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映画業界の主要企業の財務|上場大手の連結業績を比較【2026年版】

映画の製作・配給・興行・配信に関わる上場大手の連結財務を比較すると、東宝が営業利益647億円・自己資本比率73.3%と映画専業で突出しています。各社は出版・配信・不動産など映画以外の事業も大きく、本ページの数値は連結全社で映画事業のみの数値ではありません。ソニーや任天堂も映画事業を持ちますが、連結規模が桁違いで主軸はゲームなど映画以外の領域にあります。

映画主軸の上場大手 連結業績と事業構成 (FY2025)

各社の連結全社ベース。映画事業のみを取り出した数値ではなく、売上順位は全社規模を示す

連結業績では、東宝が営業利益647億円・自己資本比率73.3%と6社で最も高く、映画専業の収益力と財務の健全性が際立ちます。一方、松竹はFY2025の純利益が-7億円の赤字、東京テアトルはROE21.5%と高いものの営業利益は3億円で、特別利益の影響が大きい点に注意が必要です。売上高はUSEN-NEXT・東宝・KADOKAWAの順で、その内訳となる事業構成は会社により大きく異なります。

東宝
邦画大手 — 製作・配給・興行
売上高
3,132億円
営業利益
647億円
純利益
434億円
ROE
9.3%
自己資本比率
73.3%
東映
邦画大手 — 映像・アニメ
売上高
1,799億円
営業利益
352億円
純利益
157億円
ROE
6.3%
自己資本比率
57.1%
松竹
邦画大手 — 映画・演劇
売上高
840億円
営業利益
17億円
純利益
-7億円
ROE
-0.7%
自己資本比率
44.5%
KADOKAWA
邦画大手 — 出版・映像・ゲーム
売上高
2,779億円
営業利益
167億円
純利益
74億円
ROE
3.4%
自己資本比率
60.9%
東京テアトル
興行 — 配給・興行・不動産
売上高
184億円
営業利益
3億円
純利益
30億円
ROE
21.5%
自己資本比率
53.7%
USEN-NEXT HOLDINGS
配信 — 動画配信・店舗向けBGM
売上高
3,904億円
営業利益
316億円
純利益
184億円
ROE
20.5%
自己資本比率
37.6%

東宝 — 映画専業の最大手

映画の製作・配給・興行を一貫して手がける垂直統合が特徴で、鉄道・不動産を母体とする阪急阪神東宝グループの中核企業です。配給では近年の邦画上位作品を多く扱い、2024年の邦画上位5作はいずれも東宝が配給しました。『名探偵コナン』『ゴジラ』などの自社シリーズに加え、外部のアニメ映画でも製作委員会に幹事・出資として関わることが多く、配給収入と製作出資の双方で収益を得ています。

この配給網の強さは、人気IPを抱える製作側が東宝を通じて全国公開を狙う構図を生み、邦画ヒットの結節点としての地位につながっています。加えて演劇(ミュージカルや劇場運営)と、都心のビル賃貸を中心とする不動産も安定した収益源です。連結売上3,132億円・営業利益647億円・自己資本比率73.3%は6社で最も高く、映画のヒットの年変動を不動産・演劇という景気変動に左右されにくい収益で和らげる構造になっています。

東映 — 映像とアニメIP

映像(劇場映画・テレビ)の制作・配給に加え、上場子会社の東映アニメーションが収益の柱です。ドラゴンボール・ワンピース・プリキュアなどの自社アニメIPや、仮面ライダー・スーパー戦隊といった特撮の長寿IPを保有し、劇場・テレビ・配信に加えて商品化・海外ライセンスまで多面的に展開しています。

これらのIPは数十年にわたり世代を超えて続くものが多く、単発のヒットに依存しない継続的なライセンス収入を生みます。とくにドラゴンボールやワンピースは海外でのブランド力が高く、東映アニメーションの海外売上比率を押し上げています。観光(映画村)・不動産も手がけ、連結売上1,799億円のうち、海外を含むアニメIPのライセンス収入が、当たり外れの大きい劇場興行の変動を補う役割を担っています。

松竹 — 映画と歌舞伎

映画の製作・配給に加え、歌舞伎をはじめとする演劇興行が事業の柱です。歌舞伎座などの劇場運営を含め、歌舞伎の興行を一手に担ってきた歴史が松竹の大きな特徴で、映画と伝統芸能の双方を手がける独自の事業構成です。歌舞伎は演者・演目・劇場運営が一体で築かれており、他社が容易に参入できない高い参入障壁を持つ事業です。

この歌舞伎興行は安定した固定ファンを持つ一方、市場規模そのものが大きく伸びにくく、成長の源泉というより収益基盤としての性格が強い領域です。映画事業では文芸・実写作品に強みを持ちます。都心の劇場用地を中心とする不動産も保有しますが、連結売上840億円でFY2025は純利益が-7億円の赤字でした。映画・演劇はいずれも作品・公演の状況で収益が変動しやすく、年ごとの業績の振れが大きい構造です。

KADOKAWA — 出版とIP横展開

出版(書籍・雑誌・ライトノベル)を基盤に、原作のIPをアニメ・映画・ゲームへ展開するメディアミックスが強みです。とくにライトノベルやコミックの自社原作をアニメ化し、ヒットすれば映画・ゲーム・商品へと広げる流れを持ち、IPの「源流」を押さえている点が他社と異なります。映像事業ではアニメ・実写の製作・出資を手がけます。

2024年にはソニーグループと資本業務提携を結び、ソニーが大株主となりました。配信・ゲーム・アニメで強みを持つソニーとの連携で、保有IPの映像化や海外展開を加速する狙いがあります。ゲーム・教育・Webサービスも展開し、連結売上2,779億円は出版・ゲームの比重が大きく、映画は数多く抱えるIPを多面的に収益化する出口の一つという位置づけです。

東京テアトル — 興行と不動産

配給・興行では、独立系・単館系(ミニシアター)の作品に強みを持ちます。テアトル新宿などの自社劇場を運営し、アート系・ドキュメンタリー・単館公開の作品など、大手とは異なる客層に向けた配給・上映で存在感があります。大型作品で観客を集める東宝・東映とは棲み分けた、ニッチを深掘りする立ち位置です。

収益面では、不動産(賃貸)・飲食が事業を支えます。連結売上184億円と6社で最も小さく、興行の規模が限られるぶん不動産の安定収益が経営の柱になっています。FY2025のROEが高いのは特別利益によるもので、本業の営業利益は3億円です。

USEN-NEXT HOLDINGS — 動画配信が主体

動画配信サービスU-NEXTを中核に、店舗向けBGM・通信・エネルギーなど多角的に事業を展開しています。U-NEXTは国内有数の有料動画配信サービスで、映画・ドラマ・アニメに加え、見放題と都度課金(レンタル)を組み合わせた品揃えの広さを特徴としています。

映画業界における立ち位置は、製作の主体ではなく、劇場公開後の作品を配信する「窓」です。劇場興行と配信のあいだのウィンドウ(公開時期の差)を収益機会に変える側であり、製作・配給会社とは利害が一致する場面も競合する場面もあります。連結売上3,904億円は配信・店舗向け事業が中心で、配信会員の積み上げによる成長を背景に、ROEは20.5%と高水準です。

映像技術と、映画事業を持つ大手企業

IMAGICA GROUPは映像の現像・編集・ポストプロダクションなどを担う映像技術の代表企業で、上場しています。フィルム時代の現像から、デジタル化以降は4K・配信向けの編集や品質管理へと事業を広げ、作品を「作る」のではなく作品の制作を技術面で支える、製作・配給とは異なる裏方の立場のプレイヤーです。配信の拡大で映像の制作本数自体が増えていることが、こうした技術サービスの需要を底支えしています。

ソニーグループはハリウッドの大手スタジオであるソニー・ピクチャーズの親会社、任天堂は自社ゲームIPの映画化、フジ・メディアホールディングスは放送と連動した映画製作への出資という形で、それぞれ異なる狙いで映画に関わります。ただし、いずれも連結規模が映画主軸6社と桁違いで、主軸はゲーム・放送・エレクトロニクスなど映画以外の領域にあり、映画は保有する事業やIPを広げる手段の一つという位置づけです。

主要論点

映画専業と多角化、収益構造の違いをどう見るか?

映画主軸の上場大手は、映画事業の比重で性格が分かれます。東宝は映画の製作・配給・興行を中核に演劇・不動産を組み合わせ、連結売上3,132億円・営業利益647億円と安定した収益を上げています。東映も映像と東映アニメーションのIPが柱です。

一方、KADOKAWAは出版・ゲームが大きく映画はIP横展開の一環、USEN-NEXTは動画配信が主体で映画は配信経由の関与です。東京テアトルは興行に不動産・飲食を組み合わせています。各社とも映画以外の収益源を持つことで、ヒットの有無による業績の振れを和らげる構造になっています。

投資家から見ると、映画専業の収益力を測りたい場合は東宝が最も近い対象となり、多角化各社は映画以外の事業動向も合わせて見る必要があります。

各社の収益性の差は何を示すか?

収益性には明確な差があります。東宝は営業利益647億円・自己資本比率73.3%と、利益額・財務の健全性とも6社で最も高い水準です。これは映画の製作・配給・興行を一貫して手がける垂直統合と、不動産事業の安定収益によるものです。

一方、松竹はFY2025の純利益が-7億円の赤字でした。東京テアトルはROEが21.5%と高く見えますが、営業利益は3億円で、特別利益が純利益を押し上げた結果です。USEN-NEXTのROE20.5%は配信事業の成長によるものです。

このように、ROEや自己資本比率は事業構成や一時的な要因の影響を受けるため、単年の数値だけでなく、本業の営業利益や複数年の推移と合わせて読むことが重要です。

映画会社は収益源をどう多様化していくか?

各社はヒットの年変動に備え、映画以外の収益源を広げてきました。東宝・松竹の不動産、東映・KADOKAWAのIPライセンス、USEN-NEXTの配信が、興行収入の変動を和らげる役割を担っています。映画事業は当たり外れが大きいため、安定した収益基盤を別に持つことが各社の経営の軸になっています。

中でも重要なのがIP(知的財産)の多面活用です。原作からアニメ・映画・ゲーム・商品へ展開するメディアミックスや、保有IPの海外ライセンスは、劇場興行に依存しない収益を生みます。KADOKAWAのメディアミックスや、東映のアニメIPライセンスが代表例で、ヒットしたIPを長期にわたって複数の事業で収益化しています。

配信の拡大も収益源の一つです。劇場公開後の配信展開や、配信向けの作品供給が各社の映像事業に加わっています。今後は、アニメを中心とした海外市場での収益貢献をどこまで高められるかが、各社の成長を左右する論点になります。

中期見通し

近未来1-2年

各社の映像事業の業績は、大型作品のヒットの有無に左右されやすい局面が続きます。邦画の人気シリーズやアニメ映画の公開規模が、東宝・東映・KADOKAWAなどの映像事業の収益を動かします。配信向けの作品供給も収益の一部を支えます。

中期3-5年

IP活用・配信・不動産など、映画以外の収益源の多様化が業績の安定につながります。KADOKAWAや東映のIP横展開、USEN-NEXTの配信成長、東宝・松竹の不動産事業が、ヒットの年変動を和らげる役割を担う見通しです。

長期5-10年

映画事業の連結内での位置づけと、海外展開やIPの収益貢献が長期の論点です。アニメを中心とした海外売上や、原作IPの多面的な活用が各社の収益を底上げするかが問われます。劇場・配信を組み合わせた収益モデルの設計も続きます。

よくある質問

主な映画会社の業績はどうなっていますか?
映画の製作・配給・興行・配信に関わる上場大手のFY2025連結業績は、東宝が売上3,132億円・営業利益647億円、東映が売上1,799億円、松竹が売上840億円、KADOKAWAが売上2,779億円、東京テアトルが売上184億円、USEN-NEXTが売上3,904億円です。
映画会社で一番大きいのはどこですか?
売上高では動画配信主体のUSEN-NEXTが3,904億円で最大ですが、その大半は配信・店舗向け事業です。映画の製作・配給・興行を主軸とする会社では、東宝が売上3,132億円・営業利益647億円と最大で、収益力でも筆頭です。
なぜ売上ランキングと映画事業の規模が一致しないのですか?
各社の数値は連結全社のもので、映画以外の事業(出版・ゲーム・動画配信・不動産など)を含むためです。例えばUSEN-NEXTの売上の大半は動画配信、KADOKAWAは出版・ゲームの比重が大きく、売上の順位は全社規模を示すにとどまります。映画事業の規模は、各社のセグメント情報や作品ごとの興行収入と合わせて見る必要があります。
松竹はなぜ赤字なのですか?
松竹のFY2025の連結純利益は-7億円の赤字でした。松竹は映画と歌舞伎などの演劇、不動産を手がけており、映画・演劇はヒットや公演の状況で収益が変動しやすい構造です。単年の赤字は、こうした収益変動や個別要因の影響を受けたものです。
ソニーや任天堂は映画会社ですか?
ソニーグループはソニー・ピクチャーズの親会社、任天堂はIPの映画化、フジ・メディアホールディングスは映画製作への出資という形で映画に関わりますが、いずれもゲームや放送が主軸で、映画は連結のごく一部です。連結売上の規模(ソニーは約13兆円)も映画主軸の会社と桁が異なります。

参考資料 / 一次ソース

  1. 1.
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