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銀行業界の市場規模と主要KPI|全国銀行連結の預金・貸出と家計金融資産の構造【2026年版】

日本の銀行業界はFY2024連結ベースで預金1037兆円、貸出金703兆円、経常利益7.1兆円の規模です。2024年3月のマイナス金利解除以降の収益拡大局面で、家計金融資産2351兆円のうち48.49%が現金・預金として滞留する貯蓄超過構造が銀行業の事業基盤となっています。市場規模・業態別構造・家計金融資産の内訳・都道府県集中度を順に整理します。

FY2024 預金 (連結)
1037兆円3.4% YoY
全国銀行92行連結、FY2020の914兆から+13.5%
出典: 全国銀行協会 全国銀行 連結BS/PL (FY2020-2024、92行連結)
FY2024 貸出金 (連結)
703兆円
預貸率は67.7% (貸出÷預金×100)、預金の運用効率を示す指標です
出典: 全国銀行協会 全国銀行 連結BS/PL (FY2020-2024、92行連結)
FY2024 経常利益 (連結)
7.1兆円
5年で約2.5倍 (FY2020はコロナ反動の特異点)、純利益は5.2兆円
出典: 全国銀行協会 全国銀行 連結BS/PL (FY2020-2024、92行連結)
家計金融資産
2351兆円
2025/12末速報、現預金48.49% (1140兆円) が銀行業の中核資金源
出典: 日本銀行 資金循環統計 (2025/12末速報)

全国銀行連結 預金の5年推移 (FY2020-2024、92行合算)

貸出金・経常利益・純利益は本文で詳述
単位: 兆円
0.00375.0750.01125.01500.0914.020949.0+3.9%21983.0+3.5%221021.0+3.9%231037.0+1.6%24
出典: 全国銀行協会 全国銀行 連結BS/PL (FY2020-2024、92行連結合算)
年度20202021202220232024
値(兆円9149499831,0211,037
前年比+3.9%+3.5%+3.9%+1.6%
読み解き

直近5年で全国銀行連結預金は914兆円から1037兆円 (+13.5%) へ、貸出金も601兆円から703兆円 (+17%) と緩やかに拡大してきました。背景は家計の貯蓄超過と企業の手元流動性確保で、コロナ禍FY2020の経済対策融資が貸出を、給付金等が預金を一時的に押し上げた局面を含みつつ、構造的な伸長基調が継続しています。

経常利益と純利益は大きく拡大しています。経常利益はFY2020の2.9兆円からFY2024の7.1兆円へ約2.5倍 (FY2020はコロナ反動の特異点)、純利益も2.2兆円から5.2兆円と倍増しました。マイナス金利解除が大きな転機となり、預貸金利ざやの回復と海外金利高による外貨建て利息収入の伸びが、三菱UFJ FG・三井住友FG・みずほFGのメガバンク3グループを中心に銀行業界全体の収益を押し上げています。

業態別 預金規模の比較 (直近確定値)

都市銀行 (推計) ・地銀協61行・第二地銀協34行・信託銀行 (協会会員)
単位: 兆円4 カテゴリ・合計 1037.6
0.00150.0300.0450.0600.0549.0都銀337.0地銀協61行80.3信託銀行71.3第二地銀協34行
出典: 全国銀行協会 全国銀行 連結BS/PL (FY2024)、全国地方銀行協会 預貸金統計 (2025Q4)、第二地方銀行協会 月次主要勘定 (2026/2)、信託協会 信託統計便覧 (2025/9末)
カテゴリ都銀地銀協61行信託銀行第二地銀協34行
値(兆円54933780.3071.30
シェア52.9%32.5%7.7%6.9%
読み解き

銀行業態別の預金規模は、都市銀行 (メガ3+りそな等、推計549兆円) が突出しています。続いて地銀協61行337兆円、第二地銀協34行71.3兆円、信託銀行 (協会会員) 80.3兆円の階層です。都銀推計値は全国銀行連結1037兆円から地銀・第二地銀・信託を差し引いた残余で、メガバンク3グループのFY2024連結預金合計551兆円 (MUFG229兆+SMFG164兆+みずほ159兆) とりそな・埼玉りそな等の合算とおおむね整合します。ゆうちょ銀行 (預金約190兆円、個人預金中心) は全銀協加盟外でこのグラフの範囲外、別カテゴリとして並列に存在します。

家計金融資産2351兆円の内訳 (2025/12末速報)

項目残高 (兆円)構成比シェア
現金・預金1,14048.5%
保険・年金・定型保証58124.7%
証券 (債務証券+株式・投資信託)54123.0%
その他893.8%
合計2,351100.0%
読み解き

ここでの証券は債務証券と株式・投資信託の合算、新NISAは2024年1月開始の改正された少額投資非課税制度を指します。家計の金融資産2351兆円のうち現金・預金が1140兆円 (48.49%) と最大カテゴリで、銀行業の中核資金調達源となっています。保険・年金581兆円 (24.71%)、証券541兆円 (23.01%) が並びます。直近では現預金比率が18年ぶりに50%を割り込み、新NISA開始以降は若年層を中心に「貯蓄から投資へ」のシフトが進行中です。銀行業への影響は二面的で、預金調達面の縮小懸念と投信・保険販売手数料 (役務収益) の拡大機会が並存し、メガバンクグループは「資産運用立国」戦略下で資産運用ビジネス強化を表明しています。

都道府県別 預金 上位10 (国内銀行、2025/3末)

47都道府県合計1000兆円のうち上位10を表示
単位: 兆円10 カテゴリ・合計 728.8
0.00100.0200.0300.0400.0374.4東京82.1大阪52.5神奈川50.1愛知37.7埼玉36.5千葉29.7福岡28.1兵庫20.7北海道17.0静岡
出典: 日本銀行 都道府県別預金・現金・貸出金 (国内銀行、2025/3末)
カテゴリ東京大阪神奈川愛知埼玉千葉福岡兵庫北海道静岡
値(兆円374.4082.1052.5050.1037.7036.5029.7028.1020.7017
シェア51.4%11.3%7.2%6.9%5.2%5.0%4.1%3.9%2.8%2.3%
読み解き

都道府県別の預金分布は東京都に374兆円が集中し、47都道府県合計の37.5%を占める都市集中型の構造です。続いて大阪82.1兆、神奈川52.5兆、愛知50.1兆、埼玉37.7兆と続き、上位5都道府県で全国の59.7%、上位10都道府県で72.9%を占有しています。東京の集中度は金融機関の本部所在地効果 (法人預金の集中) と首都圏家計の所得・資産集中の両面が反映されたものです。地方銀行61行の存在が地域金融の厚みを担保しており、上位10以外の37都道府県でも預金271兆円規模の地域金融市場が成立しています。

主要論点

マイナス金利解除後の利ざや拡大局面はいつまで続くか?

2024年3月のマイナス金利解除以降、政策金利は0.0-0.1% → 0.25% → 0.5%と段階利上げが進み、貸出金利息と有価証券利息を中心とする資金運用収益がFY2020の9.6兆円からFY2024の27.0兆円へ約3倍に伸長しました。全国銀行連結経常利益も2.9兆円から7.1兆円へ約2.5倍に拡大しており、貸出利回りと預金利回りの差である「預貸金利ざや」の回復と、海外金利高による外貨建て利息収入の伸びが寄与した形です。

一方、利ざや拡大の持続性には3つの逆風が見えます。①政策金利の上昇余地は2026年以降の追加利上げが消費者物価指数と賃金上昇率次第で、累計0.75-1.0%で頭打ちとなる可能性。②時価が取得原価を下回る「評価損リスク」は全国銀行有価証券残高267兆円のうち国債等の保有が金利上昇で評価損を抱える可能性で、日銀金融システムレポートが半期ベースで分析しています。③メガバンクグループの海外貸出残高拡大に伴う「与信費用」(貸倒に備える引当金繰入と償却) の振れも逆風となります。

業界戦略への示唆: 短期2025-2026年は利ざや拡大が継続する見通しですが、中期2027-2029年は①金利上昇局面の終息、②有価証券評価損の表面化、③米国景気変動の波及により、利益水準はFY2024ピーク比で減益圧力に直面し得ます。各メガが「資産運用立国」(政府が家計資産を貯蓄から投資へシフトさせる戦略で2024年新NISA開始が中核) の下で、投信・保険販売手数料やM&Aアドバイザリー等の役務収益のウェイトを高める動きは、利ざや依存からの脱却の試みと位置付けられます。

メガバンクグループの集中構造 (純利益76%占有) は今後どう変化するか?

FY2024のメガバンクグループMUFG・SMFG・みずほFGの合計 親会社株主に帰属する当期純利益は3.9兆円で、内訳はMUFG1.9兆+SMFG1.2兆+みずほ0.9兆です。全国銀行92行純利益5.2兆円の約76%を占有しています。FY2020時点では合計1.76兆円で全国銀行2.21兆円の約80%だったため、5年で占有率はやや低下し地銀の利益寄与が回復しましたが、絶対的な集中構造は維持されています。

背景は3つあります。①規模の経済として、連結預金550兆円超でIT投資・グローバル連結与信管理・コンプライアンス体制の差が地銀との差を拡大。②海外業務の収益寄与として、国内市場が成熟する中でメガバンクグループはアジア・米州の海外貸出残高で成長機会を確保。③手数料ビジネスの先行で、投信窓販・保険販売・M&AやSustainable Finance (ESGに配慮した資金提供) で地銀をリードしています。

一方、地銀には地域密着の「リレーションシップバンキング」(地域企業との長期的関係を通じて定性情報を活用する融資手法) と地域経済貢献という固有の役割があり、すべて吸収されることはない構造です。地銀協61行預金337兆円、第二地銀協34行71.3兆円という地域金融の厚みは、2026年5月導入予定の「企業価値担保権」(事業全体を担保にした新たな担保制度) や地域金融力強化プラン (金融行政方針2025) で再評価される局面にあります。

業界戦略への示唆: 中期論点は①地銀再編のスピードで、統合は加速するが完全吸収ではなく3-5行規模の広域地銀グループへの再編が現実的シナリオ。②信託銀行・ゆうちょ・ネット銀行との業態間競争で、信託受託残高187兆円を持つ三井住友トラストやネット銀行口座1,763万の楽天が新たな競争軸。③金融行政方針の「経済価値ベース評価」(時価ベースで自己資本を評価する新基準) の導入で、含み益・含み損の振れが大きい銀行のリスク評価が変わる可能性があります。

家計現預金1,140兆円のシフトは銀行収益にどう響くか?

家計金融資産2351兆円のうち現預金1140兆円 (48.49%) が銀行業の中核資金調達源です。2024年1月開始の「新NISA」(改正された少額投資非課税制度で年間360万円までの非課税投資枠) が転機となり、初年度に約12兆円の家計資金が投資信託に流入、年間1,800万人超の口座開設で「貯蓄から投資へ」のシフトが本格化しました。現預金比率は18年ぶりに50%を割り込み現在48.49%となり、20-40代の若年層を中心に投信保有が広がっています。

シフトの4つの軸は次のとおりです。①新NISAの長期インパクトで、5年累計で50-80兆円規模の現預金から投信への流入の可能性。②金利上昇による預金魅力の変化で、政策金利0.5%で普通預金0.2%水準と定期預金へのシフトが起きやすい局面。③インフレ環境では、物価上昇2-3%継続なら現預金の実質目減りが顕在化。④退職世代の運用ニーズで、65歳超が金融資産の約60%を保有し、運用と取崩しのバランスがマクロ的に重要となります。

業界戦略への示唆: 銀行業への影響は二面的で、預金調達コスト面では定期預金金利上昇と預金量縮小によるマイナスが働きますが、投信・保険販売手数料・運用助言ビジネスの拡大機会がプラスに働きます。メガバンクグループと信託銀行は資産運用立国戦略下で資産運用ビジネス強化を表明し、預金・運用・販売を統合する「銀証信一体運営」(銀行・証券・信託の3業を1グループで連携運営する形態) が今後の競争軸となります。地銀にとっては地域密着の運用助言と相続・事業承継絡みの信託機能が差別化要因として浮上する局面です。

中期見通し

近未来 1-2年

2026-2027年はマイナス金利解除以降の利ざや拡大局面が継続する見通しで、政策金利0.5%を起点に経済・物価指標次第で追加利上げが議論される局面に入ります。全国銀行連結経常利益はFY2024の7.1兆円水準を維持または微増、メガバンクグループはFY2025通期予想で純利益+5-10%を見込む状況です。一方、地銀再編と地域金融力強化プランの本格運用 (2026年度〜)、企業価値担保権の2026年5月導入など制度面の変化が現実に効きはじめる時期となります。

中期 3-5年

2028-2030年は政策金利の上昇余地が逓減し、利ざや拡大の伸びは鈍化、有価証券含み損リスクと海外景気変動の影響が表面化する可能性があります。家計現預金シフトの累積効果で銀行預金量が1,050-1,080兆円のレンジに踊り場入りし、その分役務収益 (投信・保険販売・M&A・Sustainable Finance) のウェイトが上昇する構造変化が進みます。地銀再編は3-5行規模の広域地銀グループへの統合が複数進む見通しで、ネット銀行 (住信SBIドコモ統合2026/8) との業態間競争も継続します。

長期 5-10年

2030年以降は家計金融資産2,400-2,600兆円規模での運用ビジネスの本格拡大が銀行業の収益構造を変える局面に入ります。預金 (低金利調達) と運用助言 (フィー収益) のバランスで銀証信一体運営のメガと信託大手、中堅準大手 (りそな・ふくおか・コンコルディア等) の階層が再編されます。バーゼルIII経済価値ベースの自己資本比率評価が導入されれば、含み損益の振れが大きい銀行のリスク評価が転換し、ESG関連の融資 (Sustainable Finance) と企業価値担保権を活用した事業性融資が新たな収益源として期待される局面となります。

よくある質問

日本の銀行業界の市場規模はどれくらいですか?
FY2024の全国銀行92行連結ベースで預金1037兆円、貸出金703兆円、経常利益7.1兆円、当期純利益5.2兆円です。FY2020比で預金+13.5%、経常利益は約2.5倍 (FY2020はコロナ反動の特異点) と、マイナス金利解除以降の収益拡大局面が顕著です。家計金融資産2351兆円のうち48.49% (1140兆円) が現金・預金として銀行系金融機関に滞留しています。
なぜFY2020→FY2024で経常利益が約2.5倍に拡大したのですか?
主因は2024年3月のマイナス金利政策解除 (政策金利-0.1% → 0.0-0.1% → 0.25% (2024/7) → 0.5% (2025/1)) です。預貸金利ざやが回復し、資金運用収益はFY2020の9.6兆円からFY2024の27.0兆円へ約3倍に拡大しました。海外金利の高水準と海外貸出残高の伸びがメガバンクグループの収益を押し上げ、業界全体の純利益は2.2兆円から5.2兆円へ倍増しています。
業態別の預金規模はどう違いますか?
直近確定値で都市銀行 (メガ3+りそな等、推計) 549兆円 (FY2024) / 地方銀行 (地銀協61行) 337兆円 (2025Q4) / 第二地方銀行 (第二地銀協34行) 71.3兆円 (2026/2) / 信託銀行 (協会会員) 80.3兆円 (2025/9末) の階層構造で、集計時点が業態によって異なります。これに加えてゆうちょ銀行が単独で約190兆円の預金を保有 (個人預金中心) し、信用金庫 (約165兆円) や信用組合等の協同組織金融機関も並列に存在します。
家計金融資産の内訳は?
日本銀行 資金循環統計2025/12末速報によれば、家計金融資産は2351兆円です。内訳は現金・預金1140兆円 (48.49%)、保険・年金・定型保証581兆円 (24.71%)、証券 (債務証券+株式・投資信託) 541兆円 (23.01%)、その他89兆円。新NISA開始 (2024年1月) 以降、現預金比率は18年ぶりに50%を割り込みました。
都道府県別の預金分布はどう偏っていますか?
2025/3末の日本銀行 都道府県別預貸金統計 (国内銀行ベース) によれば、東京都に374兆円が集中し、47都道府県合計の37.5%を占める都市集中型の構造です。続いて大阪82.1兆、神奈川52.5兆、愛知50.1兆、埼玉37.7兆と続き、上位5都道府県で全国の59.7%を占有しています。金融機関の本部所在地効果 (法人預金集中) と首都圏家計の所得・資産集中の両面が反映されたものです。
データ出典
出典: 全国銀行協会 全国銀行 連結BS/PL (FY2020-2024、92行連結) / 全国地方銀行協会 預貸金統計 (2019Q1-2025Q4) / 第二地方銀行協会 月次主要勘定 (2024/11-2026/2) / 信託協会 信託統計便覧 / 日本銀行 都道府県別預金・現金・貸出金 (国内銀行、2025/3末) / 日本銀行 資金循環統計 (2025/12末速報) / 日本銀行 マネーストック統計・2026年5月アクセス
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