マイナス金利解除後の利ざや拡大局面はいつまで続くか?
2024年3月のマイナス金利解除以降、政策金利は0.0-0.1% → 0.25% → 0.5%と段階利上げが進み、貸出金利息と有価証券利息を中心とする資金運用収益がFY2020の9.6兆円からFY2024の27.0兆円へ約3倍に伸長しました。全国銀行連結経常利益も2.9兆円から7.1兆円へ約2.5倍に拡大しており、貸出利回りと預金利回りの差である「預貸金利ざや」の回復と、海外金利高による外貨建て利息収入の伸びが寄与した形です。
一方、利ざや拡大の持続性には3つの逆風が見えます。①政策金利の上昇余地は2026年以降の追加利上げが消費者物価指数と賃金上昇率次第で、累計0.75-1.0%で頭打ちとなる可能性。②時価が取得原価を下回る「評価損リスク」は全国銀行有価証券残高267兆円のうち国債等の保有が金利上昇で評価損を抱える可能性で、日銀金融システムレポートが半期ベースで分析しています。③メガバンクグループの海外貸出残高拡大に伴う「与信費用」(貸倒に備える引当金繰入と償却) の振れも逆風となります。
業界戦略への示唆: 短期2025-2026年は利ざや拡大が継続する見通しですが、中期2027-2029年は①金利上昇局面の終息、②有価証券評価損の表面化、③米国景気変動の波及により、利益水準はFY2024ピーク比で減益圧力に直面し得ます。各メガが「資産運用立国」(政府が家計資産を貯蓄から投資へシフトさせる戦略で2024年新NISA開始が中核) の下で、投信・保険販売手数料やM&Aアドバイザリー等の役務収益のウェイトを高める動きは、利ざや依存からの脱却の試みと位置付けられます。