資産管理戦略の変化を反映しています。
製造業基幹産業2025Q4 25.8兆25.8兆円。日本経済の基幹産業向け融資で、自動車・電機・化学等の大企業から中小企業まで幅広い融資先です。5年前比で微増トレンドの推移は製造業の構造変化を反映しています。
個人 (住宅ローン含む)個人融資2025Q4 20.5兆20.5兆円。住宅ローン・カードローン・教育ローン等の個人向け融資で、住宅ローンページで詳述した住宅ローン市場との関連が強い領域です。
金融業・保険業金融機関間融資2025Q4 16.7兆16.7兆円。銀行間融資・ノンバンク向け融資・保険会社運用支援等の金融機関間取引で、5年前比で大きく拡大しています。
読み解き

地銀協61行業種別14区分の特徴は、海外貸出と金融機関間融資の急成長です。5年前 (2020Q4) 比で総額+43兆の拡大のうち、海外関連と金融保険業と物品賃貸業が主要な押し上げ要因です。一方、製造業と個人融資は微増ないし横ばいで、伝統的な国内産業向け融資が比重を下げる構造変化が進んでいます。

中小企業金融の主体は地銀・第二地銀・信金と政府系金融 (日本政策金融公庫・商工中金・DBJ) で、地域経済プラットフォームとしての銀行業の役割が中期的に重要性を増します。業態構造ページで定義したリレーションシップバンキングと、2026年5月導入の企業価値担保権 (事業全体を担保化する新制度で、不動産担保に依存しない事業性融資を促進する仕組み) が組み合わさることで、中小企業金融の在り方が変わる転換点にあります。

地銀協61行 業種別貸出残高 (2025Q4、14区分)

総額257兆円の業種内訳
単位: 兆円14 カテゴリ・合計 256.6
0.0020.040.060.080.075.4海外貸出45.8物品賃貸25.8製造業20.5個人16.7金融保険12.9卸売10.6運輸郵便8.70鉱業8.30地方公共8.30小売8.20サービス業7.00電ガス熱水6.80不動産1.60情報通信
出典: 全国地方銀行協会 業種別貸出金 (61行、2025Q4) 14業種別残高
カテゴリ海外貸出物品賃貸製造業個人金融保険卸売運輸郵便鉱業地方公共小売サービス業電ガス熱水不動産情報通信
兆円75.4045.8025.8020.5016.7012.9010.608.708.308.308.2076.801.60
シェア29.4%17.8%10.1%8.0%6.5%5.0%4.1%3.4%3.2%3.2%3.2%2.7%2.7%0.6%
読み解き

地銀協61行2025Q4業種別貸出257兆円のうち、上位5業種で総額の約72%を占有しています。海外貸出75.4兆、物品賃貸業45.8兆、製造業25.8兆、個人20.5兆、金融保険業16.7兆が主要5業種で、これに建設・採石業、商業、運輸業、サービス業等の中規模業種が続きます。

業種別シェアの読み方として、地銀協61行は地域経済プラットフォームとしての性質上、製造業・商業・運輸・建設等の地域基幹産業向け融資が地銀シェアを支えています。海外貸出・物品賃貸業・金融保険業の伸びは、大手地銀 (横浜・千葉・ふくおか・静岡等) の広域業務拡大を反映しています。

このグラフに関連するトピック

主要4業種5年推移 (地銀協61行、2020Q4-2025Q4)

製造業・物品賃貸業・海外・金融保険業の年次推移
単位: 兆円
製造業物品賃貸業海外貸出金融保険業
0.0050.0100.0150.0200.0131.9N135.6N141.8N148.6N155.9N163.7N
出典: 全国地方銀行協会 業種別貸出金 (61行、2020Q4-2025Q4) 主要4業種
年度2020Q42021Q42022Q42023Q42024Q42025Q4
製造業兆円2322.3023.2023.7024.6025.80
物品賃貸業兆円34.2036.9038.7040.5042.9045.80
海外貸出兆円65.6066.5068.5070.6072.9075.40
金融保険業兆円9.109.9011.4013.8015.5016.70
合計(兆円131.90135.60141.80148.60155.90163.70
前年比+2.8%+4.6%+4.8%+4.9%+5.0%
読み解き

5年で主要4業種は132.0兆から163.7兆へ拡大しました。海外貸出の伸びが最大の+9.8兆、次いで物品賃貸業+11.5兆、金融保険業+7.5兆、製造業+2.8兆と緩やかな伸びで、地銀協の業種ポートフォリオがグローバル化と金融化方向へシフトしている構造を示しています。

4業種の合計シェアは地銀協全体の約64%で、この4業種の動向が地銀協全体の融資トレンドを主に決定しています。中期的には金利環境ページで詳述した政策金利上昇局面で、物品賃貸業のリース料率調整、海外貸出の米国景気変動への感応度、金融機関間融資の流動性管理等が論点となります。

このグラフに関連するトピック

全国銀行92行連結貸出5年推移 (FY2020-FY2024)

92行連結ベース、メガバンク3グループ+地銀+第二地銀+信託等の合算
単位: 兆円
0.00200.0400.0600.0800.0601.020622.021648.022682.023703.024
出典: 全国銀行協会 全国銀行 総合連結財務諸表 (FY2020-2024、92行連結) 貸出残高
年度20202021202220232024
兆円601622648682703
前年比
読み解き

全国銀行92行連結貸出はFY2020の601兆からFY2024の703兆へ+102兆 (+17%) 拡大しました。これは地銀協61行業種別合計+43兆を含む全業態の貸出拡大を反映しており、メガバンク3グループ・地銀・信託等の各業態が並行して融資ボリュームを伸ばした構造です。

預貸率 (貸出÷預金) はFY2024で68%で、預金1037兆に対する貸出運用が約68%の効率です。残り約32%は有価証券運用・日銀預金・コール市場運用に振り分けられます。不良債権簡易代理0.7%は業界公式NPL比率約1.0%と整合し、銀行業界の信用リスク管理が機能していることを示しています。中期的には政策金利上昇局面で中小企業の倒産増加リスクと、収益構造ページで詳述した与信費用増加への対応が重要論点となります。

主要論点

中小企業金融はどう変わるか?

2026年5月導入の企業価値担保権 (事業全体を担保化する新担保制度で、不動産担保に依存しない事業性融資を促進する仕組み) が、中小企業金融の構造を変える可能性が大きい論点です。従来の中小企業融資は不動産担保と経営者保証が主流で、これが融資ボリュームを制約してきました。

変化は3軸で進みます。①動産担保融資 (在庫・機械・売掛金等の動産を担保) と企業価値担保 (事業全体) の活用で担保不足企業への融資拡大となる担保概念の拡張、②2020年代から経営者個人保証なし融資が拡大しており、企業価値担保権で更に加速する経営者保証ガイドライン、③日本政策金融公庫・商工中金・日本政策投資銀行 (DBJ) が中小企業向けで補完する政府系金融との役割分担、です。

業界戦略への示唆: 地銀協61行は業態構造ページで定義したリレーションシップバンキングを活かして企業価値担保権の運用に強みがあり、メガバンク3グループはシステム+データ分析で広域展開、信金は地域職域特化型を維持、と業態別の戦略差が明確化します。中期で中小企業融資ボリュームは拡大が見込まれ、特に成長企業向け融資が伸びる構造です (中小企業庁 中小企業白書 + 金融行政方針2025地域金融力強化プラン参照) 。

海外貸出は今後どこまで拡大するか?

地銀協61行の海外貸出は2020Q4の66兆から2025Q4の75兆へ+10兆拡大しており、最大の伸び要因です。大手地銀 (横浜・千葉・ふくおか・静岡等) の海外現地法人融資、アジア事業向け融資、日系企業の海外進出支援が主要な内訳です。

論点は3つあります。①米国FFレート4-5%局面で外貨建て利息収入の伸びが寄与し、Fed利下げ局面で縮小する米国景気変動の影響、②タイバーツ・インドネシアルピア・ベトナムドン等の通貨変動が地銀の海外貸出収益に直結する新興国通貨変動リスク、③バーゼルIIIと収益構造ページで詳述した経済価値ベース評価で海外貸出への自己資本要求が増加し、地銀の海外戦略を制約する規制対応、です。

業界戦略への示唆: メガバンク3グループは引き続き海外貸出の中核プレイヤーで、地銀協はシェア限定的ですが大手地銀の海外戦略は中期成長ドライバーになります。中期で地銀協海外貸出は75兆からの拡大シナリオもあり得ますが (各社中期計画と地銀協 海外業務統計参照) 、米国景気変動と新興国情勢で振れる局面が継続します。

業種別ポートフォリオ最適化はどう進むか?

地銀協61行業種別14区分の構成は、海外・リース・金融保険業の拡大と、製造業・個人の停滞という二極化が進行中です。中期的には業種別ポートフォリオの最適化が銀行業の競争軸となります。

最適化は4軸で進みます。①製造業・不動産業の与信費用率は中期で上昇可能性があり、海外・金融保険業は安定する業種別与信費用率、②物品賃貸業・金融保険業の利ざやが高く、製造業・個人は競争激しく利ざや縮小する業種別採算性、③不動産業向け融資は規制が厳しく、商業・サービス業は緩い業種別規制対応、④製造業・電気ガス業向け融資にカーボンニュートラル対応の評価が組み込まれる業種別グリーン要件、です。

業界戦略への示唆: 中期で地銀協業種別ポートフォリオは、海外・リース・金融保険業・サービス業を重点とし、製造業と個人融資はメガバンク3グループ+ネット銀行に依存する傾向です。一方、地域経済貢献の観点で地元製造業・地方公共団体向け融資は維持され、業態別の役割分担がより明確になる構造変化が進みます。

中期見通し

近未来1-2年

2026-2027年は2026年5月の企業価値担保権導入と、政策金利0.5%起点の追加利上げが法人融資市場を活性化する局面です。中小企業金融が新制度で拡大し、地銀協と信金の地域企業向け融資ボリュームが+5-10%増加する見込み。一方、政策金利上昇で中小企業の倒産増加リスクと与信費用増加の局面に入る可能性も並行で発生します。

中期3-5年

2028-2030年は企業価値担保権とDXによる事業性融資のスタンダード化が進む局面です。担保不足企業と成長企業向け融資が+20-30%拡大し、業種別ではIT・ヘルスケア・グリーンエネルギー等の成長業種が新たな主要業種になります。米国景気減速局面で海外貸出収益が縮小し、メガバンク3グループと地銀の業種別ポートフォリオ最適化が本格化します。

長期5-10年

2030年以降は地域経済プラットフォームとしての銀行業が中小企業金融の中核となる局面です。地銀協と信金がリレーションシップバンキング・企業価値担保権・動産担保融資を組み合わせた地域企業向け事業性融資パッケージで差別化し、メガバンク3グループはシステム+データ分析の大規模融資で並走します。収益構造ページで詳述した経済価値ベース評価の導入で業種別・担保別の精緻なリスク評価が標準化し、銀行業のリスク管理が高度化する局面です。

よくある質問

法人融資と個人融資の違いは?
法人融資 (企業の事業資金需要に応える銀行融資で、運転資金・設備資金・大型案件融資等を含む) は、住宅ローン・カードローン・教育ローンの個人融資より大型・長期で、企業の事業性評価と担保評価が必須です。FY2024全国銀行92行連結貸出703兆円は法人融資+個人融資の合計で、両者の正確な按分は国内と海外子会社の業態別等の集計対象差を含むため本ページの射程外、個人融資詳細は住宅ローンページを参照ください。本ページでは地銀協61行業種別14区分 (法人+個人融資の業種別) で詳細を整理しています。
中小企業と大企業の融資の違いは?
中小企業 (中小企業基本法に基づく分類で、業種により従業員数・資本金で定義) 向け融資は、業態構造ページで定義したリレーションシップバンキングを活かした地銀と信金が中核です。大企業 (上場企業や大手非上場で従業員1,000人超等) 向けはメガバンク3グループと大手地銀のシンジケートローン・社債引受等が中心です。中小企業金融では不動産担保と経営者保証が伝統的でしたが、2026年5月の企業価値担保権導入で事業性融資が拡大する転換点にあります。
企業価値担保権とは何ですか?
企業価値担保権は、2026年5月導入予定の新担保制度で、事業全体を担保化することで不動産担保に依存しない事業性融資を促進する仕組みです。従来の不動産担保と経営者保証から、企業の事業価値 (収益力・顧客基盤・ブランド・人材等) を担保化することで、担保不足企業と成長企業への融資が拡大する設計となっています。動産担保融資 (在庫・機械・売掛金等の動産を担保とする融資) と組み合わさり、中小企業金融の構造が変わる転換点となります。
不良債権とは何ですか?
不良債権 (元利金支払いが滞り回収困難な貸出債権で、銀行が分類する債権) は、貸出ボリュームの健全性を測る指標です。本ページの不良債権簡易代理0.7%は引当金÷貸出残の概算で、業界公式NPL比率約1.0%と整合します。米国景気減速局面と政策金利上昇に伴う中小企業の倒産増加で不良債権が増加するリスクがあり、収益構造ページで詳述した銀行業の与信費用を直接押し上げる要因として中期論点となります。
業種別貸出残高で何が分かりますか?
地銀協61行業種別14区分 (2025Q4総額257兆円) は、日本経済の産業構造変化を銀行融資の側面から映す指標です。直近5年で海外貸出・物品賃貸業・金融保険業が大きく伸長し、製造業と個人融資は停滞トレンドで、伝統的な国内産業向け融資から海外・リース・金融化方向へのシフトが進行しています。中期ではIT・ヘルスケア・グリーンエネルギー等の成長業種が新たな主要業種となる構造変化が想定されます。

参考資料 / 一次ソース

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