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葬儀業界の主要企業|上場各社の業績と事業の広がりを比較【2026年版】

葬儀業界の上場企業は、葬儀を専業とする燦ホールディングスとティア、冠婚葬祭互助会を母体とするサン・ライフホールディング、葬儀社への送客や火葬場、墓石を手がける隣接の3社に分かれます。葬儀専業2社の連結売上を合わせても535億円で、経済産業省の調査による売上の大きい事業所の合計6,109億円(2024年)と比べれば一部にすぎません。それでも燦は株式公開買付けと株式交換で会館網を広げ、ティアは直営・フランチャイズ・グループ会社を合わせて219店を展開するなど、集約の動きは上場企業に集まっています。本ページでは集計の範囲が異なる3つの区分を別々の表で比べます。

葬儀専業の上場2社の連結業績と会館網

有価証券報告書の連結値とセグメント売上。燦ホールディングスの葬儀セグメントは公益社・きずな・タルイ・葬仙の子会社グループ4区分の合計。決算期は燦が2025年3月期(その後8月決算へ変更中)、ティアが2025年9月期と決算期末が半年ずれる。営業利益と純利益の差には特別損益や税金が含まれる

葬儀専業の上場2社では燦ホールディングスが連結売上319.8億円で大きく、ティアが215.6億円で続きます。燦の2025年3月期はきずなホールディングスを連結した初年度で、売上は前期の224.4億円から増加しました。営業利益は燦45.2億円、ティア16.4億円です。燦の純利益47.2億円が経常利益43.6億円を上回るのは特別利益を計上したためで、株主の資本に対する利益の割合を示すROE13.5%にもその分が含まれます(ティアのROEは10.6%)。総資産に占める返済不要の資本の割合である自己資本比率は、燦が59.0%と前期の87.5%から低下しました。株式公開買付けの資金を借入でまかない、借入への依存が高まったためです。会館数と葬儀件数は各社の決算説明資料の公表値で、ティアはフランチャイズを含む件数、燦は連結子会社の合計と定義が異なるため、2社の件数を足したり比べたりはしません。

燦ホールディングス
公益社・きずな・葬仙・タルイ、子会社グループ4区分の合計(2025年3月期)
連結売上
319.8億円
葬儀セグメント売上
315.6億円
営業利益
45.2億円
純利益
47.2億円
ROE
13.5%
自己資本比率
59.0%
ティア
葬儀会館ティア、直営とフランチャイズ(2025年9月期)
連結売上
215.6億円
葬儀セグメント売上
198.7億円
営業利益
16.4億円
純利益
8.9億円
ROE
10.6%
自己資本比率
30.9%

燦ホールディングス — 公益社を中核に、買収で会館網を広げる

関西を地盤とする公益社を中核に、鳥取・島根の葬仙、大阪のタルイを傘下に持つ持株会社です。2025年3月期の連結売上は319.8億円で、セグメント別では公益社グループが203.7億円、2024年9月に子会社化したきずなグループ(家族葬のファミーユ)が2024年9月から2025年2月までの6か月分で74.6億円、タルイ・葬仙がそれぞれ21.1億円・16.2億円です。葬儀の施行件数は前期比61.9%増え、葬儀施行収入は49.9%増えましたが、家族葬を主力とするきずなの連結で1件当たりの単価は7.4%下がりました。公益社の単価は114.3万円、きずなは86.0万円(同じ6か月の8,354件)で、同じグループの中に一般葬中心と家族葬中心の2つの単価帯があります。

会館数は2021年度の107会館から2025年3月末に267会館へ増え、会社は長期目標を550会館に引き上げています。2026年2月には福島のこころネット(葬祭と石材)を株式交換で完全子会社にし、北海道から九州まで出店地域を広げました。決算期を3月から8月へ変更したため、2025年4月から2026年8月までの17か月が1つの決算期になり、本ページの2025年3月期が12か月の最新期です。買収による拡大で自己資本比率は87.5%から59.0%へ低下しました。買収額のうち相手の純資産を上回る部分である「のれん」を毎年費用として償却しながら、家族葬向けの小規模ホールと一般葬の会館をどう組み合わせて稼働を高めるかが、最大手としての論点です。

ティア — 名古屋地盤、直営とフランチャイズで会館を広げる

名古屋を地盤に葬儀会館「ティア」を直営とフランチャイズで展開します。2025年9月期の連結売上は215.6億円で、葬儀セグメントが198.7億円(連結の9割以上)、フランチャイズ事業が5.6億円です。2023年に八光殿(大阪)と東海典礼(愛知)を買収し、2025年7月にはティア北海道をグループに加えました。会館は直営93店・葬儀相談サロン3店・フランチャイズ74店に八光殿などのグループ会社を加えて219店(2025年11月)で、前期末から17店増えました。

葬儀件数は直営とグループ会社で19,773件(前期比1,459件増)、フランチャイズを含めると26,470件です。1件当たりの単価は89.7万円で前期比3.3%上がり、葬儀付帯品や供花の単価上昇が寄与しました。会員組織「ティアの会」は589千人、提携団体は1,464団体で、会員と提携先からの紹介が件数の土台です。営業利益は16.4億円、ROEは10.6%、自己資本比率は30.9%で、買収による借入で自己資本比率は2023年9月期の51.2%から下がっています。下半期は葬儀件数が想定を下回って減収減益となっており、新店の稼働と既存店の件数をどう両立させるかが課題です。

冠婚葬祭互助会系の上場企業

サン・ライフホールディングは有価証券報告書の連結値、平安レイサービスは有価証券報告書が提出された最終期(2026年5月に上場廃止)。互助会系は葬儀のほか婚礼・介護・ホテルを連結に含む。本文のセグメント別営業利益は本社費用などを差し引く前の値で、合計は連結営業利益と一致しない

冠婚葬祭互助会は、毎月の掛金を前払いで積み立てて葬儀や婚礼に充てる仕組みで、会員向けの葬儀を自社の会館で施行します。上場企業では神奈川のサン・ライフホールディングが2026年3月期の連結売上141.5億円、営業利益11.0億円で、営業利益は前期の13.1億円から減少しました。湘南の平安レイサービスは2025年3月期に連結売上106.0億円、営業利益17.4億円でしたが、2026年5月に株式併合で上場を廃止しました。2社とも葬儀の比重が高く、サン・ライフは葬儀と婚礼を合わせたセレモニー事業が連結の72.2%、平安レイサービスは葬祭事業が86.7%です。

サン・ライフホールディング
セレモニー事業は葬儀と婚礼の合計(2026年3月期)
連結売上
141.5億円
葬儀セグメント売上
102.1億円
営業利益
11.0億円
純利益
6.2億円
ROE
9.2%
自己資本比率
19.2%
平安レイサービス
非上場(2026年5月に上場廃止)、有価証券報告書が提出された最終期(2025年3月期)
連結売上
106.0億円
葬儀セグメント売上
91.9億円
営業利益
17.4億円
純利益
13.6億円
ROE
6.4%
自己資本比率
62.6%

サン・ライフホールディング — 神奈川の互助会、葬儀・婚礼に介護とホテルを併設

神奈川県を地盤とする冠婚葬祭互助会のサン・ライフを中核に、葬儀と婚礼のセレモニー事業(102.1億円)、有料老人ホームなどの介護事業(22.8億円)、ホテル事業(11.2億円)を持ちます。2026年3月期の連結売上は141.5億円で前期の138.6億円から増加しましたが、営業利益は13.1億円から11.0億円へ減少しました。セグメント別の営業利益はセレモニーが21.3億円で、介護とホテルは利益が薄い構成です。

互助会は会員から預かった前受金を負債として持つため、自己資本比率は19.2%と葬儀専業の2社より低く、現役上場6社の中では6位です。ROEは9.2%で、前期の13.3%から低下しました。会員の高齢化で葬儀の施行が増える一方、婚礼は件数が伸びにくく、介護やホテルで会員との接点を広げる形になっています。前受金の保全や互助会制度の詳細はブライダル業界のページで扱っています。

平安レイサービス — 湘南の互助会、2026年5月に非公開化

神奈川県の湘南地域を地盤とする冠婚葬祭互助会で、葬祭事業(91.9億円)に介護事業(11.1億円)と婚礼事業(2.8億円)を併せ持ちます。有価証券報告書が提出された最終期にあたる2025年3月期は連結売上106.0億円、営業利益17.4億円、純利益13.6億円で、葬祭事業の営業利益は本社費用を差し引く前で26.2億円でした。自己資本比率は62.6%と互助会系としては高い水準です。

2026年2月に創業家側による株式併合の方針を公表し、同年5月8日に東京証券取引所スタンダード市場の上場を廃止しました。2026年3月期の有価証券報告書は上場廃止により提出されず、本ページの表では提出された最終期の値を示しています。きずなホールディングス(2024年)、こころネット(2026年)の上場廃止と合わせ、葬儀の上場企業は数年のうちに顔ぶれが変わっており、上場企業の比較だけでは地域の有力互助会の姿を捉えきれません。

隣接する上場企業(送客ポータル・火葬場・墓石)

連結は葬儀以外の事業を含む。廣済堂ホールディングスの葬祭事業は有価証券報告書の「収益事業」「公益事業」2区分の合計、鎌倉新書とニチリョクは単一セグメントで内訳なし。決算期は1月期と3月期が混在し、廣済堂ホールディングスとニチリョクの2026年3月期は燦ホールディングスの2025年3月期と1年、鎌倉新書の2026年1月期は約10か月ずれる

鎌倉新書と廣済堂ホールディングスは葬儀の施行者ではなく、葬儀の前後に関わる事業で収益を得ています。ニチリョクは葬儀会館も運営しますが、墓石・納骨堂の販売を併せ持つ点で専業2社とは異なります。鎌倉新書は葬儀社や霊園への送客ポータル「いい葬儀」「いいお墓」を運営し、2026年1月期の連結売上は83.4億円と2年前の58.6億円から42.3%増えました。廣済堂ホールディングスは都内の民営火葬場を運営する東京博善を傘下に持ち、連結売上362.3億円は現役上場6社で最大ですが、印刷の情報事業149.7億円と人材事業50.5億円を含みます。葬祭事業は収益事業104.9億円と公益事業54.3億円の合計159.2億円で連結の43.9%ですが、営業利益では48.2億円と、情報事業6.5億円・人材事業▲0.7億円を大きく上回り、連結営業利益67.4億円の大半を占めます(資産コンサルティング事業▲0.6億円を含む5事業の合計は53.5億円で、連結との差13.9億円は有価証券報告書のセグメント情報で調整額として計上されています。各事業の値は百万円単位から四捨五入しているため、表示値を足した合計とは0.1億円ずれます)。ROEは6社の中で鎌倉新書の15.7%が最も高く、自己資本比率は鎌倉新書の75.1%からサン・ライフの19.2%まで開きがあります。

鎌倉新書
終活ポータル、単一セグメント(2026年1月期)
連結売上
83.4億円
葬儀セグメント売上
—
営業利益
11.6億円
純利益
7.7億円
ROE
15.7%
自己資本比率
75.1%
廣済堂ホールディングス
葬祭事業は収益事業と公益事業の2区分の合計、連結は印刷・人材を含む(2026年3月期)
連結売上
362.3億円
葬儀セグメント売上
159.2億円
営業利益
67.4億円
純利益
47.4億円
ROE
9.8%
自己資本比率
68.5%
ニチリョク
葬儀と墓石・納骨堂、単一セグメント(2026年3月期)
連結売上
17.3億円
葬儀セグメント売上
—
営業利益
▲4.2億円
純利益
▲1.3億円
ROE
▲4.5%
自己資本比率
57.4%

鎌倉新書 — 「いい葬儀」で葬儀社に送客する終活ポータル

葬儀社を紹介する「いい葬儀」、霊園・墓石の「いいお墓」、仏壇の「いい仏壇」などのポータルを運営し、提携する葬儀社や霊園から成約に応じた手数料を受け取ります。葬儀を自ら施行しないため、連結売上83.4億円(2026年1月期)は葬儀社の売上とは性質が異なります。営業利益は11.6億円、ROEは15.7%で現役上場6社の中で1位、自己資本比率は75.1%です。

売上は2年で42.3%増え、終活相談や自治体との連携、保険・不動産などライフエンディング全般に事業を広げています。亡くなってから数日で葬儀社を決める遺族がインターネットで比較する流れが広がるほど、ポータル経由の送客は葬儀社にとって件数を確保する経路になる一方、手数料は葬儀社の利益の外側で決まる費用になります。送客に依存する葬儀社と、会員や提携団体から直接紹介を受ける葬儀社で、集客の構造が分かれています。

廣済堂ホールディングス — 東京博善の火葬場を傘下に持つ

印刷を祖業とする持株会社で、都内で6か所の民営火葬場を運営する東京博善を傘下に持ちます。2026年3月期の連結売上362.3億円のうち葬祭事業は収益事業104.9億円と公益事業54.3億円で、営業利益は2区分の合計48.2億円と、情報事業の6.5億円や人材事業の▲0.7億円を大きく上回ります(連結営業利益67.4億円と、資産コンサルティング事業▲0.6億円を含む5事業の合計53.5億円との差13.9億円は、有価証券報告書のセグメント情報の調整額。各事業の値は百万円単位から四捨五入しているため、表示値の合計とは0.1億円ずれる)。収益事業の営業利益は前期の42.9億円から36.3億円へ減少しました。

火葬場の大半が市町村などの公営である日本で、東京23区の火葬の多くを民営の東京博善が担う構造は例外的で、火葬料金や待ち日数が葬儀の日程と費用に直接影響します。2026年5月には東京博善を含む子会社の売却を検討していると報じられ、会社は「決定した事実はない」とコメントしています。売却が実現するかどうかにかかわらず、火葬インフラの運営主体がどこになるかは、都内の葬儀社と遺族にとって費用と日程の前提を左右する論点です。ROEは9.8%、自己資本比率は68.5%です。

ニチリョク — 葬儀と墓石、2期連続の営業損失

葬儀会館「ラステル」と墓石・納骨堂の販売を手がけ、連結売上は2026年3月期に17.3億円と、2年前の28.5億円から減りました。営業利益は▲4.2億円、純利益▲1.3億円で、前期に続く営業損失です。自己資本比率は57.4%と高い一方、ROEは▲4.5%です。

墓石や納骨堂の販売は、墓を持たない選択や樹木葬・海洋散骨の広がりで需要が変わりやすく、葬儀と供養を一体で提供する事業構成が収益に結びつきにくくなっています。葬儀専業の2社が会館を増やして件数を取りに行くのと対照的に、規模の小さい上場企業は事業の立て直しが先に立つ段階にあります。

主要論点

上場企業による会館網の集約はどこまで進むのか?

燦ホールディングスの会館は2021年度の107会館から2025年3月末に267会館へ増え、きずなホールディングスの株式公開買付け、こころネットの株式交換と、買収で地域と会館を広げてきました。ティアも直営とフランチャイズに八光殿・東海典礼の買収を重ねて219店です。2社の会館を合わせても500会館に届かず、全国の葬儀業の事業所8,070か所(2021年)の一部にとどまります。専業2社の連結売上の合計535億円も、経済産業省の調査による売上の大きい事業所の合計6,109億円(2024年)の1割に満たない規模です。

集約を進める側の論理は明快です。葬儀は件数を確保できる会館の立地と数で決まり、家族葬向けの小規模ホールは出店の単位が小さく、後継者難の中小葬儀社は買収の受け皿を求めています。燦が長期目標を550会館に置き、ティアが会員589千人と提携1,464団体から紹介を受ける仕組みを広げているのは、件数を会館網と会員基盤で押さえる戦略です。

一方で、買収は自己資本比率を下げ(燦は87.5%から59.0%へ)、のれんの償却が利益を圧迫します。葬儀は地域の寺院や火葬場、慣習と結びつくため、全国一律の運営で効率を出しにくい事業でもあります。上場企業の集約は続く見通しですが、地域ごとの互助会や非上場の大手が持つ会館網と会員を置き換えるには時間がかかり、業界の大半が中小の事業者である構造は当面変わりません。

家族葬で1件当たりの単価が下がる中で、葬儀社は利益をどう保つのか?

燦ホールディングスは2025年3月期に葬儀の施行件数を61.9%増やしましたが、家族葬を主力とするきずなを連結したことで1件当たりの単価は7.4%下がりました。公益社の単価114.3万円に対し、きずなは86.0万円で、同じグループの中に2つの単価帯があります。ティアの単価は89.7万円で、葬儀付帯品や供花の単価上昇で前期比3.3%上がりましたが、下半期は件数が想定を下回って減収減益になりました。

単価が下がる局面で利益を保つ方法は、会館の回転を高めて件数を増やすこと、飲食や返礼品に代わる付帯品の提案、生前契約や会員制で件数を先に押さえることに分かれます。ティアの会員589千人、サン・ライフホールディングの互助会の前受金は、いずれも件数を将来にわたって確保する仕組みです。一方で、小規模ホールを増やすほど会館当たりの件数は減りやすく、固定費の負担が利益率を左右します。

上場各社の営業利益は燦45.2億円、ティア16.4億円、サン・ライフ11.0億円で、売上の伸びに利益が追いついていない会社もあります。家族葬の比率がさらに高まるなら、単価の下落を件数で補う戦略は会館の稼働率に依存します。1件当たりの費用の推移は家族葬へのシフトのページで扱います。

ポータルと火葬場という隣接プレイヤーは、葬儀社の収益をどう変えるのか?

葬儀社の収益は、遺族をどう集めるか(集客)と、葬儀の日程を決める火葬場の受け入れ(インフラ)という、葬儀社の外側にある2つの要素に左右されます。鎌倉新書は「いい葬儀」で葬儀社に送客し、連結売上83.4億円を2年で42.3%伸ばしました。送客を受ける葬儀社にとって手数料は件数を確保するための費用で、会員や提携団体から直接紹介を受ける葬儀社に比べて利益が薄くなります。

火葬場では、都内の東京博善を傘下に持つ廣済堂ホールディングスの葬祭事業が営業利益48.2億円を上げ、連結営業利益67.4億円の大半を占めます。火葬場の大半が公営である日本で、民営の火葬場が都市部の火葬を担う構造は例外的で、火葬料金や待ち日数は葬儀社がコントロールできない前提条件です。2026年5月に東京博善の売却検討が報じられ(会社は「決定した事実はない」とコメント)、運営主体が変われば料金と日程の前提も変わりえます。

葬儀社の側から見ると、集客をポータルに頼るほど、火葬場の日程に合わせるほど、収益の決定権は外に移ります。会館と会員を自前で持つ燦やティア、互助会の前受金で件数を押さえるサン・ライフは、この外部依存を減らす方向の事業構成です。隣接プレイヤーの動きは、葬儀社の利益の取り分がどこで決まるかを変える要因として、本業の競争と同じくらい重要になっています。

中期見通し

近未来1-2年

燦ホールディングスは2025年4月から2026年8月までの17か月を1つの決算期とする変則決算を経て、こころネットを含む新しい連結の姿が有価証券報告書で開示されます。平安レイサービスの非公開化で互助会系の上場企業はサン・ライフホールディング1社となり、上場企業の比較で見える範囲はさらに狭まります。東京博善の売却検討が実現するかどうかも、都内の火葬インフラの運営主体に関わる動きとして注視点です。

中期3-5年

死亡数が2040年ごろまで増える中で、上場2社は会館網の拡大と買収を続ける見通しです。家族葬の比率上昇で1件当たりの単価は下がる方向にあり、会館の稼働率と会員・提携先からの紹介で件数を確保できるかが利益を分けます。中小葬儀社の後継者難を背景に、上場企業や互助会への事業承継は増えますが、地域性の強い事業のため全国一律の集約にはなりにくいとみられます。

長期5-10年

2040年以降に死亡数が減り始めると、件数の減少と単価の縮小が重なり、会館の固定費を支えられない事業者が出てきます。上場企業は会館の統廃合と供養・終活など周辺事業への展開で対応する一方、ポータル経由の集客と火葬場の運営主体の変化が、葬儀社の収益の取り分をさらに左右する可能性があります。上場企業の顔ぶれは買収と非公開化で入れ替わり、今の比較とは違う形になっていることも考えられます。

よくある質問

葬儀会社の大手はどこですか?
葬儀を専業とする上場企業では燦ホールディングス(公益社・きずなホールディングスなど、2025年3月期の連結売上319.8億円。2026年2月にこころネットを完全子会社化)とティア(2025年9月期、215.6億円)が大手です。互助会系ではサン・ライフホールディング(141.5億円)が上場しています。ベルコ(兵庫)や日本セレモニー(長崎)など非上場の大手互助会も各地に地盤を持ち、上場企業の売上は業界全体の一部です。
燦ホールディングスときずなホールディングスの関係は?
燦ホールディングスは2024年8月に終了した株式公開買付けできずなホールディングス(家族葬のファミーユ)を連結子会社とし、きずなは2024年9月27日に上場を廃止しました。2025年3月期の燦の連結売上319.8億円には、2024年9月から2025年2月までの6か月分のきずなの売上74.6億円が含まれます。2026年2月には福島のこころネットも株式交換で完全子会社にしています。
葬儀の上場企業の会館数や施行件数はどのくらいですか?
燦ホールディングスの会館は2025年3月末で267会館、葬儀の施行件数は2025年3月期に前期比61.9%増えました(きずなの連結を含む)。ティアは直営とフランチャイズ、グループ会社を合わせて219店(2025年11月)、葬儀件数は直営とグループ会社で19,773件、フランチャイズを含めて26,470件(2025年9月期)です。各社の定義が異なるため、2社の件数を足したり比べたりはできません。
平安レイサービスはなぜ上場廃止になったのですか?
湘南地域の冠婚葬祭互助会である平安レイサービスは、2026年2月に創業家側による株式併合の方針を公表し、2026年5月8日に東京証券取引所スタンダード市場の上場を廃止しました。有価証券報告書が提出された最終期にあたる2025年3月期は連結売上106.0億円、営業利益17.4億円でした。2026年3月期の有価証券報告書は上場廃止により提出されないため、本ページではこの期の値を掲載しています。
この比較の数値はどこから取ったものですか?
7社(現役上場6社と、有価証券報告書が提出された最終期を載せた平安レイサービス)の連結売上・営業利益・純利益・ROE・自己資本比率は、各社が金融庁のEDINETに提出した有価証券報告書の値です。葬儀セグメントの売上も同じ有価証券報告書のセグメント情報から取っています。会館数・葬儀件数・単価は燦ホールディングスとティアの決算説明会資料の公表値で、サン・ライフホールディング・鎌倉新書・廣済堂ホールディングスの同種の数値は本ページでは扱っていません。決算期は各社で異なり(1月・3月・9月)、燦ホールディングスは2025年3月期の後に決算期を8月へ変更しています。

参考資料 / 一次ソース

  1. 1.
    EDINET(各社の有価証券報告書)
  2. 2.
    ティア 決算説明会資料(2025年9月期、2025年11月14日)
  3. 3.
    燦ホールディングス 決算説明会資料(2025年3月期、2025年5月30日)
  4. 4.
    燦ホールディングス・こころネット 株式交換に関する開示(2025年10月23日)
  5. 5.
    平安レイサービス 株式併合・上場廃止に関する開示(2026年2月・5月)
  6. 6.
    廣済堂ホールディングス 報道に関するコメント(2026年5月21日)
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