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人材サービスの主要企業|上場大手の業績と事業領域を比較【2026年版】

人材サービス業界には、Indeed等を展開するリクルートホールディングス(連結売上35,575億円)を筆頭に、人材派遣・技術者派遣・人材紹介・求人メディアの大手が並びます。許可制のもとで多数の事業者が活動する分散した市場で、特定の数社に集中していません。上場各社の連結業績は事業の規模を示しますが、連結売上は人材以外の事業を含む全社の数字で、人材関連セグメントの開示区分は各社で異なる点に注意が必要です。主要企業の連結業績・事業領域・人材事業の位置づけを整理します。

主要企業の連結業績と人材事業の位置づけ

連結売上は全社(人材以外を含む)。人材関連セグメントの開示区分は各社で異なる

主要企業の連結業績を一覧で示します。連結売上高は人材以外の事業を含む全社の数字で、規模の目安です。人材関連のセグメント売上は各社の開示区分が異なるため、表では人材事業の位置づけを注記しています。利益率やROEなどの比率は各社の決算期・会計基準の違いがあるため、ここでは算出していません。決算期は各社で異なります(リクルート・パーソル等は3月期、パソナは5月期、テクノプロは6月期など)。

リクルートホールディングス
総合・2025年03期(IFRS)
連結売上高
35,575億円
連結営業利益
4,905億円
人材関連事業
人材派遣(Staffing)1兆6,669億円。ほかHRテクノロジー(Indeed等)1兆1,265億円・マッチング&ソリューション8,160億円
パーソルホールディングス
総合・2025年03期(JGAAP)
連結売上高
14,512億円
連結営業利益
574億円
人材関連事業
ほぼ全社が人材サービス
パソナグループ
総合・2025年05期(JGAAP)
連結売上高
3,092億円
連結営業利益
△12億円
人材関連事業
ほぼ全社が人材・BPO中心
テクノプロ・ホールディングス
技術者派遣・2025年6月期(IFRS)
連結売上高
2,390億円
連結営業利益
238億円
人材関連事業
ほぼ全社が技術者派遣
UTグループ
技術者派遣・2025年03期(JGAAP)
連結売上高
1,947億円
連結営業利益
81億円
人材関連事業
ほぼ全社が製造・技術者派遣
メイテックグループホールディングス
技術者派遣・2025年03期(JGAAP)
連結売上高
1,331億円
連結営業利益
188億円
人材関連事業
ほぼ全社が技術者派遣
アウトソーシング
技術者派遣・非上場化(2024年)(非開示)
連結売上高
—
連結営業利益
—
人材関連事業
ほぼ全社が技術者派遣(連結財務は非開示)
ジェイエイシーリクルートメント
人材紹介・2025年12期(JGAAP)
連結売上高
461億円
連結営業利益
117億円
人材関連事業
ほぼ全社が人材紹介
ディップ
求人メディア・2025年02期(JGAAP)
連結売上高
564億円
連結営業利益
134億円
人材関連事業
ほぼ全社が求人メディア
エス・エム・エス
医療・介護人材・2025年03期(IFRS)
連結売上高
610億円
連結営業利益
63億円
人材関連事業
国内キャリア(医療・介護の人材紹介)が中心:医療193億円・介護169億円。ほか介護事業者向けSaaS・海外等

総合人材サービス大手(リクルート・パーソル・パソナ)

リクルートホールディングスは、求人プラットフォームIndeedを中核とするHRテクノロジー(売上1兆1,265億円)に、人材派遣(Staffing、1兆6,669億円)や販促・人材マッチングを組み合わせ、連結売上35,575億円と業界で突出した規模を持ちます。海外売上の比重が高く、世界の人材派遣・求人市場で事業を展開しています。

パーソルホールディングスは、人材派遣の「テンプスタッフ」と人材紹介の「doda」を中核に、BPOや技術者派遣まで広げた総合人材サービスで、連結売上は14,512億円です。パソナグループは人材派遣・人材紹介・BPOを軸としますが、2025年5月期は子会社ベネフィット・ワンの売却に伴うセグメントの除外やBPO案件の一巡などによる減収を背景に、営業損失(△12億円)となりました。会社計画(2026年5月期予想)では、営業黒字(25億円)を見込んでいます。総合大手は、複数の事業を束ねることで景気変動への耐性を高めています。

技術者・製造派遣(テクノプロ・UT・メイテック ほか)

技術者・製造派遣は、専門スキルを持つ人材を企業に派遣する領域で、各社ほぼ全社が人材事業です。テクノプロ・ホールディングスはR&D・IT・建設などの技術者派遣大手で連結売上2,390億円(2025年6月期)、UTグループは製造派遣・技術者派遣を主力に1,947億円、メイテックグループホールディングスは常用雇用型の技術者派遣の専業で1,331億円です。

この領域では、技術者を無期雇用(正社員)として抱え、複数の派遣先で継続的に就業させるモデルが中心です。人材を育成しながら長期に活用するため、登録型の派遣に比べて景気変動の影響を受けにくい特徴があります。アウトソーシング(旧・東証上場)も製造・技術系の人材アウトソーシング大手ですが、2024年にBain Capitalにより非上場化し、以降の連結財務は開示されていません。

人材紹介・求人メディア・業界特化(JAC・ディップ・SMSほか)

人材紹介・求人メディアは、相対的に売上規模は小さいものの、高い収益性を持つ事業が多い領域です。ジェイエイシーリクルートメントは管理職・専門職に強い人材紹介の専業で連結売上461億円・営業利益117億円、ディップは求人メディア「バイトル」等を運営し564億円・134億円と、いずれも営業利益率が2割を超え(ジェイエイシーリクルートメント約25%、ディップ約24%)、売上規模は中堅でも高い利益を上げているのが特徴です。

エス・エム・エスは医療・介護・ヘルスケア領域に特化し、連結売上610億円のうち国内の医療・介護の人材紹介(キャリア)が中心で、介護事業者向けのSaaSなども展開しています。成功報酬型の人材紹介やメディア課金は、派遣に比べて人件費の先行負担が小さく、収益性が高くなりやすい構造です。

主要論点

総合大手と専門特化、収益構造はどう違うのか?

人材サービスの上場企業は、複数の事業を束ねる総合大手と、特定領域に集中する専門特化型に分かれ、収益構造が異なります。総合大手は人材派遣・紹介・BPO・メディアを組み合わせ、規模と景気耐性を確保します。人材派遣は売上規模が大きい一方、派遣スタッフの賃金が先行して発生するため、売上に対する利益の比率は相対的に低くなりがちです。

一方、人材紹介や求人メディアは、採用が決まったときの成功報酬や掲載課金が収益源で、人件費の先行負担が小さく、利益率が高くなりやすい構造です。ジェイエイシーリクルートメントやディップのように、売上規模は中堅でも高い営業利益を上げる事業者があるのはこのためです。

技術者派遣は、技術者を無期雇用で抱えて育成し長期に活用するモデルで、景気変動の影響を受けにくい安定性が強みです。事業領域によって、規模・利益率・安定性のバランスが大きく異なります。

各社の「人材セグメント」を横並びで比べられないのはなぜか?

各社の連結売上は、人材以外の事業も含む全社の数字です。さらに、人材関連のセグメントをどう区分して開示するかは、会社ごとに異なります。たとえばリクルートホールディングスは、Indeed等のHRテクノロジー(1兆1,265億円)・人材派遣(Staffing、1兆6,669億円)・マッチング&ソリューション(8,160億円)の3つに分けて開示しており、「人材事業」をどこまで含めるかで金額が大きく変わります(これらはセグメント間取引の消去前の数字で、単純に合算しても連結売上とは一致しません)。

一方、技術者派遣の専業各社や人材紹介の専業は、ほぼ全社が人材事業のため、連結売上がそのまま人材事業の規模に近くなります。エス・エム・エスのように、人材紹介と介護事業者向けSaaSを併せ持つ会社もあります。

このため、連結売上の単純な大小だけで「人材事業の規模」を比較することはできません。各社の開示区分を確認し、同じ性格の事業どうしで比べることが必要です。

技術者派遣で「無期雇用」が重視されるのはなぜか?

技術者・製造派遣の大手は、技術者を無期雇用(正社員)として自社で雇い、複数の派遣先で継続的に就業させるモデルを中心としています。これは、登録した人をその都度派遣する登録型とは異なる仕組みです。

無期雇用型には、いくつかの利点があります。技術者を長期に雇用するため、研修や資格取得を通じてスキルを育成しやすく、より付加価値の高い業務に対応できます。派遣先が変わっても雇用と給与が続くため、技術者にとっての安定性も高まります。企業側にとっても、専門人材を機動的に確保できる利点があります。

2015年の改正派遣法以降、雇用の安定を目的に無期雇用への転換が促されてきたことも、この流れを後押ししています。人手不足とデジタル化のもとで、技術者の確保・育成の重要性が一段と高まっています。

中期見通し

近未来1-2年

2026年以降も、人手不足を背景に人材サービスへの需要は底堅く推移するとみられます。賃上げによる派遣料金・紹介手数料の上昇が、各社の売上を金額面で支えます。一方で、派遣スタッフの待遇改善や賃金上昇がコスト増として利益を圧迫する局面もあり、料金への転嫁と業務効率化が課題となります。

中期3-5年

中期では、技術者派遣やデジタル人材、医療・介護など専門性の高い領域の比重が高まる見通しです。求人メディアやHR Techによる採用のデジタル化も進み、総合大手は事業の組み替えやM&Aで領域を広げます。成功報酬型・サブスクリプション型など、人件費の先行負担が小さい収益モデルの強化が、収益性を左右します。

長期

長期では、人口減少が労働需給の基調を決めます。人材を「供給する」だけでなく、育成・定着・生産性向上まで含めて支援する方向へ、各社の事業は広がる見通しです。海外市場の取り込みや、AIを活用したマッチングの高度化が、企業間の競争力の差を生みます。

よくある質問

人材サービス業界で最も売上が大きい企業はどこですか?
リクルートホールディングスです。Indeed等のHRテクノロジーを中核に、人材派遣・販促を世界展開し、連結売上は35,575億円と業界で突出しています。次いでパーソルホールディングス(14,512億円)などの総合大手が続きます。ただし連結売上は人材以外の事業を含む全社の数字です。
連結売上と「人材事業の規模」は同じですか?
同じではありません。連結売上は人材以外の事業も含む全社の数字で、人材関連セグメントの開示区分は各社で異なります。たとえばリクルートホールディングスの人材派遣(Staffing)は1兆6,669億円で、連結(35,575億円)の一部です。技術者派遣の専業などはほぼ全社が人材事業のため、連結売上が人材事業の規模に近くなります。
人材派遣と人材紹介の会社では、収益性に違いがありますか?
傾向として、人材紹介や求人メディアは利益率が高くなりやすく、人材派遣は売上規模が大きい一方で利益率は相対的に低くなりがちです。人材紹介・メディアは成功報酬や掲載課金が収益源で人件費の先行負担が小さいのに対し、派遣は派遣スタッフの賃金が先行して発生するためです。
技術者派遣の大手にはどんな会社がありますか?
テクノプロ・ホールディングス(連結売上2,390億円)、UTグループ(1,947億円)、メイテックグループホールディングス(1,331億円)などがあります。技術者を無期雇用で抱えて育成し、複数の派遣先で継続的に就業させるモデルが中心です。アウトソーシングは2024年に非上場化しています。
各社の業績はどの時点のものですか?
各社の最新の通期連結決算にもとづきますが、決算期は会社ごとに異なります(リクルート・パーソルなどは3月期、パソナは5月期、テクノプロは6月期、ディップは2月期など)。会計基準も日本基準とIFRSが混在するため、利益率などの比率はここでは算出していません。

参考資料 / 一次ソース

  1. 1.
    各社 決算短信・有価証券報告書(EDINET / 各社IR)
  2. 2.
    リクルートホールディングス「2025年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結)」
  3. 3.
    エス・エム・エス「2025年3月期 決算説明資料」
  4. 4.
    パソナグループ「2025年5月期 決算短信〔日本基準〕(連結)」
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